コラム
籾殻くん炭とは?土壌改良資材としての効果と作り方、使用方法
公開日2020.05.01
更新日2022.06.08

籾殻くん炭とは?土壌改良資材としての効果と作り方、使用方法

土壌改良は、耕作に不向きな土地の改善や、生産性が落ちてきた圃場を回復させる目的で行います。例えば「土地酸性度の改善」「団粒構造の形成」「排水性の改善」などを行うことで、土壌微生物を活性化させ病害虫を発生しにくくするなどの効果を狙っています。土壌改良資材としては、腐葉土をはじめとした有機肥料や苦土石灰がよく知られています。これらと同様に古くから使われていたものに籾殻を炭にした籾殻くん炭があります。もともと稲作が盛んな地域の農地で使われており、使い方さえ間違わなければメリットが大きい資材で、自作することも比較的容易です。

籾殻くん炭の特徴と効果

籾殻はそのままでも土壌改良資材として使えます。通気性の向上による根腐れ防止や泥ハネの防止などに使うことができます。くん炭にすることで籾殻に無数の微細な穴ができ土壌微生物の住家になったり、ケイ酸をはじめとしたミネラルが溶け出しやすくなります。

●籾殻くん炭とは

籾殻を出来るだけ無酸素の状態で炭化(蒸し焼き)させたものです。十分酸素がある状態にしてしまうと炭化せず白い灰となってしまいます。籾殻の固い殻は主にケイ素からできています。窒素成分やカリ成分は少なく、微量要素である銅・マンガン・鉄・カリウムなどのミネラル成分を含んでおり、燻炭化することでこれらのミネラルが溶出しやすくなります。

●籾殻くん炭の効果

籾殻に限ったことではありませんが、一般的に植物を燃した後に残る物質(炭や灰)を水に加えその上澄みの酸性度を計ると、アルカリ性を示します。これは植物が熱を受ける際、炭酸カリウムや炭酸ナトリウムなどの成分が生成され、これが水に溶け出ることによりアルカリ性を示します。籾殻くん炭にもこのような性質があり、酸性に傾いた土壌を中和することができます。

土壌が中和されることにより、土壌生物や有用土壌菌の生活環境の改善が期待できます。土壌環境が良くなると、土壌生物や有用土壌菌が各種ミネラルを作物に取り込みやすい形に分解します。土壌微生物の活発な活動は、土壌の団粒化を促進させ、通気性・保水性を改善させ、作物の根張りを良くします。ただし、籾殻くん炭は窒素とカリウムをあまり含みません。そのため、これらが不足している場合、鶏糞・牛糞堆肥などを混用すると不足を補うことができます。有機肥料は悪臭を発するものもありますが、籾殻くん炭は脱臭作用があるため臭いを抑えることができ(アクアリウムの消臭で使われている)、なおかつ肥料バランスの改善も期待できます。

籾殻くん炭の臭いに反応する害虫がいることも報告されているようです。例えばアブラムシは籾殻くん炭の臭いが苦手といわれています。害虫の忌避剤としても活用できるかもしれません。

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籾殻くん炭の作り方

籾殻くん炭は、稲作地帯では脱穀の後水田でよく作られ、そのまま田んぼに鋤き込んだりしていました。野焼きの光景も少なくなりましたが、消防法の改正で畑や田んぼで籾殻くん炭を作る光景もまた少なくなりました。

籾殻くん炭の作り方はいたって簡単です。周辺への十分な配慮特に煙の影響と、延焼火災に十分注意して行ってみてください。

●必要なもの

1.良く乾燥させた籾殻
※乾燥不足の籾殻は、完成まで時間がかかり、煙がすごい
2.種火となる薪や薪に着火させる藁や枯草・新聞紙など
3.着火道具
4.くん炭器(ドラム缶や専用くん炭器など)
※漏斗を逆さにしたような形で地面に接する所に空気取り入れ口があるもの
5.完成時に消化するための十分な水

●作り方

畑や田んぼで行う場合、無風で天気が良い日に行ってください。風があると火勢が強まりくん炭にならず灰になってしまう可能性があります。ガレージなど屋内で行う場合、換気に十分注意してください。どちらで行う場合でも、延焼火災には十分注意してください。

火種となる、薪を組みます。薪の隙間に新聞紙、藁、枯草等を入れこれらに着火、薪を延焼させます。この燃えている薪の上に籾藁を盛っていきます。くん炭器を使う場合、薪の上にくん炭器を置き、その上から籾殻をかけていきます。

時間が経つと盛り上げた籾殻の一部表面が黒くなっていきます。そのままにしておくと、炭化した部分の温度がさらに上昇し灰になってしまいますので、均等に炭化させるために籾殻を混ぜ合わせます。盛り上げた量にもよりますが数時間はかかります。急ごうとして空気を送りすぎると灰になる量が増えますので「ゆっくりと手早く」を心がけて行ってください。

全体が炭化したら温度を下げます。木炭などは空気を遮断して温度を下げるようですが、籾殻くん炭は水をかけ消火します。水の量が少ないと表面は消化しているように見えて内部は消えていませんので、水を十分かけて消化させます。消火できたら広げて乾燥させます。十分乾燥させたら完成です。袋等に入れ保管します。

籾殻くん炭の使い方

籾殻はそのままでも土壌改良剤として使われていますが、くん炭とすることにより有用性が増します。ひと手間かけて「くん炭化」することで利用範囲が広がります。

●籾殻くん炭の基本の使い方

籾殻くん炭の主成分はケイ素です。ケイ素は土壌を構成している主要成分の一つです。そのため圃場に混ぜ込んでも非常に相性が良く、イネ科植物はケイ酸が不足すると倒伏発生の原因となります。ケイ酸は適度にミネラル分を含み、土作りの際には微量要素の補給として効果的です。反面、基本炭であるため覆土程度に撒いてしまうとアルカリ障害の原因となるので、土壌中に十分鋤き込むようにしてください。栽培する作物にもよりますが、施用量の目安は土の約1割程度といわれていますので、1坪の土地で約10cmの深さまで混ぜ合わせようとすると、約3ℓ位のくん炭が必要です。1反だと約300ℓ位必要となりますので、大量に必要な場合は、低価格で販売している市販品の籾殻くん炭も活用すると良いでしょう。

籾殻くん炭はあまり強度がないためその構造を維持することが容易ではありません。土壌中の籾殻くん炭の比率が高くなると二つの面で弊害が出るので注意が必要です。

一つ目のデメリットは、作物の根が土壌を掴む力、つまり保持力が弱くなることです。籾殻くん炭は少しの力でつぶれますので植物が大きくなってくると支えきれなくなる可能性があります。二つ目は、アルカリ性を示しますので混入量をが多くなると、圃場をアルカリ性に変えてしまい適正な土壌phに戻すことが大変になってしまいます。またアブラムシの忌避剤として、あとから土壌表面に撒くと籾殻くん炭は軽く風に飛ばされる恐れがあるので、風が強い地域では風対策が必要になります。

●余った籾殻くん炭は販売や家庭菜園にも

籾殻くん炭の原材料となる“もみがら”は田園地帯や農業地域では容易に入手することができ、その容量も多量に集めることが容易です。もみがらが多量に集められるのならば籾殻くん炭をたくさん作ってみることも良いかもしれません。ここまでで紹介してきたように籾殻くん炭は非常に有用な地域資源で、土壌中の病原性微生物や動物の繁殖を抑え連作障害を予防したり、育苗用の培養土に混用すると土壌の物理性が向上して水分の吸収性が良くなり高品質な培養土に変化します。
自らの農場で使い切れないほど多量に余ったのならば、他の農園に販売して注文を取ることができ、近隣の園芸好きのご家庭にも家庭菜園やお花のガーデニングなどの土壌改良材として紹介できます。コロナの大流行以降、DIYも流行ってきているので籾殻くん炭の可能性はさらに拡大しています!

 

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音がほとんどせず煙と臭いが出ない籾殻連続炭化装置「スミちゃん

スミちゃんは籾殻を連続で炭化することができる装置です。お米の脱穀によって生じた籾殻を450℃程度のやや高温で燃焼して炭化させます。音がほとんどせず煙と臭いが出ないので近隣に住宅があっても気にせず運転ができ、火災の心配もありません。できた籾殻くん炭は露地栽培やハウス栽培の土壌環境を改善したり、畜産におけるニオイや虫の発生を抑止したりする資材として活用できます。

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籾殻くん炭を活かして土壌環境を整えましょう

土壌の環境が良くないと作物を上手く生育させることが難しくなってしまいます。籾殻くん炭は、土がふかふかになり、雑菌が増加しにくくなり土壌環境を良質に整えてくれます。ほとんどの作物に使うことができ汎用性があります。自然の材料で自作できるのもおすすめのポイントですね。園芸資材として家庭菜園やガーデン作りにもお勧めです。
今回のコラムを皆様の農業にお役立ていただければ幸いです。

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