コラム
トマト栽培における梅雨時の対策とは?
公開日2023.01.11
更新日2023.01.11

トマト栽培における梅雨時の対策とは?

トマトの原産地はペルーやエクアドルにまたがるアンデス山脈の西側の高原地帯とされています。この地域は日差しが豊富で、年間の降雨量が100mm以下という極端に雨が少ない地域です。野菜は原産地の気候を好みます。そのためトマトやミニトマトは長雨の多い日本の梅雨時が苦手で、日照不足により生理障害や病害が発生しやすくなります。

本コラムでは、ビニールハウスなどの施設を使ったトマト栽培において、梅雨時に発生しやすい障害と対策についてのポイントをご紹介しています。後半では日照不足や樹勢低下の際におすすめの資材をご紹介していますので、最後までご覧ください。

梅雨シーズンに発生しやすいトマトの障害

梅雨時に障害が発生しやすい理由として、第一に曇天が多くなり日照不足に陥りやすいことがあげられます。また施設栽培は雨風を防ぎますが、降雨が続くとビニールハウス周辺の水はけが悪くなり、場合によっては冠水してしまうリスクもあり、トマトの生育不良につながります。日照不足樹勢(草勢)の低下を助長し、徒長する原因となります。そして着果不良や果実が大きくならないといった障害が発生しやすくなります。また茎の異常肥大による生育遅延、落蕾や落果を誘発するリスクとなります。

関連コラム:トマトを生理障害から守れ!障害の種類と対策について

トマト栽培で梅雨時に行うべき対策

潅水量を減らす

曇天でも水分は必要ですが、夜まで湿っていると良くないとされています。天気が悪い日は潅水量を減らすように注意しましょう。

葉かき

湿度が高いことで病気になりやすいため、特に初期に生えた古い葉で黄変したり枯れたりしている状態のものは剪定作業を行います。湿気がこもったり、葉の影により日当たりが悪くなったりするのを防止しましょう。剪定時の傷が当日中に乾くようにするため、雨が降っているときや降雨前後、ビニールハウスに結露があるときなど湿度の高い時期は作業をしないほうが良いとされています。

電球で補光する

日照不足を補うために白熱電球や蛍光灯などで、曇天時や日没後に電照させて光合成を促す方法です。電照はランニングコストとして電気代がかかります。イニシャルコストが発生しますが、消費電力の少ないLED電球に切り替えれば電気代(ランニングコスト)を抑えることが可能です。

関連コラム:
トマト栽培における日当たりの重要性|健康に育てるために
トマト栽培における日照不足とその症状

促成栽培を行う

トマトの促成栽培はビニールハウスを利用し、9月下旬から10月に定植、11月~6月ごろにかけて収穫する方法です(栽培スケジュールは地域によって異なります)。生長シーズンが梅雨にあたらないようにコントロールして栽培します。ただし、冬の間にボイラーなどで施設内を保温する必要があり、ボイラーを稼働させるための燃料費がかかり費用が増えます。。

排水対策を行う

基本的に施設栽培では雨や風から作物を守ることができますが、大量の雨が降り続くと周辺に水がたまり農場内の水はけが悪くなったり、場合によっては流水や冠水などが発生したりして、トマトの生育を阻害する可能性があります。雨に備えてビニールハウスの周囲に排水溝(暗渠設備)を設置しておくなど対策が必要です。また畝を立てておいたほうが排水対策としてはより効果的でしょう。

冠水してしまったら・・・

冠水被害は、土の中ばかりでなく地上の茎葉なども水に浸るため障害が発生します。トマトは冠水による被害が著しくなるため、集水場所を作りポンプアップにより強制排水を行うなど迅速に排水が進むように対応を行いましょう。泥水などでトマトが汚れてしまった場合には、可能な限り早く細菌性病害の予防剤を規定濃度より低濃度で散布を実施するようにしましょう。冠水により土壌の肥料成分が流出してしまうため、わずかな天候回復時を逃さずに、葉面散布や潅中などにより栄養分の補給(追肥)を行うと良いでしょう。

トマト栽培の梅雨シーズンにおすすめの資材

植物育成用LED|ハレルヤ

ハレルヤはトマトを補光するために最適なLEDです。用途に合わせて5種類をラインナップしています。60Wと120Wは上部に設置することで生長点付近の光合成の補助に貢献します。30W_両面発光は光が届きにくい樹間に設置することで、光合成の補助に貢献します。専用の中継コードを使用すれば、コンセント一つで最大2o台を接続*することが可能です。梅雨シーズンの日照不足におすすめです。

*60Wタイプ、AC200Vの場合

 

葉面散布用噴霧機|モーターフォグ

モーターフォグは葉面散布を行うための小型電動噴霧器です。特殊なノズルにより細かい粒子を噴霧し、葉の表面に栄養剤をまんべんなく噴霧することができます。大き目のスイカ1個分程度の重量のため、動噴よりも簡単に作業を行えます。モーターフォグでの噴霧を推奨しているリフレッシュにはケイ酸が含まれています。ケイ酸の作用により植物の葉は分厚くなるため受光能力を改善させる効果が期待できます。また葉や茎が強くなり害虫からの食害を受けにくくなります。加えて、病原菌の対抗するための抗生物質の生産能力が高くなり病気にかかりにくくなると考えられています。

梅雨シーズンを乗り越えて品質の良いトマトを育てましょう

トマトは適度な太陽が必要で過湿に弱いという特徴があります。日射が不十分であったり、土壌の排水機能が悪かったりすると徒長や病気を引き起こすリスクになります。安定的な品質や収量を維持していくためには、育苗期はもちろんのこと梅雨時の対策も重要になりますね。梅雨明けをトマトが良い状態で迎えられるように圃場の管理を行いましょう。今回のコラムがお役に立ちましたら幸いです。

関連コラム:
トマトの育苗ポイント|健康で丈夫な苗を作るコツを解説
トマトをビニールハウスで栽培する方法|メリットをご紹介

参考資料:
トマト育苗のためのLED光照射条件の検討
(農研機構)

トマト栽培における梅雨時の対策とは?

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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