コラム
ビニールハウス栽培で温度を管理するには? 作物に合った環境づくりを
公開日2019.06.18
更新日2022.02.01

ビニールハウス栽培で温度を管理するには? 作物に合った環境づくりを

ビニールハウスを使った施設栽培(施設園芸)は、季節や天候に影響されにくく、一定の環境で農作物の栽培をおこなえるという大きなメリットがあります。温室を利用することにより、年間を通して安定した収入を得ることが可能です。ただし、室温管理を怠ると高温障害や低温障害を引き起こし作物がうまく育たなくなってしまいますので注意が必要です。今回は施設栽培を管理運営していく上で、非常に大切な項目の一つである温度管理についてお伝えしていきたいと思います。

ビニールハウス栽培での温度管理の重要性

ビニールハウス栽培のメリット

ビニールハウス栽培は、季節に関係なく作物に適した環境を作り出すことで、安定的に栽培を行うことが可能です。外気温が低下する冬季の間でも、温室内を加温し環境をコントロールすることで、露地栽培では生育が難しいとされる、寒さに弱い作物を育てることができます。密閉空間のため湿度管理ができ、ハウス内を加温・除湿することで、周年栽培を行いやすいと言われています。時間帯毎に気温の変化が大きい季節の変わり目には、扉・窓といった開口部の開閉や、換気扇・循環扇のような機械を作動させることにより、温度・湿度管理を行い作物の成長への影響が出にくいように対応ができます。天候の影響を受けにくいため、雨風の被害から作物を守ります。冬場でもヒーターや暖房機などを使うことで保温性を保ち、霜の発生による品質の低下や発芽率の低下を防ぎ、作物が育ちやすい環境をつくります。

ビニールハウス栽培における温度管理の重要性

夏場はハウス内が高温になり、40℃を超えるサウナ状態になることがあります。風の影響を受けにくいため、露地栽培に比べて空気がこもりやすく、強い日差しによりハウス内の温度が上がってしまうためです。気温が上昇しすぎると開花が遅れたり、果実が傷んだり、作物自体が枯れてしまうなど高温障害の原因となります。温度とともに湿度も上昇し、病害虫が繁殖しやすい環境になります。また、農作業者が熱中症や脱水症状をおこすおそれも出てきます。従って、換気装置、遮熱・遮光資材や冷房装置等を使用して最適な室温を保つことが重要です。

冬場は、夜間に外気の影響を受け室温が低下してしまいますので、ヒーター・加温器・暖房機などを使い室温を保つことが重要です。また、ビニールハウス内の位置や加温機器の設置場所により、温度ムラが発生しやすいため、ファンを使い空気を循環させる必要があります。低温にさらされてしまうと作物が枯死してしまうことがあるので注意が必要です。突風や積雪などによりハウスに損傷が発生していないかチェックするようにしましょう。また冬場は放射冷却にも注意が必要です。農作物が霜害や凍害を受ける可能性がありますのでしっかりと温度管理をするようにしましょう。

夏場も冬場も直射日光や加温機の設置場所を避けて業務用の温湿度計を使用して正確に温度を測定し、作物に最適な環境を整えることが大切です。

なお農作物の栽培を開始する前にあらかじめ文献等で対象の農作物の生育適温や限界温度を確認しておくと安心でしょう。

関連するコラムはこちら
・夏場のビニールハウスの高温対策│作物を暑さから守るには?
・ビニールハウスの暑さ対策|ハウス内の温度を下げる方法と熱中症対策を解説

ビニールハウスでの温度管理の方法

扉・窓の開閉

扉や窓を開閉し自然換気を行う方法です。ハウスの両サイドのフィルムを巻き上げ、側面を開閉し換気を行う方法が、一般的に普及している方法です。そのほかには、ハウスの妻面窓や天窓を開閉する方法などがあります。妻面窓や天頂窓は、ハウスの構造にもよりますが後付することも可能です。ハウスは天頂部に熱がこもりやすいため、天窓換気が自然換気ではもっとも有効であると言われています。

ミストの噴射

噴射したミストを利用してハウス内の温度を下げます。ミストの粒が細かいほど冷却効果が高いと言われています。ミスト装置は高い圧力が必要なため、高圧ポンプを導入するなど必要となりますが、温度調節に加えて散水も行えるため農作業の効率化にも繋がります。農業用の自動管理システムを導入すれば、ハウス内の温湿度や飽差をセンサーで計測し、ミストを自動的に噴射することもでき、農作業が効率的になる可能性があります。

シェードの設置

シェード(遮光)により直射日光を遮りハウス内の温度や地温を管理します。夏の強い日差しを受けるとハウス内の温度が上昇しすぎてしまい、作物が枯れる恐れがあるため遮光カーテンや遮光ネットを使って温度を調節します。作物によって必要な太陽光の量が異なるため、育てる作物によりネットを変えると良いでしょう。光の反射率が高く、熱の吸収率が低い製品は効果的と言えます。薄く軽量なものを選ぶと作業しやすく、使わないときにもしまいやすいので便利です。

ファンの利用

電気を使ってファン(換気扇)や循環扇を使用することで空気を入れ替えて高温を防ぎます。新鮮な空気を入れることで湿度の調節が可能です。ハウス内の温度ムラも解消します。加えて植物が光合成を行う際に必要な二酸化炭素も取り入れることができます。ハウスの上部に設置するものや地面に置くタイプのものがあります。冬場には温室上部にたまる暖かい空気を循環させ、暖房の効率化が図れます。

機能性のある被覆資材の利用

ビニールハウスに展張するビニールのことを被覆資材と言いますが、被覆資材には各メーカーより機能性の優れた資材が発売されています。保温効果を上げるために多層化しているものや、夏場の日射対策用の遮熱資材がありますので調べてみると良いでしょう。特に冬場に放射冷却を防ぐためには内張の被覆資材を最大限に活用することが重要のようです。

ビニールハウスの温度管理におすすめの設備

空動扇|ビニールハウスの換気扇

ビニールハウスの換気対策として有効なのが無動力全自動換気扇空動扇です。最適な設定温度に応じて自動で換気しますので、窓の開閉作業から解放され、節約できた時間を他の作業に充てることができます。急な温度上昇にも自動でゆるやかに作動するため農作物を温度障害から守ります。

ビニールハウス内の温度に応じて空動扇の温度調節器に内蔵された形状記憶スプリングが膨張または収縮するしくみにより、内部の換気弁が自動で開閉するという簡単な構造です。弁の開閉の程度により換気する空気量が決まり、弁が閉じた状態では換気は停止します。温度調節は0℃から40℃の範囲で設定ができますので、育てる作物に適切な温度に設定してお使いいただけます。さらに空動扇は電力不要で動作するので、ランニングコストが発生しないというのもおすすめのポイントです。

天窓換気装置・妻面換気装置・循環扇などの換気装置は、高額なものが多く、電気配線を新たに引き込む場合は資材コストが余計にかかります。空動扇は無動力で簡易に設置ができ、導入後のメンテナンスもほとんど必要がありません。

換気を円滑に行い温度や適切に保つことで作物の樹勢が良くなります。急激な気候の変化により、適切な環境を保持するのは大変な作業ですが空動扇は設定温度に応じて自動で換気をしてくれますので、天候の変化に対応が遅れ、農作物をダメにしてしまう可能性が少なくなります。ビニールハウスのサイド巻上部分から新しい空気が入り、天頂部から排出されるルートができるため、ハウス全体を換気し同時に二酸化炭素を取り込むことで作物が順調に生育する環境を整えます。温度および湿度の上昇を抑えることから、夏場に問題となる農作業中の熱中症の予防にもつながります。設置場所が天頂部の高さのため農作業の邪魔になりません。

▶空動扇の説明動画はこちら

実際に導入されたお客様の声はこちら:

8℃下がった!?空動扇はハウス強度を落としません!|磯川さんのコーヒー農園
ハウス内が涼しくなった!空動扇SOLARの効果を実感|苺絵
夏場のハウス内温度が低下!湿度対策や耐久性向上にも効果を実感

安心安全な換気方法を選びましょう

ビニールハウス栽培では適度な換気を行い、適切な温度管理を行うことが収量の増加につながります。空動扇は早朝・日中・夜間といった時間に関係なく、自動的に換気を行ってくれますので、農家の皆さんは安心して他の農作業に専念することができます。野菜の播種・育苗・定植とったさまざまな環境で空動扇を取り付けて、安心安全な圃場環境を整えてみてはいかがでしょうか。

ビニールハウス栽培で温度を管理するには? 作物に合った環境づくりを

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

おすすめ記事
Tweets by SEIKO_ECOLOGIA
youtube
ご注文
見積依頼
お問合せ