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トマトの芯止まりに困っていませんか?症状や対策について解説
公開日2023.06.05
更新日2023.06.05

トマトの芯止まりに困っていませんか?症状や対策について解説

トマトやミニトマトの栽培において、芯止まりにお困りではないでしょうか。これは生長点が止まり収穫できる果房の量が減ってしまうという生理障害(生育不良)です。発生要因が複数あるため、原因を特定するのが難しいとされています。特に大玉トマトにおいて発生しやすいようです。今回のコラムではトマト栽培における芯止まりについて解説していきたいと思います。コラムの後半では芯止まり対策に使える農業資材をご紹介しています。最後までお読みいただけたら幸いです。

トマトの芯止まりとは?

トマトの主枝の先端(芯)の生長が見られなくなる状態のことを指します。新葉が展開しなくなり草丈が伸びずに株が大きくなりません。通常は、主枝の先端から新しい葉が展開して成長し茎が伸びて株が大きくなっていきますが、芯止まりが発生すると生長点に新しい葉が出てこないため生長が止まってしまいます。樹勢が低下し花房が連続して発生した後に、新しい葉が出てこない場合には芯止まりが発生している可能性が高いとされています。

トマトやミニトマトには芯止まりする品種と芯止まりしない品種があり、生鮮食品売場においてあるものは非芯止まりタイプのトマトで、順調に生長すれば、どんどんと上に伸びていき次々に実をつけます。一方、ジュースなどの加工品(なつのこま)やフルーツ代わりに食べるミニトマト(リーテール)などは芯止まりの品種で、一定の高さで生長点がとまりイチゴのように脇芽を伸ばしてたくさんの実をつけます。問題になるのは非芯止まりの品種であるにもかかわらず、生長点が止まってしまう芯止まりです。

トマトの芯止まりが発生する原因

窒素過多

植物の三大栄養素の一つである窒素ですが、過剰に吸収すると色々な過剰症状を引き起こすことがあり芯止まりもその一つです。芯止まり以外にも葉が激しく巻きあがったり、尻腐れが起こったりするなど生理障害が発生することがあります。また、ヘタの下にコルク層を形成させて裂果の原因となる場合があります。

関連コラム:野菜栽培の窒素過多対策|地力窒素との関係

ホウ素欠乏

微量要素の一つであるホウ素が不足すると芯止まりが起こることがあります。単純に不足しているケースもありますが窒素との拮抗関係により発生する可能性もあります。窒素の過剰な施肥はホウ素の栄養吸収を阻害する原因となっているため、土の必要なホウ素が存在していても根から吸収できない状態となることがあります。 窒素過多は樹勢が強くなりすぎて茎が縦に伸びて穴があくメガネ状になりますので、この症状がでたら窒素過多の一つの目安になるかもしれません。土壌のpHが5.0以下(酸性より)になったり、7.0~8.5程度(アルカリ性より)になったりすると、微量要素のホウ素が吸収しにくくなります。

関連コラム:微量要素とは?微量要素の働きについて解説

日照不足

光合成により作り出すエネルギーが不足し、根っこから栄養を吸収できなくなり、生長点に栄養が行き届かなくなります。曇天が続くと葉っぱの蒸散量が衰えて、土にある水分や栄養素を吸い上げる力が弱くなり株の栄養が不足する可能性があります。

関連コラム:
トマト栽培における日照不足とその症状
トマト栽培における日当たりの重要性|健康に育てるために

脇芽かき・摘芯・摘果などが適当でない

トマトの株のエネルギー効率が悪くなると光合成の産物が、生長点に行き届かなくなります。例えば、着果数が多くなると果実の肥大に使われて新しい葉の生長を作るためのエネルギーが足りなくなります。脇芽かき・摘芯・摘果の作業を怠ると無駄なエネルギーが消費されてしまい、芯止まりの原因となります。

トマトの芯止まりを予防するには

肥料を与えすぎない

元肥で栄養素が過剰になると改善するのが難しくなります。元肥は控えめにして株の様子をみながら潅水葉面散布などで追肥を行うという方法がいいのかもしれません。

関連コラム:野菜の栽培に欠かせない追肥とは? 生長に合わせて適切な肥料の選択を

葉面散布によりホウ素を施肥する

ホウ素欠乏が芯止まりを誘発する一因とされています。トマトの根の衰弱や拮抗関係などにより土からホウ素を吸収できない場合には、ホウ酸やホウ砂を水に溶かして葉面散布を行い不足しているホウ素を吸収させる方法です。一般的に野菜における散布濃度は0.2~0.3%程度が良いとされていますが、ホウ素は薬害を誘発しやすいため散布濃度には十分に注意する必要があります。

芯止まりの前触れが見られたら葉面散布処理を行うと、抑制効果が期待できます。ホウ素だけでなく、株が弱っていたり曇天続きなどで土の栄養を吸い上げることができなかったりする場合に、不足していると考えられる栄養素をダイレクトに与えることが可能です。

関連コラム:微量要素欠乏症から作物を守れ!葉面散布の有効活用

電照で日照不足を補う

トマトの原産地は太陽の光が豊かな南米のアンデス高原ですから、日射量が不足すると株の生長に悪影響があります。曇天が続く梅雨や日射量が低下する秋冬の時期にLED電球などで補光を実施し光合成活動を促す方法です。

関連コラム:トマト栽培でLEDを導入するメリット|生育不良のリスクを回避

新たな脇芽を主枝として利用する

芯止まりが発生している近辺の元気な脇芽を生かして、主枝とする方法です。脇芽を取ってしまうと、株が大きくならない可能性が高くなりますので注意しましょう。

着果数を少し多めにする

生長点が止まるため実に栄養が届きやすくなります。芯止まりが改善しない株に関しては、他の株に比べて着果数を少し多めにしても良いかもしれません。

トマトの芯止まり予防におすすめの資材①

BioSもろみ(バイオスもろみ)

沖縄生まれのBioSもろみは高温環境下における植物の生育サポートで実績を積んでいます。もろみに含まれるクエン酸は植物の肥料吸収を効率化する性能(キレート作用)があり、夏期の高温によって体力を落としている植物に対して葉や根から栄養補給を助けます。アミノ酸と微量要素は果実品質や樹勢維持などに効能があり、クエン酸により更に植物に吸収されやすくなって好影響を与えます。
BioSもろみは野菜類、葉菜類、果樹に使用することができます。製品タイプによって含有成分が異なるため植物の生育ステージに適したタイミングに施用することで、より高い効果を発揮することができます。

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もろみM 1L(1.2kg)
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もろみKC 1L(1.3kg)
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もろみJS 1L(1.3kg)
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もろみCaB 1L
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もろみTurf 1L
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もろみM16L(20kg)
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もろみKC 15L(20kg)
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もろみJS 15L(20kg)
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トマトの芯止まり予防におすすめの資材②

小型電動噴霧器|モーターフォグ

施設栽培においてトマトの芯止まり対策におすすめなのが、小型電動噴霧器のモーターフォグです。日照不足により光合成や蒸散の活動が低下したり、土壌の肥料バランスが崩れ拮抗関係により特定の栄養素が吸収されにくい状態になっていたりと、トマトの株が根から栄養分を取りにくい状態の場合に、葉っぱから栄養を与える葉面散布を行う際に適した資材です。モーターフォグのノズルから噴霧される霧は大変に細かいため、ビニールハウスの隅々まで薬液が広がりやすく、トマトの葉の表面にまんべんなく付着するという特長があります。動噴に比べて小型で取り回ししやすく、農作業の負担を軽減する効果も期待できます。

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100V
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200V
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バッテリー式
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ライトスター(拡散剤)は1L,5L,20kgがあります。葉面散布時にライトスターを1%混合することで、薬液の空中浮遊時間が長くなります。
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モーターフォグ散布用アミノ酸1L
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芯止まりを予防して品質の良いトマトを育てましょう

トマト栽培において芯止まりが発生する要因は複合的であるため、対策が簡単ではありません。芯止まりする株が増えてしまうと収量が大幅に減少してしまう事態になりかねませんので、トマトの生長の様子を注意深く観察しながら、ひとつずつ原因を消していくことが大切かもしれません。今回のコラムをお役立ていただけたら幸いです。

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コラム著者

セイコーステラ 代表取締役  武藤 俊平

株式会社セイコーステラ 代表取締役。農家さんのお困りごとに関するコラムを定期的に配信しています。取り上げて欲しいテーマやトピックがありましたら、お知らせください。

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