コラム
ムクドリの鳥害対策と駆除方法を徹底解説
公開日2022.05.16
更新日2023.09.07

ムクドリの鳥害対策と駆除方法を徹底解説

私たちの身近で目にする機会の多いムクドリは、古くは農業における田畑の害虫を食べてくれる益鳥とされてきました。しかし近年は外敵の少ない都市部に住処を求める傾向が強くなり、騒音や糞害といった“害鳥”という側面の被害が表に出ることが多くなっています。そして農業の現場でも果樹のナシを筆頭に果樹園に飛来して果実をついばむ被害が報告されています。今回のコラムではムクドリの鳥害対策と駆除方法を徹底解説していきます。ぜひ最後までご一読ください。

ムクドリの基本情報

ムクドリ(学名:Spodiopsar cineraceus)はスズメ目ムクドリ科の鳥です。日本では年間を通じて全国各地で見られ、全長は24cm程度、背は黒褐色、腹は淡色、頭・翼・尾は灰色~黒色、脚と嘴がオレンジ色をしているのが特徴的です。群れで生活し、平地~低山地の農耕地、公園、ゴルフ場、草地等に生息しています。夏から秋にかけて市街地や繁華街の街路樹等に大集団でねぐらを作ります。雑食性でミミズや昆虫、木の実や果実を食べます。

ムクドリの被害

鳴き声による騒音

夕暮れになると街路樹等に集まったムクドリが「ギャーギャー」「ギュルギュル」と鳴きます。これはムクドリ同士がコミュニケーションをとり、安全確認や警戒、つまり外敵から身を守るものとして行われます。近くに住宅があると騒音問題に発展することがあるため、全国の自治体では対応に苦慮しているケースも多いです。

糞尿による悪臭や汚染

群れで一斉に排泄するため、ねぐらの下の地面が糞(フン)や尿でいっぱいになり汚れます。悪臭や黄色~茶褐色の糞による汚染が問題となっています。また糞には病原菌が含まれている可能性が高く、ヒトに感染するとオウム病やニューカッスル病やクリプトコックス症という感染症を引き起こす懸念もあります。

果樹園の食害

果樹園に飛来し、収穫期を迎えたサクランボ、ブドウ、ナシ、モモ、カキ等の果実をついばみます。群れで飛来すると短時間で大きな被害を及ぼすことがあります。ナシの場合、品種間で被害の差が出ることが分かっており、幸水や豊水という糖度が高く柔らかい品種が被害に遭いやすいようです。

関連コラム:畑の鳥害対策について|鳥害の実態や鳥害対策方法を解説

巣作りによる感染症やアレルギー

ムクドリは都市部の場合、雨戸や戸袋、エアコンの配管などに巣を作ります。巣にいる親鳥や雛にはトリサシダニやワクモといったダニが寄生していますが、住居に侵入し人に移って吸血する被害を出すことがあります。特に巣立った後の巣を放置すると、餌を求めて住居侵入の可能性が高まるため注意が必要です。また巣にたまった糞が様々な感染症やアレルギー性の咳や皮膚炎を引き起こすことがあります。

おすすめのムクドリ被害対策法

天敵(フクロウ)を活用する

ムクドリの天敵であるフクロウの模型を設置することで、効果を上げている自治体があります。長野県大町市ではムクドリの糞害に悩まされている場所の木にフクロウの模型を設置したところ、数百羽いたムクドリがいなくなりました。非常に高い効果を出しているようです。

強剪定を行う

ねぐらとなっている街路樹の枝を短くする(強剪定)することで、身を隠せる場所がなくなります。その場所に寄りつかなくなる効果が期待できます。

爆音機を使う

大きな音を発する機械を設置することでムクドリを追っ払います。飛来数が少ない時や初めて使用する環境での効果が期待できます。

防鳥ネット(防鳥網)を張る

ムクドリが通り抜けることのできない大きさの網目の防鳥ネットを対象物に張ることで被害をなくすことが期待できます。30mm程度の網目サイズがあれば良いようです。効果が高い方法ですが、対象物の規模に比例してコストも高くなることを考慮する必要がありそうです。

巣を撤去する

ムクドリが巣立った後の巣を早めに撤去することで、トリサシダニやワクモ等のダニによる吸血被害を防ぐことができます。撤去した後は該当箇所に薬剤を散布しましょう。

プロの駆除業者へ依頼する

困った時はプロの駆除業者へ依頼することも選択肢の一つです。巣の撤去、清掃、消毒、侵入口を塞ぐ等の業務を依頼することができます。専門知識もさることながら、素人では手に入りにくい専用の薬剤を持ち合わせていることが多いため、確実な作業をしてもらえます。費用の相場は数千円~数万円のようです。3社以上から見積を取り、価格とサービスに納得した上で業者を選ぶと良いでしょう。

注意!ムクドリは鳥獣保護管理法で保護されている

日本では全ての野生鳥は鳥獣保護管理法で保護されているため、ムクドリを捕獲・駆除することは原則としてできません。仮に鳥獣保護管理法に違反して野生鳥を捕獲すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。そのため、ムクドリ対策の際も法律に違反しないような適切な対応が求められます。

参考:鳥獣保護管理法の概要

「狩猟による捕獲」または「許可による捕獲」する際の条件に関しては以下の日本野鳥の会のwebページを参考にしていただけますと幸いです。

参考:鳥獣の捕獲規制について

ムクドリ対策に有効な資材

バードネット

ムクドリを撃退する防鳥グッズです。目合い18mm×20mmのネットが、ムクドリの侵入を許しません。バードネットの原料はポリプロピレンで、縦糸と横糸を一体成型しているため、強度が高いことが特徴です。また耐水性・耐薬品性にも優れています。住居のベランダ等に張ることでムクドリの侵入を防止します。また家畜舎の開口部に張ることで、病原菌を保有しているムクドリの侵入を防止したり、果樹園やビニールハウスなどの開口部に張ることでムクドリの侵入を防止し、大切な農作物を守ります。

ストップ!ムクドリ被害

ムクドリは群れの数が増えるほどに被害が拡大するやっかいな鳥です。今回のコラムでは様々な対策方法をご紹介しましたが、実際に試しながらより最適な方法を見つけていただけますと嬉しいです。ムクドリによる被害をなくしていきましょう。

関連コラム:ブルーベリーを野鳥から守れ!鳥害と対策

ムクドリの鳥害対策と駆除方法を徹底解説

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Twitterを更新していますのでぜひご覧ください。

 

◆Twitter
https://twitter.com/SEIKO_ECOLOGIA

おすすめ記事
Tweets by SEIKO_ECOLOGIA
youtube
ご注文
見積依頼
お問合せ