コラム
地力とは?|地力を上げる方法を解説
公開日2021.11.18
更新日2021.11.19

地力とは?|地力を上げる方法を解説

農業や家庭菜園において農作物を栽培するためにとっても大切な要素である「土づくり」。土づくりの良し悪しによって農作物の生育や品質に大きな差がでますよね。土づくりに関して本や文献によって情報収集をされている方も多いのではないでしょうか。今回のコラムでは土づくりをする上で大切な「地力」に関しての解説や「地力を上げる方法」について詳しく記載していきたいと思います。お役に立てれば幸いです。

地力とはなにか?

土壌(どじょう)が作物を生育させる総合的な能力のことを「地力(ちりょく)」と呼びます。地力は「土壌肥沃度」とも言われることがあります。良い土壌とは物理性(排水性・保水力など)、化学性(pH・肥料成分など)、生物性(有機物分解・病害抑止など)の3要素が優れており、これらの3要素が重なりあう効果として保肥力があり養分移動しやすい豊富に*地力窒素がある酸素が多く含まれる酸化状態を保ち還元状態に傾きにくい腐植物質が豊富で団粒構造に優れているなどの特長が見られるバランスのとれた状態のことを指します。

*地力窒素:土壌有機物が微生物によって分解された窒素

地力は肥料の大量投入では改善しない

単純に「地力を上げる」方法を考えると、畑に栄養(肥料)を大量に投入すれば良いのでは?と思うかもしれません。しかし決してそう単純ではありません。地力のある土壌とは前章で記載したような3要素が相互に関連し合いながら、生態系のネットワークが機能しているがゆえにもたらされる結果です。簡単な例えとしては料理です。料理は1つの調味料だけでは味が単調となり成り立たないことが多く、様々な調味料や天然素材が組み合わさり複雑な味を表現することで「美味しい」と感じることができます。

こちらのコラムも是非ご覧ください!

>>>野菜栽培の窒素過多対策|地力窒素との関係

地力を上げる方法

地力を上げるために必要な要素のうち重要なものは「腐植物質」と「団粒構造化」です。農作物を畑で栽培すると、例えるならば“土壌の貯金”である腐植物質が結果的には収穫物に吸収される形で畑の外に持ち出される状況が生まれます。つまり、畑の腐植物質が増えるような対策をしない限りは、どんどん腐植物質が失われていき貯金がマイナスの状態になっていきます。従って地力を上げるためには、腐植物質を作り出す有機物の堆肥や土壌改良剤を土作りの際に土壌に鋤きこむ必要があります。

腐植物質

腐植物質とは微生物が有機物を分解したあとに残った利用残渣のことです。自然界では枯れ木・草・落ち葉・動物の排泄物や死骸といった有機物が微生物や菌によって分解され、その後に化学的な作用が影響して黒色の有機化合物なる腐植物質ができます。一般的に土壌中に腐植物質が多ければ多いほど地力が高いとされています。

腐植物質のはたらき

  • 土壌の中の無機栄養分を保持する
    腐植物質は陽イオン(カリ・カルシウム・アンモニウムなど)を吸着するので保肥力を高める効果があります。腐植物質が多い土壌は肥料もちが向上するので、施肥しすぎても肥料焼けを起こしづらいというメリットがあります。
  • 土壌を団粒化する
    腐植物質は粘土と結合し、砂と粘土の接着剤のはたらきをするので土壌を団粒化させます。団粒構造に関しては後述します。
  • pHの緩衝作用
    腐植物質が多いと施肥した肥料の酸性やアルカリ性によるpHの変動を抑えるはたらきがあります。
  • アルミニウムを不活性化する
    土壌中にアルミニウムが多いとリン酸と結合して不溶化し、農作物がリン酸を吸収できなくなってしまいます。腐植物質はアルミニウムと結合することで不活性化するのでリン酸を聞きやすくする効果があります。
  • 生育の促進効果
    腐植物質は植物ホルモン(オーキシンやサイトカイニンなど)を含むので農作物の生育を促進する効果があります。根量が多くなるのでさまざまな障害に対して強い株に育ちます。

団粒構造

粘土や砂を腐植物質が電気的または物理性に結合させる接着剤のはたらきをすることで団粒(だんりゅう)になります。団粒になると粒と粒の間に適度な隙間である孔隙(こうげき)*ができますので、水や空気の通り道または保持場所となることで、保水性と透水性がアップします。以下のように対処することで団粒構造を構築することができます。

*孔隙(こうげき)
一般的に単粒構造の孔隙率は48%、団粒構造の孔隙率は61%程度です。

土の状態 対処方法
透水性が悪い重粘土壌(じゅうねんどじょう):粘土ばかりなので保水力はあるが、透水性が悪い 砂と有機物を追加
保水性が悪い砂質土壌(さしつどじょう):砂ばかりなので透水性は良いが保水力がない 粘土と有機物を追加

関連するコラムはこちら

>>>土壌微生物を増やすには?作物が育ちやすい環境づくりで収穫量向上を

>>>菌根菌とは?菌根菌の利用方法や増やし方について解説

地力を上げるために最適な製品地力の素 カナディアンフミン

地力の素 カナディアンフミンはカナディアンロッキー産の天然腐植質の土壌改良材です。カナディアンフミン原鉱を粉砕した高純度フルボ酸・100%有機質で大自然の力だけで出来た言わばスーパー濃縮堆肥です。

腐植物質は農作物が根から吸収し人が収穫することで農地からどんどん失われていきます。その結果、地力が低下し土地が痩せていくことで病害や連作障害が発生しやすくなります。地力の素シリーズはそのような土地に腐植物質を素早く補給し土の団粒構造を促進。農作物が健康に育つ環境を取り戻します。地力の素はCEC(陽イオン交換容量)値*の高いカナダのアルバータ州産の高品質な天然腐植物質なのでワンランク上のフルボ酸資材です。

*CEC(陽イオン交換容量)値とは:土壌中の腐植物質はマイナスに荷電しており、陽イオンを引き付ける力があります。そのため、陽イオン(カルシウム・マグネシウム・カリウム・ナトリウム。アンモニウム・水素等)を吸着・保持します。一般的にこの値が大きいほど養分の保持力が大きいので、肥沃土の高い土壌となります。

地力の素の解説動画はこちら

地力の素シリーズ

細粒 20kg

細粒状で使いやすい資材です。単体ではなく堆肥と併用して使用してください。20kg1袋で堆肥1tと同等の腐植の含有量ですので、堆肥の投入量を削減することができます。

粗粒 20kg

細粒よりも粒径が大きいので作業性と持続性に優れています。単体ではなく堆肥と併用して使用してください。機械散布ができるので露地や大面積の圃場への施用に活用できます。

ペレット 15kg

粒径が大きいので機械散布容易です。堆肥成分(有機炭素)が含まれているので、これだけで土づくりができます。

リキッド12 1L・5L・20L

地力の素の液体タイプです。希釈して土壌へ流し込むことで、作中に衰えた地力を補うことができます。生育期間中にいつでも使用できることがメリットです。

地力を上げて農作物を健康に育てる

今回のコラムでは地力の基礎知識と地力を上げる方法に関して詳しく記載してきました。土壌の地力を維持するためには腐植物質の補充が必要不可欠ですのでぜひトライしていただければと思います。本コラムが農家の皆さんや家庭菜園の皆さんにとってお役に立てれば幸いです。

地力とは?|地力を上げる方法を解説

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Twitterを更新していますのでぜひご覧ください。

 

◆Twitter
https://twitter.com/SEIKO_ECOLOGIA

おすすめ記事
Tweets by SEIKO_ECOLOGIA
youtube
ご注文
見積依頼
お問合せ