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トマトをオオタバコガの被害から守るには?見分け方と駆除方法を解説
公開日2019.08.09
更新日2022.12.23

トマトをオオタバコガの被害から守るには?見分け方と駆除方法を解説

オオタバコガはトマトをはじめ、多くの植物を餌にすることができる広食性の高い虫で、圃場に重大な被害をもたらす病害虫として有名です。少雨で高温の日が続いた1994年夏、西日本各地で大量に発生し、以降全国的に発生が目立つようになりました。1匹の幼虫が果実を渡り歩いて寄生するため、幼虫の数が少なくても、被害果は増えてしまいます。多くの作物に寄生し、殺虫剤に対して抵抗性が高いという厄介な病害虫であるオオタバコガの生態と防除方法についてお伝えしていきたいと思います。

オオタバコガの被害と見分け方

●オオタバコガとは

蛾の一種で幼虫が野菜の茎や果実内部に潜り込んで食害するため、多くの畑で問題になっている害虫です。幼虫の体長は20~40 mm、イモムシの形状で緑色・淡いオレンジ色・黄褐色をしているものが一般的と言われています。名前は似ていますが、タバコガとオオタバコガは種が異なります。トマトなどのナス科の植物に発生しやすいのがタバコガで、幅広い植物に付着するのがオオタバコガです。6月~8月頃に成虫が夜間に飛来して植物の葉や茎に卵を産み付けます。

●オオタバコガの被害の特徴

オオタバコガは、多くの植物を餌にします。トマト・ナス・ビーマン・キュウリ・オクラといった果菜類をはじめ、キャベツ・ハクサイ・レタス・ブロッコリー・カリフラワー・キク・カーネーションなど幅広い植物で食害を引き起こしています。植物の葉や茎を食べたり、果実・花蕾などに1cm程の穴を開けて中身を食べていくことが多いです。トマトやミニトマトの果実に穴が開いている場合はオオタバコガである可能性が高いと考えられます。キャベツやハクサイでは結球部に侵入し、幼苗期には芯部を食害されることがあります。ブロッコリーやカリフラワーは花蕾部をふ化した幼虫が次々に移動しながら加害します。雌の成虫は1卵ずつ産卵し、一晩で1匹の蛾が200~300個も産卵することもあり、短期間で甚大な被害をもたらすことがあります。幼虫の発生時期が一度にまとまることは少ないと言われていますが、被害を防ぐためには、早期発見と飛来を防ぐ対策が重要です。春から秋にかけて発生しやすく、特に夏が高温多照の年は8月~10月に発生が多くなる傾向があります。9月~10月以降は蛹の状態で越冬した後、土中でふ化します。

●オオタバコガとよく似た害虫との見分け方

成虫の見分け方
オオタバコガはタバコガの成虫と似ていますが、よく見ると羽の模様が異なります。タバコガは、前羽の外側にある黒い縦線模様がギザギザしており、一方オオタバコガは縦線が不明確です。

幼虫の見分け方
ヨトウムシ・ヨトウガ・タバコガ・ハスモンヨトウ・シロイチモジヨトウなどさまざまな虫の幼虫と見間違えることがあります。体の模様や毛の有無などで見分けることができます。体に黒色の点が並び、太い毛が出ていればオオタバコガやタバコガの可能性が高いです。見た目は似ていますが、オオタバコガの幼虫は野菜や花など多くの植物を食害する特徴があります。

卵の見分け方
オオタバコガの卵は直径0.4mm程度の大きさで淡黄色をしています。見た目でのヨトウムシ類の卵との見分けは困難ですが産み付け方が異なっていて、オオタバコガやタバコガは卵を1つずつ葉裏に産み付け、ヨトウムシ類はたくさんの卵を1カ所に産みます。

トマトをオオタバコガから守るための対策・駆除方法

●防虫ネットで対策する

防虫ネットを使用することで、オオタバコガの成虫が飛来するのを防ぐ効果が期待できます。目合い4mm以下の防虫ネットが理想的です。オオタバコガをはじめ、そのほかの害虫の侵入も防ぐことができます。施設栽培では天窓・サイド・入り口のような開口部にネットをつけることで飛来を防止します。

●発生源ごとに処理する

5mmくらいの穴の開いた果実を見つけたらすぐに刈り取り、果実ごと粉々に潰します。卵や糞を見つけたら周りの植物をチェックして出どころを突き止め処分します。

●農薬を使用する

対策が追い付かない場合は農薬を使って駆除する方法が有効です。薬剤に対する抵抗力の発達を防ぐために複数の薬剤でローテーションを組んで使用しましょう。老齢幼虫になると効果が極端に落ちるため、若年幼虫期に散布を行うと良いと言われています。ただし、卵や蛹、植物に潜り込んだ幼虫などには効果がおよびにくいと考えられています。タバコガよりオオタバコガの方が薬剤に強く、効果的な薬剤が少ないようです。タバコガかオオタバコガかきちんと確認をして、防除指導機関やJAに相談をして薬剤を選ぶと良いでしょう。粉立ちが少なく、溶けやすい顆粒水和剤は使いやすい製剤でおすすめです。

●定期的に耕起を行う

蛹のうちに耕起を丁寧に行うことで死滅させます。冬や春先に行うのが一般的です。

●黄色蛍光灯を利用する

LEDの光を利用して対策する方法です。成虫の飛来や卵の産み付けを抑制しやすいと言われています。オオタバコガ、タバコガのような夜蛾は日光の当たる昼間は活動を停止し夜間になると行動を開始する性質があるため、光を夜間に点灯することで、夜蛾に昼と勘違いさせ交尾・産卵といった行動を抑制します。他の場所からの飛来も防ぐことができます。ただし、キク・トルコギキョウ・イチゴ・水稲など、作物によってはLEDの光が生育に影響を与える可能性があるため注意して使用してください。

●窒素過多にならないように注意する

窒素過多の作物は幼虫が育ちやすいと言われていますので、産卵されやすくなります。窒素過多にならないように施肥を行いましょう。

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オオタバコガの飛来を防ぐためのおすすめの設備

虫ブロッカ―黄

農薬での対策が難しく数百種以上の作物に深刻な被害をもたらす夜行性のチョウ目害虫。「虫ブロッカ―黄」は露地・ビニールハウス向けのLED防虫灯です。LEDの光がチョウ目害虫の行動を抑制し拡散を防止します。害虫の生息密度を低下させ、繁殖を一世代で止めることで果実・野菜・花の被害が減少します。また薬剤散布のコストや労力削減、天敵昆虫のコスト削減に貢献します。

てるてる

虫ブロッカ―黄とあわせて紹介したいのが光拡散反射シート「てるてる」です。「てるてる」は光を利用した害虫忌避に非常に効果的な補助的役割を担うことができ、簡単に説明すると、光の効果をさらにアップさせるということです。従来の光反射シートは光を一方向に反射させることに長けていますが「てるてる」は光をあらゆる方向に拡散反射します。この性能は、光を嫌う害虫の逃げ場をさらに狭くするため、害虫密度が徐々に低くなっていくことが期待できます。

オオタバコガからトマトを守り収量アップ

オオタバコガは作物に入り込み発見が難しい病害中です。新芽・果実を食害し作物の商品価値が全くなくなってしまいます。防除効果の高い方法を選び大切なトマトを守り収量アップを目指しましょう。

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コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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