コラム
蛾の駆除・予防方法とは?大切な作物の食害を防ぐ対策
2020.08.24

蛾の駆除・予防方法とは?大切な作物の食害を防ぐ対策

蛾は翅(はね)に鱗粉(りんぷん)を持つものが多く、蝶の仲間とともに鱗翅目(チョウ目ともいいます)に分類される昆虫です。日本に生息している蛾は約5,000種類といわれ、体長も数㎜の微小サイズから30㎝の大型サイズになるものまでさまざまです。蛾は翅を広げてとまり、蝶は翅をたたんでとまるイメージが多いですが、蝶と蛾の明確な区別はないようです。

蛾は農業においては農作物の葉や実を食害するやっかいな害虫として知られており、被害に悩んでいる方が多いのではないでしょうか。今回は農業における蛾の駆除・予防方法に関して詳しく記載していきたいと思います。

蛾の生態と特徴

蛾は「卵⇒幼虫⇒蛹⇒成虫」と姿を変えながら成長していく、完全変態を行う昆虫です。幼虫時代に見た目が不気味な姿をしていることも多く、「青虫」「毛虫」「シャクトリ虫」とも呼ばれます。成虫になると夜間の明るい光や窓に多く集まる習性があります。

●蛾の生態

多くの蛾が植物を餌としています。草は勿論のこと、さまざまな樹木や竹までも食害する種類がいます。変わった食性を持ち、セミに寄生するセミヤドリガ、肉食性のボクトウガ、ハチノスツヅリガ、乾燥菓子に取りつくノシメマダラメイガ、乾燥羽毛や絨毛を餌とするイガなど様々な種類がいます。露地栽培や、ハウス栽培で生産されている植物(野菜・花卉・果樹・竹林など)は、蛾にとっては産卵することが出来れば子孫を繁栄させる絶好の環境に見えるでしょう。

蛾は卵⇒幼虫⇒蛹⇒成虫と姿を変え、時期が来ると羽化しますが、これを完全変態といいます。幼虫時の身体の特徴としては、体毛に毒針毛を持っている種類がいます。触れると激しいかゆみや痛み、発疹を伴うことがあり皮膚炎の原因になります。蛹の時期は固い殻で体を覆ったり、繭の中に潜んだりしながらほとんど動かずにじっとしています。

幼虫時代の姿や、成虫になってからの行動が不快に感じることがあります。幼虫時代は天敵の目を欺くため奇妙な模様や臭い匂いを発したり、成虫は夜行性で光に集まる習性があるものが多く、街燈の灯りや、窓の明かりに大量に群がることもあり「不快害虫」と呼ばれることもあります。

●蛾の幼虫時代の食べ物

良く知られている蛾はマイマイガ・アメリカシロヒトリ・オオスカシバ・ヨトウガなどの無毒の蛾と、毒針毛をもつドクガ類(ドクガ・チャドクガ)やイラガ・タケノホソクロバがいます。

毒針毛 種類 特徴 幼虫が好む植物
無毒 マイマイガ 樹木に300~400の卵の塊を産み付け、そのまま越冬して4月頃孵化し、老齢幼虫は6㎝位になる クリ・ハンノキ・ニレ・ケヤキ・コナラ・クヌギ・ウメ・バラ・ハンノキ・サクラ・リンゴなど
無毒 アメリカシロヒトリ 年2回発生、5~7月・8~9月頃幼虫が糸を張りながら集団で生活する姿が見られる(3齢幼虫まで) サクラ・プラタナス・ポプラ・ニセアカシア・ヤナギ・バラ・リンゴ・カエデ・クワなど
無毒 オオスカシバ 年2回発生、6月~9月頃、成虫は黄緑色の太い胴体で透明の翅をもつ アカネ科のクチナシ・アカミズキ・スイカズラ科のツキヌキニンドウなど
無毒 ヨトウガ 年2回発生、日中は植物の地表近く・土中に隠れ、夜になると農作物を食害する農業害虫として有名 マメ科・アブラナ科・ナス科・キク科・シソ科など
有毒 ドクガ 成虫・幼虫ともに毒針毛があり6~7月頃に発生 クヌギ・サクラ・ウメ・バラ・イタドリなど
有毒 チャドクガ ドクガよりやや小型、成虫は25~30㎜(羽を開いた状態)で年2回の6~7月頃と9~10月頃に発生 チャ・サザンカ・ツバキなど
有毒 イラガ 幼虫は、太くて短い緑色のナマコのような姿をしていて、毒針を持っており触れると激痛が生じ、街路樹等で大量発生し問題になる ヤナギ・サクラ・ナシ・カキ・カエデ・キンモクセイなど
有毒 タケノホソクロバ 成虫は10㎜位と比較的小さく、竹やササを好み幼虫は春先から7月頃と8~9月頃の年2回に発生 タケ・ササなど

蛾の対策と駆除方法

蛾の対策として重要なのは、いかに産卵を阻止するかです。もし産卵を許したらいかに早く発見して排除・駆除するかがポイントです。蛾の産卵・発生場所は圃場や園芸施設だけでなくその周辺の樹木や草むらという場合もあります。気温が低下した冬の時期に卵の姿や蛹で土中に隠れる種類もいます。その生態に合わせ対策と駆除方法を考えましょう。

●侵入を阻止する

・防虫ネットで対策する
防虫ネットで成虫の侵入を阻止しましょう。蛾だけでなく他の害虫の侵入も防げます。網目は4㎜以下のものがおすすめです。

・誘蛾灯で対策する
蛾の中には夜行性で灯りに集まる習性を持つ種類がいます。この性質を利用して蛾を集め、粘着テープや捕獲器で捕獲することで行動を阻止します。誘蛾灯の光源は、昔は白熱電球や誘蛾灯用に製造された蛍光管でしたが、現在では蛾が集まりやすい光の波長の研究が進み、光の色(波長)を制御しやすいLED方式の光源を採用した誘蛾灯も開発・販売されています。

・フェロモン物質で吸引・捕獲する
成虫の繁殖行動にはフェロモンにひきつけられ集まってくる性質があり、これを利用し誘引・捕獲します。

・圃場周辺の草木に注意する
圃場への侵入は、成虫が周辺の草や樹木で繁殖・成長したものが飛来することから始まります。スズメガは時速50Kmで飛び、この動きが早いことも侵入に気が付かない要因ともいわれています。雑草の除去や、草木の剪定を行い、圃場近くでの繁殖環境を減らしましょう。

●侵入を許してしまったら早めの駆除をする

・卵を発見したら
蛾によっては葉裏などに塊で卵を産み付けます。マイマイガは卵塊(300~400個)を蛾の毛で塊の表面を覆ったものを樹木に産み付けます。発見したら枝ごと切り取り排除しましょう。卵に毒はありませんが、成虫の体毛が付着していることがありますので素手で触れるのはやめましょう。切除した枝はビニール袋など密閉できるものに入れて処理しましょう。

・幼虫を発見したら
植物の葉や茎、果実、花蕾などに1cm程の穴を開けて中身を食べていくことが多く、食害を発見したらその近くに幼虫がいる可能性が高いです。ハスモンヨトウなどは卵からかえったばかりのころは集団で生活していることが多く、葉の裏を丹念に見ることでまとめて発見でき一網打尽にすることが出来ます。捕獲するときに乱暴に扱うと地面にばら撒いてしまいます。丁寧に排除しましょう。

●農薬を使用する

大量発生してしまい、対策が追い付かない場合は農薬(殺虫剤)による駆除も検討すべきです。薬剤を使用する際、地域によっては使用する薬剤が指定されている場合がありますので注意しましょう。また同じ薬剤を使い続けると、耐性を持つ蛾が発生し薬が効かなくなることがあります。JAや指導センターの情報や薬品メーカーの情報を確認の上、複数の薬剤を組み合わせ使用してください。薬剤の使用に当たっては、若い時期の幼虫や成虫を対象に使用することが良いようです。卵や蛹、植物の中に入り込んだ幼虫は薬剤の効果が利きにくい傾向がありますのでご注意ください。

●定期的に耕起を行う

蛾は土中で蛹の姿で冬を乗り越える種類が多いといわれています。越冬に成功した蛾が春先に成虫になり圃場で産卵することで大量発生の原因となります。気温が低い時期に土中に隠れている蛹を丁寧に耕起し地表に出すことで低温により死滅させることが期待できます。耕起は定期的に複数回行うことで効果が高まるようです。

●防蛾灯を利用する

ヤガのように光があると昼間と勘違いし葉裏で息をひそめ、夜間になると行動を開始する性格の蛾に対しては光を利用して行動を阻止する方法があります。

蛾の繁殖を抑制し個体数増加を防ぐためにおすすめの設備

モスバリジュニアⅡグリーン

夜間点灯することによりヨトウ・ヤガ・メイガなどの成虫が昼間と勘違いをして活動をしなくなります。日中は自然の中に溶け込み天敵の捕食から逃れようとする蛾の習性を利用し行動が抑制されるため交尾・産卵が抑えられ世代交代を防ぎます。ヤガを死滅させる農薬とは違いますので、薬剤散布のコストや作業労力を軽減します。

上手に活用すれば農薬の削減につながるので、無農薬や減農薬を目指している農家さんにもおすすめです。また薬剤耐性により効果がうすれるという心配もなく、LED電球のためランニングコストも抑えられ長期間にわたり利用することができます。電源があれば設置するだけなので、設置後はほとんど手がかかりません。余った時間を他の作業にあてることができ効率的です。

1台で半径15mの範囲に1ルクスを照射します。日の入り1時間前から日の出1時間後までのおよそ12時間程度照射することでヨトウ・ヤガ・メイガなどが昼間と認識し行動が抑制されます。

スマートキャッチャー

スマートキャッチャーはビニールハウス向けのLED捕虫器です。LEDの光でヨトウガを誘引し、強力なファンで吸引し捕虫袋に捕獲します。紫外線と可視光線の二つの光で害虫を誘引します。光は反射板により360度にパノラマの放射線を拡散させます。やや下方に照射しているためビニールハウスの外から虫を呼び寄せることはありません。

蛾の被害から農作物を守り品質の高い作物の生産を

今回は蛾の駆除・予防方法に関して詳しく記載してきました。読者の皆様が蛾の対策に役立つ情報としてご活用いただけたなら幸いです。効果的な対策方法をとりいれて大切な農作物を守り、品質の高い作物を生産していきましょう。

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