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高単価なトルコギキョウ、栽培のメリットと注意点を解説
公開日2023.05.15
更新日2023.05.22

高単価なトルコギキョウ、栽培のメリットと注意点を解説

華やかな見た目で大輪の豪華なフリンジタイプもあるトルコギキョウ。草原のリンドウと呼ばれ、すっと伸びた茎に色彩豊かな花をさかせます。日本に輸入されたのは1930年頃で、1970年以降に品種改良が進みいろいろな花色や花形のトルコギキョウが楽しめるようになりました。形や色のバリエーションの多さと日持ちの良さから冠婚葬祭などを含め広い用途で使われており、市場のニーズが高い花きといえるでしょう。今回のコラムではトルコギキョウを栽培するメリットや注意点をご紹介したいと思います。

トルコギキョウとは?

トルコギキョウは名前からトルコが原産地ではないかと考えてしまいますが実は違います。アメリカ大陸のロッキー山脈の東側(ネブラスカ州・コロラド州・テキサス州など)の高原地帯が原産地です。蕾の形がトルコ人の頭に巻いているターバンに似ており、また咲き方がキキョウに似ていることから日本ではトルコギキョウ(トルコキキョウ)と呼ばれるようになりました。リンドウ科ユーストマ属でキキョウ(桔梗)の仲間でもありません。海外ではリシアンサスやユーストマと呼ばれており、日本のフラワーショップでもこの名前で販売しているお店があります。温暖で日当たりの多い環境を好み、光があたると発芽する好光性植物です。一般に、切り花としての品質に適した生育適温は15~20℃程度と考えられています。

トルコギキョウを栽培するメリット

単価が高い

トルコギキョウはキク・バラ・カーネーションなどに比べて1.5~3倍程度の価格です。2004年~2008年にかけての平均単価は99~109円を推移していましたが、最新のデータによると2019年168円・2020年177円・2021年189円とさらに高単価になっている状況です。コロナが原因となった輸入量の減少も影響しているようですが、2022年3月には1本あたり231円と過去5年で最高単価となり話題となりました。日本では年間1億本が必要といわれており、この数量を切ると取り合いになり高単価になります。

花屋や消費者に支持されている

主役級の存在感がありながらメインの花を引き立てることができ、花色や形が豊富なためアレンジしやすく、フラワーショップや一般ユーザーに人気があります。また、比較的暑さなどに強いため花持ちが良く、蕾の姿も美しいことから長く楽しむことができます。ブライダル・葬儀・フラワーアレンジメント・ギフト・自家需要など幅広い用途で使われているようです。地域による人気の格差は少なく全国的に需要が高い花き類といえるでしょう。

メーカーが開発に力をいれている

トルコギキョウにはホワイト・ピンク・パープル・イエロー・ベージュ・オレンジなどがありカラーバリエーションが豊富で、サイズも大ぶりから小ぶりまで多種多様です。フリンジ咲き・セミフリル咲きなど八重咲きの豪華な品種は人気が高く、種苗メーカーが開発に力を入れています。栽培する農家さんにとっては、用途や地域性の傾向を把握すれば、人気の高い品種(つまり高単価で売れる品種)を育てるチャンスが広がると考えることができます。

多様な作型により長期出荷が可能

品種や地域などが条件になりますが、季咲き栽培・夏咲き栽培・抑制栽培・加温促成栽培など様々な作型があり年間を通じて栽培を行うことができます。ただし冬季に出荷する作型はブラスチングや開花遅延が発生しやすかったり、夜間加温による燃料代が負担となったりすることから栽培リスクが高くなる傾向があるようです。

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トルコギキョウ栽培における注意点

土壌の品質に関する注意点

品種や土壌環境によりますが、一般に土壌pHは6.5~7.0程度の微酸性の土を好みます。土壌ECは0.3~0.4mS/cm程度が目安で、1.0mS/cm以上は生育不良や枯死が発生する可能性があります。土づくりに未熟堆肥を使用すると青かび根腐病が発生しやすいとされていますので注意しましょう。

育苗に関する注意点

種苗業者から苗を購入するか、タネをまき自家苗を育てて使用するかを選択する必要があります。自家育苗は概ね半分ほどコストを抑えられますが、トルコギキョウは苗の出来で7~8割は品質が決まってしまうとされていますので、種冷蔵・潅水・温度管理などに気を付けないと品質が落ちる可能性があります。種冷蔵処理・冷房育苗などの知見や技術が求められます。

潅水に関する注意点

アメリカ大陸のトルコギキョウの自生地は乾燥地の中の湿地帯です。そのため湿地環境で発芽し乾燥条件で開花するという傾向があるようです。この環境に近い潅水条件を揃えることが上手に育てるポイントとなります。一般に、定植後の初期の栽培ステージでは多めに潅水を実施し、その後は潅水の頻度を減らしていくと適当なボリューム(切り花重)のトルコギキョウが収穫できると考えられています。

ロゼット化が起こらないように注意する

ロゼットとは茎が伸びずに葉っぱだけが生長する状態のことを指し、これが起こると開花のタイミングが遅くなるため生産管理上問題となります。ロゼット化の原因には日長・光量・定植時のストレスなどが指摘されていますが、特に高温時に播種・育苗を行った場合に、育苗中や定植後の土が乾燥した状態になると発生しやすいと考えられています。本葉が2枚以上に展開した苗については、高温によるロゼット化は発生しにくいようです。

鮮度維持に関して注意する

一般にトルコギキョウは比較的エチレンガスの感受性が高いとされています。感受性は時間の経過とともに高くなっていく傾向があるようです。エチレンガスは植物の鮮度を低下させる特性があるため、収穫後はエチレン阻害剤(STS剤など)で水揚げ処理を行ったり、保管時は分解資材などを用いて発生するエチレンガスを除去したりすると良いとされています。ただし、老化を伴うエチレンガスの感受性は、著しく上昇する品種と上昇が確認できない品種があるため、栽培する品種の感受性を確認してからエチレンガス対策を実施するようにしましょう。

また、花粉がつく柱頭(ちゅうとう)と葯(やく)の距離が短いほど受粉しやすく、受粉量が多いほどエチレンガスを生成しやすくなり、鮮度が低下しやすいという研究もあるため、輸送時の振動などにも注意する必要がありそうです。

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品質の優れたトルコギキョウを栽培しましょう

ニーズの高さから他の花き類に比べて高単価で市場へ卸すことのできるトルコギキョウ。品種や色にバリエーションがあるため差別化を図りやすいという点も魅力的ですね。品質の優れたものを栽培することができれば、より安定した農業経営を実現できるのではないでしょうか。

高単価なトルコギキョウ、栽培のメリットと注意点を解説

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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