コラム
野菜の鮮度を保持する方法│新鮮で美味しい状態をキープするには
公開日2019.08.09
更新日2022.06.08

野菜の鮮度を保持する方法│新鮮で美味しい状態をキープするには

鮮度とは野菜の新鮮さを表す言葉です。新鮮な食材は、食感が良くフレッシュで、味もおいしく感じられますよね。見た目もみずみずしく、光沢があります。新鮮さを保っているのは栄養も保持しているという証拠です。現在は健康や体に良いものを求めている人が多く、質の高い青果物は人気が高くなっています。北海道のトウモロコシや九州のイチゴといった食品を、日本中で地域や季節に関係なく食べることができるのは、品種開発という側面も寄与していますが、加えて保管技術や輸送方法が発展したことが理由としてあげることができると思います。今回は野菜の鮮度が落ちる理由と対策についてお伝えしていきます。

なぜ野菜の鮮度は落ちるのか

野菜は収穫されると、水・栄養分・太陽の光などが供給されない環境へ移されることになり、野菜は大きなストレスを感じることになります。蓄積されている限られた養分で生命活動を続けるため、収穫前とは違った種類の鮮度低下という事象が発生します。鮮度劣化の要因はさまざまです。

  1. 呼吸をして栄養を消化してしまう
    多くの野菜は収穫された後も呼吸をし、呼吸をするときに自分自身の糖分・ビタミンCの栄養分を分解しエネルギーを作り消費しています。収穫後も生命活動を続けようとして呼吸の速度が速まると、その分栄養素の分解も進みますので、鮮度が落ちていく原因となります。
  2. 水分が蒸発してしまう
    野菜は水分を85~95%も含んでいますが、収穫後も野菜の主な成分である水分を蒸発させながら成長していて、このうち5%の水分が蒸発してしまうと、ハリツヤがなくなり、商品としての価値が低下する(鮮度が落ちる)といわれています。野菜は組織が柔らかいうえに、水分含有率が高いため、水分の蒸発の影響を受けやすくなります。
  3. エチレンガスが発生する
    呼吸を促進する際に、作物の成長を早める植物ホルモンの一種であるエチレンガスを出すため、野菜や果物が腐敗する原因となります。エチレンガスは野菜が発するガスで、植物の熟成を進める役割を担っています。成熟し美味しくなるために必要な成分ですが、野菜は収穫後もエチレンガスを吸収するため劣化が進む原因となります。エチレン生成量の多い野菜とエチレン感受性の高い野菜を同時に保管してしまうと特に劣化が進みやすくなります。収穫した際に新鮮でフレッシュな野菜でも、保管や流通の過程において時間の経過とともに鮮度が低下していきます。
  4. 保管状態による劣化
    重力と反対方向に根や茎が立ち上がる性質があるアスパラガス・ネギ・春菊などを横に寝かせて保管してしまうと、生長作用により垂直だったものが曲がってしまい商品価値が失われるケースがあります。また、収穫する際や移動中に傷ついた部分が褐色に変化してしまったりします。このような状態だと味が変わらなくても一般消費者は、見た目で鮮度(というよりも品質に近いかもしれません)が低いと判断する可能性があるわけです。加えて貯蔵中の温度が高すぎたり低すぎたりすることで、障害が起き劣化が速まることもありますし、貯蔵温度により細胞の活動が低下し抵抗力がなくなることで、表面についていたカビが繁殖してしまうこともあります。

野菜の鮮度保持が大切な理由

野菜の鮮度が落ちると起こること

野菜の鮮度が落ちると変色します。青果物が黄色や茶色などに変色し、しなびてしまいます。ほうれん草や小松菜、ピーマンなどの緑色の野菜はクロロフィル(葉緑素)が分解され、鮮やかな色味が失われ、彩りが悪くなります。クロロフィルは野菜が光合成を行うための必須物質で外観の色に影響を与える重要な成分です。また、収穫後も野菜が生命活動を継続して行うために、エネルギー源である糖分が分解されることで、野菜の甘味がなくなり、味が悪くなってしまうと言われています。さらに老化が進むと黄色化が進行し異臭が発生するなど腐敗していきます。

大切に育てた野菜の商品価値がなくなる

鮮度がなくなると当然ながら見栄えが悪くなります。特に日本の消費者は野菜や果物を購入する際に見た目を気にしますので、スーパーや農協なども味はもちろんのこと、見た目の悪い作物は仕入れをしないような傾向にあります。最近では、見栄えを気にしない消費者も増えてきていますがまだ少数だと思います。また、味が良くなければリピーターもつきませんので、継続した取引が難しくなってしまいます。

野菜の鮮度を保持する方法

野菜の保管方法を工夫する

野菜は呼吸をすることで、自分自身の養分を使い、水分を発散させながら成長を続けていますので、呼吸を抑えるために低温・低酸素・高二酸化炭素状態(例えば冷蔵庫に入れる)にして野菜の呼吸と水分の蒸発を抑えることが大切です。栄養分の分解や水分の蒸散、エチレンガスの生成を抑えることで、鮮度の低下を防ぐことができると考えられています。クリップやチャックなどのついた水分を保てるフィルムで包装し保管すれば、水分の蒸発を抑え乾燥や酸化を防ぐことができ、より効果的に保管することができます。ただし、熱帯や亜熱帯など温かい地域に起源を持つような夏野菜・秋野菜は温度が低すぎると低温障害を引き起こす可能性があるため注意しましょう。

冷蔵庫内の環境を整える

多くの野菜にとって、鮮度保持に最適な湿度は90%以上で、湿度100%を超えると結露が発生し、野菜を痛めてしまうと言われています。湿度を適切に保つことが大切です。ただし、ショウガ・玉ねぎ・ニンニク・山芋など一部の野菜は65%程度の湿度が適しているといわれていますので注意しましょう。エチレンガスの生成量と感受性は、野菜の種類により異なりますが、エチレンガスの影響を受けやすい野菜を扱う際は、エチレンガス分解フィルタを搭載している冷蔵庫の利用や、エチレンガス吸着分解剤を設置することで、さらに劣化しにくい環境を整えることができます。ちぎれた葉や野菜くずからも腐敗を進めるエチレンガスが発生し、野菜の劣化を早めることがありますので、こまめに取り除いてカビや細菌の繁殖を防ぐようにしましょう。

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野菜の鮮度保持に役立つグリーンキーパー

そこで皆さまにご紹介したい製品が、野菜の鮮度保持に役立つ鮮度保持機グリーンキーパーです。エチレンガス分解フィルタを内蔵し加湿を同時に行うことで野菜の鮮度を保ちます。湿度90%以上100%未満の空間を整えて、野菜の劣化を進めるエチレンガスを除去します。設置工事は不要で電源がとれる場所であれば、どこでも設置することができ鮮度保持に適した環境を実現します。水の気化を利用することで省エネルギーな運転を行うことができ、電気代を気にせずに使用できます。

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最適な保管方法で野菜の鮮度を維持


せっかく新鮮な野菜を収穫しても、保管方法を間違えると劣化が進み、味が落ちてしまいます。野菜を休眠状態にして、余計なエネルギーを使わせない状態を整えることが大切ですね。野菜を新鮮に保てる環境を用意して、フレッシュな状態で管理し、ロス率を削減できるように心がけましょう。

野菜の鮮度を保持する方法│新鮮で美味しい状態をキープするには

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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