コラム
アスパラガス栽培における堆肥の役割とは?
公開日2024.02.08
更新日2024.02.08

アスパラガス栽培における堆肥の役割とは?

アスパラガスは多年生という習性のため、他の野菜とは土づくりに関しての考え方が少し異なり、堆肥の施用量は3~5倍も多いという特徴があります。一般に牛ふん堆肥を用いる地域が多いですが、近年では完熟した動物質堆肥を入手することが困難な点や、堆肥の多投による生理障害や土壌障害を引き起こす点など課題があります。今回のコラムではアスパラガスの土づくりにおける堆肥の考え方について少し深く考えていきたいと思います。

アスパラガス栽培における土づくり

アスパラガス栽培では長ければ同じ株を10年ほど使用するため、一般的な野菜とは異なり定植前の本格的な土づくりを毎シーズン実施することが難しいです。また、アスパラガスの根は土の下層に広範囲にわたり根を伸ばすという特徴から、根を傷つけずに土壌改良を実施する必要があります。一度定植をしてしまうと株を入れ替えるまでの期間は、抜本的な土壌改良は実施できない点を念頭において土づくりを考えなければいけません。

定植前の土づくりは、深く広く根を広げる性質を阻害しないようにサブソイラやプラウなどで良く土を耕し耕盤層を粉砕しておくなど、土壌の物理性や排水性の向上に配慮して実施する必要があります。定植後は土に関する手入れが不要ということではなく、土づくりは継続します。畝と畝の間を浅く耕す中耕や、畝の表層に直接施肥する畝上施肥を実施するなどの対応が必要です。アスパラガスの根は150cmほどにも広がることもあり、中耕で土づくりを実施する際には根を深く傷つけないように注意します。

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アスパラガス栽培における堆肥の考え方と課題

作物の栽培に適した土壌環境の一つの要因としてあげられるのは、さまざまな大きさの団粒で適度に構成されている団粒構造だとされています。団粒構造は保水性と排水性を兼ね備えており、この環境を作るには、深耕(土を耕すこと)により三相のバランスを整えることや、土壌微生物が有機物を分解する働き(土壌微生物からの分泌物が団粒を構成する接着剤となると考えられている)が必要になります。アスパラガス栽培においては、定植後に深耕を実施することは難しいため、団粒構造化には土壌微生物の働きが一層重要となると考えることができます。そこで微生物のエサとなる有機物が含まれた堆肥の施用が欠かせなくなるわけです。

堆肥の量は、栽培する作物や土壌環境によって異なりますが、一般的な野菜づくりでは1反(10a)あたりの堆肥施用量は1~2tです。一方、アスパラガスの定植前の土づくりでは1反(10a)あたり10~30t程度(3年株までの目安)、それ以降も3~6tとされており、かなり多くの堆肥を必要とします。農作業従事者にとっては堆肥の入手・保管・施肥など作業負担が大きくなります。

堆肥が多いと土壌微生物の働きは活発になりますが、堆肥には窒素リン酸カリなどの三大栄養素も含まれており、堆肥の多投により病害虫の被害や生理障害を発生させるリスクが高くなります。例えば、窒素の過剰な吸収はアスパラガスの軟弱徒長を増長し、細胞壁が薄くなることで病害虫からの加害を受けやすくなります。リン酸の過剰は株腐病や立枯病の発病を助長するフザリウム菌が増えるとされています。カリウムの過剰は土の中で起こる拮抗作用によりカルシウムやホウ素など他の必要な栄養素などの吸収を阻害して生理障害を発生させるリスクを高めることとなります。

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アスパラガスに使う堆肥についてのポイント

土壌診断を実施する

堆肥が多投気味となるアスパラガス栽培では、土づくりにおける土壌診断の重要度が高くなります。土壌診断では、可給態リン酸・窒素(硝酸態・アンモニア態)・交換性カリウムなどの診断が可能です‘(窒素・腐植・CECなどはオプションになる場合が多い)。アスパラガスの産地では牛ふん堆肥を多量に施用している場合が多く、この影響で窒素リン酸カリが過剰傾向にあります。腐植物質CECが低い条件では作物の収量が低いという結果もありますから、堆肥の多投を抑えながらも腐植物質CECは下がらないようにする点がポイントと考えることができるのではないでしょうか。

団粒構造を作るために土壌微生物の働きを活性化させる有機物の投入は不可欠ですが、堆肥の過剰な多投は同時に栄養素の投入量が増えることとなります。土壌診断を実施して過剰になっている栄養素を抑える土づくりを考えることが重要です。

三大栄養素の少ない堆肥を利用する

動物質堆肥の中では窒素リン酸カリといった三大栄養素の成分が少ないのは牛ふん堆肥です。それよりも成分が少ない植物質堆肥としては籾殻堆肥やバーク堆肥などがあげられます。このような堆肥を併用することで過剰な栄養素の投入を防止します。

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栄養成分が少ない腐植物質を施用する

堆肥には腐植物質が含まれ、腐植物質CECが高く陽イオンを保持する性能を持っています。CECの高い土壌では、カルシウムやマグネシウムなどの陽イオンが土壌から溶脱するのを防ぐとされています。栄養素が含まれていない腐植物質資材があり、腐植物質自体は土壌微生物のエサになるという見解もあることから、このような資材を土づくりに活用すると窒素リン酸カリの多投を防ぎながら良い土壌環境を整えることができます。

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アスパラガスの土づくりにおすすめの資材|地力の素 カナディアンフミン

地力の素は腐植酸であるフミン酸を高濃度に凝縮した資材です。細粒タイプと粗粒タイプにはフミン酸がおよそ7割も含まれています。堆肥の多投による栄養素の過剰を防ぎながら、腐植はきっちりと効かせて土壌環境を整えます。腐植物質には「土の微生物を活性化させ団粒構造を促進する働き」「CECを向上させ陽イオンを保持する能力を高める働き」などが期待できます。アスパラガスは定植後、深耕などで本格的な土づくりを行うことができず、畝上施肥や畝間を中耕して土壌環境を整えますが、このような場合の土づくりには地力の素の細粒タイプや粗粒タイプがおすすめです。

地力の素の解説動画はこちら

アスパラガス栽培における堆肥の使い方を見直してみませんか

アスパラガスは多年生の作物という性質上、土壌診断と施肥設計の重要性が高い作物です。アスパラガスの生長がうまくいっていない時は土壌診断を実施して圃場の状態を確認することをお勧めします。堆肥の多投による生理障害や病害虫の発生を防いで、品質の良いアスパラガスを継続的に収穫できるよう今回のコラムをお役立ていただければ幸いです。

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アスパラガス栽培における堆肥の役割とは?

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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