コラム
りんご栽培に最適な肥料をご紹介|美味しいりんごを収穫しよう
公開日2023.01.03
更新日2023.01.04

りんご栽培に最適な肥料をご紹介|美味しいりんごを収穫しよう

栽培りんご(リンゴ)の原産地は西アジアのコーカサス地方と言われ、その歴史は古く、19世紀にイギリス、20世紀にはいるとアメリカで栽培技術の発達と品種改良が盛んに行われてきました。日本においては江戸時代に中国から伝わり、明治維新後は欧米から伝わったセイヨウリンゴの栽培が始まり品種改良が盛んに進められて現在の国内品種が定着しました。
本コラムではりんごの栽培や育て方に関する情報をご紹介しています。後半ではりんご栽培に最適な肥料をご紹介しておりますのでぜひ最後までご一読いただけますと幸いです。

りんごの品種をご紹介

りんごの品種は世界で1万5千種類、日本では2千種類あると言われています。本章では日本における有名な品種3種類をピックアップしてご紹介致します。

サンふじ

「国光」と「デリシャス」を交配した品種。晩生種で収穫期は11月上旬です。農林省園芸試験場東北師支場が育成し1962年に命名・登録されました。生産量は青森県が一位で、全国の生産量の約50%を占めています。蜜が入り果汁も多く、味は甘みと酸味のバランスが良いため、老若男女問わず最も人気のある品種です。

つがる

「ゴールデンデリシャス」と「紅玉」を交配した品種。早生種で収穫期は9月上旬~中旬です。生産量は青森県が一位で、全国の生産量の約50%を占めています。味は酸味が少なく、甘みが強いためふじに次いで2番目の生産量があります。

シナノゴールド

「ゴールデンデリシャス」と「千秋」を交配した品種。晩生種で収穫期は10月下旬です。長野県果樹試験場が育成し1999年に品種登録されました。生産量は青森県が一位で、全国の生産量の約80%を占めています。果皮は黄色で香りが強く、味は甘みと酸味のバランスが良い品種です。また貯蔵性(日持ち)に優れているため長く楽しめます。

りんごの肥料|りんごに必要な肥料成分とは?

りんごが健全に生育するためには、様々な栄養素が必要です。その中でも多量要素と呼ばれる窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の三要素は植物体に吸収され大量に消費されるため、毎年一定量を補給する必要があります。また微量要素と呼ばれる鉄、マンガン、亜鉛などはもともと土壌に含まれてはいますが、定期的に補給することが大切です。

りんごの肥培管理は土壌の状態、毎年の気象条件、栽培条件等によって変動します。経験測も大切ですが、土壌診断を実施すると結果が数字で一目で分かり、土壌環境の改善に役立つ為おすすめです。

りんごの肥料|三要素の役割

窒素

細胞と葉緑素を生成するのに必要な成分です。りんごは窒素の施肥量が多いほど樹勢が増して収量が増加するのですが、果実品質が低下します。

なお、りんごは着色期に温度が高いと着色不良を起こすことが分かっています。特に近年の温暖化により夏場の平均気温が高くなることで、暖地の産地を中心に着色不良果の増加が懸念されています。最近の研究ではこれまでの窒素の施肥量を減らすことで着色不良が軽減できることが分かってきました。

リン酸

細胞を生成するのに必要な成分です。窒素と比べると利用量は少ないため、施肥量も窒素の半分以下程度です。

カリ

果実肥大を促進するために必要な成分です。窒素と比べると利用量は少し少ない程度です。

りんごの肥料|施肥量と施肥時期に関して

施肥量

施肥基準の例は以下の表の通りです。

りんごの施肥基準(長野県、成木園10aあたり)

土壌の肥沃度 肥沃地 中間地 瘦せ地
施肥量(kg) 窒素 12 15 20
リン酸 4 5 6
カリ 10 12 14
窒素の施肥時期

11月から3月は全量の80%
9月から10月に速効性窒素として残りの20%

備考

樹冠下清耕またはマルチング、樹間草生
目標収量 4t/10a

施肥時期

窒素元肥として全量の80%を休眠期(11月)から発芽前(3月)までに施用します。残りの20%は秋肥として9月から10月に施用します。

特に夏場(6月中旬~8月中旬程度)に窒素が多く吸収されてしまうと、樹勢が強まるばかりか、果実の着色不良が発生するので、この時期の追肥はやらないようにします。

りんごの栽培管理|植え付け

まず、りんごは深く根を張る植物(深根性)なので、地上から50cm以上の深さまでの土壌環境が良好である場所が適しています。そして保水性と通気性が良い栽培環境を選定しましょう。

苗木を植え付ける時期は休眠期である秋がおすすめです。まず、紋羽病を予防するために土壌消毒をしましょう。幅60cmから100cm程度の植え穴を掘り、堆肥、ようりん(ク溶性リン酸肥料)、苦土石灰を適量入れて堀った時に出た土とよく混和します。接木してある部分が地上に出るようにかつ台木が地面から20cm程度出る位置に植え付けます。植え付け後はしっかりと潅水します。

りんごの栽培管理|剪定(せんてい)

剪定はりんごの樹冠内部へ太陽光をしっかりと届けるために非常に大切な作業です。りんごの剪定技術はとても複雑で様々な方法が存在します。また幼木期、若木期、盛果期、老木期でも剪定方法が異なりますので、まずは実際に栽培されている生産者さんから話しを聞いたり学ぶことをおすすめします。

関連コラム:品質の良いリンゴを収穫するための剪定方法

りんごの栽培管理|摘果

摘果は以下の通り、2段階に分けて行います。

1回目 ⇒ 満開後30日頃に腋花芽の全ての果実、及び頂花芽の側果を摘果して頂花芽の中心果だけを残します。

2回目 ⇒ 満開後60日頃に最終的な収穫数の果実になるように摘果します。仕上げ摘果とも言います。摘果の目安はふじなどでは50~60葉あたりに1果、つがるなどでは40葉に1果が目安です。

りんごの栽培管理|袋かけ

りんごに袋をかける目的は主にさび病の発生防止と貯蔵性の向上と着色の向上の3つです。

袋かけをする時期は落花後50日程度が目安です。事前に薬剤散布を行います。果実が濡れていると病気が発生しやすくなるため、晴天日の乾いた果実にかけます。袋を取り外す時期は品種によって異なり、例えばふじだと外袋の場合は収穫前30日から40日が目安、ピンク色の内袋の場合は外袋を外してから5日~7日後を目安に行います。

りんごの栽培管理|病害虫防除

りんごは果樹の中でもとりわけ病害虫の影響を受けやすく、無農薬での栽培は難しいと言われています。主な病気はふらん病、斑点落葉病、モニリア病、炭そ病、黒星病、主な害虫はアブラムシ類、ハダニ類、シンクイムシ類、ハマキムシ類があります。薬剤散布を主軸としながら天敵昆虫やフェロモントラップ等も活用しつつ対策をしていきましょう。

りんご栽培に最適な肥料『オルガミン

オルガミンは丸ごとの魚を糖蜜等と一緒に発酵させて作成した天然アミノ酸入り複合肥料です。SSに薬剤と一緒に1,000倍に混用散布で展葉期~収穫前までの1ヶ月に 2 回のペースでの散布をおすすめしております。散布回数はシーズン中約8 回以上の散布、その後収穫後の薬散(お礼肥)にも混用で散布をおすすめしております。

りんごへの効果は「玉の肥大」「糖度向上」「着色向上」「秀品率向上」「収量増加」「ツル割れ減少」「樹勢の強化、回復」「果梗部強化」「状態の良い葉」「遅霜被害の軽減」「翌シーズンの為の花芽形成向上」が期待できます。

3 年継続して使用して頂くと大幅に樹勢が改善されますので、1年で使用を止めずにぜひ継続利用をおすすめいたします。

またりんごの紋羽病への効果も報告されています。青森県のりんご生産者さんからは「根の発根が促進され開花するようになった」という声を得ています。オルガミンの使用方法は防除の時に1,000倍に希釈して葉面散布。あわせて300倍に希釈したオルガミンを根まわりにたっぷりと潅水してください。

▶オルガミンの説明動画はこちら

楽しいりんご栽培

りんごは生食用の他、加工品としてジュース、ジャム、リンゴ酒、アップルパイ等に利用できる魅力的な果樹です。家庭果樹として鉢植え栽培も可能ですので、ぜひご家庭のベランダや庭等で育ててみてはいかがでしょうか。本コラムがお役に立てますと幸いです。

りんご栽培に最適な肥料をご紹介|美味しいりんごを収穫しよう

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Twitterを更新していますのでぜひご覧ください。

 

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