コラム
トマト疫病の基礎知識まとめ|発生時の対策と予防(防除)策とは?
2020.01.30

トマト疫病の基礎知識まとめ|発生時の対策と予防(防除)策とは?

トマトの原産地は南アメリカアンデス山脈高原地帯(ペルー・エクアドル)といわれています。ナス科に属しナスやジャガイモに近い植物です。日本では明治時代から食用とされるようになり唐柿(とうし)・赤茄子(あかなす)・蕃茄(ばんか)・小金瓜(こがねうり)・珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)などと様々な呼び名がついています。露地栽培では冬にかれてしまうため1年生植物と思われていますが、本来は多年生植物のため適切な管理を行うと延々と開花と結実を繰返すことができると言われています。

トマト疫病の基本知識

トマトはナス科に分類されナス属(トマト・ジャガイモ)・トウガラシ属(トウガラシ・ピーマン)・タバコ属・ホウズキ属などの仲間がいます。光合成を行うのに日光が大量に必要で光量が十分にあると気孔が活発に動くといわれています。この時にかび(糸状菌)の仲間である病原菌を気孔に取り込んでしまうとフィトフソラ病が発症します。

●トマト疫病(フィトフソラ病)の特徴

トマト疫病(フィトフソラ病)とは水が染みたような暗褐色の斑点ができる病害のことです。茎・果実・葉・葉柄・根など多くの部位に発症します。下葉から発生し次第に上葉に広がっていくという病徴があり、果実では幼果が感染しやすいと言われています。

茎や葉に発生すると一部に不規則で湿潤性を帯びた灰緑色水浸状の小さな病斑が発生し、次第に拡大していき茶褐色から暗褐色の大型病斑ができます。健全部との境は灰緑色になり、多湿時には白色のカビが認められることがあります。

病気になった茎・葉・果実などを放置すると全体に広がり腐敗し枯死します。病斑上では菌が「胞子」を形成し風雨によって飛散するか、毛状の細胞小器官である鞭毛(べんもう)を使って水中を遊泳する「遊走子のう」を放出するかにより、ほかの株に感染していきます。気孔から感染し分子胞子が雨風により感染した場合は直接発芽と呼びます。遊走子のうにより感染した場合は間接発芽と呼び、感染経路の違いにより区別しています。

感染する作物は多岐にわたり、ナス・ピーマン・ジャガイモなどのナス科、キュウリ・カボチャ・スイカなどのウリ科、かんきつ類などの樹木にもうつる恐れがあります。病気になった部位を処理する際は、圃場から持ち出し焼却処理などを行い、他の作物へ影響を及ぼさないようにしましょう。他の圃場から病原菌を持ち込まないよう注意することも大切です。

●トマト疫病の発生時期・原因・条件

トマト疫病(フィトフソラ病)は圃場の土壌中や罹病した被害残渣(ざんさ)の中で、卵胞子の形で越冬し伝染源となります。ジャガイモの塊茎の中でも越夏が確認されているようです。

発生時期
温度と湿度が大きく影響し20℃を超え湿度が高まりやすい4月~10月頃までは多発する可能性が高く注意が必要です。露地栽培では梅雨・台風・秋雨などの時期、施設栽培では9月~11月の曇雨天の多い時期に多く見られ冬でもハウス内を加温している影響で発生することがあります。

発生の原因
水分を好む糸状菌というカビが原因の7割を占めていると言われ、この菌が気孔から植物に入り込み発芽することで発症します。糸状菌は発芽すると糸のように細胞を伸ばし胞子を作ります。土壌中に生息する糸状菌の分生胞子が雨や灌水による泥はねによって植物の葉や茎に付着したり、病理した葉っぱが健全なものに付着したりして気孔にたどり着くと感染します。

発生条件
低温時に1個の分生胞子から多数の遊走子ができ発生源が準備されます。遊走子は15~20℃が発生適温と言われ、多湿になると発育をはじめ21℃で分生胞子を形成し、分生胞子に感染すると発芽がすぐ始まります。遊走子は分生胞子に成長し発芽します。このため圃場の水はけが悪く滞水により湿度が高い状態で、20℃前後の環境が長いこと保たれると糸状菌の胞子が大量に準備されている恐れがあります。また肥料を与えすぎて窒素過多になり、植物が軟弱に成長すると免疫力が低下し感染しやすくなると言われています。

トマト疫病の対処・予防方法

トマト疫病の予防・対処方法は原因菌を圃場内に入れないことが大前提です。定植前に圃場の殺菌(薬剤消毒・熱消毒・病理残渣の駆除)や水はけを良くしたりすることが大切です。収穫期の道具の使いまわしの禁止や圃場に出入りする靴の消毒など菌が移動しないように注意しましょう。

●トマト疫病発生時の対処方法

十分に注意していても罹患してしまうことがあります。病斑が認められたときは外科的処置で摘み取り圃場の外に隔離しましょう。根に近い部分や株全体に病斑が認められる症状の場合は、その株はあきらめ株元の土も含め処分します。この時土壌中の菌がいる可能性がありますので、土からの蔓延を防ぐため、株元のマルチ穴を剪定枝チップで塞ぎます(剪定枝チップ:街路樹や庭木などの剪定枝を細かく砕いてチップ化したもので、雑草抑制や水分保持や泥はねを抑えるなどの効果を期待されています)。初期段階であれば市販の薬剤を集中的に散布することを検討すると良いでしょう。

●トマト疫病の予防策

日当たりのよい環境で水はけが良く雨が降っても泥はねを起こさないようにした圃場で育てましょう。土耕栽培では畝にマルチシートや泥はね防止のワラを敷くといった対策に加え、雨よけハウスを設置するのは効果的です。ただし日陰を作ることは避けましょう。

施設栽培では換気が悪いと蒸れやすくなるので、換気に注意して湿度をできるだけ下げましょう。外気温度が低い時は被覆に結露が発生し水がたまることがありますが、このような状態は冬に発生しやすく水たまりができることで、かび(糸状菌)が増える原因となります。天窓があるハウスは風向きと開放する窓のむきに注意しましょう。風通しを良くするために密植を避け不必要な葉はカットします。

毎年発生する場合は発病時期を特定し、薬剤を予防散布するなど定植前の残差除去や熱消毒を徹底して行いましょう。またトマトの仲間であるナス科(ナス・ジャガイモ)の植物は同じ病気に感染する可能性があり残渣が次の感染源になります。ナス科植物の輪作を避けましょう。

トマト疫病の発生しにくい環境維持をお手伝いする便利な製品

施設栽培においては出来るだけ湿度を下げることが大切ですが、ビニールハウスの換気は手間がかかり、つい後回しになってしまうことはないでしょうか。そこで皆様にご紹介したいのがビニールハウス用の換気扇空動扇です。動力を必要とせず設定温度に応じて換気を行いますのでハウス内に滞留しがちな熱だまりや湿度を逃がします。無電源でオートマチックに作動するため手動による換気作業から解放され時間を節約することができます。環境条件を適切にして被害を未然に防ぐ耕種的防除の手段としてご活用いただけると思います。

トマト疫病の発症リスクを減らす環境作りを心がけましょう

トマト疫病は感染から発病までの期間が短く、発病すると簡単に防除ができないと言われています。治療効果のある農薬の散布もとても大切ですが、作業には時間とコストがかかりますので、トマト疫病が発生しにくいように湿度対策も行うことも心がけ有効に時間を使いましょう。

おすすめ記事
Tweets by SEIKO_ECOLOGIA
セイコーエコロジアのソリューション