コラム
新規就農者が使える補助金一覧│自治体ごとの支援事業の調べ方は?
2020.04.16

新規就農者が使える補助金一覧│自治体ごとの支援事業の調べ方は?

農業分野の補助金という制度は、新しく農業を始めたい新規就農希望者のニーズに応えると同時に、職業自給率を上げたい国や、農家の高齢化に伴い耕作地の荒廃が進む自治体にとって、課題を解決するために役に立つ制度です。しかし、利用者(新規就労希望者)からみると、種類が多いということに加えホームページやパンフレットの用語が専門的であるため、どの補助金が適しているのか判断しづらく、その上申請過程がかなり複雑でとっつきにくいという声が多く聞かれます。

新規就農時に利用できる補助金一覧

農業関連の補助金の種類は非常に多く「農業用機械を購入するため」「人材を確保するため」「経営基盤を強化するため」などと様々な種類があります。

「地域限定のもの」「協同組合のような営農集団(事業集団)を対象にしたもの」「ITやWebの充実を対象にしたもの」と多岐にわたりますのでご自身がどのタイプの補助金が必要なのかイメージしてから、インターネットで調べてみると良いでしょう。それぞれの補助金項目の最後に関連HPのアドレスを記載しておきましたので、そちらもご活用ください。

農業次世代人材投資資金(準備型)

独立や脱サラで就農を目指す新規就農者に向けた補助金で、研修機関や農業法人で研修を積んでいる間の所得をカバーしてくれます。

対象者(条件)
・就農開始予定の年齢が50歳未満
・都道府県が認定する研修機関でおおむね1年以上(1,200時間以上)研修を続ける
・研修終了後、1年以内に就農

交付金額
・年間150万円(最長2年間)
・雑所得に分類されるため、確定申告が必要になる

交付主体
・都道府県や青年農業者等育成センターなどの全国農業委員会ネットワーク機構に申請
・国の承認を経て交付

使途
・制限なし(生活資金としての支給になるため)

<参考Webページ>
農林水産省
全国新規就農相談センター(1200時間研修が受けられる先を紹介)

農業次世代人材投資資金(経営開始型)

就農直後の生活の安定を支援することを目的としています。農業は作物が育つまでに時間がかかり就農開始後すぐに収入が得られることはありません。また新規就農者は経験が少なく、収穫できたとしても販売に耐えうるような品質ではない可能性があり、収入がなくなってしまいますので、事業が軌道に乗るまでの補助として活用されています。

対象者(条件)
・自ら作成した青年等就農計画に即して主体的に農業経営を行っている
・農地の所有権又は利用権を有している
・主要な機械・施設を所有又は借りている
・生産物や生産資材等を交付対象者の名義で出荷取引する
・交付対象者の農産物等の売上げや経費の支出などの経営収支を交付対象者の名義の通帳及び帳簿で管理する
・原則として青年新規就農者ネットワーク(一農(いちのう)ネット)に加入すること

交付金額
・年間150万円(最長5年間)
・夫婦で共同経営者と認められる場合1.5倍となる
・共同企業体を構成する場合、認可されれば人数分となる
・他の生活保護補助金との重複は認めない
・雑所得に分類されるため、確定申告が必要になる

※以下の場合返還を求められることがあります
・資金を除いた本人の前年の所得の合計が350万円以上の場合
・交付期間終了後、交付期間と同期間以上、営農を継続をしなかった場合

交付主体
・原則市町村から国に申請
・都道府県によっては、育成センター(都道府県青年農業者等育成センター)等を交付主体とする場合もある
・国の承認を経て交付

<参考Webページ>
農林水産省

青年等就農資金(無利子融資)

補助金ではありませんが、新規で農業経営を開始しようとする認定新規就農者に対し、無利子で長期貸付する制度です。農業のイニシャルコストは、農地・施設・種苗・肥料・農機具などの設備投資があるため資金が必要になり、金融機関から普通に借り入れると金利で年間に支払うコストは大きな負担になります。担保も不要なケースがほとんどで、中長期的に投資を考えている就農者には使いやすい融資と言われています。

対象者(条件)
新たに農業経営を営もうとする青年等で、市町村から青年等就農計画の認定をうけた者

交付金額
・借入限度額:3,700万円
・特認限度額:1億円

交付主体
・株式会社 日本政策金融公庫
・沖縄県は沖縄振興開発融資公庫(農協・民間金融機関経由で申し込みが一般的)

使途
1.農地・牧野の改良、造成に必要な資金
2.農地・採草牧草地の賃借等に必要な資金
3.果樹の植栽・育成に必要な資金
4.オリーブ・茶・多年草草木・桑・花木の植栽、育成に必要な資金
5.家畜の購入、育成に必要な資金
6.農機具・運送用機器の賃借、事業立ち上げ時の運転資金、農薬、肥料、飼料等に充てる経費等
7.営農に必要な設備(生産・加工・流通を含む)

<参考Webページ>
日本政策金融公庫

農業近代化資金

JAバンクがとり行っている資金融資で、農業施設の増改修・農地改良・経営の合理化・規模の拡大など広範囲にわたり使用することができる資金です。都道府県ごとに条件が異なる場合がありますので各地域のJAバンクに確認すると良いでしょう。

対象者(条件)
1.農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)第12条第1項に規定する農業経営改善計画の認定をうけ認定農業者と認められた農業者・法人、及び一定の条件を満たした集落営農組織
2.認定就農者と認められた者
3.農業所得が総所得の過半(法人にあっては、当該法人の農業に係る売上高が総売上高の過半)を占めていること、又は農業粗収益が200万円以上(法人にあっては1,000万円以上)であること。及び、農業経営に従事すると認められる青壮年の家族農業従事者(法人では専従者)がおり、60歳以下であるか後継者がいる場合など

交付金額
個人:1,800万円 法人・団体:2億円
農協等:15億円(大臣が承認した場合その額)
借入金利 0.1% 償還期間7年~20年(据え置き2~7年)
融資率:原則80%
*認定農業者に対する特例がある

交付主体
申請:JA、農林中央金庫、民間金融用
審査:国で承認(対象者によって、償還期間・据置期間が異なる)

使途
1.畜舎、果樹棚、農機具等の生産、流通、加工に必要な施設の改良、造成、復旧、又は取得
2.果樹その他の永年性植物の植栽又は栽培、乳牛その他家畜の購入育成
3.農地又は牧野の改良、造成又は復旧
4.長期運転資金
5.農村環境整備資金など

<参考Webページ>
農林水産省:https://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/t0000644.html
JAバンク:https://www.jabank.org/loan/nougyo/kindaika/   

経営体育成強化資金

産地競争力や収益力を強化するための補助金で、産地の担い手となる地域農業者を対象としています。経営発展のための「農業用機械・施設の導入」や「安定的に生産・供給を実現するための新しい生産事業モデルへの投資」を途切れずに支援します。

対象者(条件)
農業を営む個人や法人・団体であって、経営改善資金計画又は経営改善計画を融資機関に提出された方

1.農業経営改善計画を市町村に提出し「認定農業者」と認定された方
2.農地取得に関しても一定条件を満たせば利用可能

交付金額
1~3の範囲内でかつその合計額が個人1億5,000万円、法人・団体5億円以内
1.前向き投資・・・負担額の80%
2.再建整備・・・個人 1,000万円(特認1,750万円、特定2,500万円)、法人 4,000万円
3.償還円滑化・・・経営改善計画期間中の5年間(特認の場合10年間)において支払われる既往借入金等に係る負債の各年の支払金の合計額に相当する額

交付主体
日本政策金融公庫

使途
1.前向き投資
・農地等:農地の取得、改良・造成等
・施設・機械:生産・加工・流通・販売等に係るもの
・畜産・果樹等:購入費、新植・改植費用のほか、育成費等
・利用料の一括支払い
(農地の利用権を取得する場合における権利金などの一括支払いが対象となる)

2.償還負担の軽減
・再建整備:負債の整理等
・償還円滑化:借入金返済に必要な資金等

<参考Webページ>
農林水産省
日本政策金融公庫

経営所得安定対策

諸外国との生産条件の格差から生じるデメリットの是正や農業経営のセーフティーネット対策、また飼料の米・麦・大豆といった戦略作物の自給力を高めるため、および自然災害による収量減少や価格低下を保証する制度です。

対象者(条件)
農業の担い手:認定農業者・集落農業・認定新規労働者に対して直接交付

交付金
畑作物により単価が決まります。

(参考)
小麦の場合1反(10a)600㎏の収量が見込まれるとして、この時収入が大きく減額する要因があった場合
(日米貿易協定で、小麦がはるかに安く輸入されることが確定したような場合)

・面積払い(1反)で2万円(作付時)
・数量払いで6,710/60㎏、600㎏=67,100円(出荷時)
・面積払いの適用を受けている場合は、47,100円
・直近5年間の最高・最低を除く3年間の平均を下回った場合、収入減の9割を補填
(積立金制度で国費3、生産者1の割合で積み立てておく)

交付主体
ゲタ対策:国費
(面積と収穫単価により、決まる補助金)

ナラシ対策:国費3生産者1の積立
(生産費用と販売費用の出入りで、赤字になる場合直近5年間データの最低・最高を外した3か年との比較で補てん額が決まる)

申請:農業再生協議会等で取りまとめ、国に申請

使途
・水田フル活用ビジョンにより、畑作に転作した農家の経営所得安定
・日米貿易協定等により、不利益を被る生産者への補てん
・対象作物 ⼩⻨・ ⼆条⼤⻨・六条⼤⻨・はだか⻨・⼤⾖・てん菜・でん粉原料⽤ばれいしょ ・ そば・なたね 等を栽培している農家の補助、2万円/10a(そばについては、1.3万円/10a) 畑作物の直接⽀払交付⾦(ゲタ対策)
・⽶・畑作物の収⼊減少影響緩和交付⾦(ナラシ対策)

<参考Webページ>
農林水産省

強い農業・担い手づくり総合支援交付金

地域農業の担い手として、経営発展の取組を行う農業経営体に対して行う支援事業です。トラクター・田植え機・コンバインなどの農業用機械の購入や乾燥調製施設・集出荷施設・ビニールハウス施設などの改修などが支援の対象になります。

対象者(条件)
A:融資主体型補助事業
地域の担い手(「人・農地プラン」に位置付けられた中心経営体、農地中間管理機構から賃借権の設定等を受けた者等)が融資を受け、農業用機械・施設を導入する際の融資残について「①地域担い手育成支援タイプ」「②先進的農業経営確立支援タイプ」の2タイプにより支援します(補助率:事業費の10分の3以内)。併せて、融資の円滑化等を図るため、農業信用基金協会への補助金の積増しによる金融機関への債務保証を支援します(補助率:定額)。

B:条件不利地域型補助事業
経営規模が小規模・零細な地域において意欲ある経営体を育成するため、共同利用機械・施設の導入を支援します(補助率:事業費の2分の1以内)。

交付金額
A:融資主体型補助事業
①地域担い手育成支援タイプ 上限300万
②先進的農業経営確立支援タイプ 上限個人1,000万円、法人1,500万円

B:条件不利地域型補助事業
経営規模が小規模・零細な地域において意欲ある経営体を育成するため、共同利用機械・施設の導入を支援します(補助率:事業費の2分の1以内)。

交付主体
国費
金融機関からの融資があることが前提となります。

使途
営農に係ることで、融資が受けられるものはほとんどが対象のようです。自然災害や、地域の特別な事情が認められれば補助対象に組み込まれる可能性があります。将来を見据え他事業者との連携に対しても使えそうです。

<参考Webページ>
農林水産省

新規就農時に利用できる補助金の調べ方

補助金を調べるときに、農業従事者(生産者)がどの言葉で定義されているかがわかると、どの補助金が利用できるのかわかりやすいと思います。農業を重点産業としている地域では、産業振興の方向から補助事業を行っていますので産業振興公社の情報も注視されることも大事になります。

農林水産省の逆引き辞典を利用する

農業分野の補助事業は農林水産省が主導し、実施されている物が多くあります。確かに、HP等で公開されているのですが法律用語で記述された内容を理解し、目的の補助金にたどり着くのは大変です。このような声を受け、農林水産省は補助金に関する逆引き辞典をHPに掲載しました。

検索項目は、補助金の対象利用者・利用目的・生産品目・都道府県・事業年次などの組み合わせで検索できます。補助金がうまく活用されている事例もUPされていますから参考にされるのも良いかと思います。補助金だけでなく、融資や税制支援も乗っていますので確定申告などに役立てると良いでしょう。

新規就農相談センターを活用する

新規就業者に向け、さまざまなサポートを行っています就農の仕方、地域情報(住宅事情・生活支援・農地の情報)、研修支援、補助金受給方法支援(農業次世代人材投資資金(準備型))など就農に必要な情報提供を行っています。各都道府県に相談窓口が設置されており電話・メールでも対応しています。

全国新規就農相談センター
都道府県新規就農相談センター一覧

就農相談会・セミナーに参加する

大手農機具メーカーや、種苗メーカーや自治体が主催の新規就農向イベントが開催されることがあります。自治体にとって高齢化と少子化は切実な問題です。地域の魅力を発信し農業をキーワードに地域活性化に力を入れている自治体もあり、移住してきた方には一定期間家賃補助がされたり、営農指導者を紹介してくれたり、生活費の補助があったりと至れり尽くせりの自治体もあります。関心のある方は、セミナーや展示会で就農に関する貴重な情報が入手できる場合もありますので、こまめに情報をチェックすることも重要ですね。

新規就農者におすすめの農業設備

空動扇はビニールハウス向けの無動力全自動換気扇です。設定した温度に応じて自動的に換気を行いますので、手動による換気作業から解放されます。温湿度環境を適切に保ち作物を高温障害から守ります。ビニールハウス設置や改修時に設置することを前提に補助金を申請すると良いでしょう。

「補助金を上手く活用し農業経営をレベルアップ」

農業は自然環境に左右されやすく、また経営が安定するまで時間もかかります。国や行政が用意している補助金を新たなチャレンジに踏み出すためのエンジンとして有意義に活用し、就農や経営を成功に導きましょう。

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