コラム
切り花を長持ちさせる方法とは?コツを詳しく解説します
公開日2023.01.26
更新日2023.01.26

切り花を長持ちさせる方法とは?コツを詳しく解説します

家庭で過ごす時間が増えた今、切り花への注目が高まっています。切り花は種類が豊富ですしアレンジ方法や楽しみ方も様々。最近では駅前のフラワーショップで花束を手軽に買えるようになったことも大きなメリットですね。
切り花を購入された方やフラワーショップで働いている方にとって“切り花をいかに長持ちさせるか”はとても重要な要素ではないでしょうか。今回のコラムではそのコツと方法を詳しく解説します。コラムの後半では役に立つツールのご紹介もしておりますので、ぜひ最後までご一読いただけますと幸いです。

まずは質の良い花を選ぶことから~新鮮な花を見分けるコツ~

フラワーショップに入ると色とりどりで様々な種類の切り花がありますよね。新鮮な花はどのように選べば良いのでしょうか。基本的にはスーパーで新鮮な野菜を選ぶ時と同じで、葉や茎にシャキっとした張りがあったり、色や艶がしっかりとしていたりという選び方で大丈夫です。本章では新鮮な花を見分けるコツをご紹介いたします。

葉っぱの状態を観察する

葉の色がきれいな緑色で張りのある切り花を選びましょう。葉先が下がっていたり、元気がなさそうに見える切り花は鮮度が落ちている可能性が高いので避けます。

花の状態を観察する

花の色や艶がしっかりとしている切り花を選びましょう。花弁の一部が変色していたり、一部が枯れている切り花は避けましょう。例外ですがブルースターのように時間とともに花の色が変化する種類もあります。ブルースターは新鮮な時だと花の色は青色ですが、時間の経過とともにピンク色に変化する花です。

切り花を長持ちさせる方法~最適な置き場所で管理~

切り花を長持ちさせるためにはストレスのかからない置き場所で管理することがとても大切です。本章では最適な置き場所の環境をご紹介いたします。

夏は可能であればエアコン管理

切り花の適温は人が過ごしやすい温度と同じです。夏の暑さは苦手ですので、夏場は可能であればエアコンの効いた涼しい部屋で管理しましょう。この時、エアコンの風が花に直接あたってしまうと花が傷ついたり、花の水分を奪うことになるので避けましょう。

直射日光を避けて管理

切り花に直射日光が当たると熱を逃がそうと蒸散を行います。その結果、切り花は水分を失うまいと水を吸い上げることに力を使い、早くに萎れたり枯れたりする原因となります。切り花の管理場所は生活している時の明かりだけでも問題ありませんが、もし窓際に置く場合はレースカーテン等で直射日光を遮光しましょう。おすすめの置き場所はキッチンです。近くに水道があるため、新鮮な水をすぐに取り替えることができます。

切り花を長持ちさせる方法~余分な葉を取り除き水切りをする~

フラワーショップで買ってきた花をそのまま花瓶に入れて飾っていたら、すぐにダメになってしまったという経験はないでしょうか。ひと手間工夫して手入れをすることで、花持ちは格段にアップします。本章ではその方法をご紹介いたします。

余分な葉を取り除く

葉は2~3枚のみ残すことを目安とし、積極的に取り除きましょう。特に水が浸かる部分の葉は腐って水を汚したり、雑菌が繁殖する原因となるため必ず取り除きます。葉を取り除く最も大きな理由は、前章でも記載した通り葉の蒸散によるエネルギー消費を抑えるためです。

水切りをする

ボウルやバケツ等に水を張り、茎の先をハサミで斜めに切ります。斜めに切ると茎の切断面の面積が大きくなることで、維管束からの水や栄養分の吸い上げがアップします。水切りは萎れる度に行うことで切り花は回復しますが、3日に1回を目安に行うと良いでしょう。

5cmほどの水を入れた容器に飾る

花瓶の底から5cmほどまで水を入れて切り花を飾ります。水が多いと茎が腐り、水の吸い上げができなくなります。枯れる原因となるので避けましょう。

深水をする(時間があれば)

深さのある容器に水をたっぷりと入れ1~2時間程度浸けると浸透圧で切り花全体に水分が行き渡ります。深水をすると切り花が元気になるので、もし時間がある時はやってみると良いでしょう。

切り花を長持ちさせる方法~毎日新鮮な水に換える~

最も重要といっても過言ではないのが「水換え」です。必ず毎日新鮮な水に換えましょう。もしも水換えが大変だという場合は、夏場は1~2日に1回、冬場は4~5日に1回は変えることをおすすめします。水換えを行う理由はバクテリアや雑菌の繁殖を抑えるためです。水換えの際には汚れた水を捨て、花瓶の内側についた汚れをスポンジで洗い流します。

切り花を長持ちさせる方法~花の種類別~

切り花には色々な種類がありますが、種類ごとに管理方法も少しずつ違います。本章では種類別の花の選び方や長持ちさせるポイントをお伝えいたします。

 

ユリ

花が1~2輪咲きかけている切り花を選びましょう。観賞中に花が枯れた場合は、枯れた花だけを付け根から切り取ります。補足情報ですが、ユリの花粉は洋服に付着すると洗濯しても落ちません。蕾が開き始めた時に花粉を取り除くことをおすすめします。

カーネーション

花が咲きすぎていない切り花を選びましょう。カーネーションは茎が腐りやすいため、花瓶の底から5cmの水で管理します。

ガーベラ

茎の長い切り花を選びましょう。ガーベラは長い茎のまま飾ると水をどんどん吸収し、茎が折れやすくなってしまいます。そのため、茎を短く切って飾ると2週間程度長持ちします。茎が2cmの水に浸かるようにし、1週間したら茎の先を5mm程度水切りすることがポイントです。

ブルースター

葉がシャキッとしていて花が萎れていない切り花を選びましょう。水切りすると切り口から白い液体が出てくると思います。白い液が残っていると水揚げの妨げになり萎れの原因となるため水道水でしっかりと洗い流しましょう。

切り花を長持ちさせる方法~鮮度保持剤を活用する~

化学成分を配合した鮮度保持剤や延命剤があります。フラワーショップやホームセンター等で入手することが可能です。各メーカーより、機能性のある鮮度保持剤が販売されており、原液を数倍~数千倍程度に希釈して使用します。期待できる効果(例)としては以下の表の通りです。切り花の種類によって最適な鮮度保持剤がありますので、迷った場合は専門店に相談してみると良いでしょう。

鮮度保持剤がない場合は、台所用のキッチンハイターといった塩素系漂白剤1滴を花瓶に垂らしたり、10円玉1枚を花瓶に入れるだけでも少量の殺菌効果が得られます。また花瓶に少量の砂糖を入れると切り花のエネルギー源である糖分を補うことができます。

期待できる効果(例)
花、葉の張りや艶を保つ
水カビやバクテリアの増殖を抑える
切り花の水揚げを助ける
花弁や葉の落葉や黄化を抑える
導管閉塞の原因となるポリフェノールを浄化する
花持ちを良くする
花色を良くする
エチレンによる老化を抑制する
蕾の開花を促進する

切り花に役に立つツール「オゾン散水器」「Dr.Cut

オゾン散水器

ボタン一つでオゾン水を生成することができるポータブル式のオゾン水生成器です。フラワーショップやご家庭において花器、ハサミ、シンクに付着した菌をオゾン水で殺菌して清潔に保つことでフラワーロスの軽減が期待できます。

使い方は簡単です。水道の蛇口から市販のホースでオゾン散水器を繋ぎ、ボタンを押すだけでオゾン水が生成できます。充電式なのでコードレスなのも嬉しいメリット。一度の満充電で最大80分連続稼働できます。消耗品はリチウムイオン電池と電極です。電極の寿命は400時間ですので、寿命に達した場合は交換が必要となります。

Dr.Cut(ドクターカット)

切り花の水切り等のシーンに活用できるハサミが、医学博士の人間工学に基づき開発したDr.Cutです。市場で販売されているハサミは切れ味や使い勝手を重視するあまり、作業者の負担という点については考慮されていない製品が多く存在します。Dr.Cutのハサミの持ち手は、弾力性の高いシリコン樹脂(厚さ平均3mm)でおおわれているため、作業者の切断時の手指への負担を75%カットします。

切り花を長く楽しみましょう

今回ご紹介した方法を活用すれば目安として2週間程度の期間、切り花を鑑賞することが可能になります。切り花を長く楽しむためには、適切な花の選び方や手入れ方法がとても大切ですので、今回のコラムをぜひお役立ていただけますと幸いです。

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コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Twitterを更新していますのでぜひご覧ください。

 

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