コラム
困った!土壌がカチカチに|粘土質土壌の改良方法
公開日2022.04.11
更新日2022.04.11

困った!土壌がカチカチに|粘土質土壌の改良方法

雨が降るとグチャグチャ、乾くとカチカチの粘土質の土壌では、通気性や排水性の悪さから植物の根は健康的に育つことが難しいとされています。日照条件や植物体に必要な栄養素が揃っていても、土壌環境が悪いようでは、品質の良い農作物を収穫することができません。理想的な土壌は、通気性と保水性(保肥性)という異なる性質を同時に兼ね備えているといわれています。今回のコラムでは粘土質土壌の特徴と改善方法についてお伝えしていきたいと思います。

土壌生成の基本

土壌の生成は、雨風・太陽の光・温度差の影響などにより表層の岩石が崩壊する風化作用と、昔の動植物の遺体を無脊椎動物や微生物が長い時間をかけてゆっくりと分解していく土壌生成作用が相互に関係しながら作られていると考えられています。岩石が細かい細粒状になる風化作用だけでも何百年と時間がかかるといわれています。地球の時代により受ける作用が異なるため、生成される土壌にも特徴があります。そのため土壌の特徴は一様ではなく、層がいくつも積み重なった形(土壌層位)を形成しています。このようなことから、場所によって異なる性質の土壌が存在しているわけです。

粘土質の土壌とは?

粘土質土壌と正反対の性質を持つのが砂質土壌です。粘土質と砂質の違いは、土の粒子の細かさで決まると考えられています。どちらが良いということではなく、植物の種類によって最適な土壌の性質は異なりますが、一般的にはスポンジのようにある程度水分を保持できる状態が理想的な土壌です。粘土質の土は細かい土粒子を多く含み、砂質の土は粗い土粒子を多く含みます。同じ場所でも堆積の時代や様式により生成される土壌の性質が異なるため、粘土質であったり砂質であったりします。日本で多いとされる褐色森林土は砂質、黒ボク土は粘土質です。湿らせた状態の土を手のひらでギュッと握り、指で押しつぶしても崩れなければ粘土質の土です。それでは、粘土質の土壌とは、どのような特徴があるのでしょうか。

粘土質土壌のメリットとデメリット

粘土の含有量は水持ちの要因となり、保水力や保肥力が高いという傾向が見られます。粘土質よりの土壌は、過剰な養分や植物にとって有害な物質の影響を和らげたりすることができます。一方、粘土性質が行き過ぎてしまうと、水はけや通気性が悪く根が育ちにくくなります。保水力が高いということは、空気が入る空間が少なく、根の生長に必要な酸素を補えなくなることがあります。粘土質にかたより過ぎてしまうと植物体の生長は抑制されてしまいます。

粘土質土壌の改善方法

1.土壌改良材を投入する

パーライト(黒曜石)

黒曜石のパーライトは、地表に噴出し急激に冷えた岩石(火山岩)を粉砕し、およそ1000℃の高温で熱して発泡させたものです。ビーナスライトとも呼ばれています。高温加熱する過程でポップコーンのように膨れて発泡し、内部に小さな空間が多数できるスポンジのような多孔質の構造を生成します。パーライトを土壌に混ぜ込むことで、排水性や通気性が向上し粘土質土壌のデメリットを軽減すると考えられています。

バーミキュライト

黒雲母や金雲母が水の作用により変質してできた鉱物「苦土蛭石」を急速に高温加熱します。加熱してアコーディオン状に膨張したものを細かく砕いて作った土壌改良材です。多孔質の多層構造をしているため、水・空気をため込むことができ、保水性・保肥性・通気性の向上が期待できます。

ピートモス(泥炭)

北半球の熱帯から寒帯に生息する水苔が、部分的に泥炭化したものを乾燥・粉砕した土壌改良材です。水苔の遺骸が堆積していくスピードが、微生物が遺骸を分解するスピードより速い場合に形成されると考えられています。ピートモスは植物の遺骸が石炭となっていく過程の最初の段階とされています。ピートモスの細胞壁には、水分を蓄えるという特徴があるため土壌の保水性・保肥性の向上が期待できます。また、土を膨軟化(ふかふかに)する作用もあります。強酸性の酸度未調整のピートモスと、消石灰や苦土石灰などの石灰質を混ぜて酸性度が中和されている酸度調整炭のピートモスがありますので、使用する際には育てる作物に適したpHを調べたうえで選ぶようにしましょう。

2.植物性堆肥を投入する

植物性堆肥は、肥料成分は少な目ですが、土壌微生物の食料である炭素が豊富に含まれているため土壌改良に最適といわれています。

バーク堆肥

木くずや樹皮などを細かく粉砕したものを積み上げて、菌の働きを促進するために何度も切り返しを行い発酵させた後、ハンマーなどでさらに粉砕し不純物を取り除いたものです。原料の木くずや樹皮に含まれている植物の繊維分が保水性や保肥性を向上させると考えられています。土壌を膨軟化(ふかふかに)する効果も期待できます。パーク堆肥は乾燥しすぎると水分をはじく性質があるため、適度に水を与える必要があります。

腐葉土

製造方法はパーク堆肥と同じですが、原料はクヌギ・ナラ・ケヤキなどの落葉広葉樹の落ち葉になります。6~12ヵ月ほどかけて発酵させます。パーク堆肥に比べて粗いため、通気性と水はけの良さが少し優れています。

籾殻堆肥

製造方法はパーク堆肥や腐葉土と似ています。原料は籾殻です。お米の脱穀時に発生する籾殻を、家畜の糞や米ぬかや発酵促進剤などを加えて発酵させ腐植させた土壌改良資材です。空気や水の通り道を確保できるため、土が柔らかくなります。

籾殻燻炭

籾殻をおよそ500℃前後の高温で燃焼させ、燻炭化したものです。無数の穴が空いている多孔質という特徴を持ち、土壌微生物と相性が良いため団粒構造になりやすいと考えられています。団粒構造化により保水性と排水性を兼ね備えた土壌になります。

関連コラム:籾殻くん炭とは?土壌改良資材としての効果と作り方、使用方法

3.動物性堆肥を投入する

土壌に家畜の糞などの有機物を投入して微生物の活動を活性化させ、団粒構造化を促し土壌を柔らかくします。肥料効果は植物性堆肥より高いとされています。

牛糞堆肥

牛の糞におが屑・籾殻・稲・ウッドチップなどの植物性資材を混ぜ、微生物により発酵させた堆肥です。一般的な製品は、牛糞と植物性資材の割合は5:5程度で、約3~6ヵ月程度の時間をかけて発酵させるため、糞の臭いはほとんど気になりません。窒素・リン酸・カリなどの肥料成分は少ないため、肥料の効果はあまり期待できませんが、有機物を含み土壌微生物によりゆっくりと分解されるためふかふかの土壌にしてくれます。

馬糞堆肥

馬糞と植物性資材の割合は1:9程度と植物性資材の割合が多く、土壌微生物が活性化しやすいため、動物質堆肥の中では土壌改良としての効果が一番あります。馬の餌はわらを主体としているため、馬糞自体にも微生物の餌となる繊維質が多く含まれています。

※豚糞堆肥と鶏糞堆肥については、肥料成分が多く植物性資材(有機質物質)が少ないため、土壌改良資材としての効果よりも、肥料としての効果を期待するものと考えることができると思います。牛糞堆肥や馬糞堆肥に比べて肥料の速効性はありますが、効果は長続きしないという特徴があります。

4.腐植物質資材を投入する

腐植物質とは、生物の死骸が微生物などの作用を受けて変化した「化学構造が特定されない有機物」です。酸性とアルカリ性に対する溶解性によりフルボ酸・フミン酸・ヒューミンという分類がされています。腐植物質資材とは、自然界で長い年月をかけて堆積した腐植物質を採掘し使いやすいように加工した資材です。

溶解性による腐食酸の分類

分類 酸性に対する溶解性 アルカリ性に対する溶解性
フルボ酸 溶けやすい 溶けやすい
フミン酸 溶けにくい 溶けやすい
ヒューミン 溶けにくい 溶けにくい

一般的な堆肥に含まれる腐植物質は1~2%程度しかありません。腐植物質を補うために堆肥を過剰に投入すると、肥料方や土壌中の未分解有機物が増えることによる土壌障害が発生することがありますので、腐植物質資材も有効活用すると良いと思います。

関連コラム:腐植酸を肥料(堆肥)として用いる効果とは?土壌改良で品質向上を
関連コラム:フルボ酸とは?腐植成分がもたらす植物と土壌への効果

5.暗渠排水設備を設ける

暗渠排水設備は、通気性の悪い土壌の中に水を排水させる路をつくり、空気を送り込むことができます。そのため根が生長に必要な酸素を取り込みやすくなります。以下に暗渠工事の種類を記載いたします。

暗渠工事

地下に土管などの水路設備を埋設し、排水性を高める手法です。土壌に滞留しすぎる水を排水し、作物の根が酸素を取りこみやすくなるという特徴があります。狭くて深い溝を掘ることができるトレンチャーという機械で溝を掘り、排水管(ドレーン管)を掘った溝に走らせていきます。溝の下層部分に疎水性(そすいせい)を高めるための籾殻を投入します。工法にもよりますが一般的には、1mあたりおよそ2,000~3,000円程度のコストがかかるようです。コストを抑えるための工法としては弾丸暗渠や竪穴暗渠などの方法があります。

弾丸暗渠工事

トラクターにサブソイラを取り付けて、土の深層部分に溝を作ります。サブソイラには、地面を切り裂いて進むナイフと、土壌中に水の通り道を作る弾丸のような形をしたモールがついていて、これを土の中にもぐらせて、トラクターで引っ張ります。トラクターにサブソイラを取り付けるだけですから、比較的簡単に行うことができます。効果を持続させるためには1~3年毎に施工が必要だとされています。

縦穴暗渠工事

エンジン式のオーガで土壌の深層部にある固い層を突き破り、排水性を向上させる方法です。滞水しがちな場所やサブソイラで溝を掘ることができない四隅などに施工することもできます。

6.土壌の耕し方を工夫する

高畝を作る

畑は高畝にすることで、余分な水を作物の根の近辺の土壌にたまりすぎないようにすることができ、排水性が良くなります。表層の作土層部分を多くとれるため、空気の通りが良くなり、太陽光を受け取る面積が増え地温があがりやすいため、植物の根が育ちやすくなります。通気性が良くなり病害虫に侵されにくくなります。

天地返し

堆肥や肥料が浸透している作土(深さ0~20cm程度)、心土(深さが20cmより深い)を入れ替える方法です。作土は、耕耘機などにより耕され堆肥や肥料が浸透している場所で、昨物が根を張る場所です。労力はかかりますが、土壌改良は耕す深さが深ければ深いほど良いとされています。

7.粘土質の土壌でも育ちやすい作物を選ぶ

特に根を深くまで伸ばすナス・トマト・大根・ゴボウのような深根型の作物や、粘土質土壌でも育ちやすいレンコン・稲・里芋・ショウガなどの作物を栽培するものに選ぶという方法です。

粘土質土壌の改善におすすめの資材

地力の素|高純度フルボ酸含有100%有機質土壌改良材

地力の素は、良質な腐植酸が含まれている土壌改良資材です。腐植酸がアルミニウムなどの鉱物とくっつき小さな団子を作り、さらに腐植酸とカルシウムが小さな団子同士をくっつけて大きな団子をつくります。また。腐植酸は微生物の餌になるため微生物の活動を活性化させ、このような作用も団粒構造の促進に寄与しています。団粒構造になると土はふかふかになるためカチカチの粘土質の土壌の改善効果が期待できるというわけです。地力の素は、主に土づくりの際に使用する固形タイプ(細粒・粗粒・ペレット)と、灌注や点滴など追肥でも利用できる液体タイプがあり、いろいろな用途で活用することが可能です。

地力の素の解説動画はこちら

スミちゃん|籾殻連続燻炭化装置

余った籾殻を燻炭化し土壌改良資材として有効活用することができます。燻炭化することで多孔質構造となり、保水性や通気性が向上するとともに土壌微生物の住みかとなります。微生物が増えて活動することで団粒構造を促進する効果が期待できます。また粘土質とは別の趣旨ですが、炭はアルカリ性のため、酸性に傾き過ぎた土壌のphを調整する資材としても活用することが可能です。

スミちゃんの稼働動画はこちら
スミちゃんの設置動画はこちら

土壌改良を行いカチカチの粘土質を改善しよう

微生物の働きが大きな影響を与える土壌改良は、一時に効果を出すのは難しいかもしれません。少しずつでも手をかけて、カチカチの粘土質土壌をふかふかの土壌にして良い作物を栽培しましょう。今回のコラムが皆様の土づくりにお役だていただければ幸いです。

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