コラム
ヨトウムシの被害から作物を守るには?予防や駆除におすすめの設備
2019.08.09

ヨトウムシの被害から作物を守るには?予防や駆除におすすめの設備

幼虫が老齢化すると夜行性になるヨトウムシは食欲旺盛で、大量発生すると夜間に葉を食べる音が聞こえてくるほどといわれています。夜中は天敵があまりいないため、長時間にわたり快適に食事をすることができ、葉っぱを食べつくしてしまいます。多くの虫は食べる物が決まっていることが一般的ですが、ヨトウムシは食性が非常に広く、さまざまな種類の作物を好んで食べてしまうというのも厄介な害虫である理由です。ヨトウムシの生態の特徴と、予防や駆除におすすめの設備を紹介していきたいと思います。

ヨトウムシの基礎知識

まずはヨトウムシの基礎知識に関して分かりやすく具体的に記載していきたいと思います。

●ヨトウムシとは

ヨトウガという夜行性の虫の幼虫です。シロイチモジヨトウやハスモンヨトウもまとめてヨトウムシ類と呼ばれます。夜間に活動し、作物を食害することから「夜盗虫(ヨトウムシ)」という名前が付いたとされています。老齢幼虫になると日中は地中で過ごし、夜になると地中から出てきて植物を食べるようになります。若年幼虫は淡い緑色や黒褐色の体色をしており、体長30~50mmほどで葉裏に群生します。老齢になると夜行性になることに伴い、黒や灰色の個体が多くなり体長は40~50mm程度です。地域に限定されず日本各地に存在するため、家庭菜園でも良く発生し、成虫は作物の葉の裏に数十~数百個の卵塊を数回に分けて産み付けて繁殖します。1匹あたり1,000~3,000粒ほどの卵を産み、一度に大量に孵化します。1カ月ほどで蛹になり、土の中で休眠して羽化し成虫になります。

●ヨトウムシの被害が出やすい植物

野菜、花き、果樹に至る極めて広食性の高い虫ですが、キャベツやハクサイなどの葉物野菜や、ブロッコリーやカリフラワー・ジャガイモ・イチゴ・ナス・小松菜などの種類が被害に遭いやすいです。雑食で食欲旺盛であり集団で活動するため、葉に穴を空けて食い散らかされ野菜の食用部分がなくなるケースが多くなります。花・庭木では、パンジーやプリムラ・マーガレット・バラなどが被害を受けやすく柔らかい花弁の部分が食害されることがあります。花だけでなくつぼみも食い荒らされ、花数が減る原因になります。植物の新芽を好んで食べる性質があるため芽を食い尽くされてしまい、野菜や植物が育たなくなるおそれがあります。ヨトウムシは卵からかえると1枚の葉をあっという間に食べつくし、葉が表皮を残しレース状になってしまいます。食べる場所がなくなると他の葉へ分散し被害が広範囲へ拡大していきます。

被害が報告されている植物の一例

植物の分類 植物名
アブラナ科 アブラナ属 アブラナ、ミズナ、タイサイ、コマツナ、カブ、チンゲンサイ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ハボタン
ダイコン族 ダイコン
ナス科 ジャガイモ、ナス
バラ科 イチゴ、バラ
ヒガンバナ科 ネギ属 ネギ、タマネギ
スミレ科 スミレ属 パンジー、スミレ
サクラソウ科 プリムラ
キク科 マーガレット
セリ科 ニンジン属 ニンジン
アオイ科 トロロアオイ属 オクラ
ウリ科 キュウリ属 キュウリ
シソ科 大葉

●ヨトウムシが発生しやすい時期

春から初夏、秋頃に卵を産み付けます。春に産み付けられた卵は、秋に成虫になり、秋に産み付けられた卵は卵のまま越冬し、春に成虫になって新たな産卵場所へ飛び立ちます。特に夏で高温乾燥していると発生しやすい傾向があるといわれています。発生時期には警戒が必要です。

●ヨトウムシとネキリムシの違い

ヨトウムシに似た夜蛾にネキリムシがいます。名前の由来は一見すると根を切られたような被害に見えるため「根切虫」と呼ばれています。ヨトウムシは主に葉っぱや実を食害するのに対しネキリムシは地際の茎を食害します。

ネキリムシの活動パターンは、ヨトウムシと同じく夜行性で日中は地中に潜み夜間活発に行動します。地表を移動し植物に取りつくと、地面付近の茎を齧ります。茎の周辺は根から吸い上げた水や養分を届けたり、葉で作られたでんぷん質などを実に集めたりする、いわば血管のような『維管束系』(葉脈・導管・木管・通道など)がありここを狙うのがネキリムシです。『維管束系』は、植物を支えると同時に、成長に必要な様々なものの配送制御を行う器官ですからここが食害されると、支えきれなくなり横倒しになってしまいます。また、十分な栄養の供給ができずに枯れてしまいます。

ヨトウムシの予防対策・駆除方法

ヨトウムシの被害を未然に防ぎ、駆除する方法に関して記載していきたいと思います。

ヨトウムシは、冬季に気温が下がると圃場周辺の土中でサナギの状態で過ごします。暖かくなると、卵を産み付ける場所を探し移動するようです。定植中や発芽直後の圃場を発見すれば彼らにとっては衣食住が十分そろったパラダイスの環境です。そして人間に発見されなければ大量発生の繁栄が約束されます。そのようにならないように予防に努め、万が一侵入されたら早めの駆除をしましょう。

●ヨトウムシの予防対策

ヨトウムシは、1回に100個ほどの卵を産み付け何回か脱皮をした後に成虫になります。孵化から若齢幼虫のうちは集団生活をしており、昼間に活動しますが、成長するにつれて老齢幼虫となると夜行性になります。

ヨトウムシの予防法は、とにかく圃場に入れないことです。物理的に遮断する方法や、彼らが近寄りたくない匂い・刺激で追い出す方法、天敵昆虫に頑張ってもらう方法などがあります。作物や圃場の置かれている環境により試してみてください。

道具を使った予防
作物に防虫ネットをかけ、ヨトウガの飛来を避けます。露地栽培ではトンネルがけなどを行います。防虫ネットは網目が粗いと小さな幼虫が入ってきてしまいますので、なるべく目の細かいネットを使用すると良いでしょう。また害虫忌避剤を撒く、防蛾灯を照らすなどを行い、成虫の産卵を抑制します。

日頃からできる予防
作付け前に畑をよく耕すことで、土の中にいるヨトウムシや蛹をみつけやすくなります。葉裏に産卵するため、葉ごと切り取って孵化する前に処分すると良いでしょう。周辺に雑草が多いと繁殖や越冬をしやすく、発生要因になるといわれていますので、雑草は丹念に抜いて処分しましょう。

天然の忌避効果や殺虫効果を使った予防
天然の忌避効果が期待できる、コーヒーの出がらしや木酢液、殺虫効果が期待できる草木灰などが知られています。

コーヒーの出がらしを土と混ぜると、幼虫が土中にもぐりにくくなるといわれています。広大な圃場に投入するのは相当な量が必要になりそうです。ガーデニングや家庭菜園のようなところで効果が期待できるかもしれません。

木酢液は、炭を作る過程で植物を構成する成分が、熱分解し水蒸気などと一緒に煙となった気体を冷却するとえられる強酸性を示す液体です。古くは酢酸の原料として利用され、また、農薬として登録をされていたこともあります(現在は農薬としては認められていません)。木酢液を水で数百倍に薄めて植物に散布すると、その匂いでヨトウムシが近づかなくなるといわれています。

草木灰は、草木を燃した後に残る灰のことです。草木灰は、下草を刈ったものや雑木林の落ち葉を集めて積み上げ、火をつけて作ります。十分乾燥させないと煙が大量に発生し大変なことになるので注意してください。草木灰を作る目的の一つに、害虫が刈り取った下草や落ち葉に集まり、それを焼くことで駆除すると同時に、土壌中和剤を作ることです。草木灰は防虫・殺虫効果があるといわれています。また主成分は炭酸カリウムですので水溶液はアルカリ性を示し酸性に傾いた土地を中和することができます。

●ヨトウムシの駆除方法

目視で駆除する
葉の裏面に産卵していたら、葉ごと処理するか手袋をしてすりつぶします。ただし、葉を1枚ずつチェックしたり、処理したりする手間がかかります。また老齢幼虫になると日中は土に潜ってしまうため昼間は目視で探すことは困難です。

殺虫剤で駆除する
オルトラン水和剤のような殺虫剤がヨトウムシには効果的といわれています。老齢幼虫になると殺虫剤の感受性が低下し、薬剤の防除効果が落ちる可能性があるため、若齢幼虫期に防除を行うと良いでしょう。ある程度大きくなり土中に潜むようになった幼虫を駆除するためには、誘殺剤を植物の株元に撒きます。薬剤によっては益虫も減らしてしまうこともあるので、ヨトウムシだけに効果のあるものを選びましょう。ヨトウムシ対策の駆除剤は強力なので、使う際は残留や使用方法に注意が必要です。

米ぬかを使っておびき寄せ除去する
米ぬかを好むヨトウムシの性質を利用し、風や雨を受けにくい場所にトラップとして米ぬかを入れた容器を置きます。おびき寄せたヨトウムシを殺虫剤や手作業で除去します。ヨトウムシは米ぬかを好むのですが、うまく消化できずおなかを壊し、そのまま死んでしまうこともありますので薬剤の使用を避ける場合に適しています。ただし他の虫を呼び寄せてしまうことがあるので注意が必要です。

専用の設備を導入する
LED電球の光を使って夜蛾の活動を阻止できる設備を利用します。ヨトウムシの親であるヨトウガも夜行性のため日中は太陽の光を感じて暗い所にじっとしていて、摂食や繁殖といった活動を控えています。夜に光を照らすことで、日中であると勘違いさせてヨトウガの活動を抑えます。ヨトウガが死滅するわけではありませんが、繁殖活動が行えなければヨトウムシは徐々に減少していきます。

ヨトウムシの繁殖を防ぐおすすめの設備

モスバリアジュニアⅡグリーン
露地・ビニールハウス向けの防蛾灯です。LEDの光がヨトウガの行動を抑制し拡散を防止します。病害虫の繁殖を一世代でストップさせますので果実・野菜・花の被害の減少、薬剤散布のコストや労力削減、天敵昆虫のコスト削減に有効です。モスバリアのLEDの緑色光(波長500~600nm)は露地やビニールハウス内の直径36mの範囲に照射されることにより、ヨトウムシの行動を抑制し拡散を防止します。

 

スマートキャッチャー
吸引式LED捕虫器です。LEDの光でヨトウガを誘引し、強力吸引ファンで専用捕虫袋に捕獲します。推奨設置数は10a(1000㎡)あたり2台ですので手軽に導入ができます。※幼虫に対しては効果がありませんのでご注意ください。

適切な対策を行いヨトウムシから大切な作物を守りましょう

ヨトウムシは夜行性のため、昼間の確認だけでは見落としやすい病害虫です。葉が食べられるまで、まったく気がつかないこともあり、気が付いた時には対策が追い付かず、大切に育てた作物がボロボロになり収量が落ちてしまいます。このような状態にならないように適切な対策を行い、作物を守っていきましょう。

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