コラム
コナジラミを駆除するには?大量発生を未然に防ぐポイント
公開日2020.03.26
更新日2022.07.01

コナジラミを駆除するには?大量発生を未然に防ぐポイント

作物の害虫には様々な種類が存在しますが、コナジラミ類は「作物の光合成を阻害する」「すす病を発生させる」「他の作物にウイルス病を媒介させる」といった被害をもたらすとてもやっかいな害虫の一つです。大量発生してしまうと手に負えないことがあるので、発生初期から効果的な駆除方法を併用し駆除していくことが大切です。今回は大切な農作物を守るためにコナジラミ類被害における対策を記載していきたいと思います。

コナジラミの被害と駆除方法

●コナジラミによる被害

コナジラミはヨコバイ類・カイガラムシ類・アブラムシ類などと同じ半翅目の同翅亜目に属する昆虫です。蛹の段階を持たない不完全変態昆虫(ふかんぜんへんたいこんちゅう)です。世界で1500種類以上の種類が確認されており、農業においては「害虫」として認識されている昆虫です。植物の葉の裏側に寄生し、口針(こうしん)という器官を刺し植物の汁液を吸汁します。吸汁されると葉緑素が抜け、葉がカスリ状になり光合成が阻害されます。また排泄物である甘露にすす病が発生すると同化作用を阻害する為、作物の成長に悪影響を及ぼします。すす病は名前の通り、実や葉の表面が黒くなるため品質不良の原因にもなります。また病気に罹った植物を吸汁した後に別の植物を吸汁することでトマト黄化葉巻病などのウイルス病を媒介することがあります。

日本では、オンシツコナジラミ・タバココナジラミ・シルバーリーフコナジラミの三種類が代表的なコナジラミです。繁殖力が強く、放っておくと大量に発生しやすいことが特徴です。春から秋の暖かい時期にかけて増えやすく、25℃の環境だと卵から孵化して成虫に羽化するまでの期間は約23日前後とされています。野菜・果樹・草花・観葉植物など食害する植物は多岐にわたることが報告されています。

参考:コナジラミ類および媒介ウイルス病の発生生態と防除対策

●コナジラミの駆除方法

駆除剤(殺虫剤)を散布する
コナジラミへの効果をはっきりと謳い、実績のある商品を選ぶことが大切です。卵と蛹は駆除できませんが、成虫を駆除できます。発生のたびに繰り返し殺虫剤を散布して駆除していきましょう。浸透移行性(しんとういこうせい)のある殺虫剤もおすすめです。浸透移行性とは葉から吸収された薬の成分が作物の体内を移行することにより、葉自体が殺虫する効果を持つので、その葉を吸汁した害虫を駆除できることです。効果は数週間持続しますので予防にも駆除にも役立ちます。

駆除剤(気門封鎖剤)を散布する
昆虫が呼吸をしている器官の「気門」を封鎖し窒息死させる駆除剤です。残効性がないため、使用回数に制限がない場合が多いのがメリットです。こちらも卵と蛹は駆除できないので繰り返し散布することが効果的です。

黄色の粘着板を設置する
コナジラミは黄色の色彩を好む習性があります。大量発生時でも効率的に駆除できるのでおすすめです。また黄色の粘着板はコナジラミが施設へ侵入するのを防ぐこともできます。さらに、発生している個体数を把握できるので天敵資材を導入するタイミングを知るアイテムとしても期待できます。

天敵資材を活用する
コナジラミの幼虫や成虫を捕食する生物農薬によって駆除することもできます。オンシツツヤコバチ(学名:Encarsia formosa)やサバクツヤコバチ(学名:Eretmocerus eremicus)は体長1mm以下の天敵寄生蜂です。雌成虫はコナジラミの幼虫に産卵管を刺して卵を産み、孵化した幼虫が内部の組織を摂食します。雌成虫は一日あたり15卵弱を産卵します。スワルスキーカブリダニ(Amblyseius swirskii)は体長約0.3mmの天敵ダニです。コナジラミの卵や幼虫を一日あたり各10~15頭ほど捕食します。25℃の環境において雌成虫は一日あたり2卵を産卵します。

【天敵資材の利用のポイント】
①コナジラミの生息数が少ないうちに導入する
②黄色の粘着板と併用することでより高い防除効果が期待できる
③導入中の農薬散布は、天敵資材を死なせない薬剤を使用する
④導入環境が低温の場合は、天敵資材が殖えにくい場合があるので温度に注意する

牛乳と水を1:1で混ぜた液剤を葉に吹きかける
ご家庭にある牛乳を霧吹きすることで簡単に退治することもできます。家庭菜園やガーデニング等の小規模な植物栽培に対するコナジラミ駆除におすすめです。用意するものはスプレーボトル(100円ショップで売られているものでOK)・牛乳の原液・水です。液剤をスプレーボトルに入れてコナジラミの発生箇所に散布してください。液剤がかかると乾いた時に固まり気門(空気を取り入れる穴)を塞ぐため窒息させます。散布した液剤を放置すると悪臭や病気の原因になりますので水で液剤を洗い流しましょう。

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コナジラミの大量発生を防ぐポイント

●雑草を除去する

コナジラミは雑草でも発生し越冬する性質があります。施設内の雑草を除去することで予防と増加防止が期待できます。

●植物に防虫ネットを張る

コナジラミの成虫の体長は1~3mm程度です。したがってコナジラミが入り込めない程度の網目の防虫ネットをビニールハウスの開口部や植物に直接かけましょう。タバココナジラミの成虫の通過を80%以上防ぐには0.4mm以下の目合いが必要なようです。できるだけ細かな目合いの防虫ネットを使用したほうが侵入防止効果は高まりますが、通風性が悪くなり施設内の温度を上昇させ作物に悪影響を及ぼすこともありますので注意しましょう。

●シルバーマルチを設置する

コナジラミは太陽光を嫌う習性があります。シルバーのマルチシート(反射シート)を張ることで地面に当たった光が反射してコナジラミの飛翔や繁殖活動が阻害されるからだと考えられています。シルバーマルチはコナジラミ以外の害虫対策にも効果的です。

●少数でも発生したら放置しない

コナジラミは短期間で繁殖するため、少しでも発生したら即座に駆除しましょう。発生からしばらくの間は注意して葉裏を観察し、見つけたら都度対策することが大切です。各種駆除方法を効果的に組み合わせましょう。早期の個体数の減少につながります。

コナジラミの駆除・予防に効果的な『スマートキャッチャーⅡ

そこでおすすめしたいのが吸引式LED捕虫器スマートキャッチャーです。LEDの光でコナジラミ類・アザミウマ類・キノコバエ類・ハモグリバエ類・ヤガ類などの飛翔害虫を誘引し、強力吸引ファンで専用捕虫袋に捕獲します。
栽培初期に設置することでコナジラミ類の増殖を抑制。吸汁被害を減少させるのはもちろんのこと、農薬の散布回数の減少効果も期待できます。推奨設置数は500㎡に1台です。価格は1台あたり31,900円(税込・送料別)ですので低コストで害虫対策ができます。

 

コナジラミの駆除・予防に効果的な『コナジラミキャッチャー

 

活性式予察捕虫器コナジラミキャッチャーはビニールハウス向けの予察捕虫器です。特殊誘引剤の匂いと粘着シートの色によってコナジラミを誘引し捕虫します。付着した害虫の種類や数を農薬散布の目安とすることで害虫被害の早期発見と早期防除に役立ちます。
電源が不要のため電気が完備していない圃場にもおすすめです。約1a(100㎡)あたりに1台設置することで、食品由来の原料を使用した誘引剤「コナジー」と粘着シートの色でコナジラミを誘引し捕虫します。誘引剤の効果はおよそ3か月間持続します。1台あたり2,695円(税込・送料別)と低価格なので手軽に導入できます。3か月以降も誘引剤(1本あたり880円)を交換すれば継続的に使用することが可能です。

コナジラミ類を駆除し健康的な作物を育てましょう

コナジラミ類は「施設に侵入させない」「早期に駆除する」といった各種駆除方法を効果的に組み合わせることがとても大切です。コナジラミ類の被害を減少させ、健康的で品質の良い作物を育てましょう。

こちらのコラムも是非ご覧ください

>>>農薬を使わない害虫対策|有機栽培と物理的防除

>>>ビニールハウス栽培における害虫とは| 駆除のポイント

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コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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