コラム
就農希望者が知っておくべき、農業を始めるためのポイントとは?
2019.09.01

就農希望者が知っておくべき、農業を始めるためのポイントとは?

農林水産省の発表によれば、日本の食料自給率は先進国の中では極めて低い4割程度を推移しており、マスメディアや専門家からは課題の多い分野であると指摘されています。政府は2025年までに職業自給率を45%まで引き上げることを目標に掲げ、就農支援を実施する自治体も増えてきており、農業を職業にすることへの注目度が高まっていることがうかがえます。今回のコラムでは一般の方にはなじみの低い農業を、仕事にすることについての基本をお伝えしていきたいと思います。

就農の基礎知識

●就農の種類

就農の形態は大きく分けて2種類あります。農業法人に就職する雇用就農と、農地を買う、または借りて自分で農業を営む独立就農(自営就農)があります。近年は、脱サラして就農するなど、新たに農業に対して興味を持つ人も多くなっています。

●【種類別】就農のメリット・デメリット

・雇用就農
安定した収入を得ながら農業を学ぶことができ、上司や先輩など手本になる就農者が身近にいて学びやすく、仕事の道筋を会社が用意してくれるといったメリットがあります。ただし、会社の一員として働くことになるため、自分のやりたい農業を実現できない場合があります。

・独立就農
自分自身が農業経営者になり、栽培や管理の年間計画を自分の裁量で決めることができるというメリットがあります。しかし生産技術が未熟な場合は、課題が発生した際に自分自身で解決することになるため、効率が落ちやすいというデメリットがあります。また、農地取得の資金を調達する必要があり、軌道に乗るまで収入が不安定になりがちといったリスクも背負わなければいけません。販売先も独自に開拓する必要があります。

就農するための準備

●情報や基礎知識を収集する

自身の就農イメージを具体化することが大切です。各地域の公的な支援制度がありますので、ホームページなどで情報を集めて有効に活用しましょう。農業人フェアのような就農説明会に参加すれば知識を勉強できますし、全国新規就農相談センターのような相談窓口に行ってノウハウを得るなど、いろいろな方法を使って情報収集を行いましょう。

●農業法人等のインターンシップに参加する

農業法人等では就農希望者に向けて、実際に働きながら農業を学べる農業インターン生を募集している場合があります。将来の就農地や生産したいものをイメージし、目的意識をもって研修を受けることが大切です。事業規模により、作業形態や仕事内容・勤務時間・待遇などが異なってきます。自分自身のやりたいことが、家族経営が向いているか、社員10人以上の比較的大きな農業法人か向いているか、さまざまな視点から検討すると良いでしょう。

●自治体主催の研修に参加する

就農地が決まっている人におすすめなのが、農業者不足を解消するため、地方の自治体が行っている農業研修です。仕事を疑似体験することができます。長期や短期研修など期間はさまざまですから、希望する自治体の役所に問い合わせてみると良いでしょう。

就農するためのポイント

●自分が目指したい農業を選択する

・野菜作り
就農者に人気がある農業です。作目によってある程度の就農する地域が決まってきます。野菜作りには露地栽培と施設栽培の2パターンの栽培方法があります。露地栽培は初期費用を抑えることができ、栽培品目も多様です。施設栽培はパイプハウスおよび付属するヒートポンプといった施設等の導入費用がかかりますが、年間を通して安定した生産が可能だと言われています。作る野菜の市場価値や人気次第で所得や収益率が変わってくるため、自分の作りたい作目がどれほどの売り上げを見込めるのかを調べておくと良いでしょう。

・稲作
稲作で一定の収益を上げるためには広い土地が必要となります。農業用水が必須になりますが、水は集落の資源なので、周囲の理解を得てから始めることが重要です。初期投資としてトラクター・田植え機・コンバインといった重機の費用がかかります。

・果樹
実が成るまでに年数がかかるので、ある程度の運転資金が必要です。地域や気候・土壌の影響を大きく受け、簡単に植え替えができないので、品目選びはよく検討する必要があります。安定して収益を上げるには、ある程度の広さの農園と栽培技術が必要ですから、最初は小規模で行い徐々に規模拡大を目指すのがおすすめです。

・花卉(かき)
切り花・鉢物・苗物・球根・芝など品目は多岐にわたります。小面積でも高い収益を見込めますが、花はデリケートで劣化が早いため、高度な栽培および収穫技術と、市場ニーズの把握する情報収集力が必要となります。花卉の輸入が年々増えており、価格競争にさらされる可能性も指摘されています。単価の高い高級品目を栽培する高級路線か、消費者が求めやすい価格の品目を栽培するカジュアル路線かで経営方法が変わります。

・畜産
酪農・肉用牛・養豚・養鶏などがあります。生き物を相手にするので365日休みなく作業があります。伝染病や病気の予防などに注意が必要です。施設・機械・家畜の購入費用などの初期費用や、餌代など資金が必要になります。リスクを回避するために、畜産農家で研修または就職して、経験と知識を蓄えてから始めるというように段階的に進めるほうが良いと言われています。

●新規就農者をバックアップする機構を活用する

経営していくためには資金調達・経営ノウハウ・農業技術の習得・設備の整備などさまざまな知識が必要です。農林水産省が資金を交付する制度に、農業次世代人材投資資金というものがあり、これは就農前の研修資金や就農直後の経営確立を支援するための給付金です。このような新規就農希望者をバックアップする助成金を活用することはもちろん、技術的な課題や経営的な判断に迷う際には、都道府県や市町村の相談窓口などを活用すると良いでしょう。

日本の農業を盛り上げ明るい未来を作っていきましょう

多くの人が日本の食料供給に不安があると回答しているアンケートもあります。輸入している食料が確保できなくなる可能性を考えると、食料を安定的に供給することは日本の将来のために大変重要なことです。農業を担うことはとても大切な仕事ですが、実際に農業を始める上ではいろいろな課題が出てくると思いますので就農準備を開始する際の情報として今回のコラムをお役立ていただければ幸いです。

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