いちご栽培にLED電球を導入するメリット
●収穫量アップが期待できる
いちごにとって冬場に日長が短くなることが休眠状態に入る要因の一つ(気温低下も要因の一つ)です。そこでLED電球で電照をして人為的に日長を春のような環境(室温を保つことも必要)に近づけることで、いちごは春が来たと錯覚し花を開き実を着けます。加えてLED電球は雨天や曇天が多いシーズンの日照時間の不足により、光合成が停滞することを防ぐこともできます。LED電球による電照を効率良く活用すれば、生育スピードを落とさずに栽培ができ、年間でより多くのいちごを収穫することができます。
●効率的ないちご栽培が可能になる
電照する際には白熱電球や蛍光灯やLED電球という選択肢がありますが、お勧めはLED電球です。値段が高くイニシャルコスト(初期費用)がかかるデメリットのある一方、蛍光灯や白熱灯の光源と比べて、植物の生育に適した波長を出す光源を作りやすいと言われています。植物の生育促進に適している光は3種類。光合成を促す赤色、茎を太く実を大きく葉を厚くするという青色、開花を促進させる遠赤色があります。この3種類の光をいちご栽培にフィットするように組み合わせたLED電球をきちんと選び、導入することが大切です。いちごを休眠させずに効率的に育成させることができる可能性が高くなります。
LED電球は消費電力が圧倒的に少ないため運用期間中の省エネ効果も期待ができます。電照する電球を間口6m×奥行30m程度のビニールハウスに2m間隔で設置するとなると、必要な電球の数は40個程度。1kWHあたりの電気料金が30円、1日4時間電照したと仮定してビニールハウス1棟につき月に4,600円程度の差が出てきます。簡易な計算表を以下に示します。
40W白熱電球 40W÷1,000×4時間×30円×30日 = 5,760円/月
8WLED電球 8W÷1,000×4時間×30円×30日 = 1,152円/月
ビニールハウス1棟(間口6m×奥行30m)あたりの差額 4,608円/月
1年うちに1カ月だけでも使用電気量が増えると、年間の基本使用料金が上がってしまいますが、LED電球を使用することにより電気使用量の突出を抑えることが出来る可能性があります。基本使用料を抑えることになり経済的です。
●病害虫が寄りつきにくくなる
LED電球の光は害虫が好む紫外線をほとんど出さなないため、アブラムシをはじめとした病害虫が寄りつきにくい性質を持っています。LED電球が点灯中でも病害虫は暗闇と同じと認識するため、行動が抑制されるという研究もあります。すべての虫が寄ってこないというわけではありませんが、多くの虫(紫外線に集まる虫)に対して効果があると言われています。
いちご栽培用LED電球を選ぶときのポイント
それでは実際にLED電球を選ぶ際のポイントを抑えておきましょう。
●赤色の光成分を含む光の白色LED電球を選ぶ
多くの研究結果や論文において赤色・青色・遠赤色の光成分が含まれているLED電球がいちご栽培に有効であると報告されています。
植物にあった波長のLEDを選ぶことはもちろんですが、作業性を重視しておくことも必要です。早朝や夜間の作業時に赤色や青色のような色のついた電照の下で収穫をすると、いちごの状態が見誤る可能性があります。また人が作業できる環境になりません(目が疲れて気分が悪くなることも)。
白色であれば選別作業にも適しており、作業者も快適に収穫を行うことができます。白色LED電球は人間の目には白色に見えても、植物に有効な赤色の光成分を赤色LED電球と同等以上含まれています。室内照明用の白色電球では、狙った通りの栽培にはつながらない可能性があります。
●防水仕様のLED電球を選ぶ
ビニールハウスは雨からは守られているといっても、散水・水滴落下・多湿・農薬付着といった電気製品にとって決して良い環境とは言えません。完全に水がかかることはありませんが、日常生活用程度の防水仕様にしているものを選びましょう。一般的にLED電球の寿命は約4万時間と長いとはいえ、球切れ以外のトラブルで壊れてしまっては、せっかくコストをかけて導入した意味がなくなってしまいます。
●既存施設を活用できるものを選ぶ
すでに既設の配線設備がある場合はこれを活用しない手はありません。既存の配線器具にあったLED電球を選べば、新たな電気配線工事は不要でコストを抑えられ付け替えも簡単です。蛍光灯タイプや白熱球タイプのLED電球がありますので、既存設備を活かして入替を行うと良いでしょう。
効率的ないちご栽培を可能にするおすすめのアグリランプFR
アグリランプFRは冬季のイチゴ栽培における照明として非常に有効的です。アグリランプFRはハイパワーとミドルパワーの2タイプあり、イチゴ栽培ではミドルパワーを選択してください(ハイパワーは花き向け)。アグリランプFRには光合成により有効的とされる遠赤の波長が含まれており、日長延長だけではなく生育促進の効果も得ることができます。そのため冬季の収穫の途切れを抑制して収量アップに繋げます。
LED電球を導入して農作物の生産をアップしましょう
蛍光灯や白熱灯と比べLED電球は単価が高いため初期投資コストがかかりますが、土耕栽培・高設栽培・水耕栽培を問わず収量の増加が期待でき、ランニングコストや交換費用が抑えられるというメリットがあります。まずはビニールハウス内の一ベッドまたは一ベンチを実験的にLED電球にしてみて既存施設を比べてみるという試し方もあります。LED電球を活かしたいちごの栽培方法を開始して生産性を高めていきましょう。
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コラム著者
キンコンバッキーくん
菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。