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フラワーロスとは?フラワーロスの問題点と解決方法を解説
公開日2021.10.11
更新日2021.10.19

フラワーロスとは?フラワーロスの問題点と解決方法を解説

フラワーロスという言葉をご存じでしょうか。以前からフラワーロスの問題はあったのですが、新型コロナウイルスの影響で生花の使用機会が減り、市場規模自体が小さくなってしまったことで行き場がなくなり、ロスが大きくなっているのではないかと注目が集まっています。今回のコラムではフラワーロスに関して詳しく解説していきます。

フラワーロスとは?

フラワーロスとは、農家さんから出荷される際に品質・サイズなどが規格外のため売先が見つからす廃棄されたり、規格には合格したもののフラワーショップで売れ残り廃棄されてしまったりする花のことです。また最近は新型コロナウイルスの影響でイベント等による需要が低迷していることで問題となっています。フラワーロスはロスフラワーとも呼ばれています。

花卉の市場とフラワーロスの現状と問題点

農林水産省が令和3年9月に発表した花きの現状についてによれば、切り花1世帯あたりの購入額は平成8年の13,130円をピークに徐々に少なくなり、令和2年では8,152円となりました。個人消費についての市場規模は年々減少傾向と見ることができます。同報告書では、消費の割合について、国内の個人消費が8,407億円、国内の業務用需要2,531億円、輸出104億円となっており、個人消費が全体の75%程度を担っていると分析できます。

全体のおよそ75%を占める個人消費の減少傾向に加え、コロナウイルスの影響を受けたこともあり、生産者の方が大切に育てたお花が、消費者の目にとまることなく捨てられています。大変残念ですが、お花は生ものですから鑑賞期間を過ぎ傷んでしまった分は廃棄するという方法が取られているようです。結婚式などイベントで使われたお花も短い役割を終えて捨てられてしまいます。フラワーロスは公式な統計データがないため、どれぐらいの量が廃棄されているのかは良くわかっていませんが、出荷数の3割にもおよぶのではないかという見解もあるようです。

フラワーロスが発生する原因

まず生産者(農家さん)が卸売市場へ販売をする際に、卸売業者や仲卸業者の決めた規格・品質・サイズなどに適合しないため買い取ってもらえず、生産者がそれ以外の販路を持っていなければ廃棄されてしまいます。次に卸売市場や生花店での輸送・保管中に劣化が進み廃棄されたり、もちろん売れ残り買い先が見つからなければ廃棄されたりします。

フラワーロスが発生する要因
・規格外(生産者 → 卸売市場)
・供給過剰(卸売市場 → フラワーショップ)
・売れ残り(フラワーショップ → 消費者)
・搬送時、保管時に劣化

フラワーロスの解決策

フラワーロスの解決策①生産者が消費者と近い販路を開拓する

花の状態は新鮮にもかかわらず、茎の長さが足りなかったり、曲がっていたり、少し傷があるなどの卸売業者の規格に合格せず廃棄されてしまうケースにおいては、消費者と近い販路を開拓しておくことが大切です。卸売業者の品質管理は、花の流通を円滑にするために、消費者の誰が見ても良品と認める高い検品基準が設定されています。少し雑な表現ですが消費者の10人のうち9人が問題ないと思っても、1人がダメというようなものは不良品という基準です。本来は消費者の方が気にしないはずなのに、検品基準が必要以上に厳しくなっていて、それが廃棄量を増やしている可能性があります。食品では「ふぞろい野菜詰め合わせセット」「訳あり〇〇野菜」などの製品がインターネットで多く販売され人気を集めているように、消費者の方でも品質に関してそれほど気にしていない人も多いことが見受けられます。

現在では生産者が自前のホームページで販売したり、花チョクのように生産者が消費者へ直接お花を直送する生産者特化型のECサイトなども存在します。このような販路は、お客様の声を直接聞くことができ、消費者の正確なニーズを理解し花づくりにフィードバックできるというメリットがあります。

フラワーロスの解決策②日持ち保証販売を導入する

イギリスでは日持ち保証販売の導入により花の家庭消費が3倍に拡大したという実績があります。これは生花を購入しない動機として多い「高いしすぐに枯れてしまう」というデメリットを解消したシステムで、5日~7日の日持ち保証期間を製品である花に表示し、保証期間中に観賞価値がなくなった場合には交換対応してくれるというものです。花の劣化を進めるエチレン作用を阻止する成分や糖質などのエネルギー源が入った鮮度保持剤も付属されていて、鑑賞期間を長く楽しめるような配慮がされています。イギリスを皮切りにドイツ・フランス・オランダなどにも広がり、今では一般的になっており、大陸系の欧州に比べて海洋に囲まれた日本は環境が異なりますが、このような消費者にメリットのあるシステムの導入はロスフラワーの削減に有効ではないでしょうか。

フラワーロスの解決策③ドライフラワーで再販売する

ハードルが高いかもしれませんが、廃棄される花をドライフラワーにして活用するという方法もあります。生花だけでなく、ドライフラワーも生活を豊かにする一助になるという認識や文化が根付けば、花のもっている価値を高め廃棄される花を減らせるかもしれません。フラワーロスについて広く知ってもらうために廃棄される花や、廃棄された花をドライフラワーにしてイベント会場でクリスマスを演出するなど、社会に向けてアピールする活動をすでに行っている会社もあるようです。

フラワーロスの解決策④サブスクなど定期的に生産量が計算しやすい販路を活用する

定期的にお花をお届けするサービスであるサブスクリプションを導入し、利用者が増えれば生産量のめどがつけやすく、計画的に花を栽培することができロスが減ると考えられています。またサービスにもよりますが、生産者から季節の花を提案する形になるので、生産者の移行に沿った花を栽培しお客様へお届けすることが可能です。

花の劣化を進めるエチレンを除去|グリーンキーパー

花の保管をお仕事にされている方にオススメしたいのがエチレン分解機能を持つ冷蔵庫用加湿器グリーンキーパーです。花きを保存する冷蔵庫内に設置することで花の劣化を進めるエチレンガスを分解しつつ、鮮度維持のために最適といわれる湿度90~100%を保ちます。出荷前の倉庫にお使いいただければ、より新鮮な状態で販売先にお渡しすることが可能になります。設置工事が不要で電源が取れる場所であれば、すぐに利用することができます。

関連コラム:生花を長持ちさせる方法|エチレンガスを分解できる冷蔵庫用加湿機グリーンキーパー

解説動画はこちら⇒グリーンキーパーの特徴・使い方・メリットを10分で徹底解説
稼働動画はこちら⇒グリーンキーパーの稼働方法・操作方法を15分で徹底解説

フラワーロスを減らし、かつ人々の生活も豊かに

花を飾る生活は、心が癒されたり生活空間が華やかになったりと、人々の何気ない暮らしを豊かにします。花の文化がもっと日本に根付くように今回のコラムをお役立ていただけると幸いです。

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コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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