コラム
ヨトウムシ類からトマトを守れ!予防や駆除の方法をご紹介
公開日2022.02.22
更新日2022.05.10

ヨトウムシ類からトマトを守れ!予防や駆除の方法をご紹介

発生するとあっという間に広がりトマトを加害し、食べつくしてしまうヨトウムシ類。夜中に活発に活動するため発見しにくいという特徴があるやっかいな害虫です。今回のコラムではヨトウムシ類をなるべく発生させないための予防方法や、発生時の対応方法などをご紹介したいと思います。

ヨトウムシ類とは

ヨトウムシ類はチョウ目ヤガ科の幼虫で、広食性が高いため多くの植物を加害します。老齢幼虫は、昼間は株元の土や株の中に潜み、夜になると活動を始めて花蕾や葉の食害を行うため「夜盗虫」(よとうむし)という名前が付けられました。若齢幼虫は明るい緑色(体長15~20mm)で日陰や曇天でも活動しますが小さくてみつけにくく、老齢幼虫になると体が茶色(体長40~50mm)になり夜に活動します。成虫は年間で2~3回発生*し、秋に発生した幼虫は蛹の状態で越冬することができます。

*西日本や東日本では4~6月、8~11月に発生リスクが高まります。

一般的にトマトに被害をもたらすヨトウムシ類はヨトウガ(ヨトウムシ)・ハスモンヨトウなどです。ハスモンヨトウの成虫は移動能力が高く、異なる系統の成虫と交配しやすいため薬剤耐性力が高いと考えられています。

トマト栽培におけるヨトウムシ類の被害

1度に100~200の卵を塊で産み、1雌あたり1,000~3,000個という大量の卵を産みます。集団で食害をするという特徴があり、卵を産み付けられたトマトの株の被害は甚大で、気が付かずに放置してしまうと、成長点の新芽・茎・実などが食べつくされます。茎は加害されると茎自体が折れてしまうこともあり、食害された先は育ちません。果実は穴が空き製品価値はなくなってしまいます。

トマトに加害するヨトウムシ類の見分け方(目安)

圃場全体をくまなく歩き被害の有無を確認します。被害が発見されたら、被害株を20株程度まんべんなく選び幼虫を種類別にして数を集計します。ヨトウムシ類の幼虫によく似た芋虫はオオタガコガやコナガの幼虫です。害虫の種類により防除方法や有効な薬剤が違いますので、見極めは大切です。見分け方(目安)については以下の表をご確認ください。

トマトが被害を受けやすいヨトウムシ類の見分け方(目安)

種類 若年幼虫(1cm以下) 老齢幼虫(1~5cm)
ヨトウガ ・50個以上の塊
・毛に覆われていない
・集団で加害する
・尺取り状に動く
・腹足は4対
・灰黄色~灰黒色
ハスモンヨトウ ・50個以上の塊
・毛に覆われていて黄土色
・集団で加害する
・頭の後ろに1対の黒の斑点
・腹足は4対
・褐色~黒の斑点

上記の特徴に該当しない場合は、オオタバコガ・コナガ・ネキリムシなど他の種類の害虫である可能性があります。

こちらのコラムもご参照ください。
>>>トマトをオオタバコガの被害から守るには?|見分け方と駆除方法を解説

トマト栽培におけるヨトウムシ類の防除および駆除方法

植付け前には土壌を良く耕す

ヨトウムシ類は蛹の状態になると土の中で越冬することができますから、植付け前に土壌を深く耕し、蛹になる前に土の中にいる老齢幼虫や蛹自体を退治しておく必要があります。

土壌消毒

土壌消毒を行うとヨトウムシ類だけでなく、土の中に潜んでいる害虫の殺虫や病原菌などの殺菌の効果を期待することができます。以下にいくつかの土壌消毒の方法を記載します。

  • 土壌消毒剤

効果が安定的でコストが抑えられるというメリットがあります。人体に刺激があったり、ガス抜き期間が必要であったりと、薬剤を利用する場合は使用上の注意を良く理解して使うようにしましょう。

  • 太陽熱土壌消毒

太陽の熱エネルギーを利用した土壌消毒です。土壌にたっぷりと水分を与えてビニールマルチなどで被膜します。太陽光を当てて地熱を上昇させることで殺虫・殺菌します。効果が期待できる地熱の温度はおおよそ60℃と考えられていますので、夏場に日差しの強い圃場や施設栽培などで活用されています。

  • 土壌還元消毒

農薬を使用せずに水と有機物を利用し土壌消毒を行います。米ぬかやフスマ(小麦ぬか)などの分解されやすい有機物を土壌に混ぜ込み、十分に水を与えて太陽光エネルギーを利用し加熱します。有機物を食料にしている微生物が活性化して土壌中の酸素を消費することで、土壌が酸欠状態となり病害虫が死滅すると考えられています。消毒に必要な地熱の温度はおおよそ30~40℃ですから日差しの弱い地域などでも活用できます。還元作用により悪臭が発生するため、住居が隣接している圃場では使いにくいとされています。

テデトール(捕殺)

ヨトウムシ類はトマトの葉裏に卵を産み付けたり、孵化した幼虫も葉裏で活動をしていたりするので、圃場の見回りをするときは葉裏をよく確認しましょう。卵が産み付けられた葉は除去し、幼虫は手で取り(テデトール)捕殺します。幼虫は、最初1枚の葉で集団行動をしていますが、成長し大きくなっていくと手狭になり移動します。夕方に活動を始めますので、明るさの残る夕方頃に見回りができると良いですね。少し薄暗いですが日が完全にくれた時間帯よりは探しやすいと思います。

薬剤散布

オルトラン水和剤などの殺虫剤を散布します。薬剤の効果は若齢期を過ぎると低くなってきて、老齢幼虫になると薬剤耐性が大幅に向上しますので早めに散布することが重要です。説明書をよく読んで希釈倍数や散布回数などを間違えないように注意してください。都道府県の自治体やJAなどが作成している病害虫防除暦を参考にすると良いでしょう。

フェロモントラップ

米ぬかを容器にいれて土壌と同じ高さになるようにして株元の近くに埋めておきます。ヨトウムシ類の幼虫は米ぬかを消化しきれずお腹をこわして死んでしまうこともあると考えられています。殺虫剤を混ぜておくとより効果的です。米ぬかは他の害虫を引き寄せることもありますので、トラップはこまめに管理してください。成虫をフェロモンで誘引してつかまえる製品もあります。

防虫ネット

0.6~1mm程度の目合いのネットが良いとされています。目合いが細かいと通気性が悪くなりビニールハウスなどの施設では高温障害になるリスクが高くなるので注意しましょう。ヨトウムシ類の老齢幼虫や成虫のほとんどは、ネットを通過することができませんが、ネット上に卵を産み付けられると孵化後の若年幼虫が容易に侵入することがあるようです。

>>>トマト栽培の高温障害についてはこちらのコラムをご参照ください。

ヨトウムシ類対策のLED防虫灯|モスバリア

ヨトウムシ類を防除するためにおすすめの資材がモスバリアジュニアⅡグリーンです。LEDの光でヨトウムシ類の成虫であるヨトウガの活動を低下させます。夜間に緑色の光を照射することで、ヨトウムシ類の成虫であるヨトウガに昼間であると勘違いをさせて夜間の行動を抑えます。行動が抑えられることにより交尾をする機会が少なくなり、次世代の繁殖をストップさせます。直下照射が可能で直径36mの範囲にピーク波長520nmの光を照射します。モスバリアだけでヨトウムシ類を防除できるものではありませんが、農薬散布回数を減らすことで、薬剤耐性種の発生リスクを抑えたり、農業経営の省力化につながったりするといった効果が期待できます。

乱反射型光拡散シート|てるてる

光に反応する害虫に対しては、光を確実に照射させることが重要です。反射物に当たらない限り光の筋は一直線なので、農作物の葉裏や株の影面に光を照射させることはできません。
てるてる」は光を拡散反射させることができる光反射シートです。農作物の株元や地際に敷くことで、通常は光が届きにくい葉裏や株元に光を照射することができ、光に反応する夜蛾類に対して忌避効果を発揮します。
また、トマトなどの果菜類では、てるてるの設置によって着色効果と色ムラ抑制を補助します。葉が沢山茂るトマトでの「てるてる」の設置は害虫抑制と着色効果の2つの恩恵を受けることができます。

複合的な対策でトマトをヨトウムシ類から守りましょう

トマトをヨトウムシ類から守るためには、圃場の見回りやモニタリングによる初期発見に加えて、薬剤散布や防虫ネットなど複数の対策を行い、対応していくことが重要です。今回のコラムをヨトウムシ類の防除対策にお役立ていただければ幸いです。

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