コラム
ビニールハウスの暑さ対策|ハウス内の温度を下げる方法と熱中症対策を解説
公開日2021.06.24
更新日2021.06.24

ビニールハウスの暑さ対策|ハウス内の温度を下げる方法と熱中症対策を解説

施設園芸生産者にとって『ビニールハウス』は、温度・湿度・日照・風雨・潅水などがコントロールでき、一年を通して安定した農作物の生産を可能にするとても便利で重要な設備です。しかし一方で夏場のビニールハウス内の温度は高くなりがちで、農作物を始め農作業者にとっても快適な環境とは言えなくなるのが現実ではないでしょうか。今回のコラムではビニールハウスの暑さ対策にスポットを当て、解決方法を詳しく記載していきたいと思います。皆様のお役に立てますと幸いです。

ビニールハウス内が暑くなる理由

ビニールハウスは”温室“とも呼ばれ、本来のはたらきは、高温が必要な農作物を冬でも栽培するためのものでした。しかし最近では温室の広さの拡大や大規模な太陽光型植物工場の普及によって、年間を通して使用されるようになってきています。

ビニールハウスが暑くなる理由は、降り注いだ太陽光による日射がハウス内の土に吸収されることで、その顕熱が閉鎖的な空間内の温度を上昇させます。この熱がうまく外へ排出されないと外気を超すような高温となります。特に太陽熱消毒のような完全に閉め切った状態であれば70~80℃という高温になることもあります。

ビニールハウス内の高温対策

1.換気で対策する

換気をすることで日中の温度上昇を抑制することができます。ただし換気はビニールハウス内と外気を交換するだけですのでハウス内温度を外気よりも下げることはできません。換気の方式は以下の表の通り、自然換気方式と強制換気方式の2種類があるのでご参考にしてください。

換気方式 特徴 種類
①   自然換気方式 換気窓を開放し、換気を行う。駆動力は外風の風圧力と温室内外の気温差によって生じる浮力(煙突効果)を利用。 はね上げ式天窓・妻面換気窓・側窓・引き違い式側窓・谷換気・つき上げ式天窓・肩換気 など
②   強制換気方式 駆動力は換気扇の圧力を利用。吸気口と排気口が必要。 電動妻面換気装置・電動側面換気装置 など

①   自然換気方式

・はね上げ式天窓

連棟ハウスやガラスハウスには設置されていることが多く、単棟のパイプハウスには設置されていないことが多いです。ラック・アンド・オピニオン方式の場合、シャフトに取り付けられた歯車で歯板を前後させることで窓の開閉を行います。最大の開度が60°程度と大きく、窓を閉じたときの気密性が高く、強風でも持ち上げられにくいといった特徴があります。

・妻面換気窓

上部の熱気を排出します。妻窓(ツマソー)や妻換(ツマカン)と呼ばれることもあります。紐を引っ張るだけで簡単に開閉できるタイプがありますので便利です。

・谷換気&肩換気&側窓

電動のものと手動のものがあります。手動の場合は、パイプに接続したハンドルをクルクルと回転させフィルムを巻くことで開閉させます。

・引き違い式側窓

窓ガラスが2枚組と3枚組があり、3枚組だと最大で側壁の2/3くらいまで開放できます。暑い時期は窓を外せば全面開放ができるというメリットがあります。しかし開口部が大きい分、雨が入りやすいというデメリットもあります。操作は人が手で開けるもしくは、モーターでワイヤーを引っ張って開閉する方法があります。

・つき上げ式天窓

天窓を空に向かって上方に押し上げて開放します。天窓の設置が難しいパイプハウスに利用されていることが多いです。

②   強制換気方式

・換気扇

農業用の換気扇は形式・構造・寸法・性能などが農業用換気扇基準によって規定されています。種類やメーカーがいくつかありますが、多くは出力が200W~750W、羽根の枚数が3~5枚のプロペラ型で羽根径が80~120cmです。

一般的に妻面や側面に換気扇を設置します。吸気口で外気をハウス内に取り入れ、排気口でハウス内の空気をハウス外へ排出することで空気を入れ替えます。なお温度勾配が発生してしまうので、吸気口と排気口の距離は20~30m望ましいようです。ちなみに吸気口から排気口までの距離は60mが限界という報告があります。

2.その他の設備で対策する

換気では不可能な「外気よりもハウス内温度を下げる」ことを可能するためには、細霧冷房やヒートポンプなどの利用が必要となります。いずれも高額な設備となりますので費用対効果をよく確かめてからのご導入をおすすめいたします。

・細霧冷房(ミスト)

動力ポンプと細霧ノズルを使用した細霧の発生システムが少しずつ普及しています。システムによってノズルの種類・噴霧圧(1~8MPa)・噴霧粒径が異なります。外気よりもハウス内温度を低下させることが可能ですが、ハウス内温度を低下させればさせるほど湿度の上昇が大きくなるので農作物の病気の発生に注意する必要があります。

・ヒートポンプ(冷房機)

一般家庭のエアコンに似た設備で、電気を使用してハウス内温度を下げます。しかし昼間は日射負荷が大きいため、運転コストが大きくなるので一般作物では使用できないことが多いです。コチョウランの花芽誘導やバラの夜冷による収量増目的といった一部の農作物に使用されているようです。

農作業中の熱中症対策

・帽子をかぶる、涼しい服装をする

屋外では帽子をかぶったり、吸汗速乾素材の夏用衣服を着ることで暑さ対策ができます。最近では服にファンが内蔵された空調服も手ごろな値段で入手できるようになっているのでおすすめです。

・こまめに水分をとる

作業前や作業中にこまめに水分補給と休憩をとりましょう。のどが渇いていなくても20分おきに休憩し、毎回コップ1~2杯以上を目安に水分補給をとることをおすすめします。

・なるべく一人で作業をしない

一人での農作業ほど危険なことはありません。自分では大丈夫と思っていても気づいたら手遅れの場合も多いので注意しましょう。二人以上で作業し、相手方の動向を定期的に確認することで安全に農作業をすることができます。

ビニールハウス内の温度を最大で5℃下げるオススメの設備

空動扇&空動扇SOLAR

ビニールハウス専用の無電源全自動換気扇です。

空動扇は10坪に1機、空動扇SOLARは15坪に1機をビニールハウスの天井部に設置することでハウス内に溜まった熱だまりを抜いて温度を下げます。また農作業者の頭部分の温度が下がることで作業の快適性が向上します。

空動扇の一番の特徴は電気を使わない換気扇であることです。温度変化で伸び縮みするバネ(形状記憶スプリング)により弁が開閉することで換気の有無が決定されます。従って「電気代」というランニングコストが一切かかりません。

また台風の襲来時にビニールハウスを守るはたらきもしてくれます。強風によってベンチレーターが高速回転することでハウス内の空気を抜くことでハウスの内圧を下げ、ビニールと躯体のパイプが強く密着。ビニールのバタつきを抑えることでハウスの裂傷・倒壊・破損といった被害を軽減するはたらきが期待できます。

埼玉県のネギ育苗生産法人株式会社TOSIファーム様では「空動扇」を設置したことで“体感的に5℃くらい温度を下げることができていると思います”という嬉しい声をいただいております。

インタビュー記事はこちら⇒夏場のハウス内温度が低下!湿度対策や耐久性向上にも効果を実感
解説動画はこちら⇒空動扇 解説編

ライトシェード

金属のチェーンを引っ張ることで開閉することができるビニールハウスの専用の内張カーテンです。軽い力でも開閉できるのでお子様や高齢者の方でも安心して利用することができます。

パイプハウス内の両方の肩部と天井部にカーテンレールと専用金具を設置し、遮熱シートをスライドで稼働させる仕組みです。遮熱シートは遮熱と保温性能に優れた『明涼』を使用しております。遮光率は20%・30%・40%・50%の4つが選べます。

農作物の葉焼け防止はもちろんのこと、作業者が快適に働ける環境づくりの一助となります。

設置動画はこちら⇒ライトシェード|設置編

暑さ対策をして農作物と人の好環境を構築

今回はハウス内の温度を下げる方法と熱中症対策を解説しました。必要な対策を講じることで、より良く快適な農業の確立ができれば幸いです。夏場にビニールハウス栽培をされている方や今後農家になろうと思っていて情報収集をされている方などのお役にたてることを願っています。

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