コラム
バイオスティミュラントとは?|農作物の生産量や品質を向上する資材
2020.12.18

バイオスティミュラントとは?|農作物の生産を向上する資材

最近話題になり始めた「バイオスティミュラント」という単語をご存じでしょうか。日本ではまだ聞きなれない言葉ですが、ヨーロッパでは2011年に関係団体が発足したことで浸透し認知が進んでいます。バイオスティミュラント資材をうまく活用すれば農作物を健康的に保つことができ、増収や品質の向上などが期待できます。今回のコラムではバイオスティミュラントの基礎知識と農作物の生産向上を支援するおすすめの資材をご紹介したいと思います。

バイオスティミュラントとは?

バイオスティミュラント(Bio Stimulants | 以下BS)とは、日本語に訳すと「生物刺激(剤)」です。

Bio Stimulants
バイオ スティミュラント
生物 刺激(剤)

現在の「肥料」「農薬」「土壌改良剤」などには当てはまらない新しいジャンルのカテゴリーに分類され、植物に使用することで何かしらの作用をもたらし、「植物の能力と農産物の価値を高める」農業資材として注目されています。世界のBSのマーケットは年率15%前後で成長しており、2021年には3000億円前後にもなると予測されています。日本の現在の市場規模は約100~200億円と推定されています。

バイオスティミュラントの定義と効果

●BS(バイオスティミュラント)の定義

BSの技術や知識を安全に広げていくための活動を行っている日本バイオスティミュラント協議会によるとBSの定義を以下のように説明しています。

BSの価値を理解するためには、まず「非生物的ストレスの緩和」を知るところから始まる。農薬が解決すべきターゲットは害虫、病気、雑草、生長調節(生物的ストレス:Biotic stress)であるのに対し、BSは干害、高温障害、塩害、冷害、霜害、酸化的ストレス(活性酸素によるダメージ)、物理的障害(雹や風の害)、農薬による薬害など、非生物的ストレス(Abiotic stress)に対する抵抗性を高め、結果的に増収や品質改善を実現しようとするものである。
引用元:バイオスティミュラントの定義と意義

BSは病害虫の防除に使用する農薬や作物へダイレクトに作用する肥料とは異なります。温度・湿度・日照といった天候の悪化や土壌の状態が悪くなることによって、作物はストレスを受けて健康な状態を保てなくなり、その結果として病害中にかかりやすくなったり、葉面や土中にある栄養を上手に吸収できなくなったりします。作物がこのような悪い状態に陥らないように、受けるストレスを軽減し健康に保ち不良環境への耐性を強くすることがBSの役割になります。

人に例えれば、病気になってから風邪薬で症状を抑えたりワクチンで耐性を作って細菌やウイルスから体を守るのではなく、普段から軽度の運動をする・バランスの良い食事をする・十分な睡眠をとる・日光を浴びるなどの体の管理を心掛け、健康を保つことで人間本来が持っている防御機能を十分に発揮するしくみに似ているのかもしれません。

作物が健康な状態を保つことができれば、その年の品質や収量が向上するだけでなく、将来的にも良い状態が持続することにつながり、過度に農薬や肥料に頼らない安定した農業経営を行うことができるというわけです。

●BS(バイオスティミュラント)の種類と7つの効果

BSの種類には「腐食酸」「アミノ酸」「ミネラル」など、普段から聞きなれたものも含まれています。これらの成分を上手く活用することで、健康的な作物を育てることができるかもしれません。BSとしての効果が期待できる要素は種々雑多であるため、このような資材を規格化・標準化することは難しいと考えられています。

種類 7つの効果
・腐植酸(フミン酸やフルボ酸)
・海藻抽出物、多糖類
・アミノ酸、ペプチド
・ミネラル、ビタミン
・微生物
・その他(動植物抽出物、微生物代謝物など)
・根圏環境の改善・根量の増加・根の活性向上
・栄養素の吸収、促進
開花、着果の促進
ストレス耐性の向上と回復
浸透圧の調節
・代謝の向上
・光合成の活性化

 

バイオスティミュラントの安全な使い方は?|日本バイオスティミュラント協議会

世界ではBSという新しい考え方の農業資材が農作物の生産向上に貢献していることが伝えられており、実際にEU(欧州連合)では2011年にEBIC(The European Biostimulants Industry Council|ヨーロッパ・バイオスティミュラント産業協議会)という関係団体が発足し活動しています。日本でも2018年に日本バイオスティミュラント協議会が設立し、勉強会や講演会が行われてきました。現在の協議会の正会員は26社、賛助会員は60社となっています。

農家さんが安心して使うことができるようにするためには規格の標準化が必要ですが、上記で示した通りBSは多種多様な種類に分けられるため「効果」「品質」「安全性」「薬害」といった側面において規格を整理することが難しく、その点が今後の課題といわれています。BSが植物に作用するメカニズムの解明を明らかにして、標準的な規格を決めたり、安全に使うためのガイドラインを定めるなど、協議会で議論を重ねていくようです。

バイオスティミュラント資材のおすすめ商品

●良質な天然アミノ酸肥料オルガミン

オルガミンは天然アミノ酸葉面散布肥料(液体肥料)です。魚をまるごと糖蜜と一緒に発酵させて作っています。化学処理をせずに天然発酵によって分解された約18種類のアミノ酸が含まれた液肥です。さらに植物が必要とする微量要素も加えられています。窒素・リン・カリがほとんど含まれていないため、作物の生育ステージを問わず安心して使用することができます。1,000倍に希釈し農薬と混合で葉面散布剤として利用できます。天然のアミノ酸は植物への吸収が早く、速効性が高いと考えられています。低温・高温・霜・乾燥・日照不足・長雨・病害虫などの障害が発生した際の回復促進や、作物の抵抗力の増加の効果が見込めます。有機JAS資材登録に登録されていますので有機栽培でも使用することができます。果樹(ぶどう・桃・リンゴ・さくらんぼなど)、野菜(トマト・イチゴ・キャベツ・レタス・ブロッコリーなど)といった様々な作物で活用されています。

●高純度フルボ酸含有の100%有機質土壌改良材地力の素

フルボ酸は植物などの堆積有機物から生成される天然有機酸です。植物に必要なミネラルや微量要素をキレート化(吸収されにくい養分を吸収しやすくする)し、細胞内に届けるはたらきをします。また光合成を活性化し、窒素成分を効果的に葉や茎の組織に変えたり、根に働きかけて根量を増やします。一般的に農業において落ち葉や家畜の糞(馬糞・牛糞・豚糞・鶏糞)を混用し黒色になってできた堆肥を使用している場合が多いですが、その堆肥には腐植酸の含有量が少ないといわれています。

JAS規格の有機JASに登録されている資材ですので、有機栽培をして有機農産物を生産する生産者や法人の方もご利用できます(袋の表面に有機JASマークが表示されています)。

地力の素【細粒】20kg

地力の素【細粒】20kgだけで堆肥1トン分と同等の腐植質を含有しています。その為、堆肥と併用することで堆肥の投入量を削減しますので土づくりを省力化します。施用方法は基肥として作付前の圃場1000㎡あたりの土壌に2~4袋(40kg~80kg)を混和するだけです。フルボ酸と腐植質が土壌環境を長期間改善しますので、連作障害の防止や植物の生育環境の改善が期待できます。また育苗では培養土1Lに対して3~5gの混合がおすすめです。

地力の素【ペレット 】15kg

ペレットタイプの地力の素です。2~3袋でたい肥1トン分の効果があります。ペレットなので機械散布ができ、堆肥成分(有機炭素)も入っているオールインワン土壌改良材です。元肥一発肥料の土壌改良材版という位置づけですので大面積、露地向けの資材です。野菜・花き・果樹は10aあたり5~1o袋(75~150kg)、水稲は10aあたり3~5袋(45~75kg)、豆・麦類は10aあたり2~4袋(30~60kg)の使用をおすすめしています。

地力の素【 リキッド12 】1L,5L,20L

濃縮された腐植酸が入っている地力の素の液体タイプです。希釈して土壌へ流し込むことで、作中に衰えた地力を補うことができます。土壌潅注の場合は1,000倍で10~15日間隔での使用、点滴潅水・養液土耕の場合は3,000~5,000倍で随時での使用をおすすめします。葉面散布にも使うことができます。

phがアルカリ性ですので、酸性の資材と混ぜると沈殿が生じます。他の資材と混用する場合は本製品を1,000倍以上に希釈してから混ぜてください。

バイオスティミュラント資材を有効活用して農作物の生産向上を

今回はバイオスティミュラント(BS)の基礎知識を記載してきました。より詳しい情報を収集されたい方はバイオスティミュラント協議会のホームページをご参照ください。地域や育てる作物によって圃場環境は異なることもあり、BSの標準的な使い方や効果については、不透明な部分も多く科学的なデータや有効性の仕組みなどが十分にあるとはいえません。現段階では、試行錯誤しながらより良い使い方を探すという方法で使われているケースが多いようです。しかし、このようなBS資材をうまく活用することで、農作物自体を元気にすることができれば、病害虫に強く品質の良い作物を作ることが期待できます。科学的に実証されていないから信頼しないというよりは、少し柔軟に捉えて活用していくのが良いのではないでしょうか。

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