コラム
栽培技術の不足による作物への影響とは?設備導入で効率的な農業を
2019.11.28

栽培技術の不足による作物への影響とは?設備導入で効率的な農業を

日本は南北に長い弓なり国土であり、中央部に急峻な山が背骨のように連なった起伏に富んだ地形で、四季のはっきりとした亜熱帯から温帯の気象条件です。このため、雨(梅雨・秋雨)や雪の影響を受けやすい地域や、台風が頻繁に来る地域など、日本と一言で言っても様々な環境があります。また海に囲まれているため黒潮や親潮のような海流の影響も受けやすく、多種な気象条件下において、各土地の土壌に適した作物を選ぶ必要がある特殊な国と言うことができます。水はけの良し悪しや、粘土層・砂礫層・火山由来の土壌など様々な特徴があります。日本人はその土地土地の環境に合わせて、適した農産物を栽培してきました。さらに地形に手を加えることや、土地の環境に影響を受けにくい施設栽培を行うで、高付加価値な作物を育成する工夫もしてきました。

農業の主な栽培方法

●畑作

水をたたえずに作物を栽培する手法です。水を引きにくい、または水はけがよすぎる培地が適しています。水田と比べると水が少なく、土中のミネラルや養分が作物に影響を与えやすい環境のため、土壌の良し悪しが作物の品質や収穫量に影響を及ぼしやすいと言うことができます。客土・深耕や土壌改良・化学肥料・堆肥の使用を施用した土づくりに加え、pH値の改善などが必要になります。

土は、無機質の岩石が風化し細かい粒子になったものと有機物が混ざり合い、塊を形成したものです。ミネラルの含有量やpH値が場所ごとに異なります。隣り合った圃場でも、地層の違いで土地条件が変わってしまうことが知られています。例えば、ブドウの産地ボルドーでは一区画圃場が異なるだけで、等級が全く異なるブドウになると言われていますので、その土地に合った作物選びや土壌改良が重要です。

畑作では、同じ耕地に異なる種類の作物を一定の順序で栽培する輪作が一般的ですが、同じ土地で同じ作物を育て続けると、土壌成分のバランスが崩れ、病気や発育不良などの連鎖障害が起きやすくなります。例えばトマトを連作すると、チッソ・リンサン・カリのいずれかが不足して来たり、特定のミネラルが不足し土壌バランスが崩れたり、病原菌が残さとして残り、圃場に蔓延し次年度の発病の原因となります。これを避けるため、一定の順番で圃場を変え栽培していく輪作が良いと言われています。

●稲作

水を貯めた農地で稲の栽培を行う農業のことです。潅水した農地で栽培される水田稲作で、土を耕し平らにならした土地に、水が逃げないよう畔を作り、水をたたえて栽培する方法です。畑で作る陸稲(粳米)は近年ではほとんど見かけなくなりました。水耕で籾を直播すると、籾は水面に浮きあがってしまうため、一度発芽させ苗の状態になったものを定植する方法が一般的です。

苗づくり
籾の選別(水に浸し軽いものは浮くことを利用、割れた物等は除去)を行い、消毒を行った後、発芽しやすくするために水分を吸収させ、土を敷いた箱(苗床)に籾(種)を撒いて苗を育てます。以前は露地で栽培する方法でしたが、田植え機の普及により、土を引いた田植え機用の育苗箱に籾をまいて育てる方法が主流となっています。田植えにできる状態になるまで約1か月かかりますので、乾燥させないよう水やりを行い、保温をするようにしましょう。

田植え
田植えの準備は苗づくり前から始めます。圃場は秋の収穫後に水を抜いて乾いた状態です。土を乾かすことでチッソが増加し、土中の微生物の活動が促進され、土壌成分が改善されると言われています。春に肥料や有機物を混ぜながら土を深く耕すことでより良い土壌を準備することができます。前年の刈取り後にレンゲ等の緑肥を蒔いたときは、田植えの時の緑肥効果が得られるようしっかりとすき込みます。その後水を溜め、土をさらに砕き混ぜて土の表面を平らにする代掻きという作業を行います。ここまでの作業が終わったら田植え機で苗を植え付けます。この時、畔から水漏れが起きないよう畔の養生を行います。

水田に稲を植え付ける際には1カ所に植える株の本数・深さ・間隔に注意が必要です。1か所には数本を束ね、3~5cmぐらいまで差込み、約15~20cm間隔で植えます。稲が成長すると株元は大きく広がりますのでそれを考慮して間隔を取ります。

手植えする場合は持ちやすい束にし、ある一定範囲を後ろに下がりながら植えます。一定間隔を保つために、支柱や縄、はしご状の型つけを定規替わりするなど、地方によってさまざまな方法で行われているようです。近年は、田植え機の普及により省力化が図られ、植え付け間隔の精度も上がってきました。GPSを利用した無人田植え機の実験も始まり、ますます省力化・大規模化が可能な環境も広がりつつあります。

水田の管理
「田んぼの管理は水の管理である」といわれています。水源が近い場所では、水温が低く取り入れ口に近い田圃は、常に冷えた状態になり、生育が遅くなります。できるだけ均一の温度の水が引き込めるよう水路を工夫しましょう。稲の成長に合わせ、水の深さを調整します。場合によっては根張を促進させるため、水を落としひび割れをわざと作り、酸素を供給する生産者もいます。気温・日照量も重要な要素になりますがこればかりは、お天道様次第ということでしょうか。稲刈りの時期が来たら、水を落とし稲刈り準備を始めます。

稲刈り
稲が実ってきたら刈取ります。稲刈りは、刈り取った稲わらを束ねハの字にし、稲架けにかけ天日干しをし、十分乾燥させた後で、脱穀機にかけ籾にしていましたが、現在ではコンバインで刈り取り後、脱穀機で一機に籾殻を取り除く方法が主流となっています。籾にした後乾燥機にかけ水分を飛ばします。刈取りの時期が遅れてしまうと、米が割れたり艶が悪くなる原因となります。通常、米の収穫は台風襲来時期と重なる時期でもあり、風で倒され稲穂が水につかるようなことがあると商品の価値がなくなってしまいますので、収穫時期をいつにするかの決定は慎重に行う必要があります。

●花き栽培

観葉植物や生け花、盆栽などの観賞用植物の栽培を総称して「花き栽培」と呼びます。大まかに鉢物・切り花・球根・花壇用苗ものの4つに分類されます。野菜や果実などの食品になる作物に比べ、栽培に広大な土地を必要としません。また花き栽培の種類は多岐にわたり、同じ品種でも色の系統が異なるなど、少量多品種栽培のため、競合が起りにくく市場が安定しているというメリットがあります。

花き栽培は品種によって栽培方法が大きく異なり、原産国の気象環境に合わせる必要があるため、どのような施設にどのような環境管理設備をそろえるのか、温度や湿度等の測定をどこまで行うのかなど、細かい管理が必要となります。露地・ガラス温室・ビニールハウスなど、どの栽培方法が適しているのかを見分けなければいけません。この環境の違いで種をまく時期方法・苗の植え付け・肥料のやり方・水の管理などが変わってきます。

栽培技術の差による作物への影響と対策

栽培技術の差は、反当り収益に現れます。品質の高い作物を、高値が予想される時期に出荷できれば、高付加価値が認められ、結果収益が上がります。この技術の差は、作物の生育状況の観察力によるものと考えられています。作物は土・水・太陽の影響を受け育っており、作物の成長ステージに応じて、良い影響を与えるものと悪い影響を与えるものがあります。良い成長のステージを経ていれば、次の段階でも順調に成長する土台が出来ているため、栽培しやすいと言うことができます。種に十分な水を与えないと発芽しにくいとか、低温にさらさないとダメとか、日照時間が長くならないとか、発芽しないとか、作物の特徴をよく理解してそれぞれの時期に適した管理しないと、作物は答えてくれないということです。

●未熟な栽培技術により引き起こされる主な被害

作物は出来るだけ原産国に近い環境で行うのが良いと言われています。温度・水はけ・日当たりなどに加え、土壌の酸性度(pH)など栽培する作物に適した環境を整えることが大切です。土壌が悪いと作物に栄養がうまく行き渡らず、発育不良になるおそれや、病害虫にかかりやすくなり圃場全体へ病害が広がるなど、収量が減少する大きな要因になるため注意が必要です。

圃場の周りのあぜ道やのり面の雑草は、こまめに刈り取ることをお勧めします。圃場内の雑草駆除は当然ですが、圃場周辺の雑草も病害虫の恰好な隠れ家となります。おろそかにすると、自分の圃場だけでなく、近隣の圃場にも被害を与えかねません。害虫に舐められたり、かじられたりすると色が変色したり、傷がつき変形したりと売り物にならなくなります。また、菌糸や細菌やウイルスが原因の病気にかかった場合、影響を受けた葉っぱ・茎・根などを取り除き、圃場から隔離処理を徹底しないと、次に同じ作物を作った時の感染源になります。

無機物や有機物(堆肥)などの土壌改良材を投入しながら、不足している成分を補うため他の場所から土を搬入する客土や、深耕し耕地の表層と深層を入れ替える天地返しなど行い土壌環境を整えておく必要があります。有機物(堆肥)を入れるときは、十分発酵させ熟成したものを入れるようにしましょう。発酵が十分でない堆肥は雑菌が含まれている恐れがありますので、腐敗菌等をばらまき病気の原因を作る恐れがあります。

●未熟な栽培技術を補う方法

日本では農業後継者不足の問題を解決するため、農地を集約し意欲のある人にまかせやすくしようという動きがあり、未経験者でも就労できるよう支援設備の開発が進んでいます。規模拡大がしやすい露地栽培ではGPSを使った位置測定により、無人で耕すトラクター・種まき機・コンバインなどが開発されています。さらにドローンを使った画像解析で病気の有無や、収穫時期の予測が出来たりと、従来は属人的であった仕事を機械に任せようとしています。

施設栽培でも温度や湿度管理を自動で行い、最適なタイミングで肥料を与え、人工照明を行うことで狙った時期に出荷を可能とする支援技術への期待が高まってきています。今まで経験と勘に頼っていた継承しにくい技術やノウハウを、蓄積したデータやAIの画像解析を活用し、生産に必要な最適解が簡単に得られるようになります。市場に普及していくことで導入コストが安価になれば、誰でも高品な作物の安定生産が可能になるかもしれません。消費者にとっても喜ばしいことです。

技術不足をカバーし高品質で生産が安定

積極的に農業設備を導入することで、効率的な農業を実現できる世界が見えてきています。従来、人の手で行っていた作業を機械に任せ、栽培法やノウハウを数値化し、システムを上手く運用することができれば、高品質で安定した作物を生産する経営が可能となるのです。

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