コラム
ビニールハウスの台風・強風対策|作物を守る環境制御システムとは?
公開日2021.01.08
更新日2021.04.10

ビニールハウスの台風・強風対策|作物を守る環境制御システムとは?

近年、異常気象や自然災害が急増しています。猛暑や台風による大変な被害は、皆さんも身をもって体感されているのではないでしょうか。農業における被害状況も深刻で、農林水産関連の被害額は35道府県の地域で数百億円以上と報告されています。台風の被害においては沖縄県などの南の地域に限らず、毎年のように一つは本州に直撃することの被害が増えてきていますよね。

農業の中でも施設園芸におけるビニールハウスを持つ農家の皆さんにとって、ハウスにダメージを与える可能性がある台風や強風は心配ごとの一つではないでしょうか。高額な費用を投資し建てたビニールハウスに被害が及ぶことは避けたいものです。ビニールハウスの保険もあるようですが、一度壊れてしまうと復旧には労力がかかりますので、ハウスが壊れないに越したことはありません。職人不足により復旧作業に取り掛かるまで時間を要するケースもあると聞いています。今回は台風や強風による被害と対策方法を記載していきたいと思います。

ビニールハウスの環境制御ってどんなこと?

露地栽培では、日照や降雨など自然の状態により環境が左右されやすく生産が安定しないというデメリットがあります。自然の状態は人為的にコントロールすることはできず、日照不足や曇天続きのシーズンは作物の光合成機能が低下し、どうしても収量や品質が落ちてしまいます。ビニールハウスを使った施設栽培では外部と環境を分け、自然環境の変化を受けにくくすることで作物の生長を安定させることができるようになりました。

作物が影響を受ける環境要因は、温度・湿度・日照・二酸化炭素(CO2濃度)・肥料などがあり、このような要素を人がコントロールすることで生産を助けることが農業における環境制御です。手作業でビニールハウスの窓を開閉したり、遮光カーテンを設置したり、保温資材を内張りしたりすることも環境制御になります。

制御のレベルは様々で、高レベルな環境制御になるとビニールハウス内外に設置したセンサーをリアルタイムにモニタリングし「天窓やカーテンといった換気設備の開閉」「ホースやスプリンクラーによる灌水」「冷暖房設備を利用した温湿度の調整」「炭酸ガス発生機による二酸化炭素の供給」などを自動的にコントロールすることが可能になり省力化につながります。環境データを蓄積し、作物にとって最適な圃場環境を把握することで、将来の対策に活用することもできます。

台風や強風が発生した場合に予想されるビニールハウスの主な被害

上記の通り、環境制御ができるビニールハウスでの栽培はメリットが多いのですが、台風や強風が発生した場合、ビニールハウス自体の破損および倒壊被害はもちろんのこと、生産している農作物が被害を受けるため、収穫量ダウンや生産性の低下といった悪影響につながることが予想されます。

台風、強風の影響で予想される主な被害

風による被害

台風の風速の強さは最大33m/秒以上からと定義されています。最大風速33m/秒とは、走行中のトラックが横転するほどの風速です。このような強風をビニールハウスが受けると、外側の被覆フィルム全体に風が当たりパイプが押されて変形したり、ビニールが浮き立ち、風の力が加わりやすくなることで「ばたつき」がおこり破損します。最悪の場合にはハウスの骨組みの倒壊に繋がります。風で飛ばされてきた障害物でハウスが破損してしまうこともあります。

浸水による被害

河川が近くにある場合は増水により、立地が低い場合は排水能力が不充分により、台風による大雨によってハウス内が浸水してしまう可能性があります。さらに土壌の水はけが悪いと地盤が緩み、パイプハウスの基礎部分の強度が弱まり、パイプが抜けやすい状態になります。
農作物に対しても悪影響を与えます。浸水は根を腐らせハウス内に雑菌を呼び込み、その上悪いことに湿度が高い状態が病気の発生を助長してしまいます。特に苗の時期に病気が発生するとその後の生育不良に繋がり収穫が減少、最悪の場合は近シーズンの収穫自体をあきらめるしかなくなることもあります。

設備による被害の違い

低コスト耐候性ハウス・両屋根鉄骨ハウス・ガラス温室は、飛来物や風による天窓の損壊は見られますが骨組みが破損する被害は少なく、一方パイプハウス(特にビニールの被覆フィルムをはずしていないパイプハウス)は半壊~全壊の被害が多いと言われています。パイプハウスは風速30m/秒以上の風速には耐えられないという傾向があるためです。

台風、強風時にビニールハウスを守るための主な対策

それでは上記のような被害から大切なビニールハウスを守るための対策をお伝えしたいと思います。

ビニールハウスの戸締り

台風や強風の予報が出たときは、ハウス内への風・雨の吹込みの防止の為、出入口・天窓・換気扇など外部と通じている部分はしっかりと固定しましょう。施錠できる出入口は鍵を閉めて、ハウスの戸締まりがきちんとされているか確認します。また風がハウス内部に入らないように隙間があれば塞ぎましょう。

ビニールハウスの補強(業者に依頼しなくてもできる補強)

色々な方向から吹いてくる強風に対して補強を行います。

  1. ハウス内部の棟から軒の間の部分にタイバーでT型に補強、または棟から軒を結ぶように斜材でX型に補強します。
  2. 風を強く受ける妻部分は防風ネットを張って被覆フィルムを破れにくくします。
  3. 肩部分をワイヤー・支柱・補強金具などでとめて補強します。
  4. 「ばたつき」に備えてスプリングやパッカーで被覆フィルムをしっかりと押さえます。

ビニールハウスの周辺を整理する

農業資材はハウスの周囲に置き管理していることが多いですよね。台風による強風で、農業資材がハウスに当たって破損することがあります。台風が来る前に風に飛ばされやすいものは片付けておきましょう。また燃料タンクのような機械がハウスの近くにある場合は、動かないように固定しましょう。
ハウス周囲の排水対策も大切です。スコップやシャベル等で排水できるよう溝を掘って、排水ルートを確保しましょう。さらに土のうを積んで施設への浸水を防ぐことも効果的です。

栽培を終えたビニールハウスのフィルムを外しておく

栽培を終えて使用しないビニールハウスがある場合は、フィルムを外しておきましょう。強風によるパイプの変形及び倒壊を防止することができます。

ビニールハウス内を負圧にしておく

ハウスに換気扇が設置してある場合は、換気扇を作動させてハウス内を負圧にしておきましょう。「ばたつき」をおさえて被覆フィルムが飛ばされにくくなります。しかし停電時においては電源供給がなくなり機能がダウンしてしまうという弱点があります。

ビニールハウスの台風・強風対策におすすめの環境制御システム


そこで紹介したいのがセイコーエコロジアで扱っている無動力全自動換気扇空動扇です。無電源でオートマチックにハウス内の空気を外へ逃がします。ビニールハウスの上部に取付ける簡易なシステムで風力によりファンが自動で回転。ビニールハウス内の空気を素早く外へ放出します。

本来は高温になりがちなビニールハウスの設定温度をオートマチックに換気することで、農作物を温度障害から守るという目的の製品ですが、風を動力として動いていることから台風や強風時にも威力を発揮します。ビニールハウスの外側に突き出ているファンが強風時には最大で毎分1300回転し、ビニールハウス内の空気を素早く外へ放出します。その影響でビニールハウス内が負圧のような状態となり、ビニールとパイプが強く密着。浮き立ちを防止し裂傷・倒壊・破損といった被害を軽減します。台風による停電時にも駆動するのでとても安心です。

サイドのビニールのすそを開けることで外部の空気を取り込み⇒空動扇で排出という風の流れができますので、台風の直撃前にサイドのビニールをサイド換気等でまくることをおすすめします。

設置数の目安は10坪あたりに1機。間口6m奥行50mのビニールハウスに設置すると、16万程度ですから大変低コストで導入しやすいシステムです。最近では国や自治体から出される補助金を活用してコストを抑えながら導入されるケースも増えてきています。お近くの行政の窓口に相談してみてはいかがでしょうか。

空動扇は耐久性も抜群。10年以上使用しても壊れることなく活躍している例もあるほどです。一度購入すれば修理等の手間もほとんどかからない製品です。

まとめ

ビニールハウスの破損や倒壊は、農家の皆さんにとって大きな打撃を受ける被害です。台風や強風という自然災害から大切な資産である圃場を守る為には、適切な事前準備と対応をしていきたいですね。なお静岡県焼津市のホームページにはビニールハウスや温室などの園芸施設の台風対策が記載されていますのであわせて参考になさってください。

ビニールハウスや温室など園芸施設の台風対策

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