コラム
植物の栽培に必要な3つの栄養素と、成長を促進させる肥料の選び方
2019.04.16

植物の栽培に必要な3つの栄養素と、
成長を促進させる肥料の選び方

発育不良を引き起こす植物は必要な栄養が不足していると考えられます。植物内の不足した栄養を効果的に与え、作物生産量を低下させないために様々な栄養素を含んだ肥料を使用する必要があります。栄養素には多くの種類があり、肥料を施肥するタイミングも健康な作物を育てるには重要です。農業従事者の方にとっては既知の部分が多いとは思いますが、今回は肥料に含まれる栄養素とその効果や肥料の種類について探っていきましょう。

植物に与える肥料に含まれる三大栄養素

植物の成長には17種類の元素が必要だと考えられています。植物は必須元素と言われるこれらの元素を栄養素として空気・水・土などから細胞内に取り込み成長していきます。生育のために大量に必要とする栄養素を多量要素(窒素・リン酸、・カリウム)、必要量がごく微量のものを微量要素(鉄・マンガン・ホウ素・亜鉛・モリブデン・銅・塩素など)といい、必要量は微量でも不足すると作物の生育に悪影響を及ぼします。

●【17種類の元素】

植物が生きていくために必要な17種類の栄養素は必須元素といわれており以下の通りです。

窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)、酸素(O)、水素(H)、炭素(C)カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ほう素(B)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、塩素(Cl) 、ニッケル(Ni)

特に肥料の三大栄養素と言われている窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)は植物が多く必要とする重要な栄養素です。自然の環境では、落葉・動物の糞尿・死骸といった有機物を土の中の微生物が食べて無機物に分解します。その無機物を栄養素として植物が吸収しますが、圃場では自然のサイクルがないため栄養素を定期的に与える必要があります(※酸素(O)・炭素(C)・水素(H)は自然界にある二酸化炭素(CO2)・水(H2O)から吸収ができる)。このように植物の維持に必要な無機物の栄養素をミネラルと呼ぶことが多いようです。それでは最も重要とされる三大栄養素について少し詳しく見ていきましょう。

●窒素(N)

葉や茎の生育に必要不可欠な成分で植物を大きく生長させる役割があります。植物の細胞をつくるタンパク質や光合成に欠かせない葉緑素の元になる元素です。不足すると葉に含まれているタンパク質や葉緑素が旺盛に成長している株先に送られるため、葉の色が薄く生育不良となります。その影響は「葉が小さい」「分枝しない」といった症状に出ることがあります。反対に窒素が過剰になると栄養が行き過ぎてしまい、葉や茎ばかりが成長して花や実が付きにくくなり、肥満化の影響で植物が軟弱になるため、病害虫の被害を受けやすくなってしまいます。

●リン酸(P)

花や実の生育を活性化させる機能を持っています。エネルギー代謝に影響を及ぼす重要な元素であるため不足すると花の数が減り、開花や結実が遅れるなどの生長不良が発生することがあります。過剰に与えても影響は出にくいと考えられていますが、極端な場合には草丈が伸びないといった生育不良や土壌病害を招くおそれがあります。

●カリウム(K)

カリウムは植物体内の様々な化学反応を促進します。葉で作られた炭水化物を根に送り、根の張りを良くして発育を促す効果があるといわれています。植物を丈夫にして、害虫や病気と気候の変化への抵抗力を高める作用もあります。カリウムが不足すると、下葉の先端や縁から葉が黄色くなって葉が枯れ始め、果実の品質も低下します。リン酸と同様に過剰摂取による影響はほとんどないと考えられていますが、カルシウムやマグネシウムが欠乏しやすくなる場合があります。

 

植物に必要な栄養を効率的に与える肥料の選び方

肥料にはさまざまな種類があります。ここでは「有機肥料」と「無機肥料」の違いや「固形肥料」と「液体肥料」の違いについてご紹介していきたいと思います。

●肥料の種類で選ぶ

有機肥料
有機肥料とは油粕・魚粉・鶏糞・骨粉・米ぬか・草木灰など、植物性または動物性の天然の養分でつくられた肥料のことで、土の中で微生物が有機肥料を発酵させ植物が吸収できる無機物に分解し、その分解された栄養素を植物が吸収することによって作用します。微生物の働きで分解されてから植物が吸収できる養分に変わるため、即効性はありませんが効果は緩やかに持続します。さらに微生物が活性化して土が適度にやわらかくなることで、保湿性や浸透性が良くなり土壌が改良されることもあります。ニオイが強いため屋外の圃場に向いています。

デメリットとしては、過剰に与えすぎてしまうと微生物が増殖する際に窒素を消費しすぎてしまい、農作物に必要な窒素が不足する「窒素欠乏」が発生して生長不良を起こすことです。また有機物の分解によって生じたアンモニアが土の中にたまり、温度上昇や土壌乾燥によってガス化し、作物の葉などへ障害が生じてしまう「ガス障害」が発生することもあります。

有機肥料は手作りすることも可能です。「米ぬか」「油かす」「カキ殻石灰」をおよそ3:1:1の割合で混ぜ合わせ、じょうろなどで水を材料の10分の1程度投入し、再度混ぜます。発酵促進剤を利用すれば、短期間で有機肥料を作成できます。発酵の過程で酸素が入ると堆肥にならないため、できるだけ密閉し保存する必要がありますので、混ぜ合わせたものをナイロン袋に入れて密封し、常温で雨や直射日光が当たらない場所に移動して発酵させましょう。暖かい時期は1ヶ月、寒い時期は3カ月程度で発酵が終わり有機肥料として使うことができます。

無機肥料
無機肥料とは化学的合成や鉱物から生まれた肥料です。作物に必要な成分を人工的に詰め込んだもので栄養の成分量が多く、素早く植物に栄養が届き速効性が高いというメリットがあります。市場で安定的に供給されているため簡単に入手できます。また含まれている栄養素が明確なため植物の生長具合を見ながら与える量をコントロールして使用することができます。少量で効果が期待でき、ニオイが少ないため取り扱いが簡単です。 無機肥料は土の中の微生物に分解されることなく植物に吸収されるため、無機肥料に頼りすぎると微生物は死滅してしまいます。微生物のいない土壌では病原菌や病害虫が発生しやすく、作物にとって大切な土が悪化して結果的にマイナスとなることもあります。

固形肥料
固形肥料とは規定量を土の中に埋めたり混ぜ合わせたりして使用する肥料です。水やりで肥料が土に溶けてから植物の根が吸収するため効き目は緩やかですが、土の成分が改善されるため効果が持続するといわれています。元肥と追肥の両方に使用できます。

液体肥料
液体肥料とは水で希釈して使用する水溶性タイプの肥料です。普段の水やりとして植物にダイレクトに栄養を与えることができるので、簡単に素早く行うことができます。特徴としては効き目が強く、効率良く栄養を吸収できるため追肥に使うのがおすすめです。流動的な肥料のため、肥料をあげすぎたとしても水で流すことができ、与えすぎを防ぐことができます。速効性がある半面、効果が長続きしないというデメリットもあります。

液体肥料は即効性が高く、水耕栽培でも使うことができます。有機肥料は水に溶かすと水が腐敗してしまい根腐れを起こすため使用することができませんでしたが、近年では研究が進み、水耕栽培の溶液の中に有機肥料を無機化させる微生物を生存させることにより、有機肥料を施肥できる「有機養液栽培」と呼ばれるものもあるようです。

●肥料の種類で選ぶ

肥料によって特徴はさまざまです。目的に合った肥料を選ぶと良いでしょう。植物を元気に育てるためには一つの肥料に依存しすぎず、効き目が速い肥料と遅い肥料をバランスよく施肥することが大切です。

速効性肥料
施肥するとすぐに効果が現れます。効き目が強すぎて肥料やけを起こす可能性がありますので肥料が根にふれないようにするなどの注意が必要です。開花期や最盛期など限られた期間ですぐに効果を出したい場合に使います。持続性はないため施肥回数は多くなります。液体肥料のほとんどが速効性肥料です。

緩効性肥料
効き目の速度がゆっくりで、成分が徐々に溶け出し、効果が一定期間持続するものを指します。水に溶けにくい成分を使用して元肥として利用されることが多いです。上手に施肥すれば、追肥の回数は少なくなり、省力栽培が可能といわれています。

遅効性肥料
施肥をして時間が経過してから効果が出始めます。微生物が肥料を分解してから作物に必要な成分が作り出されるためです。一定期間を置いて急激に効果が出始める点が、じわじわと効果が継続する緩効性との違いです。元肥や追肥として使用されます。有機性の肥料はこのタイプです。

植物に必要な栄養素を理解し上手に成長促進させましょう

栄養学は日々発達しており、栄養素と植物の関係は完全に解明されたわけではありませんが、植物が適切に成長する環境を整える為には、与える栄養素(肥料)の選択と与え方が重要です。元気な作物を育てるには適材適所に肥料を施肥することが大切ですね。今回のコラムを少しでも育成の参考にしていただき収量の増加にお役立ていただけると幸いです。

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