はじめに|肥料とは
はじめに肥料とは、簡単に言うとうまく使えば植物の生育を促進したり、健康を維持したり、収量を上げることができる栄養分のことを指します。
農林水産省の肥料の定義では、肥料とは肥料法において、①植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学変化をもたらすことを目的として土壌に施されるもの、②植物の栄養に供することを目的として植物に施されるもの、と定義されています。
参考:肥料法の概要
そもそも植物には“これがないと生きられない”という元素があり、それを必須元素と言います。必須元素は以下の表の通り17種類あり、多量要素と微量要素に分けられます。
植物の必須元素(17種類)
多量要素 | 窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄、炭素、酸素、水素 |
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微量要素 | 鉄、マンガン、亜鉛、銅、塩素、モリブデン、ホウ素、ニッケル |
多量要素の中の窒素・リン酸・カリウムは肥料の三要素と呼ばれ、収穫物に吸収されて畑の外に持ち出されやすいため、供給する必要があります。微量要素に関しては、本来土に十分あるため散布する必要はありませんが、土がアルカリ性になると不溶化して欠乏することがあるので注意が必要です。
肥料の種類
肥料は大きくは「普通肥料」と「特殊肥料」に二分されます。普通肥料は「登録肥料」や「指定混合肥料及び仮登録肥料」に分かれ、それぞれまた細分化されています。詳しくは農林水産省のホームページに掲載されていますので以下リンク先をご参照ください。
液体肥料(液肥)とは?~使い方と使うタイミング~
液肥は肥料成分を水に溶かした液体の肥料のことを指します。ほとんどの液肥は化学肥料を使用していますが、一部有機肥料や活力剤を配合した液肥も存在します。液肥には各メーカーより様々な商品が発売されています。家庭菜園の方では「ハイポネックス」、生産者の方では「メリット」といった商品名を思い浮かべるのではないでしょうか。
以下では液肥の使い方と使うタイミングを解説します。
土壌散布
水で希釈して土壌へ散布します。希釈倍率は商品によって異なりますので、パッケージを確認しましょう。家庭菜園の場合はジョウロ、農業の場合は散布機で散布します。この時のポイントですが、土が乾いているとせっかく散布した液肥の栄養素が農作物に届きません。従って土が乾いている時は肥料濃度を下げて水分量を上げてから散布しましょう。散布のタイミングは農作物の状態によって変わりますが週に1~2回が目安です。
葉面散布
水で希釈して葉へ散布します。気孔が存在する葉裏への散布が有効のようです。なお葉物野菜は結球前のみ有効ですので注意しましょう。散布のタイミングは農作物の状態によって変わりますが週に3~4回が目安です。なお気温が高い時に散布すると水分が揮発しやすいため、肥料焼けを起こす可能性があるので注意しましょう。また、雨上がりや朝露などで葉が濡れていると、散布した液肥が薄まることで効果が低下する可能性があるので注意しましょう。
液体肥料(液肥)のメリットとデメリット
メリット
液肥のメリットは何といっても“速効性があること”です。なぜ速効性があるかというと、肥料成分が水に溶けた状態なので、植物の根が吸収しやすいからです。対して元肥で使用する固形肥料は成分が水に溶けだすまでに時間がかかります。液肥は灌水や農薬に混用して使用したり、葉面散布にも使用することができます。栽培期間中の追肥として使うことで、多くの栄養を素早く農作物へ与えることが可能になります。
デメリット
液肥のデメリットは希釈の手間がかかることと、効果が長続きしないことです。後者のメカニズムですが、化成肥料である液肥の主成分は硝酸態窒素です。硝酸態窒素はマイナスイオンですので、土壌のマイナス電荷と反発し合うため、土壌から流亡してしまうようです。
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モーターフォグ導入生産者さんのインタビュー記事はこちら▼
【栃木県いちご農家様】シーズン中に一度も動噴を使用せずに管理!モーターフォグの効果を実感
液肥をうまく使用して農作物を元気に育てましょう
今回は液肥の知識に関して解説しました。液肥は即効性が高いので、効果的に使用することで農作物を元気に栽培することが可能になるツールです。様々な種類の液肥がメーカーから発売されていますので、自分の畑に最適な液肥を選びましょう。本コラムがお役に立てますと幸いです。
コラム著者
満岡 雄
2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Xを更新していますのでぜひご覧ください。
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