コナジラミの被害とは?特徴を解説
コナジラミ類はカメムシ目の仲間で、アブラムシやアザミウマ等に並ぶ農業害虫です。コナジラミ類の中でもタバココナジラミとオンシツコナジラミの2種類が野菜で問題になっています。寄種植物の葉裏を住処とし、成虫と幼虫共に口針(こうしん)を使って植物の汁液を吸うことで汁液の栄養を摂取します。吸われた箇所は葉緑素が抜けてしまうため、白いカスリ状になります。特に被害が深刻だと寄種植物が枯死してしまうこともあります。また排泄された甘露がすす病の原因となったり、葉や果実が黒く変色することで農作物の品質が低下します。そして施設園芸で最も問題となるのはタバココナジラミがトマト黄化葉巻ウイルス(略称:TYLCV)やウリ類退緑黄化ウイルス(略称:CCYV)といったウイルス病を媒介することです。トマトを例に挙げると、発生初期は新葉が黄色に変色し、縮葉します。症状が進行すると生長点近くの節間が短くなり、株全体が萎縮します。やっかいなのは開花しても着花しないことが多いので、生育の初期に発病してしまうと収穫物が得られない可能性があることです。
コナジラミ被害の対策と予防方法-大量発生を防ぐポイント-
コナジラミの被害を防ぐためには「入れない・増やさない・出さない」の3つを徹底して守ることが非常に大切です。本章では対策と予防方法を詳しく記載します。
・防虫ネット
ビニールハウスの側窓、天窓、換気窓といった開口部に目合い0.4mm以下*の防虫ネットを展張することでコナジラミ類に対して高い侵入防止効果が期待できます。
*0.4mm以下の防虫ネットは目合いが細かいため、風の侵入が少なくなります。そのため、施設内が暑くなり作業者の負担になることがありますのでご注意ください。
関連コラム:防虫ネットの正しい使い方|害虫のハウスへの侵入を阻止
・二重扉
コナジラミは人が出入りするビニールハウスの出入口から侵入することがあります。出入口を二重扉にする、かつ二重扉に目合い0.4mm以下の防虫ネットを展張することで侵入防止効果が高まります。
・光反射資材
光反射率が高い光反射シート等を施設の外周に敷くことで、コナジラミの施設内への侵入を抑制しトマト黄化葉巻病の発生抑制が期待できます。
・苗による持ち込みや作業者等による持ち込み
苗の定植時に、持ち込んだ苗に付着していたコナジラミが施設内に侵入してしまうことがあります。特に業者から苗を購入している場合は苗の状態をよく観察しましょう。また作業者がコナジラミの発生している施設から別の施設へ移動する際に、衣服や靴にとりついたコナジラミが施設内に侵入してしまうこともあるので注意しましょう。
・粘着板(シート)
害虫の発生を早期に発見し、効果的な防除方法へ移行することはとても大切です。圃場にコナジラミが発生しているかどうかを知るためのモニタリングツールとして、粘着板(シート)の設置はとても有効です。コナジラミ類は黄色に誘引されるので黄色の粘着板を設置しましょう。たくさん設置すればそれなりに捕虫効果も見込めます。
・LED捕虫器
コナジラミ類は特定の波長の光に誘引されることが分かっています。その波長の光のLED光を放出し、誘引されたコナジラミを捕虫できるように設計された装置が販売されています。
・施設の蒸し込み
施設栽培が終了した後はコナジラミを外に出さないために蒸し込み処理を行いましょう。施設の開口部全てを閉じ、密閉状態にすることで施設内の温度を上げます。1週間程度が蒸し込み処理の目安です。
発生してしまったコナジラミの駆除方法
・農薬散布
先に記載した粘着板でコナジラミの発生が確認できたら早めの段階で農薬散布をしてコナジラミの発生を抑えましょう。最近のコナジラミ類は高度な薬剤抵抗性を発達させている場合が多いです。農薬散布だけに頼らず、複数の防除方法を組み合わせて効率的に対処することが大切です。
・天敵昆虫
天敵微生物製剤をうまく活用することでコナジラミの個体数を減少させることができます。オンシツツヤコバチ(学名:Encarsia formosa)やチチュウカイツヤコバチ(学名:Eretmocerus mundus)といった種類の昆虫を利用することができます。
・気門封鎖剤
名前の通り、コナジラミの気門(空気の出入り口)をふさぐことで窒息死させる効果が期待できます。害虫に直接かからないと効果がないので、ムラなく丁寧に散布することがコツです。なおコナジラミの卵に対する効果はありませんので、複数回の使用により防除効果を高めましょう。気門封鎖剤の一番のメリットは回数制限がないことです。収穫前日まで何度でも使用可能です。
コナジラミの捕虫に便利な資材①
吸引式LED捕虫器|スマートキャッチャー
スマートキャッチャーはコナジラミ類・アザミウマ類・キノコバエ類・ハモグリバエ類・ヤガ類などの飛翔害虫を誘引し、強力吸引ファンで専用捕虫袋に捕獲するビニールハウス向けのLED捕虫器です。害虫が発生する前の栽培初期に400~500㎡あたりに1台を設置していただくことで繁殖を抑制する効果が期待できます。
現地レポート:スマートキャッチャー編 #1(トマト・キュウリ)
コナジラミの捕虫に便利な資材②
活性式予察捕虫器|コナジラミキャッチャー
コナジラミキャッチャーはコナジラミ類を特殊誘引剤で誘引し、粘着板に捕虫するビニールハウス向けの捕虫器です。100㎡あたりに1台を地上から0.5~1mほどの高さの位置に設置していただくことで効率よくコナジラミ類を捕獲することができます。粘着板と特殊誘剤が消耗品になります。特殊誘引剤は3カ月に1回程度で交換が必要になります。電気を使用しませんので電気が来ていない圃場の害虫対策としておすすめです。
コナジラミの忌避に便利な資材
乱反射型光拡散シート|てるてる
極細繊維から成る合成紙とポリエチレン製補強材「ワリフ」を熱圧着させた複合シートです。太陽光をあらゆる角度に拡散反射させる機能を持っています。てるてるの拡散反射効果によってコナジラミ類の行動を抑制し、繁殖や栽培エリアへの侵入を防ぐ効果を期待できます。
コナジラミの被害を軽減し、農作物を守る
いかがでしたでしょうか。「入れない・増やさない・出さない」の3つのポイントをおさえることでコナジラミに負けない対策をとることが可能になります。本コラムがコナジラミ類の被害から大切な農作物を守るための一助となりましたら幸いです。
関連コラム:
・コナジラミ類からトマトを守れ!|コナジラミによる被害と対策を紹介
・コナジラミの種類|効果的な駆除方法をご紹介
・コナジラミを駆除するには?大量発生を未然に防ぐポイント
コラム著者
満岡 雄
2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Xを更新していますのでぜひご覧ください。
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吸引式LED捕虫器スマートキャッチャーⅡ
- LEDの光でさまざまな種類の飛翔害虫を捕獲
- 農薬散布回数・農薬散布量・農薬散布労力の軽減
- 吸汁被害・ウイルス病の蔓延を防止
- 害虫の発生予察資材(モニタリングツール)として活躍
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活性式予察捕虫器コナジラミキャッチャー&アザミウマキャッチャー
- 特殊誘引剤の匂いと粘着シートの色によってコナジラミとアザミウマを誘引し捕虫
- 電源のない圃場への害虫対策に
- 害虫の発生予察資材(モニタリングツール)として活躍
- ビニールハウスのお守りとして
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乱反射型光拡散シートてるてる
・光拡散反射によるアザミウマ類の忌避
・虫ブロッカー赤との相乗効果
・果樹や果菜類の色付効果と色ムラ抑制
・イチゴ、キュウリ、アスパラガス、マンゴー、リンゴ、ブドウ、モモなどに導入実績あり