コラム
ヒラズハナアザミウマとは?生態の特徴や被害・駆除方法を解説
公開日2021.02.12
更新日2021.09.24

ヒラズハナアザミウマとは?生態の特徴や被害・駆除方法を解説

全世界で5,000種類ほど生息しているアザミウマ類。有名な種類ではミナミキイロアザミウマやミカンキイロアザミウマが知られていますが、各種アザミウマの中でも最近になって果菜類であるピーマンやイチゴへの被害報告が急増している種類が『ヒラズハナアザミウマ』です。今回のコラムでは難防除害虫であるヒラズハナアザミウマの特徴や被害・駆除方法を詳しく解説していきたいと思います。

ヒラズハナアザミウマの生態と特徴

ヒラズハナアザミウマの生態と特徴

ヒラズハナアザミウマ【学名:Frankliniella intonsa(Trybom)】は名前の通り、農作物の花に好んで集まるアザミウマです。ナス・きゅうり・キャベツ・トマト・イチゴ・イチジク・トルコギキョウなどに被害を及ぼします。雌成虫の体長は約1.3~1.7mmで、体色は褐色~黒褐色、雄成虫の体長は約1.0~1.2mmで、体色は淡黄色です。卵は新芽や新葉の組織内に1卵ずつ産卵され、成虫・幼虫共に花弁、花粉、新芽、新葉を吸汁します。露地では4月~11月の暖かい時期に発生し、個体数は5~6月と9~10月に多いです。施設栽培では周年発生しますが、短日条件下では雌成虫が生殖休眠をするので冬期は成虫のみで幼虫は発生しません。

ヒラズハナアザミウマがもたらす被害

ヒラズハナアザミウマの被害を受ける植物

果菜類:トマト

開花中の花に侵入し、子房に産卵することで白ぶくれ症を引き起こします。被害が大きいと着色不良となり、商品の価値が下がってしまいます。また感染した株を吸汁した後に健康な株を吸汁すると、トマト黄化えそウイルスを媒介することになり、病気による症状を圃場全体に広げてしまうことも問題となっています。

果実的野菜:イチゴ

イチゴの花房に寄生して果実の表面を褐色化させたり、肥大不良を引き起こします。暖かくなってビニールハウスのサイド換気をし始めると風で流された個体が侵入してくるケースが多いです。また越冬した個体が暖かくなって活動を開始することで毎年圃場の特定の場所に発生することもあります。春先に気づいたら発生していることが多く、加害された果実は商品価値が低下するので農家さんにとっては売上を減少させる大きな問題となっています。

果実:イチジク

成虫が果実内部に侵入し褐変させる被害が報告されています。外観には異常がないので防除が難しいとされています。発生のピークは5月下旬~6月上旬です。

花き類:トルコギキョウ・シュッコンカスミソウ・バラなど

花弁のかすり症状や褐変等が報告されており、品質を下げる原因となっています。

ヒラズハナアザミウマの予防・駆除方法

ヒラズハナアザミウマの予防方法

青色の粘着シートをハウスの外に設置する

トマト栽培における例ですが、ヒラズハナアザミウマの発生状況を把握するために青色の粘着シートをハウス外に設置します。設置する位置はハウス入り口の外側3m以内の高さ1~1.5mの位置がおすすめです。粘着シートの交換の目安は5~10日間とし、片面当たりの誘殺数が50頭以上、増加率が約5倍以上となれば急増期にあたり、殺虫を目的とした農薬散布をおすすめします。

光反射資材を敷設する

光反射資材が太陽光を乱反射させることでヒラズハナアザミウマの行動を抑制(かく乱し飛翔が少なくなる)し農作物被害を軽減することができます。トマトまたはイチゴのハウス栽培において、ハウスの外周地面に幅約150cmの光反射資材を設置したところ、アザミウマ類のハウス内への侵入量が1/2~1/3に減少したという報告もあります。なお光反射資材を使用する場合は表面が汚れると防除効果が低下するので注意しましょう。

圃場周辺の雑草を除去する

圃場周辺に雑草があるとその花にヒラズハナアザミウマが発生し、サイド換気を開けた時に風に乗ったヒラズハナアザミウマがハウス内に侵入してしまいます。従って圃場周辺の雑草は刈り払い機等を使用してしっかりと刈り取り・除去しましょう。時間のない時は除草剤を使用して雑草を枯らして除去することも一つの知恵です。

農薬散布をする

被害や個体が発生した形跡がなくても予防の目的として農薬散布をしておくこともおすすめです。ヒラズハナアザミウマは増殖してしまうと手遅れになりますので早めに対応をしましょう。

ヒラズハナアザミウマの駆除方法

青色の粘着シートをハウス内に設置する

初期発生の時は粘着シートをたくさん使用し誘殺することで発生数を抑えることができます。ピーマンでは10アールあたり300枚~500枚を生長点付近に設置することで密度の低下ができることが報告されています。この場合、株が繁茂する前に設置しないと効果が得られませんので注意します。

農薬散布をする

農薬を散布して殺虫する方法で、現在取り組める方法の中で最も効果的な方法です。大量に発生して手に負えなくなる前に実施しましょう。ヒラズハナアザミウマは花の内部に好んで生息するため、しっかりと殺虫剤を花に付着するように散布することがポイントです。また地域によっては農薬の感受性が低い(農薬が効かない)場合がありますので、研究機関や農業協同組合や自治体の窓口にご相談いただき情報を収集することをおすすめします。なお天敵昆虫を導入されている場合は強すぎる農薬は天敵昆虫も殺してしまうことがあるので注意しましょう。

効果の高い殺虫剤(例) 効果の低い殺虫剤(例)
マメクチン安息香酸塩剤・有機リン系剤・ネライストキシン系剤 アセタミプリド剤・ピリダリル剤・アクリナトリン剤・アセタミプリド剤・エマメクチン安息

香酸塩剤・スピノシン剤・クロルフェナピル剤・ピレスロイド系剤・ネオニコチノイド系剤

天敵昆虫を導入する

カメムシ類やダニ類といった天敵昆虫(生物兵器)を導入し捕食してもらうことでヒラズハナアザミウマの発生数を抑える方法です。タイリクヒメハナカメムシやリモニカスカブリダニといった種類が使用できます。※なおスワルスキーカブリダニはヒラズハナアザミウマを捕食しないという報告がありますのでご注意ください。

ヒラズハナアザミウマの予防や防除におすすめの資材

吸引式LED捕虫器『スマートキャッチャー

ヒラズハナアザミウマの捕虫に役立つスマートキャッチャー。紫外線と可視光線のLED灯を利用した害虫用の捕虫機です。ヒラズハナアザミウマをLED光で誘引し、強力な吸引ファンで捕虫袋に捕獲します。専用ACアダプター付属で電源が取れる場所でしたらS字フックなどで簡単に設置することができます。独自のフレームレスモーターは害虫の死骸が固着して回転不能を起こすことがなく、LED灯を採用しているためメンテナンスにあまり時間を取られず長くお使いいただけます。専用補虫袋は使い捨てタイプですから衛生面でも心配がありません。

コナジラミ類、アザミウマ類、コバエ類、チビクロバネキノコバエ、ナガマドキノコバエ、クロバネキノコバエ類、アシグロハモグリバエ、マメハモグリバエ、ハスモンヨトウ、ヨトウガといった飛翔害虫全般を捕虫することができます。

▶スマートキャッチャーの解説動画はこちら

活性式予察捕虫器『アザミウマキャッチャー

アザミウマキャッチャーはビニールハウス向けの予察捕虫器です。特殊誘引剤の匂いと粘着シートの色によってヒラズハナアザミウマを誘引し捕虫します。付着した害虫の種類や数を農薬散布の目安とすることで害虫被害の早期発見と早期防除に役立ちます。

電源が不要のため電気が完備していない圃場にもおすすめです。約1a(100㎡)あたりに1台設置することで、食品由来の原料を使用した誘引剤「アザミン」と粘着シートの色でヒラズハナアザミウマを誘引し捕虫します。誘引剤の効果はおよそ3か月間持続します。1台あたり3,080円と低価格なので手軽に導入できます。3か月以降も誘引剤(1本あたり605円)を交換すれば継続的に使用することが可能です。

※アザミウマキャッチャーは飛翔害虫の個体数を激減させたり、これさえあれば薬剤散布をする必要がなくなるといった絶対的な効果はありませんのでご注意ください。

 

静電機能付噴霧口『静電噴口

静電噴口は静電気の力で薬液を対象物に付着させる静電機能付噴霧口です。通常では付着しにくい葉裏への薬液付着率が向上するのでヒラズハナアザミウマといった害虫類に殺虫剤がかかりやすくなることが期待できます。また約30%の農薬使用量削減が期待できます。

静電噴口の検証動画はこちら

大量発生する前に適切な対策を講じましょう

近年、急速な日本各地で被害の広がりをみせている「ヒラズハナアザミウマ」。大量発生してしまうと農作物に甚大な被害を与えかねないやっかいな害虫です。この害虫と向き合うためには適切な予防をし増殖する前に対策を打つことが最善な攻略方法です。大切な農作物を守るための参考として今回のコラムがお役に立てれば幸いです。

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