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アスパラガスは根が重要?育苗~定植においてカギとなる点とは
公開日2024.01.26
更新日2024.01.30

アスパラガスは根が重要?育苗~定植においてカギとなる点とは

アスパラガスはカロチン・ビタミンC・ビタミンEなどを含み、独特の風味があることから消費者の嗜好性が高く市場価格が安定しやすい野菜です。農家さんが栽培するメリットが多い野菜ともいえますが、他の野菜に比べて作り手や地域によって反収の差が出やすいとされています。これは同じ株を繰り返し利用して栽培・収穫するというアスパラガスの特殊性が、一般的な野菜作りとは留意すべき点が少し異なるということが影響しているのかもしれません。株を繰り返し利用するということは、根張りや土の中の環境が特に重要になります。今回のコラムではアスパラガスの根の特徴と、その根を健全に育てるためのポイントや農業資材について解説していきたいと思います。

アスパラガスの(主に根の)特徴

アスパラガスはクサスギカズラ科の多年生宿根草の単子葉植物です。多年生の植物は一年生の植物にくらべて土の中の根が複雑に生長します。アスパラガスの根には養分を蓄える貯蔵根と、貯蔵根の表面から伸びて栄養や水分を吸収する細い吸収根があります。生育環境に適しない時期になると地上部が枯れはじめますが、その際に光合成により茎葉に蓄えられた栄養分が貯蔵根に流れていきます。土の中にも水平方向へ生長する茎があり、これを地下茎(ちかけい)といいます。地下茎の生長の先端では麟芽(りんが)が作られ、麟芽が生長し若い茎となります。栄養を蓄えた状態で暖かくなるシーズンを待ち、適した環境が戻ってくると再び発芽します。

アスパラガスの育苗~定植における根の働きについて

アスパラガスの育苗では、種子から育てる方法と苗を購入する栽培方法があります。苗より種子のほうが安いという点はメリットですが、アスパラガスを種子から育てて収穫するまでには、苗を1~3年程度育てる必要があります。大きく育った苗は、購入する際にコストはかかりますが生育の状態や品質が均一になっているという点がメリットです。販売されている株には種類があり、初年度から収穫できるもの、翌年度から収穫できるものなど大きさが異なります。アスパラガスの育苗期間は長く、この時期に貯蔵根と吸収根を充実させておくと定植後の生長が安定します。

定植後は地上の茎で太陽の光を利用して作られた光合成産物が、貯蔵根に転流されます。収量は貯蔵根の量と、その根に蓄えられた同化産物(光合成によって生成された糖やデンプンなど)によるところが大きいです。地上部の茎を収穫しすぎてしまうと光合成量が減るため貯蔵根に栄養が蓄えることができず、翌シーズンの品質や収量が落ちることとなります。根株は土の中で生長を繰り返しますので、定植してその後の管理が適切であれば10年以上続けて収穫ができます。地力を使い続けることや、同一作物を育てたことにより土壌の化学性のバランスが悪くなったことが影響するのか、同じ圃場で新しい株へ切り替えたときに連作障害が発生しやすいとされています。

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アスパラガスの育苗~定植のシーズンの根張りを良くするには

適切な育苗を実施する

アスパラガスは乾燥と湿気ではやや湿気に弱い傾向があり、排水性の良い砂質土壌が適しています。育苗時においては、保水性の良すぎる培土を利用しないように注意してください。水持ちが良すぎる培土は根腐れを引き起こす可能性があります。種子から育てる場合には、アスパラガスの種は硬く水を吸収しにくい構造となっているため、発芽しにくいという特徴があります。発芽には温度による影響もあることから種子をすり鉢などでこすり、キズを付けてぬるま湯につけてから播まき(播種)するという方法もあるようです。

定植時の土の環境を整える

アスパラガスの根は深さでいうと70cm、幅は150cm以上に広がるといわれていますので、定植前の土は良く耕しておく必要があります。耕盤層がある場合にはトラクターにサブソイラー・プラソイラー・プラウなどを取り付けて粉砕したり、水田を転換した畑では排水溝や暗渠などを用いて排水性を向上させたりする必要があります。排水性が悪い土壌で定植すると、茎枯病を誘発するリスクが高くなります。

関連コラム:アスパラガスの茎枯病に有効な対策とは?防除のポイントと対処方法

化学肥料(化成肥料)に頼りすぎない

化学肥料(化成肥料)はすぐに根が吸収できる形となっているため、速効性に優れています。一方、有機質の肥料は土壌の微生物の働きによって、肥料が根から吸収できる形に変化するという過程を経るため、徐々に肥効があらわれるという特徴があります。化学肥料のほうが良いように思いますが、化学肥料は土壌微生物の餌にならないため、微生物の働きが弱くなります。土壌微生物には土をふかふかにして、根が生長しやすい土壌環境を整える役割があります。化学肥料の施用量が多くなりすぎると、土壌微生物の活動が悪くなり土が硬くなることで、アスパラガスの株の根張りを弱めてしまいます。

関連コラム:土壌微生物を増やすには?作物が育ちやすい環境づくりで収穫量向上を

根張りを良くする資材を利用する

苗の出来栄えで作物の品質の半分が決まってしまうという「苗半作」という言葉があるように、苗を育てる段階は重要な期間です。苗の根に働きかけて、根自体を健全に育てたり根圏の微生物の活動を活発にしたりするなどの資材に注目が集まっています。一般にこのような資材は根の活動が盛んな時期に有効性を示すことが多く、育苗時に施用するとより高い効果が期待できます。

土作りでは腐植酸などの腐植物質を含んだ資材を用いると、土壌微生物の働きが活性化し土壌の団粒構造化を促進することでアスパラガスの根が土の中で伸びやすくなります。また、CECが高まることから陽イオンの栄養素を保持する能力が高まり、雨や灌水による栄養の流失を防止して、根が栄養素を吸収しやすい土壌環境を整えることができます。

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アスパラガスの育苗におすすめの資材|キンコンバッキー

アスパラガスの根から分泌される物質に糸状菌などの微生物が集まり、根の表面や内部に共生することが分かっています。菌根菌もその一つで共生すると土の中で菌糸を張り巡らせて栄養や水の吸収を助けるかわりに、アスパラガスからは光合成産物が菌根菌に供給されます。もともとは土の中に自然に存在している菌ですが、土の特性や人の手が加えられたことによって密度が低くなっていることがあります。キンコンバッキーにはアーバスキュラー菌根菌が含まれており水に希釈して施用することで、根に菌根菌を共生させ根からの栄養(主にリン酸)吸収を助けるという効果が期待できます。菌根菌は若い根のほうが共生しやすいため、株が育ってからよりも若い時に施用するほうが効果が期待できます。つまり育苗のタイミングが最も適しています。

アスパラガスの定植時の土作りにおすすめの資材①|地力の素

地力の素腐植物質であるフミン酸やフルボ酸を高濃度に凝縮したもので、土壌環境を改善する効果が期待できます。腐植物質は土中の微生物が分解しますが、その際に団粒構造化を促す物質を分泌すると考えられています。またCECを高めカルシウムやマグネシウムといった陽イオンの栄養素の保持力を向上させる効果が期待できます。地力の素には用途にあわせた4つのラインナップ(細粒・粗粒・ペレット・リキッド)があります。速効的に土に馴染ませたい場合に使う細粒は育苗土に利用できます。ペレットタイプは定植前の土作りにおすすめで、牛ふん堆肥が含まれているため堆肥投入が不要なことと、粒度が均一のためブロードキャスターなどを使って散布することができます。栽培途中で腐植切れが心配な場合は土壌灌注や点滴灌水などにより追肥ができるリキッドタイプがおすすめです。

▶地力の素の解説動画はこちら

アスパラガスの定植時の土作りにおすすめの資材②|リンサングアノ

腐植に加えてリン酸や石灰なども投入したい場合には、リンサングアノがおすすめです。コウモリの排泄物や遺骸が数百年の時間をかけて完全に熟成したもので、腐植酸はもちろんのこと有機質のリン酸や石灰成分が含まれており、アスパラガスの定植時の土作りの際にリン酸を効かせたい場合やpHを調整したいときなどに最適です。圃場の環境にあわせて地力の素リンサングアノと使い分けをしていただければと思います。

根の働きに着目してアスパラガスの育苗~定植シーズンを乗り切りましょう

アスパラガスを栽培する際に、多年生であるという点に着目すると、他の作物との育苗~定植ステージに関しての育て方、特に株の管理といった視点の配慮が必要になってきます。土の中で翌シーズンに収穫する部分がニョキニョキと生えてくるわけですから、根の生長に一段と留意して栽培管理を行う必要がありそうですね。今回のコラムをお役立ていただければ幸いです。

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アスパラガスは根が重要?育苗~定植においてカギとなる点とは

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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