コラム
籾殻を処分する方法|籾殻有効活用を目指して
公開日2020.12.18
更新日2022.05.19

籾殻を処分する方法|籾殻有効活用を目指して

稲を脱穀したときに発生する籾殻(もみ殻)。新潟県・北海道・秋田県の米どころを筆頭に、毎年のように大量発生する籾殻の処分に悩んでいる農家さんや稲作生産者さんは多いのではないでしょうか。自分たちで処理をして有効に活用することが一番ですが、処理が追い付かず大量に余ってしまった時は大変です。最悪の場合は、わざわざ費用をかけて産業廃棄物として処理しないといけないこともありますよね・・・。今回のコラムではそんな籾殻の基礎知識と、有効に活用する方法をお伝えしていきたいと思います。

籾殻とは?~構造と機能~

まずは籾殻の基礎知識として、構造と機能を記載していきたいと思います。

1.籾殻の構造

稲を収穫すると「玄米」「稲わら」「籾殻」の3点が排出されます。籾殻は普段私たちが食べているお米の外側を包んでいる“殻”のことです。舟の形をした殻が2枚連なって玄米を包んでいます。軽くてかたく、分解されにくいのが特徴です。かたくて分解されにくいのは食物繊維(リグニンやセルロースなど)が多いためです。

2.籾殻の機能

籾殻に含まれる窒素はわずか0.5%程度ですので、肥料としての効果は期待できませんが、土壌環境を向上させる資材として活用することが可能です。籾殻は土に鋤き込まれると、土の粒子との間に隙間をつくります。籾殻自体にも小さな穴や隙間が多くあいているので、それらが空気や水の通路となり「水はけ(排水性)が良い」「水もち(保水性)が良い」という土をつくることができます。作物が成長に必要な栄養を吸収しやすい理想的な土の状態を団粒構造といいますが、籾殻を使用することによって、それに近づけることが可能です。

籾殻の処分先(活用先)

籾殻の処分先の例を記載していきたいと思います。

1.家畜生産者及び肥料業者

牛や豚や鶏の敷料として使用されます。家畜のニオイや病害虫の予防になりますし、地面がフカフカになるため家畜が快適に過ごすことができます。また使用後は糞と混ぜ合わせて発酵させることで堆肥として使用することができるというメリットもあります。

2.畑や田んぼに撒くまたは鋤き込む

畑に土壌改良を目的として鋤き込む場合は、1㎡あたり2~3L(200~300g)を目安にしましょう。深さ10~20cmに籾殻がまんべんなく混合されるようにします。それでも土壌が改善されない場合は次の土づくりの際に追加をします。

籾殻は農作物の株元や畝に撒くことでマルチとしても活用できます。雑草を生やしづらくする効果、保温効果、急な温度上昇や乾燥を防ぐことができます。また分解が進むと植物の樹勢を整える「ケイ酸」を供給する効果もあります。

関連コラム:もみ殻堆肥とは?作物が育ちやすい土壌を実現する肥料の作り方
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3.家庭菜園に使用する

家庭菜園は栽培面積が小さいため、籾殻をたくさん処理したい方向けではありませんが、家庭菜園にも上記と同様の方法で使用することができます。

籾殻を燻炭化して優秀な土壌改良材へ

籾殻を燻炭化することで生の籾殻と比較して容積を1/3程度に減らすことができます。また多孔質構造になり、生の籾殻よりも軽く、保水性や通気性が向上し、土壌環境を改善する微生物の住処となります。そして備長炭の特性と同様で、消臭といった効果も期待できます。籾殻燻炭はアルカリ性なので、酸性土壌に散布することでph調整剤としても利用できます。成分が土壌に溶けだしやすくなり、生の籾殻に比べて効果が早く出やすいと考えられています。

籾殻を燻炭にすることで、生の場合と比較してさらに優秀な土壌改良材や育苗資材に変化します。籾殻が持つ効果がパワーアップするのと同時に使い道の幅も広がります。

関連コラム:籾殻くん炭とは?土壌改良資材としての効果と作り方、使用方法

籾殻を連続燻炭化するおすすめの機械『スミちゃん

1.商品特徴

スミちゃんは籾殻を連続で燻炭化することができる装置です。お米の脱穀によって生じた籾殻を450℃~550℃程度のやや高温で燃焼して燻炭化させます。10時間稼働させることで生の籾殻約2,500L~3,500Lから約800~1,000Lの籾殻燻炭を生産することができます(A-A型の場合)。できた籾殻燻炭は露地栽培やハウス栽培の土壌環境を改善したり、畜産におけるニオイや虫の発生を抑止したりする資材として活用できます。スミちゃんで出来た籾殻燻炭を販売している方もいらっしゃいます。

▶スミちゃんの稼働動画はこちら
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2.スミちゃんがおすすめの理由は?

  • 野焼きは原則禁止

廃棄物(籾殻)の野外での焼却については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃棄物処理法で原則禁止とされていますが、全国各地で籾殻を野焼きした際に発生する煙と臭いによる苦情や消防への通報が後を絶ちません。スミちゃんであれば稼働音が静かで、燃焼部の特殊な構造により煙と臭いがほとんど出ないため、近隣に住宅があっても気にせず運転ができ、火災の心配もありません。安心して籾殻燻炭を生産することができます。

  • 良質な籾殻燻炭ができる

通常、籾殻を燻炭にする場合、燻製時に臭いが強くなったり煙が多く出たりします。そしてもみ殻の形のまま燻炭になりますが、タール分という油分が多く残ってしまいます。タール分が多いと農作物の生育に悪影響を及ぼすといわれています。ドラム缶やスチール製の燻炭器などで作る籾殻燻炭は、籾殻を400℃以下の低温で長時間かけてじっくりと燻して炭化させますが、スミちゃんの場合はやや高温の450~550℃程度で燃焼させ籾殻炭として取り出しますのでタール分もほとんどない良質な籾殻燻炭ができます。

  • 手間をかけずに短い時間で安全に炭化できる

スミちゃんは連続して自動で焼成できるため「籾殻を混ぜ返す」「水をかけて冷やす」「熱が冷めるのを待つ」といった手間がかかりません。燃焼部から排出された籾殻炭は、冷却スクリューコンベア(オプション)で冷やされて完成しますので、安全性も高く安心してお使いいただけます。

以下は煙突状燻炭器との比較表になります。スミちゃんを使えば、より安心して短い時間で手間をかけずに良質な燻炭を作ることができます。

スミちゃんと煙突状燻炭器の比較表

  煙・臭い 作業性 炭化するまでの時間 籾殻燻炭の品質 イニシャルコスト ランニングコスト
スミちゃん ほとんど出ない ボタン操作で比較的簡単 短い タール分が少なく均質 高い
(69万円~)
電気代(200V)
煙突状燻炭器 出る 籾殻を混ぜ返す・水をかけるなどの作業が必要 長い 品質にムラがあり、タール分が多い 安い
(数千円~)
ゼロ
  • 発生する熱を有効活用

籾殻を焼成する際には熱が発生します。その熱を活用し温風や温水を作り出す(オプション:温風発生器・給湯装置)ことで、ビニールハウスの加温の補助に役立てることができます。上手に活用すれば燃油代の削減にもつながります。

籾殻を有効活用して効率的な農業を

今回のコラムでは、籾殻を有効に活用する方法を記載してきました。毎年発生する籾殻を上手に処理をして、なおかつ圃場の環境改善ができれば、より効率的に農業経営を行うことができるのではないでしょうか。籾殻の処分に困っていらっしゃる方は多いと思いますので、現状の問題を解決するための一助となれば幸いです。

籾殻を処分する方法|籾殻有効活用を目指して

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Twitterを更新していますのでぜひご覧ください。

 

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