つるバラとは?
四季咲き性*を持たず、枝がつる状に伸びるバラを「つるバラ」と定義することが多いようです。厳密には四季咲かなくても「連続開花」や「周年開花」をする植物も四季咲きの性質を持つものとして分類されます。春と秋に咲くものは「二季咲き」と呼ばれます。
*春・夏・秋・冬のそれぞれの季節(四季)で花を咲かせる植物を「四季咲き」といいます。
四季咲き性のバラ
生育適温であれば年中咲くことができるバラです。枝は節が目立ちごつごつしており、木立性で地面から放射状に広がり箒を逆さにしたような樹形になります。1867年にフランスのバラ育成生産会社ギヨーが開発した新種のバラ「ラ・フランス」以降のバラのことを指します。中国原産の庚申ばらも四季咲き性のバラの一つです。
一季咲き性のバラ
1年に春に1度しか咲かないバラです。つる状の枝はしなやかで良く伸びます。四季咲き性のバラにくらべると、やわらかい印象の樹形になります。オールドローズと呼ばれ古くから存在する品種で、ほとんどがつる性です。例外的に四季咲き性の品種も存在します。
返り咲き性のバラ
春の開花後の花がらをカットした部分から枝が伸びて、夏や秋にも咲く性質をもつバラです。春の開花に比べると、夏や秋の開花はまばらになります。一部のバラに見られる特徴で、返り咲き性のバラは品種が少ないようです。
なぜ、つるバラに剪定と誘引が必要なのか
剪定が必要な理由
つるバラは幹がどんどん太くなっていく性質は持たず、株元から樹勢のある新しい枝(シュート)が出てくると、古くなった枝は枯れていくという性質を持っています。そのため、古い枝を除去することで新しい枝へ代謝を促しエネルギーを効率よく活用することができます。また枝が混みあうのを防ぎ風通しが良くなり、薬液もまんべんなく噴霧できるようになるため病害虫対策の一助となります。
誘引が必要な理由
つるバラはアサガオのような他のつる性植物と違い、自然にアーチやフェンスなどに巻き付くことがありません。そのため、人の手で対象物に沿わせながら誘引ひもで固定する必要があります。立ちあがった枝を水平にすると、高い位置に集中しやすい養分がまんべんなく行き渡り、全体的に花をつけるようになります。高い枝をそのまま伸ばし続けると上部だけに花をつけ、下の方の枝には花がつきにくくなります。
つるバラの剪定時期は?
つるバラは、木立性のバラに比べて、早めに春の新芽の準備を始めます。つるバラの休眠期である12月下旬~1月上旬・中旬頃が剪定時期の目安です。適正な時期より早く剪定作業を行うと、十分に休眠していない状態で枝に水分が多く残っているため冬の厳しい寒さで株が傷んでしまうことがあります。一方、適正時期より遅いタイミングで剪定すると、出始めた新芽が取れてしまったり、誤って新芽をカットしてしまったりして、それが原因で「花が開花しなくなる」「開花時期が揃わなくなる」という症状が出てしまうことがあります。
つるバラ(特に一季性のつるバラ)は、夏には剪定をする必要があまりありません。しかし枝が混みあっていて、日当たりや通気性が悪くなっている場合には、内側に向かって生えている枝や枯れている枝葉などを除去するようにしましょう。
つるバラの剪定方法
誘引するために枝を固定していた誘引ひもは全て取り外します。ハダニやアブラムシが葉について越冬している可能性があるため、葉っぱは全て除去します。バランスの良い枝の配置をイメージしながら、誘引する主要な枝を決めます。主要な枝となる太く樹勢のある枝は残して、弱っている枝や枯れている枝などは付け根から除去します。今年発生したシュートはなるべく残してください。主要な枝の先端を20~30cmほど残して剪定します。枝先だけ剪定しても細い枝が生えてくるだけですから、花がつきにくくなり株自体も衰えてしまいます。
つるバラの誘引時期は?
つるバラの誘引時期は剪定作業の後に行いますので、時期としては剪定時期と同じ12月下旬~1月上旬・中旬頃です。この時期を逃すと新芽が発生し、その状態で誘引作業を行うと作業中に新芽が取れてしまいますので注意が必要です。
つるバラの誘引方法
上に向かっている枝を水平に曲げるという作業が基本です。前章でお伝えした通り養分が高い位置に集中しすぎないようにする必要があります。無理に水平に曲げないように注意をして麻の紐やステンレスのワイヤーなどで固定していきましょう。誘引作業中に枝が折れたり裂けてしまった場合は、放置せずにその下で剪定するようにしてください。つるを曲げる人と紐やワイヤーで固定する人とひとりずついると作業しやすいと思います。
つるバラの剪定に適当な剪定ばさみ
バラの剪定におすすめの剪定ばさみがドクターカットです。作業者の手指の負担を軽減することを目的に開発されました。グリップ部分がシリコン樹脂で出来ており従来の剪定ばさみに比べて切断時の衝撃を75%カットします。繰り返しの選定作業による懸念される手指の痛みや腱鞘炎の発生リスクを低下させます。
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剪定と誘引のお手入れでつるバラを大切に育てましょう
つるバラを健全に育てるためには適切な剪定と誘引作業が欠かせません。本コラムをつるバラの栽培にお役立ていただければ幸いです。剪定と誘引が終わったら肥料の施肥もお忘れなく。
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コラム著者
キンコンバッキーくん
菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。