コラム
ハスモンヨトウとは?生態と防除に適したタイミング、対策方法
2020.04.07

ハスモンヨトウとは?生態と防除に適したタイミング、対策方法

ハスモンヨトウ(和名:斜紋夜盗|学名:Spodoptera Litura)は、チョウ目ヤガ科の昆虫で農業害虫として知られています。ヨトウムシ類の一種でいろいろな作物で被害が発生しやすく、野菜・果樹・花卉・タバコ・綿や他の昆虫があまり食べないシソの葉にもつくといわれています。ヨトウガに姿が似ていますが、老齢幼虫で比べると頭の色がハスモンヨトウは黒であるのに対し、ヨトウガは黄褐色です。成虫は、和名の斜紋夜盗の由来になっている淡い褐色の縞模様が羽にあります。

ハスモンヨトウとは

ハスモンヨトウは耐寒性に弱いといわれています。日本では1950年代ごろから増加し、関東以南で発生する傾向があります。施設園芸の普及している地域や、平均気温の上昇する地域で発生が増加していくかもしれません。

●ハスモンヨトウの特徴と生態

・特徴
成虫は体長約15~20㎜、開帳(羽を広げたときの長さ)は約40㎜になります。前羽に斜めに交差して走る数条の淡褐色の縞模様を確認できる蛾で、この模様が和名「斜紋夜盗」の由来といわれています。幼虫は6回姿を変え成長します。色々な体色があり、灰緑暗色・暗褐色など変化に富んでいるそうです。

・生態
ハスモンヨトウは、寒さには弱い暖地系害虫で成虫は葉の裏側に卵塊を産み付けます。休眠性がないので条件が整えば、一年中発育と活動をすることが出来るといわれています。1年間で4~6世代を経て受け継がれていき、25℃での生育ステージ期間は約39~40日と報告されています。1年間この環境が保たれると計算上約9世代となります。寒くなっていくと個体数は減っていきますが、越冬に成功した個体があると、温かくなり始めた際に活発に活動を始め、盛んに産卵行動を開始します。

1回の産卵で数百程度を産卵します。卵塊は薄黄色の羽毛で覆われており葉の裏側に産み付けることが多いといわれています。天敵となる鳥等の捕食者が活動を低下させる日暮れから夜間の時間帯に産み付ける傾向があるようです。屋外に出した観葉植物や防虫ネットなどにも産卵します。孵化率は高く25℃の環境では、産卵から4日ほどで孵り、蛹(前蛹・蛹)期間は14日、幼虫期は19日(6回姿を変える)、羽化後産卵までの日数は2日となり、合計すると約39~40日となります。

●ハスモンヨトウの影響を受けやすい作物

ハスモンヨトウは極めて広食性の高い虫で、野菜・畑作物・花卉・果樹にまで被害が及ぶとまでいわれています。以下のような作物で多くの加害が報告されています。

野菜 : サトイモ・ヤマイモ・キャベツ・ハクサイ・レタス・ナス・ネギ・ホウレンソウ・ダイズなど
花卉 : キク・ダリア・キンセンカ・カーネーション・シクラメンなど

ハスモンヨトウの防除時期と方法

ハスモンヨトウはヨトウムシと似たような生態があります。卵は日光を避け日陰となる場所に産み付けられ、蛹の時期は比較的集団で育ち、幼虫の時期に生息域を広げ、夜間食害行動をしています。生態を理解し対応しましょう。

●防除のタイミング

ハスモンヨトウは暖地系害虫で寒さには弱いですが、環境が整えば一年を通じ活動することができます。冬を越せる環境が、圃場内(一定の保温設備がある場合)や圃場近くにある場合、越年できた個体がその次の年の第1世代として産卵活動に入ると考えられます。

季節を表す言葉である二十四節気に「啓蟄(けいちつ)=冬ごもりの虫が這い出る」(2020年度は3月5日)という言葉があります。俳句でも春の季語として使われ、温かくなり色々な虫の活動が盛んになる時期といわれています。場所によって活発に活動を開始する時期は異なりますが、この時期から警戒をはじめ圃場に近づけない工夫が必要です。

前述のとおり産卵から次の産卵までが約39~40日というデータがあり、4月頃産卵をした数百匹がそのまま親になってしまえば、2世代目は6月頃にとても多くなり3世代目を再生産することとなります。6月頃から被害が目立ってくるのは、1世代目が圃場で産卵を済ませ、再生産された2世代目が圃場にうまく展開できたからだと考えられます。幼虫期は1齢~6齢まで姿を変え、体が鎧をまとったように変化し、薬が効きにくくなるのと、密集生活をしていたのが分散生活に変わっていきます。

このようにハスモンヨトウは厄介な生態ですが、初期段階に適宜葉裏を卵や幼虫がついていないか確認し、見つけ次第取り除くことが防除につながります。通称「テデトール(手で取る)」です。幼虫が分散する時期には、固い鎧をまとい日中は土中に隠れるため、薬が効きにくい条件が増えていくようです。薬で駆除を試みる場合でも幼虫がまだ若い時期に行うのが良いといわれています。

防除方法

・卵や幼虫が付いた葉を取り除く
露地栽培でも施設栽培でもハスモンヨトウの成虫は圃場に侵入し産卵する可能性があります。25℃環境での孵化は4日、蛹の期間14日と報告されていますので、もし圃場で成虫を見かけた場合は18日前後は産卵場所の近くで集団生活をしている可能性があります。丁寧に葉裏を確認し発見したら葉ごと取り除き袋などに入れ焼却処分します。粘着シートで取り除く方法も良いでしょう。せっかく見つけても、除去作業を乱暴に行い地面にばら撒いてしまうと駆除ができなくなりますので慎重に作業を行ってください。

・防虫ネットやフェロモントラップを設置する
成虫を圃場に近づけない工夫も大切です。防虫ネットやフェロモントラップを活用するのも一つの方法です。防虫ネットは物理的に近づけない効果を狙ったものですが、フェロモントラップは、昆虫の習性を利用し積極的に排除するものです。ハスモンヨトウを狙ったトラップとして、雄の死骸・中性洗剤・水を出口の狭い容器に入れて放置すると、雌がそこに誘引され狭い容器に入り込み溶剤でおぼれさせるというものがあります。

・農薬や殺虫剤を使用する
ハスモンヨトウの幼虫、・成虫に効果のある農薬や殺虫剤が市販されていますので、これを活用するのも良いと思います。葉の裏についていることが多いので、表面だけでなく裏側も均一に散布することが重要です。農薬を散布する際、取扱説明書をよく確認し育成している作物に影響がないことを確認して利用してください。同一系統の薬剤を連用すると抵抗性が発達する可能性があり注意が必要です。また、露地の圃場で隣接している他の生産者の圃場がある場合、薬害被害を発生させないよう、隣地の生産者との話し合いや意思疎通を行いましょう。水稲では、誘蛾灯装置を集落で計画的に設置し被害を防いでいた風景を、昔見た記憶があります。

ハスモンヨトウの防除に役立つ製品

モスバリアジュニアⅡグリーン

モスバリアは露地栽培や施設栽培向けのLED防虫灯です。緑色のLEDの光がヨトウガの行動を抑制し拡散を防止します。生息密度を低下させ、繁殖を食い止めることで作物を被害から守ります。半径18mに1ルクスの光が届き、夜間に12時間程度照射するとヨトウ類の成虫が昼間と勘違いし活動を休止します。その結果、交尾や産卵といった行動も抑止され繁殖が減少するという効果があります。

スマートキャッチャー

スマートキャッチャーはビニールハウス向けのLED捕虫器です。LEDの光でヨトウガを誘引し、強力なファンで吸引し捕虫袋に捕獲します。紫外線と可視光線の二つの光で害虫を誘引します。光は反射板により360度にパノラマの放射線を拡散させます。やや下方に照射しているためビニールハウスの外から虫を呼び寄せることはありません。

モスバリアスマートキャッチャーもLEDの光を利用した防虫対策製品のため、上手に利用すれば、農薬の散布回数を減らし労働負担を軽減することができます。節約した時間は他の作業に充てることができ作業効率が向上するというメリットもあります。

ハスモンヨトウを防除し大切な作物を守る

病害虫防除を適切に行うためには、性質や発生生態の概要をよく理解して事前に準備しておくことが大事だと思います。タイミングや被害の度合いによって行う対策も様々です。今回のコラムをお役立ていただき大切な農作物をハスモンヨトウから守りましょう。

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