コラム
夏場のビニールハウスの高温対策│作物を暑さから守るには?
2019.06.18

夏場のビニールハウスの高温対策│作物を暑さから守るには?

天候に左右されることなく作物が栽培しやすい環境を作り出し、効率的に農作業を行うことができるビニールハウスは、農家にとって収量を維持するための欠かせない施設です。冬の時期の環境維持は楽になるのですが、夏場は外部と遮断された空間で空気がこもりやすく、日光の影響を受けて高温になります。高温状態は花・野菜といった作物や、室内で長時間働く農作業従事者に悪影響を及ぼします。今回は夏場におけるビニールハウスの暑さ対策についてお伝えしていきたいと思います。

 

夏場のビニールハウス栽培で注意すること

●作物への影響

夏場は日差しが強くなりハウス内が30度を超えた場合や、平均気温25度以上の日が続いた場合に、障害が発生しやすいと言われています。トマト・キュウリなどは温度の影響を受けやすく、着果不良などの生理障害で収穫量が減少するおそれがあります。また病害虫が発生しやすい環境となりますので注意が必要です。葉焼け・生長点付近の枯死・斑点病による生育悪化や、裂果・着色不良・黄変などの症状が発生し悪影響を及ぼします。

●作業者への影響

ビニール被膜は太陽の日差しをよく通しますので、ハウス内の気温が上昇しやすく、夏場のビニールハウス内は40度を超える場合もあります。そのため作業者の水分補給が足りず熱中症や脱水症状を起こす場合もあり、大変危険な環境です。

●ハウスにビニール(被膜)を新調した際の影響

ビニールを新調すると光の入り具合が変わるため、注意が必要です。ビニールの表面は経年劣化や汚れにより採光性が低下していきます。そのため、ビニールハウスの被膜を新調した際に従来に比べて採光性が良くなりすぎて、作物に悪影響を及ぼす場合があります。

 

夏場のビニールハウスでの高温対策

●温度上昇を抑えるために遮光ネットを活用する

ビニールハウスの屋根に遮光ネットを被せて、太陽からの直射日光をカットしハウスを高温化から防ぎます。直射日光から植物を守り、嫌光性の品種が好む環境を整えることもできます。地温の上昇と作物の葉面温度の上昇から起こる葉焼けを防止します。播種時に地温を適当な発芽温度に保ち、発芽を安定させることも可能です。遮光ネットには遮光率という値が表示されており、これは光を通す割合のことです。数字が高いほど光を遮る割合が高くなりますので、作物や環境により適したものを選ぶと良いでしょう。サイズも豊富で遮光性と遮熱性を兼ね備えたネットもあります。白・黒・シルバーと色のバリエーションもあり、白が最も太陽の光を反射します。植物の光合成に必要な可視光線は透過させ、熱源になる赤外線は遮断をするというタイプのものもあります。作物を育てるビニールハウス以外でも、作業場・休憩所などに設置し、作業従事者の労働環境を改善することもできます。

●ビニールハウスを開放し換気する

ハウス内は密閉空間のため熱がこもりやすく、暖かい空気は上方に上っていくため、特に天頂部に熱だまりができやすい構造です。そのためなるべく天頂部に近い場所を開放すると、換気効率が良くなると言われています。妻面部分に換気窓をつけるほうがコスト面から導入しやすいですが、天井に窓をつけたほうがハウス内の高い位置に溜まった熱だまりを排出しやすく、外気温に近づけることができ昇温抑制効果が高いと言われています。

●温度を調節できる機械を導入する

・冷風機
冷たい風を広範囲に送風することができます。エアコンと同じような構造で、温度管理が行いやすく、生育管理のために夜冷を行うことも可能です。電気で駆動しますのでランニングコストがかかり、費用対効果が低いと言われることもあります。農業専用の冷風機のレンタルサービスを行っている会社もありますのでテスト的に導入してから判断する良いでしょう。

・細霧冷房(ミストシステム)
ミストを噴射し霧が蒸発する際の気化冷却によりハウス内の温度を下げます。湿度を一定に保つことで葉の気孔を開きやすい状態にして、作物が光合成しやすい環境を整えます。ミストの出し過ぎで作物が濡れた状態が続くと徒長や病気が発生する場合もあるので注意が必要です。高圧ポンプや配管ユニットなどを設置する必要があるため導入にはかなりのコスト負担が求められます。

・換気扇
ハウス内にこもった熱を外に逃がすことができます。換気することで、空気の停滞を防ぎカビや病気が発生が発生するのを防ぎます。二酸化炭素を取り込むことで、作物の成長を促すこともできます。

・循環器
冷風機などから出る空気をハウス内に効率良く循環させます。温度のムラを解消し、作物の成長のばらつきを解消します。風通しを良くすることで高湿度を予防し、病害虫の対策にも効果的です。

 

夏場のビニールハウス栽培に役立つ設備

空動扇

ビニールハウスの換気対策として有効なのが無動力全自動換気扇空動扇です。最適な設定温度に応じて自動で換気し通気性を高めますので、窓の開閉作業から解放され、節約できた作業時間を他に充てることができます。急な温度変化にも自動でゆるやかに作動するため農作物を障害から守ります。

ビニールハウス内の温度に応じて空動扇の温度調節器に内蔵された形状記憶スプリングが膨張または収縮するしくみにより、内部の換気弁が自動で開閉するシンプルな構造です。弁の開閉の程度により換気する空気量が決まり、弁が閉じた状態では換気は停止します。温度調節は0℃から40℃の範囲で設定ができ、育てる作物に適切な温度に設定することができます。電力不要で動作するため維持費が発生しないというのもポイントが高いですね。

天窓換気装置・妻面換気装置・循環扇などの換気設備は、高額なものが多く、電力が必要のため電気配線を新たに引き込む場合は資材コストが余計にかかります。空動扇は無動力で現在あるビニールハウスに簡単に設置ができ、導入後のメンテナンスもほとんど必要がありません。

換気を円滑に行い温度や適切に保つことで作物の樹勢が良くなります。ハウスを適切な環境を保持するのは大変な作業ですが、空動扇は設定温度に応じて自動で換気をしてくれますので、農作物をダメにしてしまうことが少なくなります。ビニールハウスのサイド巻上部分から新しい空気が入り、天頂部から排出される風の通り道ができるため、ハウス全体を換気し、同時に二酸化炭素を取り込むことで作物の生育環境を整えます。温度および湿度の上昇を抑え、夏場に問題となる農作業中の熱中症の予防にもつながります。設置場所が天頂部のため農作業の邪魔になりません。

ミノリタス

ハウス環境制御システムミノリタスは、ハウス内に制御装置を設置しデータを収集します。収集したデータを活用し、作物が快適に成長するための環境をコンピュータ制御します。温度・湿度・養液・CO2の供給量などをコントロールし、ハウス内を最適な状態に保ち、高品質・効率的・安定的な農業が行えるようにサポートします。

センサーを配置することで、ハウス内の温湿度ムラをモニタリングすることができます。定期的に収集したデータは3次元(3D)表示で視覚的に状況を把握しやすく、温湿度ムラへの対策をサポートします。自然の熱源(太陽光)や風を優先的に利用し、作物に負担がかからないよう温湿度設定を行うことができます。ヒートポンプと重油ボイラー加温機の併用利用について、季節・時間による温度昇降に応じて、適切な運転比率を把握し運転するなど、効率的に作物が育つ環境を整えます。

 

夏のビニールハウス環境を改善し安全安心な農業を目指しましょう

空動扇は早朝・日中・夜間といった時間に関係なく、自動的に換気を行ってくれますので、作物にとって快適な環境を用意することができます。また、管理者にとっても作業者にとっても安心して仕事に専念することができます。ビニールハウスの高温環境を改善し安心安全な農業を目指しましょう。

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