コラム
LEDを農業に活かすメリット・デメリットとは?効率的な生産活動を
公開日2020.04.30
更新日2022.06.09

LEDを農業に活かすメリット・デメリットとは?効率的な生産活動を

LEDというと家庭内や会社内、またはイルミネーションや信号機などで使われているイメージがありますが、農業分野においてもLEDは広がりを見せ、日照不足を補うLEDを利用した農業が注目されています。作物の栽培には光合成を促すための太陽の光が必要になりますが、それだけに頼ってしまうと天候が悪いシーズンは作物の成長が悪くなってしまい収量に悪影響がでます。曇天時や夜間にLED電球で作物が必要とする光を電照することで、安定的に収穫ができるような対策を行う農家が増えてきています。今回はLEDを農業に活かす方法と、そのメリット・デメリットについてお伝えしていきたいと思います。

LEDを利用した農業の基礎知識

LED照明を利用する農業としては、外部との環境を完全に遮断した完全人工光型の植物工場で太陽の代わりに使われるケースと、パイプハウスやビニールハウスなど太陽光を利用しながら栽培する際、太陽光では不足してしまう光を補う形で使われるケースがあります。育てる環境や作物の種類によって選ぶLED照明も変わります。

●LEDを利用した農業が注目されている理由

農林水産省の「農業労働者に関する統計」によれば、農業就業人口は平成22年と30年を比べるとおよそ85万人減少しています。また平成30年の農業就業人口に占める65歳以上の人口は全体の68%以上になっており、農業従事者の高齢化や人口減少に伴い効率の良い生産方法が求められています。

効率的に農作物を育成し安定した収量を保つために、LEDを利用し曇天や日照不足といった悪天候に左右されない農業が期待されています。育てる場所も従来の圃場やパイプハウスのような施設栽培だけでなく、都市の建物内に巨大な水耕栽培の植物工場を作り、完全な密閉空間で作物を育てることにチャレンジする企業も出始めています。

完全密閉型の植物工場は、露地栽培に比べて害虫の侵入を防ぎやすく、徹底して衛生管理をすることで無農薬野菜を生産することができ、泥を洗う手間もなくサイズも揃いやすいことから飲食店や加工工場からは評判が良く販売も伸びているようです。一方、イニシャルコストやランニングコストが高く、経済的に維持していくのはよほど体力のある企業でないと難しいといった課題も出てきています。

参考:農業労働力に関する統計 農林水産省

●LEDで野菜が育つ仕組み

LEDは発光波長が長いため太陽光の代わりに作物に適した波長の光を照射することができます。植物が必要とする光は主に赤色と青色の2種類といわれています。赤色が光合成を手伝い、青色は葉や果実を大きくすることを手伝っているようです。LEDを導入した圃場では、作物が光合成に必要な光を当てることができ、屋外での日光を利用した栽培に比べ、光量を一定に保つことが可能です。

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農業にLEDを活用するメリット・デメリット

●LEDで作物を栽培するメリット

LEDを導入すると、室内で栽培するため天候や気温の変化に左右されにくく、計画的に安定した収穫量を期待できます。蛍光灯や白熱電球に比べて消費電力が少ないため、電気代を安価に抑えることができます。また光源に熱を持たないため、施設内が必要以上に温まってしまうということがありません。スイッチを入れた際の反応が早く、点灯と同じタイミングで最大光量を得ることができ、寿命も長いため交換する費用は抑えられます。

完全密閉型の植物工場であれば、季節の影響を受けずに年間を通して栽培を行うことができます。LEDの照射時間によって生育速度を調整できるため生産計画を立てやすいといわれています。完全密閉型の植物工場の多くは水耕栽培で土を使いません。そのため無農薬、除草剤なしで栽培しやすく、消費者が食卓で洗わずに食べることが可能です。効率的に栄養素を吸収するため高品質、高栄養価の野菜に育ちやすいといわれています。

●LEDで作物を栽培するデメリット

設備の導入に費用がかかるため、一から始めるにはある程度の資金力が必要です(イニシャルコストがかかります)。長い時間LEDを照射し続ける必要があるため、ランニングコストの負担が大きくなる可能性があります。植物工場の水耕栽培の場合は、水道代なども発生します。

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農業にLEDを導入するための準備

では実際に圃場にLEDを導入するためにはどのような準備を進めれば良いでしょうか。

●導入コストを計算しておく

何もないゼロの状態からスタートするとなると施設建設費や電気工事費をはじめとした導入費用の計算が必要です。植物工場の設計や施工を行っている業者へ問い合わせをするのが一般的です。政府や自治体から補助金を受けられる可能性があるので、事前に調べておくと良いと思います。植物工場・ガラスハウス・パイプハウスなどの施設を一から作るとなると、かなり大きな投資になります。

●LED農業を始める上で必要な要素を揃える

既存の施設に設置する場合も電気配線の工事が必要になります。すでに電照栽培をしているようでしたら、新しく投入するLED電球の口径がソケットにあえば既存の電気配線をそのまま使うことができます。また作物の栽培に適した波長をもったLED電球を用意しておきましょう。そこでおすすめなのがセイコーエコロジアで取り扱っているアグリランプです。消費電力が少ないためランニングコストを気にせずに使用することができます。低電力にもかかわらず照度が高く作業しやすい環境を整えます。

●注意すべきポイントを理解する

LEDを導入してすぐに利益が出るわけではないため、ランニングコストやイニシャルコストを踏まえて、どのタイミングで利益を出せるか計画をしておくる必要があります。光が当たらない部分がでないように電球のソケット位置を考えておくことも大切です。育てる植物に合ったLEDライトの選び方や照射時間、照射面積なども重要ですね。また完全密閉型の水耕栽培の場合は、露地栽培や施設栽培での方法とは大きく異なるため予備知識が必要です。

農業に最適なLED

ハレルヤ

農業用(植物育成用)に開発されたLED照明です。植物の光合成に必要な白色や赤色といったLEDチップをバランス良く配合した製品で、用途に合わせて5種類をラインナップしています。防水等級はIP67ですので、ビニールハウス栽培における農薬散布にも耐えられる設計となっています。近年の天候不順による日照不足の改善に大きく貢献します。

LED電球の特長を生かし効率的に生産しましょう

LED電球にはさまざまなメリットがあります。イニシャルコストやランニングコストの課題はありますが、上手く活用することで、安心で安全な国産の野菜を安定的に生産することにつながっていきます。将来的には作物品種ごとに最適な光の波長に関する研究が進みより効率的に生産できる仕組みが実現していくのではないでしょうか。

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コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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