養液栽培の基礎知識
●養液栽培とは?
養液栽培とは肥料を水に溶かした培養液によって作物を育てる栽培システムで、ハイドロカルチャーとも言います。土を使わずに植物の根を直接培養液に浸けて、成長に必要な水分・栄養・酸素を根から吸収させ作物を栽培します。水と液肥を同時に与えることができ、土耕栽培に比べて農作業が軽減されます。培養液を衛生的に管理することで、衛生的な作物を育て、季節の影響を受けずに年間を通じて計画的な栽培が可能です。養液タンクと栽培ベッドの間を、循環ポンプを利用し養液が循環する循環式と、かけ流し式の非循環式があります。太陽光の代わりにLED照明を電照する完全密閉型植物工場は、このような養液栽培方式が主流となっています。
リーフレタス・マリーゴールド・ベビーリーフなどの葉菜類やトマト・イチゴのような果菜類に向いており、大根・人参といった根菜類は育った部分を支える土がないため、育てられないと言われています。
●養液栽培の3つの育て方
水耕栽培
培養液の中や表面で根が育ちます。栽培ベッドに養水分を貯めて作物を育てる「湛液型水耕栽培/DFT方式」の他、培養液を浅い水深で流す「薄膜型水耕栽培/NFT方式」、植物の根の一部分のみを液体肥料に浸したり、吸水布などで養分を吸収させる、「毛管水耕栽培」「パッシブ水耕栽培」などさまざまな種類があります。
噴霧耕栽培
培養液を霧状にして根に噴射し植物に吸収させるシステムです。培地を必要とせず空気中より酸素を取り込みます。通常の水耕栽培と比べて水・肥料の使用量を抑えると言われており、低コストで環境負荷をかけずに高品質の作物が作れるとして期待されています。
固形培地耕栽培
根の支持に土の代わりとなる培地に作物を定植します。主な培地はロックウール・ピートモス・バーミキュライト・ココマット・ヤシ殻・杉皮・砂・礫などがあります。
●土を使用した栽培方法との違い
土耕栽培との違い
土耕栽培用の肥料には土から吸収できる栄養素が含まれていないことや、有機肥料のように土壌で活性化することがないため、土耕栽培用の肥料を利用しても上手く育ちません。本来は土に含まれている栄養素や微生物により生成される栄養素も培養液で与える必要があるため、作物の成長に不可欠な全ての栄養素を配合させなければいけません。
【参考記事】植物の栽培に必要な3つの栄養素と、成長を促進させる肥料の選び方
養液土耕栽培との違い
養液土耕栽培とは、土の長所を活かしながら養液栽培の方法を取り入れた栽培方法です。培地には土を用いてチューブの穴から点滴のように少量ずつ、土に浸透するスピードで培養液を施肥します。養液栽培と土耕栽培の長所を兼ね備えた栽培方法です。水・肥料を軽減し、収量・品質ともに向上すると言われています。
養液栽培のメリット・デメリット
●養液栽培のメリット
作物の品質や収穫量が安定しやすい
高品質な作物が育ち、収穫量も安定しやすいと言われています。土を使用した栽培方法は、土壌伝染病の病害や連作障害が起きやすく、成長に必要な栄養素が不足したときに、作物が病気になり害虫が発生するといった生育障害が起りやすいです。養液栽培は、根や茎に病害虫や根腐れが発生する危険性(リスク)が土耕栽培にくらべて低いと言われています。
養液栽培は害虫駆除の薬をあまり必要としないため少量の農薬で維持でき、きちんとした管理を行えば無農薬栽培も実現しやすいというメリットがあります。また根から効率よく栄養を吸収できるため、作物の成長スピードが早く、周年栽培が可能になり収量があがると言われています。
作業の効率化を実現しやすい
土耕栽培では必要になる除草・土寄せの作業・施肥・排水・土壌消毒などの手間が発生しますが、養液栽培では不要です。栽培工程を自動化し省力化につながります。養液・培養液の自動給水システムやコンピューター管理により効率的に作業を行うことができます。再現性の高い栽培方法であり、清潔な環境で楽に農作業を行うことができます。自動化により肥料や水の利用効率が向上し、面積当たりの回転率が高く、大規模化への移行も容易となります。足の高いベッド上に設置して栽培するため、しゃがまずに立ったまま作業ができ農作業従事者の負担が少なくなります。
傷みにくく品質の安定した野菜を作ることができる
完全密閉型の植物工場による水耕栽培であれば、雑菌による痛みを抑えることができ、長期保存ができます。異物混入がほとんどないため、敏感なホテルやハイクラスのレストランなどに納入するケースが増えてきています。栄養を常に同条件で施肥することができ、より管理された作物の生産が可能になります。味にくせがなくなり色や形のきれいな作物を収穫することができます。土を使用しないため、作物が汚れにくく衛生管理が簡単です。
技術を継承しやすい
土耕栽培は、農業従事者の経験を活かしながら、地域の水質・土質・気候などに合わせて作物を栽培しており、知識や技術が感覚的になり後継者への伝承が難しいと言われています。一方、養液栽培は室内の温度・湿度・二酸化炭素・光量・液肥料をコンピューターで管理することができ、データベースに基づいたノウハウの継承が容易だと言えます。
●養液栽培のデメリット
養液を循環させるための設備や外の環境と完全に遮断できる施設など、土耕栽培に比べて初期投資額が大きくなります。また本来土に含まれている(または微生物の活動により土で生成される栄養素)を与えなければならないため、各自で配合できる比較的安価な肥料が販売されていますが、肥料代が高額になりがちです。また普及が進んでいるオランダなどのヨーロッパの農業経営に比べて規模が小さい日本の個人生産者には初期費用が高く導入が難しいため、普及しにくいと言われています。
養液栽培に取り入れたい設備
今回、ご紹介したい製品がセイコーエコロジアで扱っているナノバブル植物活性水「根活」です。肉眼では見えない小さな気泡(ナノバブル)が水中に含まれている栄養素を引き寄せ、根の細胞へ効率良く届ける特長があります。水と空気から作られていますので安全性が高く安心してお使いいただけます。養液栽培にとって重要な根っこを元気にして作物全体を健全に成長させます。
関するコラムはこちらから
>>>ナノバブルを農業に取り入れるメリットとは?導入事例を紹介
>>>ナノバブルをいちご栽培に取り入れるメリットとは?
>>>植物の根における酸欠とは?酸欠の条件や酸素供給方法について解説
未来の農業を切り開く
水耕栽培の中心となる植物工場は、高度な生産方法のため、日本が先頭に立って未来を切り開いていく手法として注目を集めています。栽培管理だけでなく、人的な管理も含めたノウハウの蓄積と、大規模かつ高度な環境制御を行う次世代施設園芸を運営できる人材の育成が必要とされています。今回のコラムを養液栽培導入の参考にしていただけたら幸いです。
コラム著者
キンコンバッキーくん
菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。
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