コラム
ビニールハウスの換気方法|作物に最適な環境を目指して
公開日2022.03.15
更新日2024.01.23

ビニールハウスの換気方法|作物に最適な環境を目指して

農作物の生育に最適なハウス内温度を維持するために必要不可欠である「換気設備」。換気方法にはいくつかの種類がありますので一つ一つを解説していきたいと思います。ビニールハウスの換気設備を検討されている方にお役に立てれば幸いです。後半にはおすすめの換気設備のご紹介もしておりますのでぜひ最後までご覧ください。

ビニールハウスを換気する意味

ビニールハウスを換気する意味としては、昇温の抑制・二酸化炭素の補給・湿度の調節などが挙げられます。その中で最も主要な目的は昇温の抑制です。もともとビニールハウスは冬場の寒さによって栽培が不可能な農作物の栽培を可能にする設備ですが、春になり気温の上昇とともにハウス内温度も上昇することで、農作物に最適な生育温度を越えてしまうことがあります。例えばトマトですと昼気温の適温は20~25℃と言われていますので、ハウス内温度が25℃を超えると換気が必要になります。換気をすることで外気を取り込み、外気温に近づける効果を得られます。また同時に農作物の光合成に必要な二酸化炭素を得られます。なお換気は外気との空気交換ですので、外気よりも気温を低下させることはできないので注意しましょう。

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ビニールハウスの換気方法

換気は自然換気設備と強制換気設備に大別されます。前者は換気窓を開放することで換気を行う設備で、外風の風圧力及び温室内外の温度差による浮力(=煙突効果)が駆動力となります。後者は換気扇の圧力が駆動力となります。本章では2種類の換気設備に関して解説していきたいと思います。

自然換気設備

・はね上げ式(天窓)

窓の一端をちょうつがいで固定しておき、他端を押し上げることで稼働させる方式です。ビニールハウスの天井部に設置します。シャフトにベル・クランクレバーや歯車を取り付け、モーター等を接続して電気の力を利用して開閉します。大型の連棟ハウス向けの設備です。

・はね上げ式(妻面)

手で紐を引くだけで窓がはね上がる方式です。ビニールハウスの妻面に設置します。「ツマカン」や「ツマソー」と呼ぶことがあります。単棟ハウスで導入されていることが多いです。

・巻き取り式(肩換気、谷換気、側窓)

棟方向に通したパイプに、フィルムをくるくると巻きとる方式です。ビニールハウスの肩や谷や側面に設置します。電動と手動のものがあり、後者はパイプに接続したハンドルを回転させることで稼働できます。側窓の手動タイプは低コストなので単棟ハウスでよく導入されています。

・引き違い式(側窓)

私たちが住んでいる住宅の窓と同様に、2~3枚の窓を引き違いでスライドさせる方式です。ビニールハウスの側面に設置します。3枚の場合、側壁の2/3程度まで開放可能ですので、効率よく換気することが可能です。開閉は手動もしくはモーター等を接続して電気の力を利用します。全ての窓を取り外すことで全面開放というメリットがありますが、雨が吹き込むというデメリットもあります。

・ずり上げ式(肩換気、側窓)

簡易なパイプハウスや家庭菜園用ハウスなどにおいて、人の手でフィルムをずり上げて換気する方式です。温度管理をシビアに行わなくても良い農作物や現場に常時在中できる場合等はこの方式でも十分です。

強制換気設備

・換気扇

農業用の換気扇は出力が200~750W程度の電動のものが多く用いられています。空気の流れ道によって以下の5種類に分けられ一般的に12が用いられることが多いです。吸気口から換気扇に向かって温度勾配ができてしまうので、換気扇と吸気口の距離が短い方が温度ムラは発生しにくいです。従って1よりも2の方がおすすめです。

  1. 妻面⇒妻面
  2. 側壁面⇒側壁面
  3. 側壁面⇒棟(棟換気)
  4. ダクト配属(排気式)
  5. ダクト配属(吹込み式)

強制換気設備は自然換気設備と比較して換気量が大きいというメリットがありますが、電気代というランニングコストがかかること、導入コストも高額になりがちであることがデメリットです。

おすすめのビニールハウス換気装置『空動扇&空動扇SOLAR

ビニールハウス専用の無電源全自動換気扇です。ビニールハウスの天井部に設置することでハウス上部に溜まった熱だまりを抜いて温度を下げます。また農作業者の頭部分の温度が下がることで作業の快適性が向上します。空動扇の一番の特徴は電気を使わない換気扇であることです。温度変化で伸び縮みするバネ(形状記憶スプリング)により弁が開閉することで換気の有無が決定されます。従って「電気代」というランニングコストが一切かかりません。

また台風の襲来時にビニールハウスを守るはたらきもしてくれます。強風によってベンチレーターが高速回転することでハウス内の空気を抜くことでハウスの内圧を下げ、ビニールと躯体のパイプが強く密着。ビニールのバタつきを抑えることでハウスの裂傷・倒壊・破損といった被害を軽減するはたらきが期待できます。

施工も簡単。設置説明書に従い、補助パイプ(鏑管19mm直管)、セッター金具・クロス金具等補助パイプを固定するもの、直径15cmの穴が開けられるコンパスカッター(ビニール穴あけ用)をご用意ください。1機あたり30分以内程度で設置することが可能です。

・おすすめの使用方法

空動扇は10坪に1機、空動扇SOLARは15坪に1機を目安に設置してください。サイド換気(側窓換気)と併用していただくことで換気効果のアップが見込めます。また15坪程度の家庭菜園ハウスや育苗ハウスに設置予定の場合、設置機数を数機増やすことをおすすめしております。

・インタビュー記事はこちら

8℃下がった!?空動扇はハウス強度を落としません!|磯川さんのコーヒー農園
ハウス内が涼しくなった!空動扇SOLARの効果を実感|苺絵
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・解説動画はこちら

【解説】空動扇/空動扇SOLARのメリット・仕組みを6分で徹底解説

最適な換気設備を導入し農作物に最適な環境を構築

今回はビニールハウスの換気方法に関して詳しく解説してきました。換気でビニールハウス内の温度調節ができれば、農作物に最適な環境づくりに限らず作業者の作業性向上も見込めます。ぜひ本コラムをお役立ていただけますと幸いです。

 

ビニールハウスの換気方法|作物に最適な環境を目指して

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Twitterを更新していますのでぜひご覧ください。

 

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