コラム
正しい剪定方法でブルーベリーの果実をたくさん収穫しよう
公開日2021.08.23
更新日2021.08.24

正しい剪定方法でブルーベリーの果実をたくさん収穫しよう

落葉果樹であるブルーベリーは生食はもちろんのこと、ジャム等にも人気のある果実です。育て方も多数がインターネット上に公開されていることから家庭菜園規模のガーデニングでも栽培が盛んに行われている果樹として広く知られています。
ブルーベリーは上手に剪定をしないと良い実が取れないと言われており、作業を怠ると株自体の健康が損なわれ、枯れてしまったり病気にかかりやすくなったりします。剪定作業は植物の健康にかかわることだけでなく、形を整えておくと普段の手入れや収穫動作が楽になり、農作業の効率化も図れます。今回のコラムではブルーベリー栽培を上手に行うための剪定方法のコツに関してお伝えしていきたいと思います。

ブルーベリーとは

ブルーベリー(英: blueberry)はツツジ科スノキ属シアノコカス節に分類される低木の果樹で、初心者でも比較的育てやすいと言われています。原産地は北アメリカですが、栽培種としては大きく分けてハイブッシュ系とラビットアイ系に分けられ、最近ではハイブッシュ系をノーザン・ハイブッシュ、サザン・ハイブッシュ、ハーフ・ハイブッシュの3種類に細分化されているようです。耐寒性のあるものとないものの違いによって日本各地で栽培される種類が異なるようです。

酸性土壌と水はけの良い土質を好むことが特徴です。収穫期は品種によっても異なりますが6月~9月上旬が一般的で、収穫物は生食としてはもちろんのこと、ジャムを代表とした加工品も非常に人気となっています。またブルーベリーは健康食品としても知られ、アントシアニン・ビタミンE・食物繊維・亜鉛・マンガンといった成分が含まれいます。

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ブルーベリーを剪定する目的

ブルーベリーを剪定する目的はいくつかありますが、大きなポイントを以下に記載します。

施肥や収穫など農作業が容易に、そして管理しやすいように枝の広がりを抑える

樹形が崩れると作業効率が悪くなりますし、限られた圃場のスペースを有効に活用するためにも形を整える作業が必要です。ブルーベリーは放っておくと4mもの高さになることもありますから、剪定を行い高さを抑えて実の収穫作業を行いやすいような圃場環境を整えることが大切です。

日当たりと風通しが良くなることで病害虫の発生を予防する

枝が密になり葉っぱが増えて影ができると湿度が高くなることで病害虫が発生するリスクが高まります。特に6月~7月の梅雨時には湿度が溜まりやすく、虫が住みかを作ってしまい害虫が大量発生する可能性があるため注意が必要です。剪定して風通しを良くすることで、害虫が住みにくい環境を整えておくことが大切です。

既に罹患している枝を取り除き、被害を最小限に抑える

病気や害虫に侵されている枝をそのままにしておくと、株の中で広がるだけでなく圃場全体にも広がってしまいます。罹患している枝は早めに取り除きましょう。

枝や花の成長促進を促して、毎年安定して果実がつくようにする

ブルーベリーは豊作と不作を1シーズンごとに繰り返す隔年結果という性質も持つ果樹です。実を実らせる際に糖分を必要とするため、実をつけすぎると多くの糖分を生産する必要があり、株の負担となります。分配可能な糖分が少ないと実が小さくなったり、味が落ちてしまうことがあります。頑張りすぎると翌年の準備が出来ずに豊作の翌年は不作になる傾向があります。豊作になりすぎないように花芽を剪定することで実らせる量をコントロールすれば、毎シーズンの安定した品質と収量の確保が可能です。農業経営的にも理想的な方法です。

生育が不十分な枝を間引くことで全体に栄養がいきわたる

ブルーベリーだけにあてはまることではありませんが、枝を間引くことで樹木はバランスがよくなり、健康に育ちます。剪定により栄養を蓄えやすくなり、抵抗力が高まることで病害虫にも強くなります。枯れた枝をそのままにしておくと病害虫が残ったり、日射があたりにくい箇所が出てくるので注意が必要です。

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ブルーベリーの剪定に適した時期

落葉樹であるブルーベリーは葉っぱが日光を浴びて光合成を行うことで、成長に必要な活動を行っています。3月上旬~成長期に入り、6月中旬~10月までは枝や葉っぱが成熟して養分を蓄えます。12月~2月までは休眠期に入りますので、この時期に剪定を行うのが最適だと考えられています。夏にもある程度の選定作業は必要ですが、夏場の成熟期に大がかりな剪定をしてしまうと養分が蓄えられなくなり、株が弱る可能性があります。

季節による剪定方法

夏剪定

夏の時期は樹木の力が落ちているため、徒長枝を切り詰める摘心を中心に行ってください。7月以降に行うと、できた花芽も切り詰めてしまう可能性があるため、5月上旬~6月上旬ぐらいを目安に行うと良いでしょう。病害を防ぐために通気性を良くしたり、葉っぱが光合成を行いやすいように日陰をなくし日射があたりやすいように剪定しましょう。ただし、夏に過度な剪定を行うと樹木が弱る可能性がありますので注意してください。

冬剪定

冬は休眠期といわれ、本来はブルーベリーのような落葉樹の剪定に適した時期です。樹木の高さや形を整えることと、生育を促進する目的で行います。葉を落とす秋までに栄養分を幹や主幹に蓄えているため、太い枝をカットしても株を痛めにくいと考えられています。秋から冬にかけては樹液の流れが少なくなることから病害虫被害も減少します。春先に剪定を行うと枝先に集まった樹液が流れだしてしまいます。株の根本から次々に生えてくるひこばえも根本から剪定しましょう。冬場は葉がすべて落ちて枝ぶりがわかり、混みあっている部分や不要な枝を見つけやすいため剪定時期に適しています。

生育の年数による剪定方法

生育の年数によっても剪定の注意点が違いますので以下にご紹介いたします。

1~2年目

小さな鉢植えに入っているような苗は、まだ弱く果実をつけさせてしまうと後々の成長に良くない影響を与えると考えられています。樹が小さいうちは実に体力を奪われすぎてしまいますので、花芽がついている先端を全部剪定してしまいましょう。枝先を良く観察するとふっくらした芽とそうでない芽があり、ふっくらした芽から花が咲き実をつけます。実をつけてしまうと栄養が取られて樹が大きくならず、限られた実の量しかできません。

花芽を減らし果実を減らすことで、株に体力を蓄えさせて幹や枝の成長を優先させてあげることが大切です。花芽を剪定した部分の下に出てくる芽や葉は剪定しないようにしましょう。また、枯れて黒くなっている枝、針金のように細い枝、内側に向かって生えている枝などを剪定します。この時期に支柱などで形を整えてあげると管理や収穫がしやすくなります。

3~4年目

勢いの強く元気のある枝は残して、内側に生えてくる枝・細く弱々しい枝・枝が込み合って日差しや風通しが悪い部分などは剪定をしましょう。主軸となる枝については、樹勢の良い新しい枝が生えてきたら、樹勢が弱くなってきた古い枝を根元から切ってしまいましょう。ブルーベリーの主軸枝の寿命は約7~8年といわれていますので、4~5本残して古くなった主軸は根元から切ります。古い主軸枝は果実の成りが悪く、粒も小さくなってしまいます。

ブルーベリーの剪定のコツ

剪定する枝の見分け方

剪定するべき不要な枝のことを「忌み枝」「不要枝」などといいます。枝が多すぎると養分を奪ってしまったり、日射や風通しを妨げたりしますので剪定して環境を整えます。剪定する枝は以下の通りです。

内向き枝(逆さ枝)・・・主幹側に向かって伸びる枝
枯れ枝・・・枯れて変色している枝
かんぬき枝・・・2つの枝が同じ部分から左右に伸びている
からみ枝(交差枝)・・・複数の枝が交差してからんでいる
車枝・・・一部分から3本以上の複数の枝が車輪のように生えている
立枝・・・まっすぐと上に伸びている枝
徒長枝・・・長く伸びている枝
下り枝・・・地面に向かって伸びている枝
ひこばえ・・・株元から伸びる枝
ふところ枝・・・枝元から生えているひょろひょろの弱い枝
平行枝・・・複数の枝が平行して伸びている
幹吹き枝・・幹から直接伸びてくる枝

枝の切り方(剪定方法)

剪定する際に切り残す枝の長さの割合が多いと切り残された部分が枯れて他の枝に悪い影響を与えることがありますので、なるべく枝の付け根から切り残しがないように剪定しましょう。主枝に向かって内側に向いている芽(内芽)と外側に向かっている芽(外芽)がありますが、内芽は枝が込み合う原因になります。内芽は残さずに斜め上か外側方向に向いている芽の先で切るとバランスが良くなります。芽に近すぎる場所で剪定してしまうと、芽の周辺の切り口が乾燥し芽が枯れてしまう可能性があります。花芽と葉芽がありますので、花芽を剪定しないように注意してください(1~2年目の若い苗は例外的に花芽を剪定してください)。

ブルーベリーの剪定に必要な道具

剪定ばさみ

もっとも簡単に作業ができます。持ち手のサイズや重さなど、手になじみやすいものを選ぶようにしましょう。切断できる太さは剪定ばさみの形状にもよりますが、最大切断能力以内でご使用ください。一般的には15㎜前後のものが多いと思います。

参考:剪定ばさみの選び方

剪定ノコギリ

剪定ばさみで切れない太くなった枝を切り落とします。

消毒液

罹患している株の枝をハサミやノコギリで剪定すると道具に菌が付着します。その状態で別の株を剪定してしまうと切り口から菌が侵入し圃場全体に被害が広がってしまいます。道具は次の株の剪定作業へ入る前に必ず消毒作業を行ってください。

癒合剤

切り口は病原菌が入りやすいため、癒合剤を切り口にまんべんなく塗ります。特に大きな枝を切った場合は切り口も大きくなり罹患しやすいので注意してください。乾燥や雨などから守る役割も果たします。

剪定作業におすすめのハサミ|ドクターカット

剪定ばさみによる剪定作業は意外に手に負担がかかるものです。はじめは気にならなくても複数の株を剪定していくうちに手が痛くなってしまったご経験はないでしょうか。そこでおすすめするのが、剪定時の手への衝撃を抑える剪定ばさみドクターカットです。人間工学により設計されているため手指への負担が配慮されています。握りやすく連続した作業でも、疲れを感じにくい剪定ばさみです。

剪定のコツをつかんでブルーベリーの実をたくさん実らせましょう

花芽の枝を剪定する作業などは、少し躊躇するかもしれませんが、この作業は新しい枝を作ろうとして細胞が活性し、株全体の状態を良くするために必要です。ブルーベリーの剪定作業のコツをつかみ、日射環境や湿度環境を最適にしてブルーベリーの実をたくさん収穫しましょう。

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コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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