この記事では、ハウスで小松菜を効率よく栽培するための具体的な方法とコツを、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
小松菜のハウス栽培とは?
ビニールハウスなどの施設内で温度や湿度、光環境を管理しながら小松菜を育てる小松菜のハウス栽培は、環境をコントロールしながら計画的に生産できる栽培方法です。小松菜はアブラナ科の葉物野菜で耐寒性があり、比較的生育が早いことから施設栽培との相性も良い作物とされています。
ハウス栽培では、春から秋の常温管理を中心とした”雨よけ栽培”と呼ばれる栽培方法から、冬場の加温や二重被覆を併用した”促成栽培”まで、さまざまな運用方法があります。栽培規模や目的に応じて管理方法を選択できるため、段階的に取り組みやすい栽培形態といえます。
まずは、そんな小松菜のハウス栽培のメリット・デメリットをチェックしていきましょう。
メリット
小松菜のハウス栽培のメリットについてです。
- 天候に左右されにくく、生育のばらつきを抑えられる
- 露地では難しい時期の栽培に対応できる
- 栽培サイクルが短い
- 資金回収が早く、リスク分散しやすい
- 品質を均一に保ちやすい
小松菜のハウス栽培は、気温や湿度などを管理でき、周年栽培が可能な点も大きな魅力です。小松菜は本来、冷涼な気候を好む野菜ですが、ハウス内では夏場の高温を抑え、冬場の低温から守ることで、年間を通じて栽培できます。特に、露地では生産が減る夏場や冬場に出荷できれば、市場価格が高い時期を狙えるため、収益性が大きく向上します。
さらに、小松菜は夏場の場合は播種から収穫まで20~25日程度と栽培サイクルが短く、年間で数回の作付けが可能なのも特徴です。資金回収が早くリスクを分散できるため、経営の安定化につながります。さらに、ハウス内では葉の傷みや汚れが少なく、葉色やサイズの揃った品質の高い小松菜を安定して出荷しやすい点も、大きなメリットといえるでしょう。
デメリット
次に、小松菜のハウス栽培のデメリットについてです。
- 初期費用の負担
- ランニングコストがかかる
- 一度病気になると被害が拡がりやすい
ハウス栽培のデメリットとして、まず初期費用の負担があります。ハウスの建設費用は、簡易的なパイプハウスでも数十万円、本格的な施設になると数百万円以上かかることもあります。小松菜は単価がそれほど高くない作物なため、投資回収の計画をしっかり立てる必要があります。また暖房や、潅水設備、換気システムなどのランニングコストも考慮する必要があります。
また、病害虫の発生リスクも注意が必要です。ハウス内は密閉された環境のため、一度病気になると被害が拡大する可能性があります。特に小松菜の病気にはべと病、白さび病、菌核病、黒腐病、立枯病・苗立枯病等があるため、日々の観察と予防対策が欠かせません。
このように、小松菜のハウス栽培には、露地栽培にはない多くの利点とともに注意すべき課題もあります。これから栽培を始める方は、両面をしっかり理解したうえで、自分の経営スタイルに合った判断をすることが大切です。
小松菜のハウス栽培の方法を徹底解説!
小松菜のハウス栽培では春作・夏作・秋作・冬作の4つの区分があり、それぞれ品種や栽培に注意すべきポイントが異なります。栽培区分ごとの栽培スケジュールは次の通りです。
栽培区分ごとの栽培スケジュール
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時期 |
栽培区分 |
平均気温の目安 |
主な作業スケジュール |
|---|---|---|---|
|
3月〜5月 |
春作(雨よけ栽培) |
15〜25℃ |
播種 → 発芽(2〜3日)→ 間引き → 収穫(約30〜40日) |
|
6月〜9月 |
夏作 |
25〜30℃ |
播種 → 発芽(1〜2日)→ 間引き → 収穫(約25〜30日) |
|
10月〜11月 |
秋作 |
15〜20℃ |
播種 → 発芽(2〜3日)→ 間引き → 収穫(約30〜40日) |
|
12月〜2月 |
冬作(促成栽培) |
5〜15℃ |
播種 → 発芽(5〜7日)→ 間引き → 収穫(約45〜60日) |
それでは、小松菜はどのように栽培していくのか、栽培前準備や播種、間引き、収穫、収穫後の工程に分けて具体的に解説していきます。
栽培前準備
小松菜は1作あたりの栽培期間が短く、年間を通して耕うんや作付けの回数が多くなるため、他の野菜に比べて土づくりが非常に重要です。そのため、それぞれの栽培を始める約1ヶ月前に、次のような流れで栽培前の準備をしていきます。
まずは土壌診断を行い、土の状態を把握します。小松菜栽培に適した土壌pHは6.0~6.5前後とされているため、酸性に傾いている場合は石灰資材を施用して矯正します。pH調整は根の伸長や養分吸収に直結するため、必ず最初に行う工程です。
石灰散布後1週間ほど期間を空けた後、元肥を施して耕うんします。完熟堆肥を10aあたり2t程度、数回に分けて投入し、耕うん機などで20cm前後の深さまでしっかり混和することで、通気性や保水性に優れた土壌環境を整えます。
作付けの1週間前には最終整地を行い、畝立てをします。標準的な畝幅は180~200cm、高さは10cm程度が目安ですが、排水性の悪い圃場では畝幅を100~150cm程度にして高畝とすることで、過湿による根腐れや生育不良を防ぎやすくなります。土壌条件に合わせて畝形状を調整することが、安定した小松菜栽培につながります。
播種
小松菜は直播き栽培が基本で、育苗や移植の手間がかからない点が特徴です。点播きも可能ですが、小松菜が密植に向いている点や間引き作業の効率から、筋蒔きが推奨されています。
播種方法は、畝に深さ1cm程度の溝を作り、種を約1~2cm間隔で連続して蒔いていきます。条間は15cmを確保します。播種後は種が隠れる程度に薄く覆土し、軽く押さえて土と種を密着させます。その後、たっぷりとかん水を行い、種が十分に吸水できる環境を整えましょう。
発芽までは土壌表面が乾かないよう注意が必要です。ただし、過湿状態が続くと種子の腐敗や、発芽直後の病害発生につながるため、水分量は適度に調整します。特にハウス栽培では、湿度がこもりやすいため注意が必要です。
小松菜の発芽適温は20~25℃程度で、通常は播種後2~3日ほどで発芽します。冬場は5~7日程度かかることもあるため、季節に応じた温度と水分管理を意識することが大切です。
間引き
小松菜が発芽したら、生育の様子を見ながら間引きを行い、最終的に株間が5~7cm程度になるよう整えます。間引きは、発芽が揃い子葉が展開し始めたタイミングから行うのが基本です。
一度にすべて間引くのではなく、生育を確認しながら2~3回に分けて行うことで、株への負担を抑えつつ健全な生育を促せます。形が悪い株や生育の遅れている株から優先的に抜き取り、勢いのある株を残すことがポイントです。間引き直後は根の乾燥防止のために十分な潅水を行ってください。
適切に間引きを行うことで、風通しや採光が良くなり、病害の発生を抑える効果も期待できます。また、根の張りや葉の広がりも良くなり、収穫時のサイズや品質のばらつきを防ぐことにつながります。
栽培管理
小松菜の生育期間は短いですが、その間の管理が品質と収量を大きく左右します。温度・湿度・潅水管理や害虫への対策について詳しく見ていきます。
温度管理
小松菜の生育適温は、品種にもよりますが大体20〜25℃程度で、この範囲を保つことで、葉の伸びが良く、色の濃い小松菜に育ちやすくなります。
夏場や日差しが強くなってきた春先は、ハウス栽培では高温対策を行うことが大事です。小松菜の高温限界は35℃前後で、この温度を超えると生育抑制や高温障害(葉の萎れ、黄化、カッピングなど)が発生します。気温が高くなりやすい時期は、ハウスサイドや妻面を開放してしっかり換気を行い、ハウス内に熱がこもらないよう注意してください。特に夏場は直射日光による高温障害や葉焼けを防ぐため、30〜40%程度の遮光ネットを活用して日射を和らげると効果的です。
一方、小松菜の生育下限温度はおよそ5〜7℃となっており、10℃を下回ると生育が緩慢になります。冬場は気温低下による生育停滞を防ぐため、簡易加温を取り入れて保温しましょう。
関連コラム:
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湿度管理
小松菜栽培時の適正湿度は、相対湿度60〜70%程度が目安です。湿度が高くなりすぎると、べと病や灰色かび病などの病害が発生しやすくなるため、こまめな換気によって湿度を下げることが重要です。
特に夜間から早朝にかけては結露が起こりやすく、病害の原因になりやすいため、朝方に換気を行って余分な湿気を外へ逃がし、ハウス内を乾きやすい状態に保つことが病害予防につながります。
冬季は気温が低いため換気を控えがちですが、換気不足になるとハウス内の湿度が過剰になりやすくなります。外気との温度差が比較的小さい午前9時~11時を目安に、短時間の換気を行うことで、保温を保ちながら結露を防ぐことができます。また、夜間は内張りシートを活用し、急激な温度や湿度の変化を抑えることで、安定した栽培環境を維持しやすくなります。
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潅水管理
小松菜は葉物野菜の中では比較的乾燥に強いものの、安定した生育には適度な水分が必要です。
生育初期は根が浅く、乾燥の影響を受けやすいため、こまめな灌水が必要です。土の表面が乾いたら朝夕たっぷりと行ってください。本葉が4~5枚展開する頃からは、根も伸びてくるので少し控えめにして根の発達を促していきます。過湿になると軟腐病や根腐れを誘発するため注意してください。
小松菜は、生育後期にたっぷり灌水してしまうと品質が低下してしまいます。特に収穫前1週間は様子を見ながら控えめ(または停止)にし、葉が濃緑で張りを保つ程度を目安に調整すると、品質の安定につながります。
害虫対策
ハウスの小松菜栽培では、密閉性が高く害虫の侵入を防ぎやすい反面、一度侵入されると急速に被害が拡大してしまうことがあります。そのため、予防を重視した管理が重要です。まずは、発生しやすい害虫と被害症状を把握しておきましょう。
小松菜のハウス栽培で発生する害虫
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害虫名 |
主な被害症状・特徴 |
|---|---|
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アブラムシ |
葉裏に群生し吸汁する。葉の縮れや黄化を引き起こし、モザイク病などのウイルス病を媒介する。 |
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ハモグリバエ |
葉の内部を食害し、白い蛇行状の食痕(銀葉)が現れる。商品価値が大きく低下する。 |
|
アオムシ・コナガ |
葉面を食い荒らし、穴あき葉が多発する。特に高温期に発生しやすい。 |
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ヨトウムシ |
大型の幼虫が夜間に活動し、葉を丸ごと食害する。被害が急激に拡大しやすい。 |
ハウス内では「侵入させない・増やさない・初期で止める」ことが基本となります。防虫ネットの活用は特に効果的で、目合い0.6~1.0mmのネットをベタ掛けまたはトンネル掛けすること、側窓や天窓や入り口などの開口部に張ることで、アブラムシやハモグリバエなどの成虫飛来を大幅に抑えられます。
日常管理では、葉裏や葉表をこまめに観察し、初期発生の段階で捕殺することが重要です。アオムシ類は幼虫のうちであれば、BT剤など天然由来資材での早期防除が有効です。あわせて、黄色の捕虫シートをハウス内や出入口付近に設置することで、微小害虫の発生状況を把握しやすくなります。
害虫が多発した場合は登録農薬を使用しますが、必要最小限にとどめることが大切です。また、雑草や残渣を放置せず清潔な栽培環境を保つこと、換気時も防虫ネットで害虫の侵入を防ぐことが、長期的な被害軽減につながります。
関連コラム:
・防虫ネットの正しい使い方|害虫のハウスへの侵入を阻止
収穫
草丈が20~25cm程度になったら小松菜の収穫適期です。播種後、春秋なら30~40日、夏なら25~30日、冬なら45~60日程度が目安です。収穫が遅れると葉が硬くなったり、とう立ちしたりするため、適期を逃さないことが大切です。
収穫作業は、株元から根ごと引き抜く方法が一般的です。根を切り落とし、黄色くなった外葉や傷んだ葉を取り除いて調製します。根付きのまま出荷する場合もありますが、その場合は根を洗浄してきれいにします。収穫は涼しい時間帯、特に早朝に行うと鮮度が保たれます。
調製後の小松菜は、すぐに予冷することが重要です。収穫後の呼吸熱を速やかに取り除くことで、鮮度保持期間が大きく延びます。冷蔵庫や保冷庫で5℃程度まで冷やしてから出荷すると、流通過程での品質劣化を防げます。
収穫後の片付けと次の準備
一作終了後は、速やかに残渣を片付けて次の作の準備に入ります。小松菜の根は比較的浅いため、抜き取った後はトラクターで浅く耕起して、残根を土に混ぜ込みます。病害が発生していた場合は、残渣を圃場外に持ち出して処分することが大切です。
連続して作付けする場合は、土壌の養分状態を確認します。短期間で何作も栽培すると、特定の養分が不足したり、逆に過剰になったりすることがあります。定期的に土壌診断を行い、適切な施肥設計をすることが、安定した生産を続けるポイントです。
小松菜のハウス栽培を成功させる5つのポイント!
上記の流れで行う小松菜のハウス栽培ですが、安定した収量と品質を実現するには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に注意すべき5つのポイントについて、具体的な対策方法とともに詳しく解説していきます。
季節に合わせた品種を選ぶ
小松菜のハウス栽培は、適切な環境整備が重要ですが、それぞれの季節や栽培課題に合った品種を栽培することで管理の負担を軽減することができます。各タネのメーカーの情報をもとにハウス栽培におすすめの品種をまとめましたので、参考にしてみてください。
プロ農家向けの品種(効率と品質重視)
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品種名 |
メーカー |
特徴・おすすめの理由 |
|---|---|---|
|
はっけい |
サカタのタネ |
ハウス周年栽培の決定版。 葉柄(茎)が太くがっちり育ち、束ねる際にボリュームが出る。節間が伸びすぎないので、高温期のハウスでも姿が乱れにくいのが強み。 |
|
菜々音(ななね) |
タキイ種苗 |
色の濃さと作業性。 曇天が続く時期でも葉色が薄くなりにくく、収穫後も色が長持する。葉が立ちやすい(極立性)ので、絡まりにくく袋詰めがスムーズ。 |
|
よかった菜 |
カネコ種苗 |
収穫作業の時短に最適。 葉先までピシッと立つので、引き抜きやすく、根洗いや結束が非常に楽。白さび病に非常に強いのもプロに選ばれる理由。 |
ビギナー向けの品種(失敗が少なく作りやすい)
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品種名 |
メーカー |
特徴・おすすめの理由 |
|---|---|---|
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さくらぎ |
サカタのタネ |
とにかく丈夫。 萎黄病(いおうびょう)や白さび病といった主要な病気に耐性があり、多少環境が悪くても元気に育つ。草姿が綺麗なので、プロ顔負けの見た目に仕上がる。 |
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スピード小松菜 |
各社 |
最短で収穫したい方に。 名前通り生育が非常に早く、ハウスなら20〜30日程度で収穫可能です。プランターでも育てやすく、短期間で結果が出るので達成感がある。 |
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菜々子(ななこ) |
タキイ種苗 |
暑さに強い。 ハウス内が高温になりやすい時期でも、ひょろひょろ(徒長)せずに育つ。夏のハウス栽培に挑戦したいビギナーに最適。 |
これらの品種を季節に応じて使い分けることで、ハウス内の温度差や湿度変化に左右されにくい安定した栽培が可能になります。計画的な品種ローテーションは、品質向上と同時に省力化にもつながります。
小松菜は基本的に追肥不要!
小松菜は生育期間が30〜50日と短く、栽培期間中に多くの肥料を必要としないため、基本的には元肥だけで十分に育ちます。元肥の段階で緩効性肥料を適量施しておけば、養分が徐々に効いて収穫期まで安定した生育が期待できます。
ただし、生育が全体的に遅れて株が小さい場合や、葉色が薄く黄緑色になっている場合、長雨や低温が続いて肥料分が流れてしまったような場合には、例外的に追肥を検討した方が良い可能性もあります。追肥の目安は、本葉が5〜6枚そろう頃、定植後20日前後が適期です。追肥を行う場合は控えめにするようにしましょう。与えすぎると徒長や硝酸態窒素の過剰蓄積の原因となってしまいます。
例外的に追肥する場合でも、収穫の1~2週間前までには終えるようにしましょう。特にハウス栽培では気温や水分条件によって養分吸収が不安定になりやすいため、必要最小限に抑えることが品質向上につながります。連作や長期利用している場合は、追肥を重ねるよりも、収穫後に堆肥や石灰を施して土壌環境を整えるほうが安定した栽培には有効な可能性が高いです。
関連コラム:
・野菜の栽培に欠かせない追肥とは? 生長に合わせて適切な肥料の選択を
小松菜は短期間連作OK!マメ科やネギ科と区画ローテーションがおすすめ
小松菜はアブラナ科野菜の中でも比較的連作障害が出にくく、適切な土壌管理を行えば同じ場所で短期間に連続栽培することが可能です。生育期間が30~50日と短く、養分吸収も偏りにくいことが理由とされています。
ただし、同一場所で何作も続けると、根こぶ病などの土壌病害が発生しやすくなったり、養分バランスが崩れたりするため注意が必要です。ハウス内を区画分けし、マメ科やネギ科など異なる科の作物とローテーションを組むことで、土壌環境の悪化を防ぐことができます。特にマメ科作物は窒素供給の面で効果的です。
また、小松菜は浅根性のため、土壌表層の状態が生育に大きく影響します。堆肥の施用や定期的な耕うんで団粒構造を維持することが重要です。連作が続く場合は、太陽熱消毒を行い、その後に有機物を補給して土壌環境を回復させるとよいでしょう。
関連コラム:
・団粒構造とは? 植物が良く育つ土壌に必要な要素と土の作り方
連続収穫時は「軟腐病」の対策を徹底する
小松菜を連続して収穫する場合、特に注意したい病害が軟腐病です。軟腐病は細菌による病気で、株元や葉柄が水浸状に腐り、強い悪臭を伴うのが特徴です。特に25〜35℃の高温多湿の環境で発生しやすく、ひとたび発病すると短期間で圃場全体に広がる恐れがあります。
予防の基本は、風通しを良くして過湿を避けることです。ハウスの換気を十分に行い、株間を確保して葉が重なりすぎないようにします。潅水は午前中に行い、夕方までに葉や株元が乾く状態をつくることが重要です。あわせて高畝や排水対策を行い、水が滞留しない環境を整えてください。
また、軟腐病は発病後に使える有効農薬が限られるため、対策は初期対応が重要です。発生の兆候が見られた段階で、抗生物質系や銅剤やバチルス菌製剤といった薬剤を使用し、感染の拡大を抑えるようにします。あわせて、発病した株は早めに抜き取り、圃場外で適切に処分しましょう。その際、収穫用の刃物も次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒することで、病原菌の持ち越しや二次感染を防ぐことができます。
小松菜栽培は「通風を確保しつつ最適な環境を維持する」ことが大事
小松菜栽培では、通風を確保しながら過度な乾燥を防ぐ環境管理が欠かせません。換気が不十分だとハウス内に湿気がこもり、カビ由来の病気や軟腐病などの病気の発生リスクが高まります。
しかし、サイド開放だけに頼ると、場所によって風の当たり方にムラが生じやすくなります。特にハウスの中央部や奥では空気が滞留し、知らないうちに多湿状態になりがちです。
そこで活躍するのが循環扇や換気扇です。循環扇や換気扇を設置することでハウス内の空気が均一に動き、湿度や温度の偏りを抑えることができます。
ハウス栽培の小松菜では、循環扇や換気扇は病害予防と生育安定のために有効です。小松菜は地表近くに葉が広がり密植になりやすいため、株元に湿気がこもりやすく、結露が発生すると軟腐病やべと病などの多湿性病害が起こりやすくなります。
循環扇を使うことでハウス内の空気が動き、温度や湿度のムラが小さくなります。特に夜間から早朝にかけての結露が抑えられ、収穫や間引きでできた切り口も早く乾くため、軟腐病の感染リスクを下げる効果があります。換気扇は、こもった湿気や熱気を外へ排出し、晴天時や夏場の高温多湿状態を速やかに改善します。
このように、循環扇と換気扇は「高温・多湿・無風」という病害が発生しやすい環境を根本から改善し、小松菜を健全に育て、農薬に頼りすぎない安定栽培を支える重要な設備です。
関連コラム:
・ビニールハウスの環境を整える循環扇の重要性とその効果
・ビニールハウスの換気方法|作物に最適な環境を目指して
・ビニールハウスの換気窓の役割と種類
小松菜のハウス栽培におすすめの換気設備
換気扇のなかでもおすすめなのが、セイコーエコロジアの「空動扇/空動扇SOLAR」です。
空動扇は風の力、空動扇SOLARは風+SOLARの力で稼働するため、電気を一切使わないことが特徴です。ビニールハウス10坪~15坪あたりに1台を設置することで、ハウス内の空気を効率よく排出します。また、台風や強風の時にハウスの内圧を下げてビニールの裂傷や倒壊を防ぐ副次的な効果も期待できます。
空動扇が小松菜のハウス栽培に有効な理由は、小松菜が高温・多湿・無風の環境に弱い作物だからです。ハウス内では熱や湿気が天井付近にたまりやすく、場所によって温度や湿度に差が出るため、生育ムラや病気の原因になります。
空動扇はハウス内の空気を強制的に動かし、こもった熱気や湿気を排出することで、温度・湿度のムラを小さくします。その結果、葉面の結露が早く乾き、軟腐病やべと病など多湿を好む病害の発生を抑えやすくする効果が期待できます。
また夏場は気流を確保することで葉温の上昇を防ぎ、葉が硬くなるなどの高温障害を軽減する効果が期待できます。また冬場でも窓を大きく開けずに湿度を下げられるため、保温と病害対策を両立できます。
このように空動扇は、小松菜が嫌う環境条件を改善し、生育と品質を安定させ、通年栽培のリスクを下げる点で有効な換気扇です。
小松菜のハウス栽培は季節に合わせた管理と換気がカギ!
小松菜は生育期間が短く年間を通じて複数回の作付けができるため、計画的に収量を確保しやすいハウス栽培に適した作物です。天候の影響を受けにくく安定した品質で出荷できる点が大きな魅力で、初期投資を抑えたパイプハウスでも十分に取り組めます。周年栽培を目指す場合は、夏場の高温対策と冬場の保温対策を季節に応じて行い、時期に合った品種を使い分けることで、年間を通じた安定出荷が可能になります。
栽培を成功させるためには、品種選びや土壌管理を丁寧に行うことに加え、通風を確保しつつ湿度を適正に保つ環境管理が欠かせません。特に軟腐病をはじめとした病害は、高温多湿の環境で発生しやすいため、日頃から十分な換気と適切な灌水管理を心がけることが、高品質な小松菜づくりにつながります。ぜひこのコラムでご紹介した対策方法も参考に、高品質な小松菜栽培にチャレンジしてみてください。
参考:
・小松菜(ハウス雨よけ栽培)|JA全農ふくれん
・小松菜(ハウス周年)
コラム著者
満岡 雄
玉川大学農学部を卒業。セイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。XとInstagramで最新情報を投稿していますのでぜひ御覧ください。
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