就農から今日に至るまでの簡単な経緯を教えてください
高校卒業後、大手時計メーカーの光ファイバーの営業として15年間勤務。その後、栃木県のゴルフ場に転職しグリーンキーパーとして芝生の管理をしていました。父親が従事していた農業が気になり始めたのが40歳手間でした。農地があったので農地にビニールハウスを建設し、いちご栽培を一から始め今年で20年目になりました。
いちご栽培における強み(こだわり)について教えてください
フミン酸・珪酸・亜リン酸・微量要素・過酸化水素といった成分を潅水に希釈して流すことによって、育苗期から土中に根っこをしっかりと張らせることにこだわっています。中でも珪酸が主成分の「リフレッシュ」は200倍(60Lに300g溶いている)を全ての潅水に溶かしています。根張りが良く、根が健康であれば最近の温暖化している気象のリスクに対応のできる強い株ができると考えています。今年は天気が悪くいちごの生育が遅くなりました。その結果、農協組合全体の出荷量は昨年と比較して60%に落ち込んでいますが、「モーターフォグ」で「リフレッシュ」を散布している私の農場は平年並みの収穫量が維持できています。
いちごの栽培方法で気を付けていることや難しいと思うことはありますか
湿度管理と肥培管理が難しいと思います。湿度は高すぎるとミツバチが弱ってしまいますし、うどんこ病も出やすくなり、軟弱徒長になってしまいます。「リフレッシュ」を潅水と葉面の両方に施用することでそういった病気の予防になっていると実感しています。「リフレッシュ」を使用してからは今のところ栽培において大きな失敗をしたことがありません。
最近では育苗期から気温が高めですし、寒暖の差がない気候になってきていると感じます。そのため、肥料を与えるタイミング(肥培管理)が難しいです。とにかく根張りを良くすることを心掛けています。
「モーターフォグ」を導入しようと思った理由と導入後の感想を教えてください
動噴を使用して300~500Lの農薬散布をするのは手間と農薬コストがかかります。またマルチシートの上に水が溜まり、いちごが水没し、果実が傷んでしまうことで出荷量が落ちることが悩みでした。動噴に替わる方法としてエンジン式の噴霧機を導入しましたが、エンジン本体が高熱を持ち薬液が60~70℃に熱せられて劣化してしまうこと、薬液の粒子が粗いために空気中に浮遊しづらいこと、エンジン音が近所迷惑になることが課題でした。そんな時、日本農業新聞に掲載していた「モーターフォグ」の広告に目が留まり、デモ機を借りて使用したら効果が良かったため購入しました。購入後約5年ですが、一度も故障せずに活躍してくれています。
「モーターフォグ」の具体的な使用方法を教えてください
「リフレッシュ」の上澄み液を週に1回、総ハウス面積約2700㎡に対して12Lを噴霧しています(※詳しくは表1をご参照ください)。作業時間は1時間くらいです。また月に一度、上澄み液にアザミウマやうどんこ病を防除する農薬を既定倍率で希釈して噴霧しています。噴霧するタイミングは内張りカーテンが閉まった夕方もしくは雨の日に行います。サイド換気や内張りカーテンが開いていると湿度が上がらないので、風が侵入し霧状の薬液が空気中に安定して留まりません。必ずしっかりと閉めることをおすすめします。この方法で9月に定植してから一度も動噴を持ち出さずに5月まで管理できています。メーカーの土佐農機からの情報だと「リフレッシュ」の上澄み液を毎日噴霧している人もいるようです。とにかくマメに噴霧することが効果を出すコツです。
鉄骨ハウス ① |
鉄骨ハウス ② |
単棟ハウス ③ |
単棟ハウス ④ |
|
---|---|---|---|---|
間口(m) | 6.6 | 6 | 5.4 | 5.4 |
棟数 | 5 | 5 | – | – |
奥行(m) | 25 | 52 | 30 | 30 |
面積(㎡) | 825 | 1560 | 162 | 162 |
リフレッシュ上澄み液 噴霧量(L) | 6 | 4 | 1 | 1 |
表1 ハウス面積とリフレッシュ上澄み液の噴霧量
今後取り組みたいことはありますか
いちごの重要病害であるうどんこ病を抑制する紫外線ライトを導入してみたい。うどんこ病が発生する場所は毎年決まっているので少量で試してみて発生のしかたによって追加していきたいと考えています。
「モーターフォグ」の導入へ向けて検討される方にメッセージはありますか
動噴を使用して約2時間かけて300~500Lを農薬散布するよりも、「モーターフォグ」を使用して定期的に噴霧したほう労力はかからないと思います。また動噴は散布量が多いため、植物体にしっかりとかかり、効果が出やすいと思いがちですが、「モーターフォグ」は動噴と比較するとかけムラがないと感じています。そして傷む果実が出ないのでロス率が減りますし果実がびっしょりと濡れないので、特に観光農園を経営されている方はおすすめだと感じています。
コラム著者
満岡 雄
2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Xを更新していますのでぜひご覧ください。