コラム
農業で儲かる作物を選ぶポイントとは? 利益拡大のための考え方
公開日2019.05.24
更新日2022.05.06

農業で儲かる作物を選ぶポイントとは? 利益拡大のための考え方

近年、農業への注目が高まってきており、全く経験のない人でも新規に就労するというケースが増えてきています。農林水産省は新規就農者への支援をしており、住居を提供してくれる自治体が増え、初期投資を抑えることができるため、新規就農のハードルが下がってきているようです。農業は作物によって、単価や市場ニーズの違いが大きく、どの作物を中心に育てるかにより売上が非常に変わってきてしまいます。今回は新規就農を検討されている方に向けて、利益を拡大していくための考え方をお伝えしていきたいと思います。

儲かる農業の考え方

●育てる農作物の考え方

売上は収穫量×平均単価で産出されますが、作物の種類により単価や人気が異なり売上に影響します。作りやすさや売りやすさ(人気があるかどうか)も育てる農作物を選ぶ際の判断基準にすると良いでしょう。また年間栽培できる作物を選べば定期的に収穫ができ、年収の安定性を確保することが可能です。栽培面積あたりの売上が高い作物を選び、保有農地に対して十分な売上を確保できる作物選びが大切です。

●経費の考え方

事業を継続するには農業用機械やトラックの購入費用・人件費・肥料といった維持費が発生します。単純に売上高だけでなく費用とのバランスも考え利益を上げる運営方法を検討する必要があります。中古の機械・設備を導入するなど出ていくお金を抑えていくことも大切です。

●労働時間の考え方

労働時間当たり収益がどれぐらいとれたかという点も重要です。農業所得を労働時間で時給換算してみると作物によって時給あたりの金額が異なってきます。時給あたりの金額がなるべく多く取れる作物を優先的に選ぶと良いでしょう。育つスピードによって出荷サイクルも変わってきますので、育ちの早い作物であれば労働時間に対しての収量が増やせることになります。

儲かる農業のポイント

●栽培方法による違い

露地栽培施設栽培によっても違いがあります。露地栽培は野外の畑で栽培する方法で、外部の天候の影響や病害虫の被害受けやすくなるといったデメリットがありますが、作付場所が限定されず畑の全面を使用することができます。地上に実をつけるトマト・ミニトマト・キュウリなどは傷みやすいため施設栽培が多く、露地栽培で栽培されるものは土の中に実をつける大根・人参・玉ねぎ・イモ類、また大量に消費される白菜・キャベツなど品目が主流となっています。施設栽培のようにビニールハウスを設置する費用が発生しないため初期投資費用や維持費用を低く抑えることができます。似たような作物を栽培する施設栽培とは違い、自然の季節に応じた多くの種類の野菜を順番に栽培することができ、土壌環境が悪化して連作障害が発生する可能性が低いと言われています。

施設栽培はビニールハウスや鉄骨ハウスを利用して、ハウス内に温度や湿度をコントロールする機械を設置し、自動的に温度や湿度を調節することができる方法です。環境を最適にすることで、農作物は健全に成長し安定的に収穫することができます。また外部からの流入が少ない密閉された空間のため害虫や害獣の被害を抑えます。カーテンや電球を使用し、作物に必要な電照量をコントロールできますので作物の品質が良いと言われています。このようにハウス栽培のメリットは、露地では栽培することが難しい冬季でも、作物が育ちやすい環境を作ることにより生産者が収入源を確保できることにあります。季節や天候に関わらず年間を通じて作物を収穫できます。トマト・ナス・ピーマン・イチゴなどが代表的な作物です。

農家によって資金力や労働力などが異なりますので、作る作物やメリット・デメリットを比較して最適な方法を選ぶと良いでしょう。

●出荷方法による違い

農協組織を通して出荷する方法を「系統出荷」と言います。そのためには農協組織の組合員になる必要があります。組合では品質を揃えるための講習会を行っていることが多く、初心者でも比較的簡単に作物を作ることができると言われています。市場を通して出荷されますので、出荷計画・供給計画が事前にプランニングされており、そのタイミングにあわせて集荷場へ作物を持っていく形になります。直売所とは違い作物を店頭に並べる仕事がなく、出荷作業が効率的です。また、全量買取のため売上を把握しやすいという特長があります。一方、作物の規格基準が厳しく失敗した作物は買い取ってくれなかったり、販売価格を一農園では決められないため、利益が圧縮される可能性が高いというデメリットがあります。

農協組織外に出荷する方法を「系統外出荷」と言います。単価をコントロールできますので費用対効果にあった販売価格設定することができます。販路の開拓や販売先への営業が必要になり大変さがありますが、付加価値を高めてブランド化に成功すれば、高値で取引が可能になり収益を上げることができます。また栽培時期をずらして市場の需要が高い時期に販売をすれば高単価での取引が可能です。近年では野菜のネット販売も増えてきており、こういった新しい販路へのチャレンジもできます。

儲かる作物選びで覚えておきたいこと

●定番の野菜が育てやすく収穫量も見込める

キャベツ・大根・里芋・きゅうり・にんじんなどは、育てるために求められる技術はそこまで高いわけではありません。収穫を機械化できれば収穫効率の高い野菜です。労働時間に対して利益が多く得られる傾向にあるため、儲かりやすい作物と考えることができます。新規就農者であれば、総労働時間が短く、作業時間に対して所得が多い作物を優先的に検討してみるのも良いでしょう。

●経営の規模や環境によって利益が大きく変わってくる

作物の種類や栽培方法によって収穫量や売上高に差が出てきます。売上だけでなく経費を考えた利益をシュミレーションすることが大事です。また求める収穫量・規模に応じた作物選びが重要と言えます。

新規就農のハードルを乗り越えましょう

新規就農には資金調達や農業経営ノウハウ、技術の習得、土地・設備・機械への投資、管理体制といったさまざまなハードルがあります。事前に十分に下調べをしてシミュレーションをしておくことが大切です。農業で成功するために、今回のコラムを参考にしていただければ幸いです。

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コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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