コラム
ビニールハウスで夏野菜を栽培しよう|高温対策をご紹介
公開日2023.07.06
更新日2023.07.06

ビニールハウスで夏野菜を栽培しよう|高温対策をご紹介

ビニールハウスで夏野菜を栽培してみませんか?ハウス栽培は露地栽培と比較すると野菜を早く収穫できたり、病害虫による被害を軽減できたりするといった多くのメリットがあります。一方で夏の時期になるとハウス内温度が30℃以上となる日が増え、農作物の高温障害のリスクが高まるというデメリットがあります。今回のコラムではビニールハウスで夏野菜を栽培する際のメリットとデメリット、そして高温障害を回避するための対策についてご紹介します。本コラムが農業者や家庭菜園者向けにお役に立てれば幸いです。ぜひ最後までご一読ください。

夏野菜とは?

夏に収穫できる旬の野菜は「夏野菜」と呼ばれ、トマト、キュウリ、オクラ、ナス、ピーマン、みょうが、さやいんげん、トウモロコシ、ゴーヤ、モロヘイヤ、枝豆、ズッキーニなどがあります。夏野菜は水分が多いですが様々な栄養が豊富に含まれており、料理にも使いやすく、食べることで身体の健康維持に役立つとされています。本章で夏野菜の一部をご紹介します。

トマト

南米原産のトマトやミニトマトは世界中で品種改良が行われ、最も栽培されている夏野菜と言っても過言ではありません。ビタミンCが豊富で、カリウムは血圧を正常に保つ作用があります。また赤い色の成分はリコピンで抗酸化作用があります。

キュウリ

インドやヒマラヤ山麓原産のキュウリは日本では平安時代から栽培され始め、一般によく食べられるようになったのは大正以降だと言われています。約95%が水分ですが、ビタミンCやカリウムを含み、疲労回復やむくみの改善が期待できます。

オクラ

アフリカ原産のオクラは明治初期にアメリカから伝わり栽培が始まりました。ペクチンというネバネバ成分が特徴的で、腸内の善玉菌を増やすことで腸内環境を整えて便通を改善します。

ピーマン

熱帯アメリカ原産のピーマンは16世紀に日本に伝わったと言われています。細胞の酸化を防止したり、老化を防止するビタミンCや整腸作用のある食物繊維を含みます。

ナス

インド原産のナスは日本には7~8世紀頃伝わり、奈良時代から食べられるようになりました。紫色の皮は「ナスニン」というポリフェノールの一種の色素です。ナスニンには抗酸化作用があるため、老化や生活習慣病の予防が期待できます。

ビニールハウスで夏野菜を栽培しよう|メリットとデメリット

メリット

早期に収穫できる

ハウス内の温度を高めに保つことができるため、農作物の成長が早くなり早期に収穫することができます。

品質の良い収穫物が得られる

風や雨によって収穫物の果実表面に傷がつくといった被害による品質低下を防ぐことができます。秀品率が増え、収入アップに繋がります。

病害虫の被害を軽減できる

露地栽培で生じる、雨で跳ねた泥が原因で病原菌が感染するといったリスクを軽減することができます。またハウスへの害虫の侵入リスクを下げることで、害虫による被害を抑えることができます。収量の確保や秀品率の維持以外に、農薬コストや農薬散布回数の低下も期待できます。

鳥獣害を抑えられる

外からの侵入を防止することで、大切に育てた夏野菜を鳥獣害から守ることができます。

関連コラム:鳥害対策の方法を詳しく解説

灌水量を調整できる

雨が多い梅雨時期でも灌水量を調節できます。水分過多、泥はね、高湿度から農作物を守ることができます。

デメリット

イニシャルコストがかかる

ビニールハウスは小型のものから大型のものまで様々あり、価格も数万円~数千万円と幅広いです。そして構造や材質、建設工事費の有無、追加資材の有無などによって大きく価格が変わります。小型のハウスでも最低数万円はかかるでしょう。予算に見合う資金を準備できるかが鍵になります。

ランニングコストがかかる

加温設備の設置等、機械化を行った場合は電気代や燃料代がかかります。また数年に1度のビニールの張替えの際はビニールの費用と工事費が発生します。

台風などの自然災害による被害

強風、台風、大雨、洪水、積雪といった自然災害によってハウスが倒壊するリスクがあります。ハウス内への雨水の侵入によって生産物が水没してダメになるケースもあります。

関連コラム:ビニールハウスの台風・強風対策|換気扇を活用してハウスを守ろう

高温障害が起こる

多くの夏野菜の生育適温の上限は30℃程度です。30℃以上の高温が長い間続くと植物にとってストレスとなり高温障害が発生する原因となります。高温対策に関しては次章から詳しく記載します。

関連コラム:
ハウスでのキュウリ栽培における高温障害、その原因と対策
トマト栽培で起こり得る高温障害とは? 収穫量を安定させるための対策

ビニールハウスの高温対策|換気

ハウス内の熱い空気を外部へ排出し、外気を取り込むことでハウスの昇温を抑制できます。開口部分の面積が大きいほど換気性能が増加します。換気は大きく自然換気方式と強制換気方式の2つに分けられます。詳細は以下のコラムをご一読ください。

関連コラム:ビニールハウスの換気方法|作物に最適な環境を目指して

ビニールハウスの高温対策|遮光・遮熱

ハウス内に降り注ぐ太陽からの光や熱を調節するために遮光・遮熱資材があります。不織布、寒冷紗、ネット、軟質フィルムなどがあり、ハウスの外張りや内張りなどへ被覆します。遮光率が高いほど昇温抑制効果が高いです。

関連コラム:ビニールハウスの遮光効果とおすすめの遮光・遮熱商品

番外編|ビニールハウス内の農作業者の熱中症対策

農林水産省の調べによると、令和2年において農作業者の熱中症における死亡者数は32名です。ビニールハウスは露地と比べても高温になりやすく、農作業者にとっても過酷な環境です。水分や塩分の補給、休憩や周囲の声かけ等を行う対策が必要です。

関連コラム:ビニールハウスでの熱中症から農作業者を守れ!

ビニールハウスの高温対策に最適な製品|空動扇/空動扇SOLAR

ビニールハウスの上部に設置することで手軽に換気ができる装置です。空動扇の最大の特徴は電気を使わないこと。温度変化で伸び縮みする形状記憶合金のバネが換気弁と連動することで開閉し、ベンチレーターが回転することでビニールハウスの上部に溜まった熱だまりを外へ排出します。すでに建設済みのビニールハウスへ容易に後付けできます。プロの農家さんはもちろんのこと、家庭菜園の方にもおすすめです。

空動扇は台風対策の効果も期待できます。台風襲来時にビニールハウスの開口部を閉じ、空動扇の換気弁を開けたままにすることで、台風の強風によってベンチレーターが高速回転し、ビニールハウス内を負圧にします。ビニールが突っ張ることでビニールの裂傷やハウスの倒壊等の防止が期待できます。

実際に導入されたお客様の声はこちら:
ハウス内上部の熱気が全くないことがすごい!空動扇の効果を実感|畑尾浩暢さん
8℃下がった!?空動扇はハウス強度を落としません!|磯川さんのコーヒー農園
ハウス内が涼しくなった!空動扇SOLARの効果を実感|苺絵
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▶空動扇の説明動画はこちら

夏野菜を安定して育てるために

最近は天候不順が多いですが、ビニールハウスを活用することで安定して夏野菜を栽培することができればとても嬉しいですよね。ご家庭の庭の一角でも小規模のビニールハウスを建てることができますのでぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

関連コラム:
ビニールハウスの暑さ対策|ハウス内の温度を下げる方法と熱中症対策を解説
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コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Xを更新していますのでぜひご覧ください。

 

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