コラム
ビニールハウスを自作する方法│事前準備から組み立てまで
2020.06.15

ビニールハウスを自作する方法│事前準備から組み立てまで

6月に入り九州地方からは梅雨入りの便りが届くようになりました。新型コロナによる影響で在宅勤務中ですが、テレビやインターネットなどのさまざまな情報を見ていると、家庭菜園にチャレンジしてみようという企画をたくさん発見しました。室内用の温室を使った観葉植物の育て方から、庭やベランダに設置する家庭用向け温室の紹介までが様々な企画がありましたね。最近ではDIYを扱っているホームセンターなどで、本格的なミニハウスの組み立てキットやプロが取り扱う材料が購入できます。興味のある方はご自分でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。今回はビニールハウスを自作する方法をご紹介していきたいと思います。

ビニールハウスを自作する方法:事前準備

ビニールハウスは太陽の光による熱を集め、ハウス内の温度を一定以上に保ち、その環境の中で植物や動物(昆虫・魚など)の育成を行うことが出来る空間です。さらに環境を整えたければ(環境制御)電気などのエネルギーを使うことで可能になります。

ビニールハウスは温室の一つの姿です。温室の基本的な構造は一定の空間を区切り、日照エネルギーを出来るだけその空間に閉じ込め、日照がない時間にそのエネルギーを長く利用しようという考えです。空間を区切る機能としては透過性がある膜(主にビニール)が使われ、この膜は自立することが出来ないものが多いので構造物(金属パイプ・木材など)で骨組みを作り自立させます。

●設計

・ビニールハウスを設置する場所を決める
ビニールハウスを設置する場所は日照エネルギーが得られやすい場所が望ましいです。また風か強いと構造物の強度を下げたり、基礎をしっかりしないと飛ばされたり、壊されたりする恐れがあります。風当たりが少ない場所を選びましょう。家庭菜園の場合、建物(例えば車庫)の南側を家庭菜園にできれば、この書庫の壁を利用してビニールハウスが作れそうです。なお設置する方角は南北方向が最も多いようです。作物によって東西方向が良い場合もありますのでインターネットでなど調べてみてください。

・ビニールハウスの大きさを決める
設置できる土地面積からビニールハウスの大きさを決めます。農機具の仮置き場や水置場が必要であればそのスペースを考慮しましょう。土地面積に対して目いっぱいの大きさにしてしまうと使いにくくなることもあるので注意してください。つづいて床面積が決まれば、出入りする方向と高さを検討します。温室の特性は容積が大きいほど温湿度の変化が緩やかといわれています(容積が小さいと温度が上がるのも早いですが、下がるのも早いです)。ホームセンターのDIYの担当者や、ビニールハウスメーカーの担当者に相談するのも良いと思います。

・被覆の規格を決める
ビニールハウスに使われている被覆材は主に2種類あります、農業用塩化ビニルフィルム(農ビ)と農業用ポリオレフィン系特殊フィルム(農PO)です。作業性・取り扱いが初心者でも簡単といわれているのは農ビです。価格が比較的安いのですが耐久性が低く1~2年で張替えが必要といわれています。農POは3~5年の使用が可能といわれています。使用する被覆の種類によって保温効果も差があるようです。

・防虫ネットの種類を決める
サイドや天井の開閉部に虫の侵入を防止するために防虫ネットを使用することもおすすめです。目合いのサイズ、色などで性能が変わったり、メリット・デメリットがありますのでよく調べて栽培する植物に合わせて選定しましょう。

・パイプの規格を決める
ビニールハウスの柱や梁といった構造部材の材料を決めます。一般的には金属材料(鉄)であるパイプを使用します。ハウス用として売られているものは主に19mm径と22mm径があります。19mm径は比較的リーズナブルです。22mm径は耐久性が高く、後程ご紹介する換気扇、天窓他の設備を検討し強度を高めたいときはご検討ください。その他、建築用足場(48.6㎜径)や間伐材を利用して作る方法もあります。

・換気や温度・湿度調整の方法を決める
ビニールハウスの基本的な機能は日照エネルギーを蓄積し、気温が下がる時間帯にこれを利用し保温することです。日照高度があがってくる季節にはハウス内温度が上がりすぎるのと同時に、湿度も上昇します。その対応策として換気設備で温湿度の調整をする必要があります。換気はドアの開閉、サイドの巻き上げ換気、天窓換気などの方法があります。コストはかかりますがセンサーと連動した換気設備もあります、整えたい環境と予算の相談しながら選定しましょう。

●土づくり

ビニールハウスを設置する前に栽培に適した環境に整えておきましょう。土耕栽培を予定している場合は除草し、元肥となる堆肥などを混ぜ込みます。ハウスを建てた後で行うと構造物の隅など農機具が入りにくい場所が発生し、効率が悪くなります。事前に土づくり行いましょう。

●材料の用意

ビニールハウスの標準型は、かまぼこ型の形状をした単棟ハウスです。かまぼこ型の形状は、剛性がある材料(金属製パイプ)を利用し格子状に組み立てるのが基本です。側面、妻面を構成する面の多くは直線で構成し、四角の格子で面を埋めていくイメージでしょうか。屋根は曲線構造(アーチ型)にすることにより耐荷重性が向上します。屋根も上から見たときに四角の格子面で構成されているようにします。格子面の強度を高めるために筋交いを入れ補強する場合もあります。四角の大きさはそれぞれの面であらかじめ決めておくと都合がよいでしょう。

例えば、側面の格子は水平方向45㎝間隔、垂直方向60㎝間隔でアーチパイプを補強(3か所を行う)と決め、天井の補強材(連結構造)をどこに入れるか、妻面をどうするのか、換気方法と構造の補強をどこまでするのか検討を加えイメージが固まれば、材料の概算は見えてきそうです。

ビニールハウス作りで必要となる主な材料

骨格となる材料 主に骨格となる アーチパイプ
骨格の固定、補強 直管パイプ
ビニール止め資材 ビニペットレール
各種留め具 パイプを結合 各種ジョイント
パイプの終端処理 端末フック
ビニールを固定 各種パッカー
育成環境に影響するもの 換気・除湿機能 ビニール巻き上げハンドル
出入り・換気 ドア
保温・温度調節 各種農業用ビニール

・ビニールハウス作りに役立つ機材
パイプを利用したハウスは、パイプを直接地面に立てて自立させる構造が一般的です。そして、現場に合わせ既製品のパイプを加工し組み立てる必要があります。現場合わせで水平を出したり、直角を出したりしますので使い慣れた道具を準備しておきましょう。

ビニールハウス作りに役立つ機材
パイプの切断 パイプカッター
切断面の処理 サンダー
穴あけ用 ドリル
楔打ち込み、他 木づち
高所作業用 脚立

ビニールハウスを自作する方法:組み立て

ビニールハウスの組み立ては、インターネット上の動画で多く紹介されています。これを参考にされるのが良いかと思います。全農群馬県本部での野菜パイプハウスの建て方を参考にして紹介したいと思います。

参考:野菜パイプハウスの建て方(全農群馬県本部)

●側面の組み立て

側面はアーチパイプが並ぶピッチで立てていくことになります。あらかじめ地面に埋め込む長さを決めます。例えば深さ40㎝埋め込むことを予定した場合、実際の埋め込み作業において地面から約20㎝の位置に水糸を張ることで水平を確保します。パイプの長さが全部そろっていると仮定し、埋め込み端から60㎝の位置でそろえて印をつけておけば良いでしょう。同じように、アーチパイプと直行する形で直管パイプを配置、固定しますので、取付位置を決め同じ場所に印を打っておきます。直管パイプにも印をつけ、アーチパイプを45㎝ごとに立てていく予定の場合、直管パイプを必要な本数をつなげて45㎝ピッチで印をつけていきます。最初と最後の印の位置は側面の全体との長さの関係もあり、45㎝取れない場合もあります。

パイプの準備が出来ましたら、ハウスを建てる土地に目印となる杭を打ちます。建てる予定のおおよその位置を決めます。地面を四角く区切るイメージになります。角が4つ出来、このうちの1点を起点とします。その起点から長辺方向を仮決めし、4mの位置に仮杭を打ちます。起点と4mの仮杭に長さ8mの紐(巻尺)をくくり、もう一本の仮杭を使い三角形を作ったとき、三角形の短辺が3m、斜辺が5mとなる位置を見つけます。この時3mの短辺と4mの長辺は直角となるはずです。この3mの位置に立てた仮杭の延長が間口のもう一方のポイントになります。(短辺:長辺:斜辺の比率が、3:4:5となるようにしてください。動画の例では間口4.5mとなっているので、各辺の長さは1.5倍してポイントを決めています。)起点の反対側の間口ポイントを押さえたら、同じことをもう一方の側面ラインで決定します。手順に間違いがなければ、側面の二本のラインは平行を保ち、間口(妻面)に対して直角のラインが出来ているはずです。側面のラインをそのまま延長します。(側面に使用する直管パイプ(接続したもの)で曲りが無ければこれをガイドにするのも良いかもしれません。)延長上にあるもう一方の妻面の位置2点に杭を打ちます(直角が確保されていることを確認してください)。

ここまでで、間口(妻面)の2辺、側面の2辺が決まり、4隅が直角の長方形が出来たと思います。それぞれの辺を外側に50㎝伸ばし補助杭を立てます(8本立ちます)。補助杭を利用し、屋根の位置をそろえるため基準線を張ります。地面から約20センチの位置に、水準器等を利用して水平に水糸を張ります。この水平ラインと高さを揃え、残り3本を水平に保ち張ります(事前準備で、アーチパイプに打ち込み用の目印を付けました、地面は必ずしも水平ではないので、水糸のラインで打ち込みを調整します)。側面を示す水糸に沿って、45㎝間隔で印をつけた直管パイプ置き、穴をあけていきます。両側面におく直管パイプは、直管パイプの印を結んだ線が側面ラインと直角を保つよう置いてください。穴あけは電動ドリルなどが利用できると作業がはかどります。出来るだけパイプが刺さる太さの孔にすると良いと思います。スコップなどで大きな穴をあけると位置がずれやすく強度的にも弱くなりますのでご注意ください。アーチパイプを立ち上げたら、左右のパイプをトップの位置でジョイントしていきます。すべて接続が完了したら、天井部・両肩部に直管パイプを固定金具で取り付けていきます。直管パイプは水平を保つよう注意して取り付けてください(20㎝の水糸とアーチパイプの印も大きくずれないようにしておきましょう)。

ビニール止め資材(ビニペットレールなど)も適切な位置に配置し、固定金具で取り付けます。固定金具は楔式で固定するものがあります。楔を打ち込む方向は揃えておきましょう、楔の向きがまちまちになっていて、すでに打ち込んだ楔と逆方向に振動が加わると、緩む方向に作用するため外れてしまいます。同じ向きに揃えましょう。側面の両側には、直管パイプが飛び出しています。パイプカッターなどで切断、サンダーなどでバリ取りを行い、端末フックを利用し固定しておきます。

●妻面の組み立て

かまぼこ型が完成したら、妻面の組み立てに入ります。妻面は2面できます。出入り口をどうするのか、換気用の設備を設けるのかによって妻柱の配置を考慮します。妻柱は、直管パイプを切断したものを使います。地面に差し込まれているアーチパイプに対し、両面を塞ぐイメージとなります。アーチパイプは真ん中の位置が最も高く両側に行くにしたがい低くなっていきます。妻面を構成するアーチパイプ・妻柱は垂直になるよう注意して取り付けてください。妻柱を打ち込み立ち上げると、若干アーチパイプを飛び出すようになっているはずです。垂直を確認し、飛び出した部分を切断処理し固定金具で接続します。水平方向に適度な間隔でビニール留め資材を設置していきます。

扉をつける側は扉の幅に考慮して妻柱の間隔を決めてください。スライド式(引き戸)の場合は事前にレールを取り付けます。地面が傾斜していると開け閉めがしづらくなりますので、地面をならしたりして水平を確保するようにしましょう(垂直方向も大事です)。固定方法はメーカーによって異なります。施工手順書をご確認ください。ビニール留め資材は、扉の取り付けた後行います(開閉に支障がない場所に取りつけます)。

●ビニール張り

ビニールは原則、下から上に張っていきます。こうすることで上からビニールが覆いかぶさり、雨水の侵入を防ぐことが出来ます。またハウス周辺に裾部のビニール埋め込み用の溝を、鍬などを使い掘っておきます。裾部にビニールを張ります。ビニールには商品名などが書いてありますので商品名が読める方を外側にしてください。ビニールの固定にはスプリングを使用しビニペットレールなどに固定していきます。張り終わったらビニールと一緒に溝を埋め戻します。四隅、ドア反対側の妻面、ドア側の妻面、天井部の順にビニールを張っていきます。四隅は、かまぼこ型側面で妻面に接している部分になります。開閉部がないドア反対側の妻面は側面の裾部分と同じように下から張り、側面のアーチパイプの一部を包む感じで固定します。上部の曲線部分は曲線に合う形でカット固定していきます。ドア側の妻面は、ドア部があり分割されているので分割したいくつかのビニールで張ります。ドア部を逃げた妻面(「捨て梁」と言うようです)と側面を包む形で両サイドに張ります。ドア本体は、付属の固定資材を使い張っていきます。ドア上部は曲線に合わせ張っていきます。

いよいよ、天井部になります。広い面積を作業することになりますので人手は多いに越したことはありません。最低でも4隅に人を配置できれば仕上りも良くできることが期待できます。できれば6人くらい確保しましょう。脚立も複数台必要です。天井が張り終わると最後は、巻き上げ部分の取り付けです。巻き上げ部分の肩部にビニールを張り固定します。ビニールは側面に沿って取り付けられ地面で少し余裕があるくらいです。全部ほどけたときに隙間ができないイメージでしょうか。巻き上げ機を取り付けます。巻き上げ機は、垂直にたてられた直管パイプを上下するときに、水平方向に伸びた直管パイプにシートを巻き取ったり、解いたりすることで、換気機能を実現しています。

巻き上げ部分の肩部より余裕をもって高くなる直管パイプを、妻面から50㎝ぐらい離れた位置で、側面のビニールを巻き取るのに都合が良い場所を選び打ち込みます。巻き上げ機には、直管パイプを固定する構造になっています。直管パイプを連結し側面の長さをカバーして巻き上げ機に届くものを、垂れ下がったビニールの上に配置、方端を巻き上げ機に固定します。直管パイプにパッカーなどでビニールを固定(撚れやしわに注意してください)、ハンドルを回し上昇させると巻き取れるはずです。上下させ確認してください。

※インターネット上には、これ以外にも自作方法が掲載されています。目的に合ったものを探してみてはいかがでしょうか。

※農業をやめる方から中古のビニールハウスの部材や部品を譲り受ける場合もあるかと思います。新品のものと比較しても劣化しているものが多いのであまりおすすめできませんが、費用を抑えられるメリットがあります。

自作ビニールハウスの生産効率を高める設備「空動扇

空動扇(ガラスハウスへの設置は難しい)

・商品特徴
空動扇は電源が一切不要な全自動無動力換気扇です。弁と連動した形状記憶合金のバネが設定温度を感知すると縮んでオートマチック開き換気を行います。施工も非常に簡単で導入後のメンテナンスも不要です。また天窓よりも大幅にコストを抑えて導入することができます。全国各地での導入実績も豊富ですので安心です。

・導入による効果
換気によってハウス内の温湿度を低下させます。夏場の昇温を防止しますので健全な作物の育成を、湿度を低下させますので病気の発生を防ぐ効果があります。また台風等の自然災害にみまわれた際、空動扇のファンは毎分1300回転し、農業用ハウス内の空気を急速に外へ排出します。そのためハウス内の気圧が下がり、ビニールとパイプが強く密着。浮き立ちを防止し裂傷、倒壊、破損といった被害を軽減する効果もあります。

・使用者の声
埼玉県 株式会社TOSIファーム様
ネギ育苗ハウス面積約4000㎡に132機をご導入〈2018年7月ご訪問時のお客様の声〉

ネギの発芽適温は18~22℃で30℃以上の高温だと発芽不良になりやすいという特徴があります。以前は夏場に育苗をする際はハウス内が高温になってしまう為、対策として苗をパイプハウスから露地に移動し潅水していましたが導入後はパイプハウス内の温度上昇を抑えることが出来たため移動が不要になり作業が効率化しました。また作業員がビニールハウス内で快適に作業ができるという熱中症対策としてのメリットもあります。「空動扇のおかげで大変助かっている」との嬉しいお声をいただきました。

>>詳しいインタビューはこちらからご覧ください。

モーターフォグ

・商品特徴
モーターフォグは葉面散布用の小型電動噴霧器です。本体重量は約6kgと小型で持ち運びがしやすく、モーター式なのでエンジン式と比較すると動作音が静かです。葉面散布剤各種を霧状にうっすらとハウス内に充満させることができます。湿度が80~90%の時には20m先まで噴霧できますのでパワフル。葉面散布剤は珪酸が主成分のリフレッシュをおすすめします。

・導入による効果
リフレッシュの上澄み液を定期的に散布(おすすめは一週間に2回、10aあたり4.5L)していただくことにより、動噴による薬剤散布の回数を減らすことができます。また葉を硬く引き締め樹勢を整え、害虫や病気を予防する効果もあります。特にイチゴ栽培農家さんに高い実績があります。

・使用者の声
栃木県 いちご農家様
合計栽培面積3000㎡にモーターフォグをご導入〈2019年1月ご訪問時のお客様の声〉

モーターフォグを使用して5日に一回、10aあたり4.5Lのリフレッシュ上澄み液を噴霧されています。「今冬は寒いにも関わらず玉伸びが良く収量が安定している」また「アザミウマ、コナジラミ、ハモグリバエ等の害虫が発生していない」「継続的に噴霧することが大切」との嬉しい声をいただきました。

>>詳しいインタビューはこちらからご覧ください。

ビニールハウスをしっかり自作して植物の快適環境の構築を

今回はビニールハウスを自作する方法をお伝えしてきました。自作するのは手間ですが、完成した時の喜びは大きなものがあります。またハウスは一度建てると場合によっては十数年に渡って利用していけるものですので、しっかりと頑丈なものを製作し植物の快適環境を構築したいですね。今回のコラムが少しでも参考になれば幸いです。

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