コラム
ぶどう栽培における最適な肥料とは
公開日2021.01.29
更新日2022.05.23

ぶどう栽培における最適な肥料とは

最近はホームセンター等でぶどうの苗木を購入し家庭菜園で楽しむ方が増えてきました。特に近年では人気のブドウ品種「シャインマスカット」の登場により、庭先にブドウ棚をつくり栽培にチャレンジされる方もいらしゃるほどです。今回のコラムではブドウを栽培する際に使用する肥料の種類とおすすめの最適な肥料に関して記載していきたいと思います。

ぶどう(葡萄)の特徴|基本データ

 

ぶどうはぶどう科ぶどう属に分類されます。ぶどう属(学名:Vitis)の祖先は世界各地で自生していましたが、氷河期(約1万年前)にほとんどが絶滅し、南ヨーロッパ、南コーカサス、北アメリカ、東アジアで生き延びたと考えられています。氷河期が終わると地球は温暖になり、ぶどう属は再び生息域を増やし各地の環境に適応していきました。現在のところぶどう属は世界に約90種類存在し、ヨーロッパ・アメリカ・アジアに分布しています。巻きひげがあり、巻きひげを対象物に巻き付けながら成長をしていく樹高2~3mのつる性の落葉果樹です。生育の適温は15℃~30℃、植え付け期は2月下旬~3月下旬、植え付けから収穫できるまでの期間は110日~180日ほどかかります。

ぶどうは果実の色によって「赤ぶどう」「黒ぶどう」「白ぶどう」に分けられます。有名な品種の例では「巨峰」「シャインマスカット」「甲斐路」「デラウェア」「ナガノパープル」などがあります。最近は種なしのぶどうが人気ですが、種ありの方が甘み、コク、香りの全てが上回っているため美味しいということは知られていないかもしれません。

ぶどうの種類|栽培品種と野生種

ぶどうの栽培品種は世界的にみると「欧州種」「米国種」「欧米雑種」の3種類に分けられます。起源は黒海沿岸などに自生するVitis vinifaという種の亜種sylvestrisと、北アメリカに自生するVitis labruscaという2種類から欧州種と米国種がつくられました。日本で栽培されている品種のほとんどは欧米雑種です。なお日本にはヤマブドウ、エビズル、サンカクズルといった野生種が自生をしています。

・欧州種

欧州種は夏期に温暖で雨の少ない地域が起源ですので、耐寒性が劣り、耐乾性を持っています。従って高温多湿の環境で発生するうどんこ病、べと病、黒痘病、晩腐病といった病害への抵抗性が低いです。※甲州はべと病に比較的抵抗性があります。

・米国種

アメリカ北東部~カナダ東南部に分布します。耐寒性、耐乾性が高く、うどんこ病、べと病、黒痘病といった病害への抵抗性があります。一般的に樹勢は弱く、樹はあまり広がることがありません。

・欧米雑種

欧州種と米国種の良いところを反映させるために交配が行われています。欧米雑種同士の交配も行われており、様々な品種が生まれています。日本の生食用品種のぶどう産業では耐病性の高さが求められるので欧米雑種が主流となっています。

・野生種

日本のヤマブドウ(学名:Vitis coignetiae)は栽培化されて果房が大きく着果量の多い品種が流通しています。またヤマブドウと欧州種を交雑させたワインやジュースに適した品種も生まれています。

ぶどうの品種の例
欧州種 甲州、ピノ・ノワール、セミヨン、リースリング、ロザリオ・ビアンコなど
米国種 ハーバート、ワトキンス、ウェイン、シェリダンなど
欧米雑種 巨峰、ピオーネ、シャインマスカットなど

ぶどうの育て方のポイント

栽培する場所・日当たりについて

ぶどうは日光が大好きです。従って地植えでも鉢植えでも日当たりが良い場所で栽培しましょう。また風通しの良い場所であることもポイントです。また耐寒性は「ふつう」耐暑性には「強い」ので日本の気候による心配はほとんどありません。

潅水

ぶどうは乾燥に強く、一方で耐水性も高いです。鉢植えの場合は表土が白く乾燥してきたら、鉢底から水が流れるくらいにたっぷりと潅水します。露地の場合は有孔チューブを用いてドリップ潅水がおすすめです。目安ですが、土壌に水を吸わせた時に最大で含むことができる水分量が60~80%が最も良い生育をするとされています。

3月頃に水分量が低下すると新梢の生育が悪くなります。6月~7月の落花後1カ月間は果粒の肥大を促進させるために水分を多めに、7月~9月の着色期は糖度をアップさせるために乾燥気味にすことがコツです。

病害虫

ぶどうは品種によって病害虫の抵抗性が異なりますが、うどんこ病やブドウトラカミキリ等が発生します。被害が発生した初期の対策が重要となってきますので日頃から樹の状態の変化をよく観察しましょう。

種類 被害 対策
うどんこ病 葉・枝・新梢・果実に発生。うどん粉をまき散らしたような状態になる。 感染した箇所を取り除いて土中に埋める。
べと病 葉や果実に発生。成葉では多角形の斑点ができて黄化する。 初期発生のうちに取り除いて土中に埋める。
灰色かび病 開花前の花穂や成熟期の果実で発生する。淡褐色に腐敗して枯れる。 圃場の排水性を改善。整枝して風通しと日当たりをよくする。
褐斑病 新梢基部の成葉に多角形や円みを帯びた褐色の病斑が発生。 発病した落ち葉を集めて土中に埋める。樹勢が落ちないよう肥培管理をする。
晩腐病 幼果では黒色の小さな斑点が生じる。成熟果実では円形の赤褐色の病斑とともに腐敗する。 圃場の排水性を改善。整枝して風通しをよくする。感染した果実を除去する。袋がけを早く行うことで予防する。

 

種類 被害 対策
チャノキイロアザミウマ 新梢の先端の若葉を幼虫が加害する。 黄色粘着シートを設置する。
ブドウトラカミキリ 幼虫が新梢の表皮下から木質部に食入して加害する。 粗皮下の越冬幼虫を刃物で削り取って捕殺する。春に成虫を見つけたら捕殺する。
フタテンヒメヨコバイ 幼虫が葉裏に寄生して吸汁被害をおこす。 枝葉が繁茂すると発生数が増えるので栽植密度を高めない。
ハマキムシ 幼虫が葉を巻いて食害する。 幼虫を見つけ次第捕殺する。性フェロモン剤を使用する。
コガネムシ類 成虫が葉を食害し、被害葉を網目状にする。 早朝に樹に振動を与えると落下するのでビニールシートを敷き落下させる。

ぶどう栽培における肥料について

ぶどうが健康に育つために肥料の施用はとても大切です。ただし肥料を与えすぎると樹勢が強くなり実つきが悪くなったり、組織が軟弱になることで病害虫に侵されることにも繋がるので注意をしましょう。そのため地植えでは収穫後のお礼肥えだけでも十分な場合もあります(もちろん生育が悪い時は肥料の施用をおすすめします)。

元肥・追肥ともに固形肥料である「化成肥料」(窒素:N-リン酸:P-カリウム:K=8-8-8など)を用いることが多いですが、生物由来の有機物が原料の「有機肥料」もおすすめです(例:牛糞や鶏糞堆肥など)。最近ではぶどう専用の肥料も販売されているので利用してみても良いかもしれません。なおぶどうは窒素が多いと枝が徒長して収量や品質に悪影響を及ぼすことがありますので注意しましょう。

こちらのコラムも是非ご覧ください!

>>>植物のアミノ酸吸収について

ぶどうへの肥料の与える時期と与え方について

いつ肥料を与えるか

地植えの慣行栽培では収穫直後にお礼肥えを施用し、秋(10~11月)に元肥を施用して、樹勢を見ながら6月~9月の時期に追肥していくケースが多いです。なお有機栽培では秋の元肥のみの施用が多いです。鉢植えでは新梢の伸長期~収穫期まで定期的に施用しましょう。

肥料のやり方

施肥を行う場所は地植えの場合は幹に近い場所は避けて、表面の土と鋤き込んでから地面を平らにします。鉢植えの場合は鉢土の表面全体にばらまきます。

BioSもろみ(バイオスもろみ)

沖縄生まれのBioSもろみは高温環境下における植物の生育サポートで実績を積んでいます。もろみに含まれるクエン酸は植物の肥料吸収を効率化する性能(キレート作用)があり、夏期の高温によって体力を落としている植物に対して葉や根から栄養補給を助けます。アミノ酸と微量要素は果実品質や樹勢維持などに効能があり、クエン酸により更に植物に吸収されやすくなって好影響を与えます。
BioSもろみは野菜類、葉菜類、果樹に使用することができます。製品タイプによって含有成分が異なるため植物の生育ステージに適したタイミングに施用することで、より高い効果を発揮することができます。

ぶどう栽培における最適な肥料とは(イメージ)
もろみM 1L(1.2kg)
ぶどう栽培における最適な肥料とは(イメージ)
もろみKC 1L(1.3kg)
ぶどう栽培における最適な肥料とは(イメージ)
もろみJS 1L(1.3kg)
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もろみCaB 1L
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もろみTurf 1L
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もろみM16L(20kg)
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もろみKC 15L(20kg)
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もろみJS 15L(20kg)
ぶどう栽培における最適な肥料とは(イメージ)
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ぶどう栽培における最適な肥料とは(イメージ)
ぶどう栽培における最適な肥料とは(イメージ)
ぶどう栽培における最適な肥料とは(イメージ)
ぶどう栽培における最適な肥料とは(イメージ)

最適な肥料を使用して健康なぶどうを育てる

今回はぶどう栽培における肥料の部分に関して記載してきました。ぶどうの育て方に関する詳しい情報はwebサイト、動画サイト、書籍等もご活用ください。本コラムが適切な肥料を使用して美味しいぶどうを収穫するための参考資料としてお役立ていただければ幸いです。

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ぶどう栽培における最適な肥料とは

コラム著者

満岡 雄

玉川大学農学部を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは植物栽培、アコースティックギターなど。Xで業界情報をpostしておりますのでぜひご覧ください。

 

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