コラム
施設園芸農業とは?メリット・デメリットと始めるときのポイント
2020.03.04

施設園芸農業とは?メリット・デメリットと始めるときのポイント

施設栽培がなかった時代には収穫できる野菜が非常に少ない端境期でも、ある程度は収穫が可能な気候の生産地を選ぶことが経営の安定のために必要でした。どんな時期でもなるべく安定して収穫ができるような拠点を選択することで収量をコントロールし生産調整を行っていました。近年ではハウス栽培の技術が発達したため、これを積極的に利用し育成を早めたり遅らせたりして、地域にとらわれず一年中安定的に生育することが可能になっています。

施設園芸農業の基礎知識

●施設園芸農業とは?

施設園芸農業は小規模なビニールハウスから大規模な鉄骨ハウス、また人工的な光を利用する植物工場まで様々です。温度管理だけ行う簡便な設備から、育成に係るすべての条件を管理できる高度な設備まであります。

普及した背景
家電メーカの冷蔵庫のコマーシャルは、野菜の鮮度を保つ機能を売りにしているように、消費者の要求は鮮度が良い野菜をいつでも食べたいということです。このようなニーズに答える形で施設栽培技術は発達・普及してきました。特にサラダや付け合せに使いやすいトマト・イチゴ・キュウリ・キャベツなどはスーパーなどでいつでも買うことが出来ます。総務省の家庭調査によると、家庭の消費の中で食料品の金額を占める割合が最も高く、安定供給を行うことが求められています。

新規就労者にも人気
農林水産省の「施設園芸をめぐる情勢」によれば、日本の農業産出額約9兆2,742億円のうち野菜・果樹・花きといった施設園芸作物の生産額は約4割を占めます。次世代施設園芸は自らの工夫により高付加価値化しやすく、10aあたりの所得額は露地栽培の3倍という報告もあることから新規参入者の85%が中心作物として選ぶ魅力のある分野です

※参考:施設園芸をめぐる情勢(農林水産省)

主な栽培方法
施設園芸農業は、人工的に気象環境を制御し、植物の育成制御を行い、出荷時期を早めたり、遅くしたりすることが基本となります。最も広く行われていることは、施設内の温度を調整することで制御を行うことです。さらに高度のレベルでは、日照条件・湿度・二酸化炭素濃度・肥料割合等をコントロールすることを行う大規模施設もあります。
出荷時期を早めることを促成栽培、遅くすることを抑制栽培と呼びます。促成栽培で育てられる野菜は主にキュウリやトマトなどがあり、抑制栽培で育てられる野菜はキャベツやハクサイなどがあります。加温することで促成又は抑制が可能な野菜は、制御がしやすいですが、冷温することで制御する野菜は施設園芸ではハードルが高くなります。

施設園芸農業のメリット・デメリット

施設園芸農業は、農業における製造設備を持った工場的発想の施設です。その性格上環境制御の機能があり、その機能を最大限生かし植物を育成し、生産効率を高めていく農業です。このような農業を実際に行う際は、育成する植物の特性をよく理解し、どこまで環境制御を行うのかをよく検討する必要があります。

●メリット

収穫量を安定化できる
露地栽培と異なり栽培環境を自らがコントロールしているので、季節の影響を受けずに作物を育てることが期待でき、収穫量が年間を通じ安定させることが可能です。さらに付加価値が高い作物を選択すれば収入も増え、安定した経営をすることになります。

品質の高い作物を育てやすい
人工的に環境を制御できるため、その作物の成長段階に合わせ最適な環境にすることにより、品質の高く一定のクオリティを保った作物に育てることができます。例えば電照を取り入れる場合、成長段階に合わせ必要な可視光線の色を選択することで品質を高め、二酸化炭素濃度をコントロールすることで光合成を促進させるなど、いろいろな方法を正しく使用すれば、より良い品質の作物を栽培することが可能です。

病害虫の影響を受けにくい
ビニールハウスや温室の環境が外部と切り離されていることが確保できれば、病原菌や害虫が侵入する可能性が低くなり病害虫の影響を受けにくくなります。きちんと管理されている施設では、無農薬栽培も可能となると言われています。

●デメリット

導入に手間や費用がかかる
施設園芸農業は、様々な生産設備を備えた農業形態です。植物の特性や生育時期による制御が必要となりますので、温度・湿度・日照・液肥等々の装置の設置費用とこれを収容する施設の建物費用が発生します。また設備を全て準備するまでに時間もかかりますから、この点も考慮しなければなりません。

施設の損壊リスクがある
日本は毎年台風や大雪に襲われ、最近では治水対策が行き届いていないことによる河川の反乱や水害も頻発しています。現在の研究では地震予測することができないため、全国どこにいても地震対策は必要です。新たに施設を建てる場合、台風・大雪被害においては過去どのような被害があったのかを知っておくことは、ある程度の被害を防ぐことにつながります。強い風が吹きやすい向き、台風通過後の吹きかえしの様子、吹雪で雪がたまりやすい向きなどわかっていれば、対策が立てやすくなり倒壊リスクを最小限に抑えることはできると言われています。

施設園芸農業を始めるときのポイント

新規参入の多い施設園芸農業ですから、ここでは初めて施設園芸農業をスタートする際のポイントをお伝えしたいと思います。

●助成金を利用する

施設園芸は、露地栽培の3倍の反収が見込められますが、いきなり施設園芸に入るのは設備面や資金源でハードルが高いかもしれません。そこで助成金制度等を活用しチャレンジしてみてはいかがでしょうか。施設園芸協会や農業振興に関係するホームページなどで、新規参入者向けの農業振興策で利用可能な補助金情報が掲載されている場合があります。これらをうまく活用し費用を抑えることができます。

●栄養が豊富な土壌を作る

農業の基本は豊富な土壌です。露地栽培でも施設栽培でも多くの場合土耕で行われることが多いと思います。植物を育てる土壌が良い環境であれば、あとはその空間を作物が最も都合が良い環境にするだけです。水はけが良く適度な根粒があり通気性が良い土壌を作ることが出来れば、時期に関係なく育て収穫できるようになります。籾殻堆肥や牛ふん堆肥等の土壌改良剤や、遅行性肥料等をうまく使いフカフカな土壌を目指しましょう。そのような土壌ができていれば、施設内で畝を作っても良い作物が育ちます。

>>豊かな土壌を作るのに役立つ製品
根活 ナノバブルの力で土壌環境を整え根っこに活力を与える
オルガミン 農作物の収量アップに天然発酵のアミノ酸を葉面散布
地力の素 カナディアンフミン 高純度フルボ酸有機質改良材が土壌のバランスを整える

●必要な設備を揃える

施設園芸農業を始めるには、温度管理から始めるのが一般的で日本の場合パイプハウスに加温器があるタイプが最も多いと言われています(温室床面積43,220haのうちおよそ40%の17,308haは加温タイプ)。農林水産省の報告にも、施設園芸農業の課題は環境制御の複合制御が可能な温室の割合を高め生産性を向上させることだと書かれています。施設園芸の先進国オランダと日本の差は拡大しており、1985年にはハウス面積1反あたりオランダ約20tに対し日本10tだったのが2010年で比較するとオランダ約50tに対し日本10tと5倍の差に開いているそうです。オランダの施設園芸農業は大規模化と複合環境制御型から植物工場への集約で生産性を向上させており、環境は異なりますが日本も追いついていかなければなりません。経営規模に見合った設備を導入することにより生産性の向上を目指してください。

>>環境制御に役立つ設備
空動扇 ビニールハウスの温度・湿度を無動力で全自動管理
農業用LED電球 最適な波長で最適な作物の成長

●病害虫の対策をする

病害虫を施設内に入れないことが前提です。圃場周辺の環境整備や、病害虫にとっての隠れ場所をなくし居づらい場所にしておくことは重要です。万が一入ってしまったら捕虫用資材の活用や、天敵の活用で病害虫が繁殖しないよう対策をする必要があります。ウイルス等植物の残差が残っていると、それが次の発生源になりますから。残渣を徹底して排除したり熱消毒するなど、菌を排除することが重要です。圃場内の変化に注意し、万が一発生した場合は薬剤による駆除も必要になってきます。

>>病害虫対策に役立つ設備
モスバリア アザミウマ類やヨトウ・夜蛾類をLEDの光で行動を抑制し拡散を防止
スマートキャッチャー LEDの光で飛翔害虫を誘引して捕獲
静電噴口 静電気の力で薬液を強力に付着

●監視制御システムを導入する

環境制御は施設内の状況を計測し記録すると同時に植物の成長観察が重要となります。ややもすると、加温器の制御盤・送風機制御盤・潅水装置制御盤など導入メーカごとの制御盤が分かれていると、生産者がすべてを把握して制御盤を操作しなければならなくなります。複合環境制御を目指し導入したとしてもシステムの設定に手がかかりすぎれば、かえって生産効率が悪くなってしまいますね。このような場合一元管理が可能な監視制御システムの設置を検討する必要があります。離れた場所からも制御可能であれば、現場に行く時間も短縮出来、複数の圃場を同時管理することもできるでしょう。

>>監視制御に役立つ設備
ミノリタス コントロールによる収量最大化と品質向上を最小の設備で運用

施設園芸を上手く活用し良い作物を効率良く育てましょう

社会のニーズに答える形で、施設園芸農業は日本の産地が広がってきました。現在もいろいろな設備の進化や開発が進み、今後も発展していくと考えられています。このような技術や設備を適切に導入し、効率よく品質の良い作物を育てましょう。

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