コラム
クロウリハムシを駆除・防除するには?生態と被害の特徴
公開日2020.05.01
更新日2022.05.26

クロウリハムシを駆除・防除するには?生態と被害の特徴

これから夏野菜のシーズンを迎えますね。夏野菜は体温を下げ、ビタミン・カロテンなどが豊富で夏バテを防いでくれるありがたい食材ですね。この夏野菜が大好きで加害をする害虫にハムシやヨトウムシなどがいます。今回はハムシの仲間である「クロウリハムシ(黒瓜葉虫)」についてスポットを当てたいと思います。

クロウリハムシの特徴

ハムシは甲虫の親戚にあたり13亜科(種類)に分類されるといわれ、自然界ではごくありふれた昆虫です。その一部に野菜に取りつく種がいます。今日では施設園芸の発展でキュウリ・トマトなど一年間流通できるようになり、ハムシも年間を通じ活躍できるチャンスが増え、作物が加害される可能性があります。それではキュウリ・ズッキーニ・スイカなどのウリ類で被害が報告されているクロウリハムシを詳しく見ていきましょう。

●クロウリハムシとは

ハムシはカブトムシの親戚で硬い甲羅のような羽でおおわれているのが特徴です。黄金虫やテントウムシなども遠い親戚にあたります。日本で確認されているハムシの仲間は、13亜科(種類)いるといわれています。この中に、ウリ科の植物が大好きなものにクロウリハムシがいます。昆虫図鑑を調べてみると、『虫目 カブトムシ亜目 ハムシ科 ヒゲナガハムシ亜科』に分類され、学名. Aulacophora nigripennis. と書かれています。

頭部や胸部、腹部はオレンジ色かかった黄色で背中(上翅)と脚部は黒色です。体形は比較的スマートです。体長は思いのほか短く成虫で6~8mm程度です。頭部に黒い触角と目がオレンジ色がかった黄色の中にちょこんとついています。じっと見ていると仮面ライダーのモデルに見えるという昆虫マニアもいますが、その名前が付けられたように農家の人にとって正義の味方ではなく、ウリ科植物に被害をもたらす厄介なショッカー的存在です。

●クロウリハムシの生態

クロウリハムシは本州・四国・九州・沖縄などで生息が確認され、林縁・草原・畑などあらゆる環境で発見されています。成虫のまま地面の中で越冬し、暖かくなる4月~5月頃に地面から這い出し5月~7月頃にかけ産卵します。産卵場所はウリ科植物の根の近くの地面に産み付けるそうです。

ウリ科植物は葉っぱが変化した巻きひげを持っていることが知られており、自然界ではカラスウリがよく知られています。カラスウリが繁茂している付近で、葉っぱの食害が認められたらショッカー(クロウリハムシ)の秘密基地が近くにあり、圃場への侵入チャンスを周りから狙っているかもしれません。新成虫は8月ごろから多く出現し盛んに産卵活動を行います。ほっておくと勢力を一気に拡大します。寒くなってくる11月頃に集団で越冬に入ります。

クロウリハムシによる被害と対策

クロウリハムシは名前に付けられているように、ウリ科植物に被害を多くもたらすことから、命名されたといわれています。同じ仲間にウリハムシという種類もいます。大きな違いは成虫の体の色です。背中(上翅)部分の色がクロウリハムシは黒、ウリハムシは茶色となります。

●クロウリハムシが食害する植物

クロウリハムシもウリハムシも名前の通りウリ科が大好きで、主にウリ科の葉っぱを好むといわれています。クロウリハムシの厄介なところは葉っぱだけでなく、果実や花も食べることがある点です。キュウリやカボチャだけでなくカーネーション・ナデシコ(ナデシコ科)・コスモス(キク科)・ダイズ(マメ科)などの葉も食害することが報告されています。幼虫の時期は主に地面の中で生活し、植物の根を食べてすごします。

クロウリハムシ(ウリハムシを含む)の食害を受けた葉っぱの特徴は円形に穴が開きます。葉っぱを食べるとき、食べるエリアの範囲を円形に傷つけその内側を食べていきます。だんだんと、外側へ食べる領域を広げていきます。穴が小さいうちは何とか光合成ができますが、大きく開いてしまい葉がボロボロになると作物は光合成がうまくできなくなり成長が滞ります。当然の結果として収量が落ち込みます。この穴をあける行動をトレンチ行動として知られています。

●クロウリハムシの駆除・防除方法

(クロ)ウリハムシの対策は、圃場へのアクセスを遮断し近づけないことが一番です。ですが秘密基地に潜むショッカーは、常に入り込むチャンスをうかがっています。厳しい自然界より食べものが楽に手に入る圃場は彼らにとって楽園のように見えるでしょう。農場管理者のすきを狙って何とか入り込み、その付近で次の子孫を増やそうとします。初期の段階で数が少ないうちは、手やピンセット・テープなどで簡単に取り除くことができますが、成虫は危険を察知するとすぐ飛び立ち逃げてしまうので数が多いと太刀打ちできません。薬剤による駆除を検討する必要があります。薬剤を使用するときは、取扱説明書をよく理解し薬害を出さないように注意しましょう。

防除は育成中の植物に近づけないことが重要です。(クロ)ウリハムシが苦手な植物を一緒に植えておくと良いといわれています。コンパニオンプランツを使った栽培法で、ネギやラディッシュなどが良いそうです。これらは、独特な苦味やエグミや、独特な香りに防御物質が含まれており効果があるのかも知れません。

明るい環境も苦手らしく、地面を防虫用のシルバーマルチ(銀色マルチ)で覆い葉裏を明るくしたり、作物そのものを防虫ネットで覆ったり、定植初期の段階で支柱を立て空き袋を掛けたりすることも効果があるといわれています。また圃場周辺の雑草を取り除き、隠れ場所(秘密基地)をなくすことも大切です。クロウリハムシには天敵がいないようなので、人間の手で防除することが必要になっています。

クロウリハムシの防除に役立つ静電噴口

静電噴口は静電気の原理を利用し薬液を帯電させることで、噴霧した液体が作物にひきつられて付着します。薬剤を作物に確実に付着させ、病害虫の発生頻度を抑えることができます。薬液がもつ力を効率的に発揮させ、確実に噴霧できることにより農薬や薬剤の使用量を抑え、コストダウンにつながります。通常では付着しにくい葉裏にも薬液がしっかりと付着します。

静電噴口の検証動画はこちら

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クロウリハムシを確実に駆除し作物を加害から守りましょう

大切な作物を深刻な加害から守るために、クロウリハムシの生態を理解し、大量発生する前に確実に防除、そして駆除していくことが大切ですね。大事に育てた作物を確実に収穫できるように、対策をしっかりと行っていきましょう。

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クロウリハムシを駆除・防除するには?生態と被害の特徴

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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