コラム
土壌改良のチェックポイント|野菜栽培に適した土づくり
公開日2021.03.15
更新日2021.09.17

土壌改良のチェックポイント|野菜栽培に適した土づくり

根を張って同じ場所にとどまる植物は、大地から水に溶けた養分を吸収し、葉から二酸化炭素を取り込み、太陽エネルギーを利用して有機物を生産しています。このような活動を繰り返すことで植物は今日まで継続した生命活動を行ってきました。同じ土地にとどまって活動する植物にとって、土壌環境の良し悪しが植物自身の生長に大きな影響を及ぼします。今回のコラムでは土壌改良のチェックポイントをお伝えしていきたいと思います。

植物にとって良い土とは|野菜が好む土壌環境

植物の根は大地をしっかりつかみ、体をその場に定着させるのと同時に、大地に含まれる養分や水分を取り込むことが重要な役割です。根は私たちが想像する以上に深く広く伸びていて、例えばトマトの根は深さ1m以上、横に2.5m以上に広がっていたという報告があります。水耕栽培で根が自由に伸びているところを見ると地面の中でも環境が整えばそこまで大きく成長するのかと感心します。良い土の条件としてよくいわれるのが、通気性があり、水はけ・水持ちがよく、有機物を多く含んだ団粒構造をした土です。植物が要求していることは以下のような項目が挙げられ、このような要求に答えるためには団粒構造が適しており、継続的な土作り(健康な圃場作り)が必要になります。

植物にとって良い土壌環境
1.根を十分に張りたい 垂直方向・水平方向いずれにも
2.適切な水分と養分が欲しい 成長に合わせ最適量を取り込みたい、過剰摂取はダメ
3.根も十分な酸素が必要 酸欠にしないため通気性・排水性を確保
4.自分に合ったpH 原産地の環境に近づけてほしい(pHを適切に)
5.清潔な環境 病害虫を防ぎ・連作障害を起こしにくい
6.多様な微生物が共存 有機物やミネラルの供給が期待できる

1.根を充分に張りたい

植物にとって根は体を支えているのと同時に、成長に必要な養分を水と同時に吸収する器官です。粘土質のような土は水分を含むと重く硬くなり締まってしまい、排水性・通気性が悪化してしまいます。砂粒が多いサラサラの土は、排水性は良いのでしょうが同時に養分(肥料分)も排出され、すぐ飢餓状態になります。粘土質と砂粒の中間の土が理想といわれていますので、有機物を含み通気性・保水性が良いとされる団粒構造をもった土作りを目指しましょう。排水性を確保するため圃場の地下水位は下げておいた方が良いでしょう。また深耕(50cm位)作業を行うことで通気性・排水性が格段に良くなるという報告もあります。根張りが良くないという時には、肥料に頼りがちになりますが、通気性・排水性が原因の場合では深耕の方が有効な場合もあります。

2.適切な水分と養分が欲しい

植物の代表的な肥料に、窒素・リン酸・カリウムがあります、これらは主に体の成育に重要な要素です。これ以外に微量ですがイオウ・ホウ素・鉄・亜鉛などが必要だといわれています。自然界の植物は、地表に堆積した有機物が様々な方法で分解・発酵され、雨水に溶け込んだ状態のものを吸収して成長しています。長年地層が堆積した場所では微生物が活発に活動し、保水性と通気性が確保されています。微生物の働きで様々なミネラルやアミノ酸が供給されていると考えられます。自然界では人が肥料を供給しなくても自然の力で供給されているのです。圃場でも同じような環境を整えることが大切です。微生物を活性化させ、植物がしっかりした根を伸ばすことができる土作りが重要かと思います。

3.根も十分な酸素が必要

根の細胞も無酸素では成長できません。長雨などで圃場に水がたまり排水性が悪いと、地下水位が上昇し根が水没状態になることがあります。停滞した水は無酸素状態になっており、これは根腐れの原因の一つだと考えられています。

4.自分に合った酸性度

植物は動物と異なり進化の過程で、一定の場所にとどまり繁栄する道を選びました。定着した土地の土の性質に合わせ進化してきた結果、植物によって好みのpH(水素イオン指数)が違うという特徴が生まれたと考えられています。ブルーベリーはかなり酸性に傾いた環境で良く育つことが知られています。原産地の土壌が水はけがよい酸性土壌であったためです。この環境に近づけるためブルーベリー栽培には土壌資材としてピートモスが良く使用されています。

pH(水素イオン指数)は、1~14段階に分類されます。1~7未満を酸性、7以上~14までをアルカリ性、7を中性といいます。多くの植物は5.5~7.5の範囲で成長するものが多く、傾向としてはやや酸性を好む植物が多いようです。雨が多い地帯の土壌が酸性に傾きやすいことが影響しているかもしれません。

5.清潔な環境

人間の役に立つものは酵母菌や納豆菌があり、害をなすものにはバイ菌やカビ菌があります。地中にも多数が存在しせめぎあっているそうです。あたかもぬか床のようなものです。管理が良いぬか床は乳酸菌が頑張って活動し、バイ菌を抑え込んでいます。カビも生えません。ところが管理を怠ると、この力関係が逆転しカビが繁殖します。同時に糠につけた野菜も腐っていきます。圃場の地面の中でも同じことが起こる可能性があります。特にカビ菌が作るカビ毒は、種類が多数あり、一般的には食中毒に関連したものは良く知られています。

カビの厄介なところはコロニーを形成すれば見えますが、ほとんどの場合目視することができない点です。また多くの有機物・無機物・科学物質を食料とすることができ、食中毒を起こすものも多数存在します(例外的に有用なペニシリンを作り出したアオカビもいます)。未成熟な堆肥や窒素過多の状態で水はけがよくない環境は、カビ菌にとっては良い繁殖場所なのかもしれません。カビ毒の植物に対する影響は解明されてはいませんが、ぬか床の原理と圃場の土壌環境が同じだとすると、カビ毒が連作障害の原因の一つだという可能性も考えられます。

6.多様な微生物が共存

微生物といわれる生き物は種類が多く、顕微鏡で見なければ見えないような生物をいいます。原生生物(ミジンコの仲間)・地衣類・藻類・菌類のグループと細菌類を含むグループです。このような微生物は、この地球上にあふれています。圃場の土の中でも、菌類が活躍し土壌の健全性を保つ働きをしていると考えられています。有用な微生物が活発に働けるよう、餌となる有機物やミネラル資材を投入して土とよく混ぜ合わせることが大切です。

人間の健康に関係する腸内環境で話題になるビフィズス菌や、日本酒や味噌で活躍する酵母菌、ふろ場などに発生するカビ菌は肉眼では確認ができませんがどこにでも存在しています。腸内フローラの研究は人の健康にかかわることなので盛んにおこなわれ、善玉菌と悪玉菌がいて日和見菌がどちらにつくか日々攻防が繰り広げられているような話を聞きました。しかも菌の種類は人や生活環境によって変わり、組み合わせで効果が変わるそうです。人の体の中ではこの環境を維持するため菌のえさとなる食物繊維をとることが勧められ、医学的には腸内環境を構成している菌の移植まで行われています。

良い土を作るために|土壌改良のポイント

土作りの基本は耕すことです。一定の深さまで耕すことで、空気を十分入れると同時に圃場からの排水を助けるルートを確保することができます。耕す際には異物を発見したら除去するようにしましょう。比較的浅い場所は目が届きますが深耕の場合、土以外の異物が改めて発見されることもあります。

土壌を充分に耕す

収穫が終わり、次の作付けの前までが深耕作業の時期かと思います。最近はロータリー方式で耕される方が多いかと思いますが、より深耕が可能なアタッチメントに付け替え、耕してみてはいかがでしょうか。トラクターに取り付けるアタッチメントでサブソイラ・プラソイラというものがあります。このようなアタッチメントを使用すると50㎝位まで耕すことができます。1回だけではなく複数回行うことにより通気性と排水性がしっかりと確保できます。ただし、ある程度の馬力があるトラクターが必要になります。この時、微生物の活性化を促す資材を混ぜ込むとより高い効果が期待できます。

土壌酸性度を適切にする

土壌酸性度を確認する

圃場の酸性度を厳密に図ろうとすると費用が大変です。簡易的にはリトマス試験紙があれば確認可能です。確認したい場所の土を移植ごてなどで採取し、手洗い桶のような中でよく混ぜ合わせます。この土を20gペットボトルのような容器に入れ、そこに50mlの蒸留水(中性pH7を確認・水道水でも中性なら可)を注ぎペットボトルの蓋をし、約1分振ります。その後上澄みが澄むまで静かに置きます(約30分位)、上澄み液にリトマス試験紙を浸し色の変化を色見本と比較すると、おおよそのpHがわかります。

主な野菜と適当な酸性度の関係表

土壌の性質 pH値 野菜の種類
強い酸性 5.5~6.5 ジャガイモ・サツマイモ・イチゴ・ヤマノイモ・スイカ・ダイコン・フキ・落花生・ラッキョ・スイートコーン・かぼちゃ
やや強い酸性 6.0~6.5 ブロッコリー・小松菜・ニンジン・トウモロコシ・白菜・漬け菜類・カブ・春菊・ミツバ・シロ瓜・サトイモ・生姜・キャベツ・ニラ・カリフラワー・ブラディッシュ・ミョウガ・アサツキ・ツルムラサキ・ニガウリ
やや弱い酸性 6.5~7.0 トマト・ナス・ピーマン・枝豆・ソラマメ・たまねぎ・落花生・エンドウ・インゲン・セロリ・ハナヤサイ・メロン・キュウリ・オクラ・サラダナ・パクチョイ・チンゲンサイ・タア菜
弱い酸性~アルカリ性 6.5~7.5 ほうれん草・ネギ・アスパラガス・ゴボウ・チシャ・レタス・枝豆

酸性土壌を中和する

日本は雨が多いため酸性に傾きやすい傾向があります。中和資材として石灰系がよく使われます。目安として、1平米当たり10cm耕す場合、消石灰なら80~100g、苦土石灰・有機石灰(蛎殻)なら100~150g混ぜるとpHが「1」上がるといわれています。20cmの深さまで耕す場合2倍の量が必要になります。石灰系資材は雨に濡れると固まりやすい性質があります。圃場にまいたら手早く漉き込みましょう。播きすぎるとアルカリ質に傾きます。これを戻すのは大変ですので注意しましょう。

アルカリ土壌を中和する

鶏糞を長年繰り返し使用すると、次第にアルカリに傾くといわれています。アルカリになった場合鹿沼土の細粒かピートモスを混ぜ込みます。ひどい場合は客土の検討が必要になるかもしれません。

微生物を活発にする

団粒構造を形成するためには、微生物が活発に活動しネバネバしたものを出すことで、細かい土粒同士が結びつき団粒化が起こります。団粒化が起こると土の粒の隙間が大きくなり、通気性と排水性が良くなります。団粒構造が壊れ細かい土粒に戻ると水はけが悪い粘土状に変わっていきます。この差は根の活性化に表れます。根が不健康では、化学肥料の即効性を期待してもうまく吸収できずに肥料焼けを起こしてしまいます。結果、思ったように収穫ができず収益が減少すれば農業経営が安定しなくなります。

安定して品質の高い生産物を継続して収穫するためには、微生物に大いに働いてもらう必要があります。有用な微生物のえさとなる有機資材を十分に鋤き込みましょう。通常の耕運作業はロータリー方式で行われていると思いますが、根は思ったよりも広がり深く延びる可能性があります。水平方向はロータリーで十分耕作できますが、垂直方向が不十分な場合がありますので時々は深耕することをお勧めします。

微生物は、土壌の深いところでも活躍しています。環境が悪い場所(水はけが悪く無酸素状態)では、バイ菌が頑張っていると考えられます。これらが厄介な点は生物にとって不都合なもの(人間が取り込めば病気や食中毒を引き起こすような物質)を生産することです。化学肥料ばかり使用し続けると有機物が減少し、微生物が不活性化します。それにより無機物を餌とできる菌類(特にカビ類、発見されている種類だけで8万種類ともいわれ、分類不能なものも多数存在しているそうです)が活性化、この時生産されるカビ毒(食中毒を起こすカビ毒は300種類くらい知られています)が蓄積すると病気が発生しやすくなるのではないでしょうか。カビ毒の植物に対する影響はよくわかっていませんが、自然界で連作障害が起きず、人工的な圃場で発生しやすい原因の一つが肥料の与え方による土壌環境の悪化が原因なのかもしれません。

土壌改良に役立つ地力の素

そこでおすすめする土壌改良資材が、カナディアンロッキー産の天然腐植質の土壌改良剤地力の素です。カナディアンフミン原鉱を粉砕した高純度フルボ酸のスーパー濃縮堆肥です。連作で崩れがちな微生物のバランスを整え、健全な土壌を取り戻します。微生物が活性化し団粒構造が生まれやすくなり、植物が健全に生命活動を行うことができます。

土壌改良を上手に行い健康な植物を育てましょう

人にとって衣食住といった生活環境が大切なように、自分自身では移動ができない植物にとっては、住まいと食事を兼ねている土壌環境はとても重要な活動環境になります。水分や栄養素を円滑に吸収できるような土壌づくりを継続して行うことが大切です。今回のコラムを健康な植物づくりにお役立ていただければ幸いです

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