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トマトをビニールハウスで栽培する方法|メリットをご紹介
公開日2023.01.03
更新日2023.01.03

トマトをビニールハウスで栽培する方法|メリットをご紹介

ナス科の野菜であるトマト(lycopersicon esculentum Mill.)は通年で需要があるため、世界で最も栽培されている作物です。品種が多く、畑でもプランターでも栽培可能、収穫量が多い、栄養価が高い、栽培が比較的かんたんといった多くのメリットがあるため、初心者からプロまで楽しめるのもポイントです。今回のコラムではトマトのビニールハウス栽培にスポットをあてて解説していきたいと思います。本コラムが皆さんのお役に立てますと幸いです。

トマトをビニールハウスで栽培するメリット

害虫の侵入を防げる

露地栽培の場合、害虫は侵入し放題ですので人によるコントロールがしにくいというデメリットがあります。ビニールハウスの場合はサイド換気や天窓といった開口部に防虫ネットを展張することで、物理的に害虫の侵入を防止することが可能です。

関連コラム:
防虫ネットの正しい使い方|害虫のハウスへの侵入を阻止

風、雨、霜をしのげる

風雨はトマトの茎葉の破損、果皮を傷つけて商品価値を低下させる、病気の蔓延といった被害を及ぼします。ビニールハウスならば風雨の侵入を防止できるため、被害を最小限に抑えることができます。また霜害はトマトの苗や株を一発でダメにしてしまうリスクがあります。ビニールハウスであれば温度が保てるため、霜害の被害はありません。

培養液を制御できる

養液土耕栽培、水耕栽培、植物工場といった設備投資をすれば、トマトに最適な肥料成分を最小限の培養液として与えることができます。露地の場合は雨等によって肥料成分が流亡するため、コントロールすることができません。

灌水量を調節できる

トマトは灌水量によって味が変化する植物ですが、露地の場合は雨が降るため灌水量をコントロールすることができません。ビニールハウスならば人為的に灌水量のコントロールをすることが可能です。

冬でも出荷できる

トマトの生育適温は昼間の温度で24~28℃、夜間の温度で10~17℃、地温は15℃~25℃程度と言われています。そのため冬季にビニールハウス内に暖房機等を設置して加温すれば、一年中トマトを収穫することが可能です。またトマトの価格は例年11月頃にピークを迎えるので、その時に出荷できれば収入アップに繋がります。

参考:「トマト・1コ」の価格推移

トマトのビニールハウス栽培|トマトの作型

トマトは周年栽培されている野菜のため、作型が多く複雑です。本章では主なトマトの作型である促成、半促成、露地、早熟、抑制栽培に関して簡単にご紹介します。

促成栽培

7月から8月の夏場に播種し、12月から翌年の7月までビニールハウス等の施設内で栽培する方法です。1株あたり15~20花房を利用し、1作で2作分の収量を得ることを目標とします。

半促成栽培

ビニールハウス内で10月上旬頃に播種して育苗を行い、冬場に加温する方法です。気温が下がり始める秋から開始する作型のため、温度管理がしやすいことから草勢が安定し栽培は比較的容易です。全国的に栽培面積が上昇傾向にあります。

露地栽培

霜害の危険がなくなった時期に定植して栽培する方法です。日本各地で行われている方法ですが、平均気温が25℃以上の場合は着果率低下を招くほか、降雨量が多いと果実の肥大不順や裂果することが多くなります。従って暖地では収量や品質低下しやすい作型です。

早熟栽培

露地栽培における生育の初期にトンネルハウス等で株を覆って温度を確保することで初期生育を向上させ、定植時期を20日から30日程度早めることで6月から7月に収穫する方法です。露地栽培よりも早期に収穫できることがメリットです。

抑制栽培

ビニールハウス内でスイカ、メロン、キュウリと輪作を行い秋~冬に収穫する方法です。暖地が適しています。

トマトのビニールハウス栽培|栽培方法の例

土づくり、播種

籾殻燻炭、赤土、ピートモスを単用あるいは混合して播種の培地として使用できます。育苗箱に培地を厚さ5cmから6cm程度つめて、播種後に底から水が出るほどたっぷりと潅水します。覆土は単用の場合は1cm程度、混合培地の場合は5cmから6cm程度を目安とします。

関連コラム:
籾殻燻炭の基礎知識と作り方に関して解説

育苗~鉢上げ

「苗半作」という言葉があるように育苗期の管理はとても重要です。播種の際の地温は22~25℃、発芽した後の地温は22~25℃、夜温は15~18℃程度を目安に管理します。ポリポット等に鉢上げした後は夜温に注意しましょう。夜温が高いと着花数が減少したり、花の状態がわるくなることがあります。逆に夜温が低いと栄養生長が抑制され花芽分化、発育遅延等となり乱形果が多発することがあります。

定植

定植後はハウス内温度25℃以上で換気を行い、可能な限り28℃以上にならないように管理します。10℃以下や35℃以上の環境にすると、花粉稔性が低下し着果不良となるので注意しましょう。冬場は暖房コストとの戦いになるかと思いますので、無理のない範囲で温度管理を行います。

関連コラム:
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トマトのビニールハウス栽培|必要な設備の例

暖房機

夜温を15~18℃程度に保つために必要な機械です。加温機、ヒートポンプ、温騰管等があります。最も普及しているのは重油を使用する加温機ですが、近年では重油の高騰に伴い、電気を使用するヒートポンプ導入のための補助金活用が盛んに行われています。

照明器具

トマトは光量が不足すると花芽分化が遅れ、着果節位が上昇するといった生育不良が発生します。冬場は日照時間が短かくなったり、近年の異常気象により光量不足が懸念されています。照明器具には白熱球、蛍光球、蛍光灯、高圧ナトリウムランプ、LED照明等がありますが、比較的電気代の少ないLED照明の導入が少しずつ進んできています。

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トマト栽培における日当たりの重要性|健康に育てるために
トマト栽培でLEDを導入するメリット|生育不良のリスクを回避

二酸化炭素施用装置

大気中には400ppm程度の二酸化炭素が含まれています。しかし、日が昇り、トマトの光合成が始まると二酸化炭素は消費されて濃度が低下していきます。この時、外気を取り込められれば良いのですが、冬場の寒さでハウス内温度が下がってしまうためなかなか換気はできません。その対策として二酸化炭素施用装置の導入が進んでいます。第一花房が開花し、果実が肥大する付近から日の出2時間から3時間ほど1,000ppm程度を基本として施用します。近年では二酸化炭素を局所施用してコストを抑える方法も普及してきています。

ビニールハウスを選ぶポイント

ビニールハウスはパイプ、鉄骨の種類、耐久性、ビニールの種類等によって、安いものから高額なものまで様々です。家庭菜園の場合は通販サイトで入手できますが、営農する場合は一から新設ハウスを建てると高額のため、中古ハウスを借りることも一つの手段です。まずはハウス関連業者に相談したり、知り合いの生産者に相談してみると良いでしょう。

関連コラム:
農業用ビニールハウスの耐用年数│長持ちさせるポイントは?
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トマトのビニールハウス栽培におすすめの資材

空動扇/空動扇SOLAR

ビニールハウス専用の“電気を使わない”換気扇です。設定温度になると形状記憶合金のバネが縮むことで換気弁が開き、ビニールハウスの上部に溜まった熱だまりを排出します。夏場のハウス内温度の上昇抑制が主な役割ですが、台風対策、湿度の上昇抑制、外気の二酸化炭素取り込み、作業者の熱中症対策etc・・・といった複数の効果が期待できます。そしてトマト栽培の場合、生長点が高温で焼けることを防止することが期待できます。設置も簡単です。環境制御をしていないパイプハウス等の換気におすすめの資材です。

インタビュー記事はこちら:
8℃下がった!?空動扇はハウス強度を落としません!|磯川さんのコーヒー農園
ハウス内が涼しくなった!空動扇SOLARの効果を実感|苺絵
夏場のハウス内温度が低下!湿度対策や耐久性向上にも効果を実感

解説動画はこちら:
【解説】空動扇/空動扇SOLARのメリット・仕組みを6分で徹底解説

ハレルヤ

ハレルヤはビニールハウス栽培に最適な照明器具です。トマトが健全に生育するためには光量の確保が必要不可欠ですが、梅雨時期や曇天が続いたり、またトマトの樹が密集すると光量不足に陥る可能性が高くなります。PPFD(光合成光量子束密度)の高いハレルヤはそのような課題を解決し、ビニールハウスのトマト栽培を強力にサポートします。

 

ビニールハウスを有効に活用してトマトを育てる

ビニールハウスを活用することで寒い時期でもトマトの成長を促進させ、美味しいトマトを収穫することができます。皆さんもぜひ今回のコラムを参考にし、トマト栽培にトライしていただけますと幸いです。

本コラムでは情報の一例をご紹介しました。栽培方式や必要な資材等は様々なものがありますので、インターネット、行政の農政局、知り合いの生産者さんといった情報を集めて最適な答えを見つけてみてはいかがでしょうか。

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トマトをビニールハウスで栽培する方法|メリットをご紹介

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Xを更新していますのでぜひご覧ください。

 

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