今回のコラムでは、イチゴの電照栽培について電照栽培の歴史を振り返りながらLEDと白熱電球の比較を解説したいと思います。
イチゴ栽培の歴史|電照の観点から
日本のイチゴ栽培は明治時代に始まりました。オランダから長崎県を経由して、当時の国立農場であった新宿御苑や北海道の農場で栽培が始まったとされています。当時に育成された品種で普及に最も貢献したのは“福羽”でした。その普及の足掛かりとなった場所は静岡県の久能山で、現在も全国的に“石垣イチゴ”で有名な地域です(現在は別の品種が栽培されています)。久能山で福羽の栽培が始まったのが1920年といわれており、これ以降全国にイチゴ栽培が広がっていきました。
今からおよそ100年前に始まったイチゴ栽培は、当時は露地栽培でスタートしておりビニールハウスや夜冷処理は疎か電照技術などありません。1950年代になって農業用プラスチックが登場するとトンネル栽培技術が普及し、さらに、高冷地育苗や促成栽培が導入されるようになって、イチゴの成長をコントロールできるようになってきました。電照の導入はまだまだ先の1980年代になってからです。しかし世界に目を向けると、戦前のオランダでは既に電照栽培が始まっていたようです。
電照の有無による収量の違い
イチゴ促成栽培技術の開発による電照の普及は、日長条件を改善し日照時間を確保することによって草勢を維持し花芽分化を促進して収穫量や収穫期間を向上させる目的がありました。花芽分化の促進は電照だけではなく育苗方法や定植期の検討も含めた総合的な技術だったのではないでしょうか。
イチゴ栽培における電照有無の影響ですが、電照を行わない場合は株が矮化して草高が低くなり光合成量が低下して養分の合成も少なくなるため、開花も進まず果実の肥大も悪くなって収穫量が減少します。
このときの電照点灯方式もさまざまです。電照を点灯するタイミング(何時に点灯開始するか。夜間に点灯する農家や夜明けに点灯する農家がいます。)、点灯時間(何時間点灯するか)、点灯時期(点灯期間の長さ)、間欠電照(一定の時間間隔をあけて任意に点灯と無点灯を調整します)など色々な方式が採用されています。
関東地方の平野において11月~3月まで電照を利用した場合、おおむね2月頃から生育と収穫量に違いが現れてきます。電照を利用しない場合の収量減少の影響は4月頃まで続き、トータルの収量も電照を利用した場合の方が増加する傾向が大きく期待できます。
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イチゴ栽培におけるLEDと白熱電球の比較
結論から申し上げますと、イチゴ栽培おけるLEDの設置は白熱電球を設置した場合と比較して同等かそれ以上の効果を得ることができます。
生育に関する比較
その主な要因に、LEDはイチゴの生育に最も適した光源を選択できることが挙げられます。ご存じのように光(波長)は大きく七色に分けることができ、紫・青・水色・緑・黄色・橙・赤となっています(虹色を思い浮かべると解りやすいですね)。また、目に見えない光である紫外線と赤外線はイチゴだけではなく野菜類や花卉類など農作物栽培において重要な光で、とくに植物の生育には赤外線の一部領域である遠赤色が重要とされています。それぞれの光(単色光)に対する植物への影響はこれまで多くの研究で検討されていますが、イチゴ農家における実践レベルでは複数の色を組み込んだLEDが普及しています。
導入コストに関する比較
イチゴ栽培におけるLEDと白熱電球の比較は生育に関するものだけではありません。普及速度を停滞させている大きな要因に、LEDの導入コストが挙げられます。LEDは白熱電球と比較して電球価格がかなり高くなっており、電球メーカーにも寄りますが白熱電球の10倍ほどの価格差があります。イチゴの促成栽培の場合は10a(1反)あたり100球ほど電球を設置しますが、仮に30a(3反)の栽培面積があった場合は300球が必要になります。仮に白熱電球が1個400円、LEDが1個4000円の場合、30aあたりの白熱電球のコストは12万円、LEDが120万円になり農業経営支出としては大きな金額になってしまいます。また、電照設備がないハウスは配線など初期工事費用も加算されます。ただし、導入コストのみで一概に比較するのではなく耐用年数と消費電力および生育に対する有効効果を考慮に入れなければなりません。後述するアグリランプFRは白熱電球よりもはるかに耐用年数が長く、消費電力は1個あたり9Wと低電力を実現しております。また、草勢維持や花芽分化促進によって収穫を途切れさせないことはイチゴ農家にとって大きなメリットになると思います。
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イチゴ栽培に最適なLED
前章で解説したように、LED光源は七色を製造段階で組み込むことができます。このとき単色でも組み込めますし、複数の光を組み込むこともできます。
イチゴ栽培で単色LED光源を用いる場合、赤色LEDや遠赤色LEDが生育に適していることが知られており、産地が夜間になると赤系の光源を設置したイチゴハウスを時々見かけることがあります。イチゴの生育に最適な光だけを採用することは効率の良い栽培方法だと思いますし、白色LED光源よりも赤色LED光源の方が生育が良くなる結果もあるでしょう。しかし、この二つのLED光源を併せた光源はさらに生育が良くなるとされているため、それを示すかの様に世の中には様々なメーカーから白色+赤色のLEDが販売されています。
イチゴ栽培にLED光源を用いる場合、単色光源を使用するよりも複数の光源を組み合わせた方がイチゴの生育が向上するという裏付けにも感じます。
イチゴ農家さまにお勧めします!!アグリランプFR
アグリランプFRはイチゴ栽培向けのLEDです。アグリランプFRにはミドルパワーとハイパワーがありますが、イチゴ栽培にはミドルパワーを適用します。イチゴの光合成に最適なLED配色を選んでおり、特に遠赤色を搭載することによって日長コントロールだけではなく光合成も促進して、冬季に落ち込みやすいイチゴの生育を改善、収穫を途切れさせずに春まで維持して収量アップに貢献します。白熱電球からの入れ替えにアグリランプFRを採用していただく農家さまが多くなっています。口金はE26規格のため問題なく入れ替え可能。IP67準拠の完全防水性能を備えており、また、動作環境は-20~50℃と厳しい農業環境に耐えられるように設計されています。高品質のメーカー商品を比較的低価格でご提供させていただいておりますので是非ご検討ください。
イチゴの電照栽培を補助する農業資材
虫ブロッカー赤
虫ブロッカー赤はアザミウマ対策用の赤色LED防虫灯です。従来は630nmの波長を採用したメーカー商品が出回っていましたが、農研機構の研究によって、630nmよりも更に効果が高い波長が660nmであることがわかりました。虫ブロッカー赤はその660nmを搭載しており、イチゴ栽培で激発するヒラズハナアザミウマに対して大きな忌避効果を得ることができます。
虫ブロッカー赤は10~15m間隔で設置します。本体と本体を連結することができるため少ないコンセント数で設置することができます(連結タイプのみ)。また従来メーカーはハウスの中に設置することで「ハウスの中に入ってきたアザミウマの行動抑制をする」考えのもとに設置を進めてきましたが、虫ブロッカー赤は「ハウスの中に入れさせないように側窓と出入口を囲うように設置する」考えを推奨しています(単棟ハウスや大型ハウスの場合は必ずしも囲いません)。ハウスの中に設置するとトマトやピーマンなど株が上に育つ植物は赤色LED防虫灯を設置しても陰ができやすくなり忌避効果が小さくなります。しかし、ハウスの側窓や出入口を赤色LED防虫灯で対策することでアザミウマをハウスの中に入れさせることなく、さらに植物の陰ができる心配は一切不要になります。
LEDを導入して安定したイチゴ栽培を
最近の世界情勢や環境保全意識の高まりから、電気代が少しずつ高くなってきました。LEDは導入コストが高額になるものの消費電力が少なく、耐用年数が長いため取り換える手間も少なくなります。本来の目的である草勢維持と収量改善も白熱電球と比較して同等以上であればメリットがデメリットを大きく上回るのではないでしょうか。
今回のコラムが皆様のお役に立つならば幸いです。
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コラム著者
小島 英幹
2012年に日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程を修了後、2年間農家でイチゴ栽培を経験。
2021年に民間企業数社を経てセイコーステラに入社。コラム執筆、HP作成、農家往訪など多岐に従事。
2016年から現在まで日本大学生物資源科学部の社会人研究員としても活動し、自然環境に配慮した農業の研究に取り組む。研究分野は電解機能水農法など。近年はアーバスキュラー菌根菌を利用した野菜栽培の研究に着手する。
検定、資格は土壌医検定2級、書道師範など。
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イチゴと花き用の遠赤LEDアグリランプFR
- イチゴと花きの促成栽培に最適なLED
- 植物の生育に効果的な遠赤LEDを搭載
- ハイパワー型とミドルパワー型を用意
- 全国の農業試験場に導入実績あり!!
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アザミウマ専用の赤色LED防虫灯虫ブロッカー赤
- 赤色LEDがアザミウマの忌避効果を発揮
- 波長660nmは効果対象のアザミウマが多い
- ヒラズハナ、チャノキイロに効果あり!!
- 訪花昆虫と天敵への悪影響なし
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高濃度アーバスキュラー菌根菌資材キンコンバッキー
- 水和・粉衣できるアーバスキュラー菌根菌資材
- 育苗では2000倍希釈水で、直播栽培では粉衣で使用
- リン酸吸収を促進して根域拡大や収量アップを実感!!
- 水稲、ネギ、ダイズ、イチゴなど様々な植物に適用可能